信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】そこに敗者はいなかった。ケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノ、女子ボクシング史上最大の決戦。

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素晴らしい試合になると思っていました。

何せケイティ・テイラーとアマンダ・セラノが残してきた実績は、女子ボクシング史上過去最高=「The  Best Ever」です。

女子ボクシング史上過去最大の決戦は、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン。

世界中のボクサーが憧れてやまない、ボクシングの聖地の一つです。

このMSGで女子ボクシングがメインイベントを張るというのは史上初めてのこと。

ということで今回は、是非みなさんにも見ていただきたい、ケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノの女子世界ライト級4団体統一タイトルマッチの観戦記です。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 


4/30(日本時間5/1)ニューヨーク・MSG

せっかくなのでまずはセミセミに当たる女子世界スーパーミドル級の4団体王座統一戦から視聴です。

WBC・WBO女子世界スーパーミドル級王者

フランション・クルス(アメリカ)7勝(2KO)1敗

vs

WBA・IBF女子世界スーパーミドル級王者

エリン・セデロース(スウェーデン)8勝(4KO)

スーパーミドル級は女子といえども非常に迫力があります。発声しながら右オーバーハンドを振るうファイタータイプのクルス、ステップワークを使う大柄なセデロース。

初回、クルスが右オーバーハンドをヒットしますが、その後セデロースも反撃。距離の長いセデロースに、ストレートで攻められるとクルスは厳しいかもしれません。

2Rは打撃戦、序盤にセデロースがストレートで攻め込みますが、中盤以降はクルスが左右のフックを強振し、セデロースはたまらず後退。

3R、このクルスの突進力はすごいですね。体格差をものともせず、中に入ります。セデロースは幾度となく良い右を打ちますが、上体が立ち気味でちょっと勿体無い。

 

4R、開始前にドクターがチェック?セデロースは鼻血が止まっていません。

30秒ほどのところでクルスのミスブロー、それに右を合わせたセデロース!チャンスとばかりに攻め込むセデロースと、打ち合ってそれを跳ねのけるクルス!!

ともにダメージも疲労も溜めてきたように見えるこのラウンド、両者ともに苦しそうです。

5R、このクルスというボクサーは、かなり振り回す割にはジャブを真っ直ぐ、しっかりと打つボクサー。不思議です。このラウンドもクルスのオーバーハンドは効果的で、その後の左フックのフォローも良い。そこにきてジャブを真っ直ぐ、肩を入れて出すので距離感が難しい。

6Rも猛烈な打撃戦を展開、今度はセデロースのチャージが素晴らしい。このラウンドにきてよく手数とコンビネーションがでます。クルスも懸命に振り回し、対抗。

7R、クルスはちょっと疲れているか、ここまで何度も当たっていたジャブの的中率が悪くなってきました。代わりに、セデロースのジャブの的中率は上がってきたように思います。

8R、疲労か、ダメージか、ボクシングが大雑把になってきた印象のクルス。セデロースは変わらず、やはりこのラウンドもストレート系のパンチはクルスにヒット。

 

ここにきてもしっかりとコンビネーションを打てるセデロースに対して、クルスは序盤のような鋭い踏み込みがなくなってきているため、なかなか近づけなくなってきました。

9R、下がることが増えてきたクルスですが、要所では前に出て攻撃。セデロースの方がコンビネーション、手数に優れるものの、体全体を使って打つクルスのフック系のパンチは強烈です。

クルスは後半にも右オーバーからの左フック、という得意パンチを当てました。

ラストラウンド、行くしかないセデロースは、ストレート主体で被弾を気にせず前進。クルスもこれが最後とフックを振るい、応戦します。

もみくちゃになりながらの打撃戦名がらも、両者の勝利への執念が見えた好ファイト!

セデロースは幾度もクルスの強いパンチを浴び、顔面は血だらけ、鼻血はいまだに止まっていません。

素晴らしい両雄(とは言わないのか??)に拍手が送られ、ラウンドは終了。

判定は99-91×2、97-93×1でフランション・クルスを支持。もう少し競っているイメージでしたが、クルスの勝利は間違いないでしょう。

 

セミファイナル・スーパーウェルター級12回戦

ジェシー・バルガス(アメリカ)29勝(11KO)3敗2分

vs

リアム・スミス(イギリス)30勝(17KO)3敗1分

非常に興味深いサバイバルマッチ。ここ最近のそれぞれのパフォーマンスを見れば、リアム・スミスの勝利が固いかな、とは思っていました。

詳細の観戦記については、今回女子ボクシングをピックアップしたいため省きます。

おおむね予想通り、やはりバルガスは最近、力を有していません。

リアム・スミスは「The イギリスのボクサー」のような感じで、しつこく攻め入り、バルガスを10Rでストップ。

さほどパワーはありませんが、強いフィジカルと強靭なタフネス、スタミナを有する英国ボクサーのお手本のようなリアム・スミス。

この勝利によりWBOインターコンチネンタル・スーパーウェルター級タイトルを獲得しました。

このスーパーウェルター級の王座挑戦はまだ先でしょうが、とりあえずリアム・スミスは世界返り咲きのウェイティングサークルに入った、と言って良いでしょう。

 

WBA・WBC・IBF・WBO女子世界ライト級統一タイトルマッチ

ケイティ・テイラー(アイルランド)20勝(6KO)無敗

vs

アマンダ・セラノ(プエルトリコ)42勝(30KO)1敗1分

ものすごい人と、歓声です。

女子ボクシングの人気、というよりは、やはりこの稀代ふたりのボクサーに送られる歓声なのでしょう。オリンピック・金メダリストにしてプロボクシング4団体制覇、かつ2階級制覇王者であるケイティ・テイラーと、男女あわせて唯一無二の7階級制覇王者、アマンダ・セラノ。

会場の雰囲気はケイティ・テイラー。大きな大きな歓声が鳴り響きます。

アイルランドやイギリスから応援団が駆けつけているのでしょうか。

女子ボクシング史上最大の一戦が、いよいよゴングです。

まず鋭い右ジャブをついていくのはセラノ。テイラーはリズムをとって距離で外します。中盤にはともにコンビネーションを使っていく展開、やはり女子ボクシングは2分10Rということで展開が非常に早い。

2R、セラノの牽制の右ジャブは止まりません。様子見のジャブに対して、距離を取るテイラーはセラノの入り際にカウンター狙い。初回に続いて甲乙つけ難いラウンドです。

 

3R、ちょっとセラノがプレスを強めたか。しかしテイラーはステップワークが非常に良く、セラノのパンチに対しての反応も良い。一瞬、距離が近くなって交錯した時の攻防というのが非常に重要な戦いになっています。

テイラーはこのラウンド、左フックが印象的。

終盤には打撃戦となりますが、歓声が大きすぎてゴングが二人に届きません!

4Rもプレスをかけていくのはセラノ。多田、回転力、ハンドスピードはテイラーか。後半、撃ち合いの場面も訪れますが、テイラーはストレートを連打、ここはテイラーが打ち勝ったようにも見えました。

5R、いよいよセラノのプレスが奏功したのか、テイラーはコーナーに詰まります。ここでセラノがチャージ、それを受けてたつテイラー!

テイラーはコーナーを背にした打撃戦にも怯まず、ボディーワークを使って迎撃!

その後テイラーは体を預けて押し込み、コーナーから脱出すると今度はリング中央での打撃戦です!

この打ち合いではテイラーの的確性が上回り、テイラーは多くの被弾、そして明らかなダメージを被ります!!

顎をはね上げられながらも打ち返すテイラー、セラノはパワーパンチでフィニッシュを狙うも、ここでゴング!

6R、テイラーはステップワークを復活させますが、ちょっとダメージがありそうです。しかしセラノが攻めてきてもしっかりとコンビネーションを返し、このコンビネーションの回転力と速さがハンパない。

 

7R、セラノは少し疲れたか、このラウンドは少しプレスを弱め、これまでと比べれば手数も控えめ。休憩しているのかもしれません。テイラーもそれにあわせて見る時間がやや長くなりますが、ここはまたセラノの入り際に右をヒットしています。

8R、前ラウンドはやはり嵐の前の静けさだったようで、このラウンド開始直後、セラノは明らかなチャージ。それを受けてたったテイラー、試合は打撃戦です!

前半が終わると、テイラーはステップワークを軸にカウンター戦法、ここでもコンビネーションは冴えています。

9R、あっという間に残り2R。

このラウンドに入り、少し荒さの出てきたセラノに対して、テイラーのコンビネーションは変わりません。ステップワークを使われるとなかなか追いきれないセラノは、ロープ、コーナーに詰めたいところ。

ラストラウンド、会場の大きな大きな拍手に送り出された二人のレジェンド。

アマンダ・セラノは魂が雄叫びを上げるかのようなチャージ。テイラーはステップワークを使いつつ、セラノを迎撃、そしてまだまだ素晴らしいコンビネーションを放ちます。

決して後退はしない、という覚悟が見えるアグレッシブネスを発揮するセラノ、揉み合いの中からも距離を作り、右をヒットするテイラー!

 

ラスト20秒、会場のボルテージも二人のボルテージも最高潮!!

懸命にウェイトを乗せた両の手を振り回すケイティ・テイラーとアマンダ・セラノ!!ともにダメージを負いつつ、それでも諦めず!!途中膝をつきそうになったテイラーは何とか持ち直し、セラノを体で押し返したところで終了ゴング!!!!

なんという、素晴らしいファイト!

これは万人に見てほしい、ファイト・オブ・ザ・イヤーです!

「女子ボクシング史上、最大のファイト」は、もしかしたら「女子ボクシング史上、最高のファイト」となったのかもしれません。その「The  Best Ever」が重なる一戦に、本当に相応しいファイトでした。

4団体統一王座を持つケイティ・テイラーに挑んだ史上最強の挑戦者、アマンダ・セラノ。

これは本当に鳥肌が止まりません。

判定は、一人が96-94でセラノ、二人は97-93、96-93でテイラーを支持。

ケイティ・テイラーが2−1のスプリット判定で4冠統一王座を見事防衛!!!

これはどっちが勝ってもおかしくない、そんな内容でしたね。ドローでも良かったくらい。

序盤は互角、中盤にセラノ、後半にテイラー、という感じだったので、序盤の3Rくらいにどっちにつけたのか、というので結果的に勝負が決まった感じがします。

 

こんなにも素晴らしい舞台で、こんなにも素晴らしい戦いを見せてくれた二人のボクサーには、感謝しかありません。「女子ボクシング」というカテゴリーで、過去にはないほどの注目を集め、その試合内容もFOTY。この一戦に、敗者はいなかったのかもしれません。

↓アマンダ・セラノのツイートは泣ける。

2分10Rという、男子ボクシングに比べると短い時間だからこそ、また男子のボクシングとは別競技という観点で楽しめます。

個人的には、ここ最近、女子ボクシングが盛り上がってきています。

是非とも、日本女子ボクサーたちがこういう舞台で戦うことが見たい。設立当初から、女子ボクシングは世界に近いはずですから。

↓最近の女子ボクシング観戦記

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