今週、最も楽しみなのはこの興行。
本当は先週にでもプレビュー記事を出そうと思っていたのですが、配信情報がでてこなかったのでギリギリまで待つ事にしました。
そして本日!!(5/18)ついに!!!発表されましたー!!
ZAIKOのPPVで、1,480円!全然リーズナブル!!
やってくれるとは思ってましたが、実際決まると嬉しいですね。
ということで今回は、5/20(金)に行われる後楽園ホールでのA-SIGN BEE興行のプレビュー記事です。
5/20(金)A-SIGN BEE
スーパーバンタム級10回戦
小國以載(角海老宝石)21勝(8KO)2敗1分
vs
栗原慶太(一力)16勝(14KO)6敗
小國と栗原がまさかの激突。
このニュースは、本当に驚きましたね。
OPBF王者で、世界ランクも保持する栗原が、一階級上の超曲者を選んだ事。そして小國が3年ぶりとなるリングで、1階級下とはいえ超強打者とのマッチアップを受けたこと。
両者にとって非常にリスクのある試合、まずはこの試合を組んでくれた両ジムの陣営と、両ボクサー、そしてこの素晴らしいマッチアップを配信してくれるA-SIGNに大きな感謝をしたい。
元IBF世界スーパーバンタム級王者、小國以載は、豊富な58勝14敗という豊富なアマ経験を経て2009年にB級デビュー。確か元日本ライト級王者の西谷和宏と共に、VADYジムのプロ第一期生だったと思います。
プロ7戦目でロリ・ガスカを降し、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得、この王座を3度防衛します。その3度の防衛戦の相手は全て元王者、ハードマッチメイクな防衛路線を乗り切り、非常に評価を上げました。
しかし2013年3月、4度目の防衛戦で当時はノーマークの和氣慎吾(当時古口)に番狂わせの敗戦を喫し、初黒星。
再起した小國は、2014年12月に石本康隆(帝拳)との日本スーパーバンタム級王座決定戦に臨み、これを獲得。その後も古橋岳也(川崎新田)、源大輝(ワタナベ)といった後の王者たちからベルトを死守。
そして迎えた2016年の大晦日、いよいよIBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチを迎えました。
相手はジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)、当時の戦績は22勝中22KOという怪物的な戦績を誇り、前戦では和氣慎吾を日本で文字通りボコボコにして王座を獲得していたボクサー。我々日本のファンにも、そのパワーを存分に見せつけていたボクサーでした。
当然、予想としては小國が不利。
しかし、ゴングが鳴ると堂々とした戦いぶりの小國は、強打のグスマンを相手に見事なアウトボクシングを披露。3Rには見事なボディカウンターでグスマンからダウンを奪い、12R、文句なしの判定勝利。本当に見事な戴冠でした。
まあ、この日、私は大田区総合体育館におり、失意のうちに過ごしていましたけどね。。。この興行は実はライブで見ていない。だから大晦日興行は好きではありません笑。(今はいいです、一つだけだから)
ともあれ、京都のトリプルタイトル戦、大田区総合体育館のダブルタイトル戦とありましたが、この日のMVPは井岡も田口も抑えて、小國であることは間違いありません。
ベストパフォーマンスを披露して世界初戴冠を果たした小國でしたが、初防衛戦は指名挑戦者となった岩佐亮佑(セレス)。兼ねてから「サウスポーが苦手」と公言していた小國は、その言葉の通り序盤にダウンを奪われ、6RTKO負けで王座を追われました。
この試合が2017年9月のことで、そこから現在までは2018年12月に1戦、2019年5月に1戦と試合枯れ。自身の怪我もあり、一度決まった和氣慎吾との再戦も流れ、今回は3年ぶりのリングとなります。
その大きなブランクを持って、対戦相手が1階級下とはいえ、超がつくほどの強打者、栗原慶太とはなんというマッチメイクでしょうか。
栗原慶太は、2011年にデビューしたプロ叩き上げのボクサー。デビューから2連続KO勝利も、続く2戦は敗北と勝ったり負けたりを繰り返し、デビュー7戦して3勝4敗と負け越し。ここからこの位置まで上がってきたというのは本当に驚きで、多くのボクサーの希望になるものです。
デビュー戦はフライ級、翌年の新人王トーナメントではライトフライ級で出場していた栗原は、あっという間に階級を上げ、バンタム級に定着。
そこから破竹の快進撃、印象的な倒し方をするボクサーとして2017年に勅使河原弘晶(当時輪島功一)と対戦。
私が栗原慶太というボクサーをしっかり認識したのは、この試合からなのですが、そういう方も多いのではないでしょうか。
5RTKOで敗れたとはいえ、思い切って振るパンチは魅力たっぷりで、顔は地味ながら(⇦失礼。本当にごめんなさい。)そのボクシングはド派手。テッシーとはまた違った魅力を感じました。
勅使河原戦での敗戦後もその勢いは衰えず、いやむしろ増したようにさえ思いますが、2018年12月、OPBF東洋太平洋バンタム級王座決定戦に出場し、これを獲得。久々の判定勝利、でしたね。
ちなみにこの一戦は物議を醸した一戦。中盤、4分戦わされて2分のインターバルがある、という「タイムキーパー、仕事をしていない事件」です。6Rで4分間戦わされ、その後2分間休ませられるという前代未聞の珍事は記憶に新しい。これも栗原の名前を有名にした一つの事件かもしれませんね笑。
ともあれ、この試合も3度ものダウンを奪う活躍を見せた栗原は、続く防衛戦でもワルリト・パレナスを初回KO、スックプラサード・ポンピタックを2RKOとバッタバッタと薙ぎ倒してきました。
そしてコロナもあって少しブランクの空いた2021年に井上拓真(大橋)を3度目の防衛戦の相手として迎えます。
↓観戦記
この一戦は井上の完勝、と言える内容。ただ、ここで学んだ栗原は、次戦で大きな成長を見せることになりました。
対戦相手は、井上が返上したOPBF東洋太平洋バンタム級王座を受け継いだ、強打の中嶋一輝(大橋)。この試合は、「当たったもん勝ち」、KO決着濃厚という予想の一戦。
↓観戦記
この一戦は、たった7分くらいの攻防でしたが、非常に見応えのある、スリリングなものでした。
結局のところ、またもワンパンチでフィニッシュした栗原、この一発があるからこそこのボクサーの試合は非常に面白く、また対戦相手が現れません笑。
相手から見ると非常に怖いボクサーである栗原は、本当は防衛戦がしたかった、と自身のYoutubeで語っていたと思いますが、範囲を広げて対戦をオファー、それに小國陣営が乗っかってきた、というイメージです。
とにかく栗原慶太というボクサーは、キャリア初期の時点で敗北から学んできたボクサーだけに、敗北を恐れないことが素晴らしい。だからこそ、リスクの大きい相手と戦うことができるし、時にそれを食って成長し、時に食われても成長する、ということを繰り返してきたボクサー。
自分のパンチに絶対の自信を持ち、自分のストロングポイントをどのように活かせるか、というのを絶えずトレーニングしてきたボクサーだと思います。
「ボクシングは科学だ」
さて、小國に対しても、栗原に対しても、私は実は同じイメージを持っています。それは、「科学」ということです。
この場合の科学は、物理学や無機化学といった、いわゆる再現性があることを定義する意味で用いています。
小國のボクシングは、自身のアウトボックスとカウンターという武器を基点として、対戦相手を隈なく研究して相手が戦いづらいように動き、おそらく自分の頭の中でしっかりと12Rを思い描いて臨むボクシング。当然、その中には想定外も起きるのでしょうが、その想定外をなるべく潰して準備し、頭の中の再現をするのが試合、というスタンスのボクシングに見えます。
そして栗原のボクシングは、自身が提唱するパンチの当て方、パンチの打ち方、力の込め方、体の使い方の再現性を、リングの上でいかに発揮するか、というのがテーマのように思います。試合の展開自体については、時と場合にはよるのでしょうが、自信の拠り所としては栗原が培ってきた「ダメージを与えるパンチを打つには」とか、「このパンチは当たる」とか、そのことを徹底して体に染み込ませてきたことを再現する、ということがあるような気がします。
小國は「試合展開の再現性を」、栗原は「ストロングポイントの再現性を」求める科学者だと、私は感じます。(書いてみて違和感ビンビン。上手く伝われ、と心から思います笑)
なので、私にとってはこの試合は、科学と科学のぶつかり合い。これもまた、一つのSweet Scienceとも言えるのかもしれません。
ちなみに、鼻血が出るくらい悩みますが、私の応援は栗原慶太。同じテッシーファン(笑)として、テッシーが叶えられなかった世界王者に、是非なってもらいたい。
そして栗原が勝利する鍵は、小國のブランクという外的要因と、井上拓真戦で学んだはずの技術のある相手への対応の仕方、内的要因。栗原慶太の更なる前進に期待したい。
スーパーバンタム級8回戦
高橋竜平(横浜光)19勝(8KO)5敗1分
vs
木村天汰郎(駿河男児)8勝無敗2分
セミファイナルも大変に興味深い一戦ですね。かつてアメリカでTJドヘニー(アイルランド)へ世界初挑戦も叶えた高橋は、前戦で藤岡飛雄馬(宮田)に番狂わせの判定負け。タイミングの良いパンチで2度ものダウンを奪われ、そのダウンポイントを跳ね返せませんでした。
高橋は日本ランキングも10位に後退、ここでの連敗は絶対に避けたいところでしょう。
そして対戦相手は新進気鋭の木村天汰郎。
元々上手さのあるボクサー、との評判でしたが、私が見たここ3戦の木村天汰郎というボクサーは、ものすごいスピードで成長しているような気がしています。
そう感じるのは、前戦となった竹嶋海刀(勝輝)戦が出色のパフォーマンスだったのかもしれません。
初めての8回戦となった2021年9月の干場悟(蟹江)戦では、後半に疲れたそぶりを見せた木村でしたが、この竹嶋戦では最後の最後まで非常に軽やか。見事なカウンターを幾度も決め、ストップ勝ちまであと一歩くらいの勢いでした。
とはいえ、今度の相手は日本ランカー、世界朝鮮経験者。明らかに、格上です。
高橋はおそらくグイグイと攻めてくるでしょう。そのスピードある出入りの際に、木村はまたカウンターを合わせらるか。キャリアのある相手に、どのように戦うかも見ものです。
個人的には、木村天汰郎という、ニュースターの誕生を楽しみに待ちたい。
その他のアンダーカードと生配信
スーパーライト級8回戦
野口将志(勝又)13勝(6KO)12敗1分
vs
柳達也(伴流)18勝(7KO)7敗2分
バンタム級8回戦
千葉開(横浜光)13勝(8KO)3敗
vs
鶴海高士(石田)6勝(3KO)4敗1分
73.5kg契約8回戦
京原和輝(久留米櫛間)5勝(3KO)1敗2分
vs
帝尊康輝(伴流)14勝(12KO)4敗3分
といったA級の試合があり、フェザー級6回戦で入口裕貴(横浜光)が移籍初戦、他4回戦が2試合です。
ものすごい興行ですね。
ちょっと流石に長くなるし、時間もないのでプレビューは控えますが、非常に彩り豊かで本当に楽しみな興行です。
配信は、冒頭でも紹介したように、ZAIKOのPPVです。
配信日時は5/20(金)17:45〜、アーカイブはすぐに見れると思いますが5/23(月)23:59まで、とのこと。なので生配信に間に合わなくても、PPVさえ買って情報遮断しておけば生配信を視聴する雰囲気でひとりディレイ視聴も可能、ということですね。
私は19:30位から見れるかどうか、というところ。
いずれにしろ、これは非常に楽しみな興行です。みなさんも是非楽しんで!
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