12/12(日)、お疲れさまでした。
私は生配信、生中継の類は一切見ず、自身の指導する大学が出場する国公立大学ボクシング大会に同行。地方国立大学のボクシング部(ほとんどの人が大学進学後にアマチュアボクシングをはじめる)という恵まれない環境の中、強くなろうと頑張るボクサーたちの年に1度の大会です。
リーグ戦がないのは当たり前として、試合の機会に恵まれない我々にとっても、大切な大会の一つであり、毎年、少ないながらも選手を送り込んでいます。
私が今の大学の監督に就任して3年ほどなんですが、2019年に出場、2020年はコロナで大会が中止だったので、監督として大会に参加するのは2度目。(20年前には選手として参加していましたが)
🥊アマボクNEWS:こちらも2年ぶりに大会実現!国公立大学ボクシングの歴史 https://t.co/DKeOp4gIvh
— 日本ボクシング連盟(JABF) (@Jabf_revival) 2021年12月10日
📅12月12日10:30~
🏟神奈川県立スポーツセンター(藤沢市善行) pic.twitter.com/K2df8vroNJ
勝ったり負けたりはあったものの、今回出場した教え子たちは皆が私の期待以上の頑張りを見せてくれました。こういうのが本当に嬉しい。
勝利した者にも、敗北した者にも、それぞれに学びがあり、大切なことは倒れたら立ち上がろうとする気持ちだと改めて思います。
さて、そんな日でしたが、帰宅してまずは一番楽しみにしていた勅使河原弘晶vsマーロン・タパレスを見ようとWOWOWの録画を再生。
すると、即刻はじまった勅使河原vsタパレス。
↓プレビュー記事
かねてからサウスポーは得意ではないと公言する勅使河原は、サウスポータパレスの右フックを幾度か被弾。いつもよりやや忙しないステップを踏んでいるように見えます。
タパレスは高いガードを掲げてプレス、飛び込んでの左フック、飛び込みざまの左ストレートを勅使河原にヒット。
コーナーに詰まってしまった勅使河原は、タパレスの猛攻をガードでしのごうとしますが、ここがダウン判定。続行後、ふらつく勅使河原にダメージはありそうです。
再開後すぐにタパレスの左オーバーハンドがヒット、後退した勅使河原はまたもコーナーに詰まり、距離を取ろうとしたところでタパレスの右フックを被弾、2度目のダウン!!
かなりのダメージを感じさせる勅使河原ですが、このラウンドをなんとかサバイブ。これは止められてもおかしくありません。。。
2R、まだダメージの残る勅使河原、開始早々にタパレスの右フックを浴びてダウン。これで試合がストップ。
大喜びのタパレス。。。私はいきなり意気消沈です。。。
マーロン・タパレス2RTKO勝利。
この勅使河原の敗北は、出会い頭の衝突で負けてしまった、という感じがします。今日の勅使河原は、距離感が最初から合っていないように見えました。
後楽園ホール以外の会場で、初めての海外で、身体が温まらないうちにもらってしまったタパレスの左右。これはただ不運だった、と信じたい。
完全にタパレスの得意パターンにハマってしまい、実力を1/10も出せませんでした。
この経験を貴重なものとして、今後の糧としてもらいたい。
期待が大きかった分、非常にキツい。。。
WBC世界バンタム級王座統一戦
ノニト・ドネア(フィリピン)41勝(27KO)6敗
vs
レイマート・ガバリョ(フィリピン)24勝(20KO)無敗
気を取り直せないのですが、とりあえず時間の関係でセミセミ、セミは飛ばしてメインを視聴。
↓プレビュー記事
ドネアのトランクスは井上戦と同じものでしょうか。ドラゴンボールです。
初回、ガバリョのパンチが非常にパワフルで、キレています。ロドリゲス戦とはすでに別人のように見えます。ボディムーブにもキレがあり、あの日のガバリョは何だったのか、と思うほど。
ドネアはやや慎重、しかし中盤にガバリョのジャブに合わせたドネアの右カウンターがヒット!この辺りはさすがドネアです。
ガバリョはやや固いですが、その身体のキレは素晴らしく、前戦と別人なのは明白。これは好試合になりそうです。
2R、ドネアはステップ、リズムが出てきました。ガバリョも少し落ち着いてきたか。
ガバリョはドネアのカウンターを警戒、なかなか手が出ません。ドネアはステップを踏みつつもプレス、どちらかというと、圧がかかっているのはガバリョの方でしょう。
ヒリヒリした駆け引きが続き、ガバリョもカウンターを狙います。どちらもハードパンチの持ち主、瞬間に交錯しますが、見ている方が怖い。
3R、ドネアが変速気味に飛び込みながらの右。この右をガードして左フックのカウンターを狙うガバリョ。ドネアの左フックだけを警戒しているわけではない、とインタビューで応えていましたが、なるほどこういう事ですね。
ドネアの右に合わせようとするガバリョの左フックは危険極まりないタイミングですが、それでもドネアは右ストレートをやめず、しかも打ち方を変えて打つ、というスキルを見せます。
4R、ガバリョのジャブにドネアが右をあわせ、その右にガバリョが左を合わせる。ドネアに憧れたガバリョ、一世一代の大勝負の準備をしっかりとしてきた感じがします。
ラウンド中盤以降、ドネアのプレスでガバリョが下がり気味となってきます。下がっているというよりも明確に下がらされている、という雰囲気。それでもガバリョもカウンターを狙い、怖さがあります。
しかし終盤、ドネアは左ボディから右ボディをヒット!ガバリョダウン!!!
これは。。。!!
一度立ち上がったガバリョですが、立てず。
ノニト・ドネア、4RTKO勝利!!
効いたのは、左ボディの方のようですね。
完全なタイミングでの左ボディ。さすがとしか言いようのない、ドネアの左。
ガバリョは、ロドリゲス戦の何倍も強かった、というよりももう完全に別人という素晴らしい出来でした。おそらくガバリョのボクシングキャリア史上最強のガバリョだったと思います。
そのガバリョ、タイミングの取り合い、カウンターの取り合い合戦をドネアに仕掛けてはいけませんでした。
フィニッシュブローは、ガバリョは完全にドネアの左フックを警戒してガードを上げていました。ガバリョの意識の外から放たれた素晴らしい左ボディブロー、これはドネアがまたも強さを見せつけました。
もう39歳だから、とか言っていられません。もう言えません。
本当に素晴らしかった。ドネアは最高のバンタムです。
この試合は、プレスカンファレンスから話題になっていました。
フィリピン対決。会見中、英語が母国語ではないガバリョが言葉につまると、隣のドネアが比国の言葉で聞き直し、通訳してあげるというハプニング。対戦相手の通訳を務めるのは史上初では。ドネアらしいですが。 https://t.co/4wwSGXF46B
— . (@daisukesugiura) 2021年12月9日
そしてこの試合後も、敗者であるガバリョに駆け寄って、膝を折って目線を合わせ、ねぎらうドネア。とにかくドネアはかっこいい。
やっぱりこのボクサーは史上最高のボクサーの1人です。ボクサーとしても、人格者としても。
さて、レイマート・ガバリョ。エマニュエル・ロドリゲス戦での疑惑の判定がクローズアップされてしまいますが、この日のガバリョは非常に素晴らしい出来でした。
初回を見た限り、アップセットの芽がありそうにすら感じました。
ドネアの強い左フックを警戒するのは勿論のこと、その左フックを警戒するがあまりヒットされてしまう右ストレートもしっかりと警戒、どころかドネアの右にあわせる左フックをトレーニングしてきたことが目に見えました。
それに対応する準備があることを知ったドネアは、今度は左ボディ。
たった4R、12分の中に凝縮されたこの一戦は、本当に素晴らしい一戦でした。
ドネアは、井上尚弥戦を望みます。そして井上尚弥も。それから、我々ファンも。
WBOは結局どうなるのか、情報遮断中の現時点では私はわかりませんが、少なくとも来年中には、このバンタムのタイトルが統一されることを切に願います。
では今回はこの辺で。。。
↓井上vsディパエンももうすぐ。