なかなか、いや結構、実は非常に楽しみにしていたWBO世界ライトヘビー級タイトルマッチ、ジョー・スミスJr.vsカラム・ジョンソンが、ジョンソンのコロナ陽性反応によりなくなってしまいました。
これが日本時間で1/7の出来事(私がプレビューをアップしたのが1/6)で、その翌日にはスティーブ・ゲフラード(アメリカ)が代役に抜擢された、というニュースが出ました。
まずはメインが飛ばなくてよかった。
スティーブ・ゲフラードは、18勝(12KO)2敗という戦績で、2013年にプロデビューしていきなり2連敗。そこから18連勝の31歳で、2016年には日本でもお馴染みWBOアジアパシフィックの王座決定戦を戦い、この王座に就いています。
世界的強豪との対戦経験はなく、現在世界ランキングも保持していないため、当然挑戦資格については疑問もありますし、WBOがこの一戦を防衛戦として認可するかどうかもまだわかりません。(私がこのブログを書いている1/9現在)
まあ、こういう事態なので無理矢理にでも世界ランクを与える気はしますが。
ともあれ、このゲフラードは1/8に試合をする予定で、しっかりと仕上げてきていたようなので、スミスがあまりにも舐めてかかるとアップセットが起こってしまうかもしれません。そんなことがないよう、祈るだけですが。
↓スミスJr.vsジョンソンのプレビュー記事
いずれにせよ、個人的にはジョー・スミスJr.が何事もなく防衛、もしくは勝利を手にすることを期待しています。
このスミスJrのリング登場があれば、実は2021年12月11日(現地時間)〜2022年1月15日(現地時間)の約1ヶ月の間に、ライトヘビー級の全ての王者たち、3人がリングに登場したことになるのです。
ということで、今回のブログでは、日本ではあまり馴染みのない重量級、ライトヘビー級の世界戦線を見ていきたいと思います。
WBAスーパー王者
ドミトリー・ビボル(ロシア)19勝(11KO)無敗
絶対的技巧を武器に、防衛を重ねるドミトリー・ビボル。時に、いやほとんど常に退屈を思わせる展開になりますが、それこそがビボルの真骨頂であり、強さであります。
2015年にWBAの暫定王座を奪取して以降、暫定王座を含めて10度の防衛を記録、歴とした安定王者。そのボクシングも非常に安定しており、これまでで唯一おやっ?と思ったのはクレイグ・リチャーズ(イギリス)くらいものもでしょう。
2019年には現WBO王者、ジョー・スミスJrを12Rに渡り強打を封じ込めて完封勝利。
最新の試合でもウマール・サラモフ(ロシア)をほとんどジャブだけで痛めつけ、その技術の高さと衰えのなさ証明しています。
↓観戦記
ビボルのここ最近は、「判定勝利」を得るためにプログラムされたマシーンのようです。
WBC・IBF統一王者
アルツール・ベテルビエフ(ロシア)17勝(17KO)無敗
絶対的強打を武器に、次々と対戦相手をリングに薙ぎ倒してきたベテルビエフ。そのいかつい風貌と、「ベテルビエフ」という強そうな名前、ファイトスタイル、全てがマッチしたエキサイティングな王者です。
2013年にプロデビュー、2017年にIBF世界王座決定戦で勝利して戴冠。2018年の初防衛戦では、今回ジョー・スミスJr.と対戦予定だったカラム・ジョンソン(イギリス)を4Rで撃破しています。
2019年には当時のWBC王者、オレクサンドル・グヴォジク(ウクライナ)との統一戦を制し、2冠王者に。最新試合では、アメリカ期待のマーカス・ブラウンを見事にノックアウト。
↓血だらけで襲いかかるベテルビエフ。
ベテルビエフは36歳ですが、いつまでも獣のように獰猛です。
WBO王者
ジョー・スミスJr.(アメリカ)27勝(21KO)3敗
さて、そんな機械的強さを誇るビボル、猛獣のような強さを誇るベテルビエフに囲まれ、最も人間らしい王者が我らがジョー・スミスJr。
2009年にプロデビューしたスミスは、デビュー7戦目で初黒星。2010年のことで、これが今の所最初で最後のKO負けとなっています。
地域タイトルも含めて初のタイトルとなったのは、2016年のWBCインターナショナル王座戦。アンドレイ・フォンファラ(ポーランド)を相手にアップセットの初回KOでこのタイトルを獲得すると、その次に大きなチャンスが舞い込んできました。
老雄、バーナード・ホプキンス(アメリカ)の引退試合の相手。
ホプキンスは勿論、花道を飾る相手としてこのスミスを選んだのでしょうが、蓋を開けてみればスミスは空気を全く読まずホプキンスを追い回し、ついにはリング外に弾き出してしまうという珍しいKO勝利。
この勝利でスミスは名を売り、ホプキンスは試合前の言葉通り引退。「最後」と決めてリングに上がるのは、いつも思いますけどあまり良い結果にはなりません。
ともあれ、ホプキンスは67戦して初のKO負け。そのレジェンドから歴史的勝利、歴史的な勝ち方をしたスミスでしたが、次戦でサリバン・バレラ(キューバ)に敗北して2敗目。
その後復帰戦を勝利で飾るも、ドミトリー・ビボルに挑戦し、敗北。
それでも諦めなかったスミスは、復帰戦で強豪・ジェシー・ハート(アメリカ)に勝利、WBOの挑戦者決定戦で元王者、エレイデル・アルバレス(コロンビア)に勝利すると、王座決定戦でマキシム・ウラソフ(ロシア)に勝利して世界初戴冠。
初防衛戦はカラム・ジョンソンを相手にする予定でしたが、前述の通りです。
↓スミスの初戴冠戦
ライトヘビー級のコンテンダーたち
ライトヘビー級のコンテンダーの中で、最も注目すべきはヒルベルト・ラミレス(メキシコ)でしょう。
元WBO世界スーパーミドル級王者であるラミレスは、その王者時代にやや退屈なスタイルになってしまいましたが、タイトル返上、ライトヘビー級への転向後は素晴らしいパフォーマンスを継続しています。ライトヘビー級にしてはややパワー不足か、という向きもありますが、倒し続けている事は事実。
正直、最初はちょっと半信半疑だったわけですが、サリバン・バレラ(キューバ)、ユニエスキ・ゴンザレス(キューバ)を連続ストップ。バレラに対しては会心の勝利であり、ゴンザレスもパワーと闘志溢れるタイプですが、真っ向から渡り合いました。
当然、次期王者の最有力候補であり、43戦というキャリアがありながらもまだ30歳、これからのボクサーです。
そして、カラム・スミス。こちらも元WBA世界スーパーミドル級王者で、前戦からライトヘビー級に転級。身長191cm、リーチ198cmというサイズは、このライトヘビー級でも十分に活かせるはずです。
唯一の敗戦はサウル・アルバレス(メキシコ)戦であり、この一戦こそ散々でしたが、その他はさほど危なっかしい試合はなかったように思います。カネロ戦も、今のカネロの状態を思えば判定まで粘った、ということ自体が称えられても良いのかもしれません。
ちなみにこの2人の元王者は、スーパーミドル級上がりです。スルド、スミスが狙うのはやはりジョン・スミスJrとなってくるのでしょうか。
そして、ライジングスターはジョシュア・ブアツィ(イギリス)。15勝13KO無敗という抜群の戦績を誇るプロスペクトであり、まだ底を見せていない分個人的には一番楽しみなライトヘビー。
軽量級のようなコンビネーションを放ち、カウンターもとれて、爆発力があります。ややスタミナに難があるのか、という戦い方をすることもありますが、それも含めて王者たちへの挑戦が非常に楽しみ。
2021年は、当時無敗のダニエル・ブレンダ・ドス・サントス(フランス)を4Rでストップ、プレッシャーファイター、リチャード・ボロトニクス(ラトビア)を11Rで倒し、10連続KO。
このボロトニクス戦は、WBAの指名挑戦者決定戦だったと思いますので、一応ビボルへの挑戦権を保持していると思われます。が、もう少し強豪との対戦が見てみたいかな、と思います。
その他には、スミスにこそ敗れましたが、まだまだ強さを持つマキシム・ウラソフ、ベテルビエフに敗れたマーカス・ブラウン、セルゲイ・コバレフ(ロシア)には敗れましたが、リンドン・アーサー(イギリス)との再戦を制したアンソニー・ヤーデ(イギリス)。
この階級もなかなかおもしろい階級です。
2022年、ベテルビエフ、ビボル、スミスJrの3人の王者がぶつかるときはくるのか。かねてからベテルビエフvsビボルの同国人による統一戦は待望されているものの、決まる気配はありません。
あ、武尊選手vs那須川天心選手が決まるっていうのはこういうことか?それはすごいことですね。
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第一回目の全試合生放送は、フェニックスバトル。メインは日本ミニマム級王座決定戦、石澤開vs森且貴です!これは楽しみ!