今週末から、いよいよ本格始動の感のある海外ボクシング。1/15(日本時間1/16)には、2022年初となる世界タイトルマッチ、WBO世界ライトヘビー級タイトルマッチがありますね。
ジョー・スミスJrに皆さんあまり興味がないのか、それともライトヘビー級という日本に全く馴染みのない階級の世界タイトルマッチに興味がないのか、スミスJrのプレビュー記事はPV数が全く振るわず笑。
ブログをアップした翌日に対戦相手が変更になった、ということも大きく起因しているのかもしれませんが、寂しいものです。
ともあれ、2021年12月に引き続き、ライトヘビー級の世界王者が登場する週末、個人的には注目しています。ライトヘビー級だっておもしろいです。
↓つい最近、ライトヘビー級について書いたブログ
ともあれ、その翌週に控えるWBC世界フェザー級タイトルマッチは要注目でしょう。フェザー級は日本人にも関係のある階級であり、登場する王者は「年イチ王者」ゲイリー・アレン・ラッセルJr。在位7年にもなる王者ですが、「長期政権」というとなんだか違和感もありますね。
今回はコロナのせいか年イチのペースを崩し、2020年2月以来、約2年ぶりのリング登場です。
今回のブログでは、ゲイリー・ラッセルJr.vsマーク・マグサヨをメインに据えた、PBC興行のプレビュー記事です。
1/22(日本時間1/23)Showtime
WBC世界フェザー級タイトルマッチ
ゲイリー・アレン・ラッセルJr(アメリカ)31勝(18KO)1敗
vs
マーク・マグサヨ(フィリピン)23勝(16KO)無敗
ボクシング一家であるラッセル家の長兄、ゲイリー・アレン・ラッセルJr。弟アントニオ、アントワンもプロボクサーで、こちらはプロ転向していませんがゲイリー・アレン・ラッセルⅢという弟もいるらしい。
とりあえずラッセルJr、もしくはラッセルと表記します。
ボクシングファンならその名を知らない者はいないでしょう、2009年にプロデビューした元アマエリート。全米でトップクラスの実力を持ち、北京オリンピックではメダル獲得を期待されながらも、体調不良により不戦敗。
2014年、初の世界挑戦こそ当時のWBO王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に判定負けを喫したものの、2015年3月にはジョニー・ゴンザレス(メキシコ)を4RTKOで降し、WBC王座を獲得。
在位にして7年、それでも5度の防衛という破格の試合間隔の持ち主でもあります。
敏捷性に優れ、素晴らしいカウンターを持っています。とりわけそのハンドスピードは全階級を通じて随一と言っても良いほどですね。
身体能力依存系のボクシングをするのですが、その基礎としてあるのはやはりラッセル・シニアが教えたボクシングにあり、基礎的な部分がしっかりしているので全くもって乱れない。このボクサーを攻略するのは至難の業、総合力で上回るのか、馬力、パンチングパワーで押し切るしか方法はないかもしれません。
総合力で上回ったのはロマチェンコ、馬力で挑んだのは最近でいうとツグスソグ・ニャンバヤル(モンゴル)ですが、ニャンバヤルは歯が立たず。
今回のマグサヨは、パンチングパワーで挑みますが、果たしてどうなるか。
マグサヨは2013年のプロデビューで、現在26歳。
2015年にIBFのユース王者、2016年にはWBOのユース王者となり、その後もWBOインターナショナル、WBCアジアと多くの下位タイトルを獲得してきています。
日本人では林翔太との対戦経験がありますね。
パワフルにパンチを振り回すタイプのボクサーで、一発一発のパンチは本当に力強く、キレがあります。
しかも、空振りしてもそこまでバランスを崩さず、次の強いパンチが打てるという体幹の強さを持っており、相対した時に非常に怖いボクサーですね。
バランスを崩さない、というよりも、体勢は崩していますがスタンスを変えてバランスを取り、次の強いパンチを打てる、という感じ。なのでマグサヨとしては空振りしても大丈夫、と思っていそうです。具体的にいうと、右の強いパンチを振ると同時に右足をやや前に出し、左を強振してバランスを元に戻す、みたいな感じです。
しかもこのマグサヨは、ブロッキングの上からでもお構いなしにパンチを打ってくるので、これもまた怖い。ブロッキングされるとわかると、(ただ疲れるだけなので)打てなくなって見合ってしまったりするボクサーも多いですが、このマグサヨにとっては関係ありません。
そしてそのパンチが一発でも顔面にヒットしようものなら、そこから怒涛の連打が始まる、という爆発力も持ち合わせています。
試合の展開としては、ラッセルJrがスピードを活かして出入りのボクシングを展開する中で、マグサヨはいかに一発を当ててそこから連打に繋げるか、という展開になるでしょう。
マグサヨはナチュラルにカウンターをとれる選手でもあるので、「普通に考えればラッセルJrが優位」なのですが、この点からすると期待が持てます。
しかし、大きな懸念事項としては、マグサヨはおそらくサウスポーが得意ではありません。
「苦手」とまでは言いづらいものの、サウスポー相手だと距離感が狂うのか、ポンポンと強いパンチを出せなくなってしまい、手数が減ってしまいます。一発のパンチングパワーにも秀でているマグサヨは、それでも勝利を掴んできてはいるものの、2020年10月、2016年9月のサウスポーとの対戦では判定勝ち。キャリア初期は調べていないのでわかりませんが、サウスポートの対戦も少ないです。
今回、マグサヨにとっては初の世界戦、ということもありますので、サウスポー対策はしっかりとしていくはず。それでも、相手は普通のサウスポーではなく、あのゲイリー・ラッセルJr。
長らく年1度しかリングに上がらない王者にベルトを保持された分、このWBCフェザー級タイトルの歩みは非常に遅い。マグサヨがここで世界戴冠となれば、少なくともこれまでよりはこのWBCタイトルは活発に動くと思うので、是非がんばってもらいたい。
アンダーカード!
セミファイナルにはスーパーライト級12回戦、サブリエル・マティアス(プエルトリコ)vsペトロス・アナヤン(ロシア)。17勝(全KO)1敗という29歳のマティアスは、2020年2月にこのアナヤンにダウンを奪われての判定負け、初黒星を喫しています。もともとディフェンス面には穴のある倒し屋です。
今回はリベンジマッチ、同じ轍は踏まないと期待したい。アナヤンは16勝(7KO)2敗2分、ここで勝てば大きく道が拓けるかもしれません。
セミセミにはフェザー級10回戦、ツグスソグ・ニャンバヤル(モンゴル)vsビクター・パシージャス(アメリカ)。これは非常に興味深い一戦です。
ゲイリー・ラッセルJrにも挑戦経験のあるニャンバヤルは、12勝(9KO)2敗の戦績。前戦ではクリス・コルバート(アメリカ)のWBA世界スーパーフェザー級暫定王座(当時)に挑戦し、完封されての判定負け。
一方のパシージャス(パシラスかも)前戦でライース・アリーム(アメリカ)のWBA世界スーパーバンタム級暫定王座に挑戦して、何度も何度も倒された末に11RTKO負け。
ただ、ふたりとも心身ともに非常にタフなボクサーで、凄まじい打撃戦、素晴らしいタフファイトが展開されるはずです。我慢比べとなりうる一戦を制するのはどちらか。これは楽しみですね。
放送・配信
このゲイリー・ラッセルJr.vsマーク・マグサヨをメインとした注目の興行は、アメリカではShowtimeが中継。全3試合ということなので、ニャンバヤルvsパシージャス、マティアスvsアナヤン2、そしてメインという順番で中継されます。
今の所日本での生放送・生配信はなく、WOWOWが一ヶ月遅れのディレイ放送をしてくれるようです。放送日は2/21(月)21:00からのレギュラー放送。その時が来るまで待ちましょう。
↓どうしても見たい方はこちら(大変です)
あと、Showtime興行だと望みが薄いですが、日本から見れるVODで期待したいのはFITE.TV。トップランク興行は割と配信してくれるイメージです。
Showtime興行も、VPNをヨーロッパに変更すれば、見れることもたまにあります。私は常にその辺を監視していますので、また見れそうだったらこのブログでお伝えします。
↓私の使っているVPNはこちら
ちなみに、日本時間1/16(日)のジョー・スミスjr.vsスティーブ・ゲフラードの一戦は日本でもFITE.TVで生配信。9.99$という表記ですが、日本円にして1,220円で購入可能です。
↓FITE.TVのリストの一番上に来ているはず。