2度にわたってお送りしている、現存する世界王者たちと各階級の王座統一戦の実現性を考える、思いつき企画!
vol.1ではヘビー級からスーパーライト級までの(ブリッジャー級を含めた)8階級を振り返ってみました。
ということで今回はその続き、ですから、ライト級〜ミニマム級、という8階級になります。このあたりの階級は、日本人ボクサーが絡んでくる事も多いですね。ぜひとも統一戦の機運が高まってもらいたいものです。
では、行きましょう。
↓vol.1はこちら
ライト級(2名)
4団体統一
デビン・ヘイニー(アメリカ)
WBAレギュラー
ジャーボンタ・デービス(アメリカ)
フランチャイズだの何だのと色々あった世界ライト級王座が、ようやくまとまりました。
大方の予想通り、ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)の拳はヘイニーに届かず。いや、掠りもせず。
Undisputed王者となったヘイニーでしたが、評価の上がる内容、相手ではなかったことは事実であり、今後のパフォーマンスが注目されます。
誰にも触れさせない、ということを続けていけば自ずと評価は高まるでしょうし、ここまでほとんどダメージを受けていないことからももっともっとハイペースでリングに立てそうです。トップランクへの加入は、ヘイニーにとって吉なのか凶なのか。
そんなヘイニーを、人気で圧倒的に凌駕するのはジャーボンタ・デービス。デービスにもっとタイトルへの欲があれば、ヘイニーに噛みつきそうなものですが、ここは交わらなそうな雰囲気。
いつ(リング外の出来事で)終わるともしれないタンクのキャリア、もっともっと強敵を求めてもらいたいものです。
スーパーフェザー級(3名)
WBAレギュラー
ロジャー・グティエレス(ベネズエラ)
WBC・WBO
シャクール・スティーブンソン(アメリカ)
IBF
ジョー・コルディナ(イギリス)
尾川堅一、と書きたかったですがその名前は既になく。ともあれ、尾川は復帰を決意、これは嬉しいニュースでしたね。
その尾川を倒したコルディナがIBF王座につきましたが、この階級の絶対王者は間違いなくシャクール・スティーブンソン。
コルディナvsグティエレスというのは良い勝負になりそうですが、シャクールはちょっとこの世界王者たちと比べてもものが違うようにも思います。
果たしてシャクールはこの階級で統一を目指すのか。その動向が注目されます。
フェザー級(5名)
WBAスーパー
レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
WBC
レイ・バルガス(メキシコ)
IBF
ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)
WBO
エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)
WBAレギュラー
リー・ウッド(イギリス)
比較的アクティブに動いている王座だと感じていたフェザー級も、5名の王座が乱立するコンプリート階級です。
ていうか、サンタ・クルス。。。は置いておいても、ここは結構混戦模様。
マーク・マグサヨ(フィリピン)を破ってWBC王座に就いたバルガスが一番の新米王者ですが、実績は十分。ウォーリントンはポカ負けをしましたが無事に王座を取り戻し、リー・ウッドは下馬評不利の中マイケル・コンラン(アイルランド)を撃破。
ナバレッテの次戦の情報もそろそろ聞こえてきそうですが、この階級は誰か統一に乗り出そうという王者がいるのでしょうか。
バルガスはサンタ・クルス戦を希望、とのことで、どうなるかはわかりませんがメキシコ国内なので障壁は多くないでしょう。
そしたらイギリス人王者同士での統一戦もあり得るか。
この階級は日本人ボクサーも世界まで後少し。統一戦の話もあまり具体的に聞こえてこない事から、今のうちに割り込んでいってもらいたい。
スーパーバンタム級(2名)
WBAスーパー・IBF
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)
WBC・WBO
スティーブン・フルトン(アメリカ)
バンタム級の一つ上の階級であるスーパーバンタム級は、日本のボクシングファンにとって非常に興味深い階級です。実際、スーパーバンタム級の事を書いた記事は反応(PV数)が良い、という結果が出ています。(信太しらべ)
この階級に君臨する二人の王者は、統一戦に非常に前向きです。
世間的な評価はフルトンの方が高いようですが、私はアフマダリエフの方が強いのではないか、と思っています。いずれにしろ、50-50に近い戦いであり、この統一戦は非常に興奮するし、見たい。
しかし!
そう上手くいかないのがボクシングの常であり、フルトンは「あまり長くスーパーバンタムに留まれない」と言い、アフマダリエフはリオス戦で拳を負傷、戦線離脱とのこと。しかも、アフマダリエフには指名挑戦権を持ったボクサーが整理券を持って並んでいるような状態。
これでは統一戦どころか、井上尚弥のスーパーバンタム級制覇にも黄色信号が点灯したようなものです。
ふたりが年内に戦い、バンタム級で4団体を統一した井上と戦ってくれる、というのが最も良い筋書きだったわけですが、それは叶いそうにありません。
井上が一人ずつ、撃破していく、という楽しみは増えたものの、それまでフルトンが待ってくれるかどうかはわかりません。
いずれにしろ、暗雲立ち込めるスーパーバンタム級統一戦線。どうにか上手くいってほしい。
バンタム級(2名)
WBAスーパー・WBC・IBF
井上尚弥(大橋)
WBO
ポール・バトラー(イギリス)
海外ボクシングでの「ほぼ決まり」はあまりアテにできないですが、日本ボクシング界の「ほぼ決まり」はそれよりはほんの少し、アテにできます。
この井上vsバトラーはやらない理由がなく、障壁も非常に少ない。
12月に日本開催が有力で、バトラーも日本に来る事を苦にしていないようでしたが、最新のインタビューではイギリス開催を主張。少しでも有利な条件でやりたい、ということはちゃんと勝つつもりでリングに上がる、ということなので、この発言自体は私は支持したいと思います。
しかし、この事でこじれては本末転倒、どちらかというと戦いたいのは井上の方だと思うので、この条件は呑んで、イギリスでイギリス人ボクサーを倒した最初の日本人ボクサーになってもらいたい。
スーパーフライ級(5名)
WBAレギュラー
ジョシュア・フランコ(アメリカ)
WBC
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)
IBF
フェルナンド・マルティネス(メキシコ)
WBO
井岡一翔(志成)
リーグ戦のように対戦しているイメージにもかかわらず、全く統一が進んでいないスーパーフライ級。ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)がもともとWBC王者でしたが、当時のWBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との統一戦のあとWBCはフランチャイズに。
そして7/19(火)にWBA王座の返上が発表され、事実上は無冠となりました。
バンタムに上げる、との噂もありましたが、今後はロマゴンとのラバーマッチを希望しているとの事です。1億円以上稼げるロマゴン戦に対して、WBAの統一戦として行われるフランコ戦は100万円ちょっと。これは仕方のないことかもしれません。
そんなロマゴンはエストラーダ第3戦が最も稼げるファイト、ということなのでしょうが、本人はバム・ロドリゲス戦を希望。タイトルに対して非常に貪欲な姿勢を示しています。バムは勢いもあり、かなり危険な相手です。
ここに来てグイグイと強さを見せつけているバム・ロドリゲスはこの階級の台風の目で、こちらも階級を本来の階級(フライ?)に戻すとの噂でしたが結局次戦はスーパーフライ級の防衛戦。カネロのアンダーカード、となると断る理由はないでしょう。この一戦の相手はイスラエル・ゴンサレス(メキシコ)。クアドラス、シーサケットを撃破したバムは、明らかにロマゴンを意識したマッチメイクと言えます。
長期政権を築いていたアンカハスに完勝したマルティネスは、次戦がリマッチで、ここに勝利すれば井岡陣営が食指を動かすのでしょう。
バムの実兄ジョシュア・フランコはアンドリュー・マロニー(オーストラリア)とのトリロジーを2勝1NDで制しましたが、弟に比べてリング登場は非常に少ない。WBA唯一の王者となったことで統一戦へ動くのか?
フライ級(6名)
WBC
フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)
IBF
サニー・エドワーズ(イギリス)
WBO
中谷潤人(M.T)
WBAレギュラー
アルテム・ダラキアン(ウクライナ)
WBC暫定
マックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)
一時はフライ級最強と思っていたJCマルティネスは指名戦だったアローヨ戦をキャンセル。理由はうやむや、更に試合直前だったこともあって王座剥奪で良いのではないか、と思っていましたが。。。ここで掟破りのWBCはIBF王者のサニー・エドワーズとの統一戦を認めてしまいます。2022年10月、WBC・IBFの統一戦でエドワーズvsマルティネス。なんじゃそら。
がんばれエドワーズ。塩漬けにしたって下さい。
同日、WBC暫定王者アローヨがホセリト・ベラスケス(メキシコ)と対戦、勝者はエドワーズvsマルティネスの勝者に挑戦、とのこと。
WBOの中谷は階級アップを示唆していたものの、統一戦の道も模索していました。が、この状態では残る王者はダラキアンのみ。残ったというか避けられたというのか、名前は売れていないものの超がつくほどの強敵で、だからこそこの中谷vsダラキアンは非常に興味深いカード。
もし交渉できるのなら決まってほしい。。。
ライトフライ級
WBAスーパー
京口紘人(ワタナベ)
WBC
寺地拳四朗(BMB)
WBO
ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)
京口紘人は前戦、メキシコで防衛。国内外の評価を一気に高めた感がありますね。あの試合はどアウェー、高地での決戦というビハインドがありながらも力の差を見せつけ、非常に素晴らしかった。
素晴らしかったのは前戦での拳四朗も一緒で、一度は敗れた矢吹正道を圧倒、そのボクシング競技における怪物性を存分に発揮した一戦ともなりました。
盛り上がる統一戦の機運、に待ったをかけたのはレイノソが京口にかけた「カネロvsGGGのアンダーでゴンサレスと統一戦」との誘惑だったものの、当のゴンサレスは何も聞いてない、と主張、その後このカードがまだ上がってきていないため、決裂したと見るべきでしょう。もしくは、もっと良いカード(バム・ロドリゲス)を見つけた、ということでしょうか。
この京口vsゴンサレスが正式になくなっているのならば、京口vs拳四朗は交渉を開始するべき。二人が望む統一戦の舞台は、IBFが空位の今、日本にしかありません。
秋かな、年末かな。来年ということはないはず。
正式発表をワクワクして待ちたい。
ミニマム級(5名)
WBAスーパー
ノックアウト・CP・フレッシュマート(タイ)
WBC
パンヤ・プラダブスリ(タイ)
IBF
ダニエル・バラダレス(メキシコ)
WBO
谷口将隆(ワタナベ)
WBAレギュラー
エリク・ロサ(ドミニカ共和国)
これまで、ミニマム級は統一とは無縁の階級だと思っていました。長くアジアにとどまっているこのミニマム級は、当然のことながらアメリカ大陸やヨーロッパでの認知は非常に低い。おそらく、ボクシング先進国にとっては興味のわかない階級の一つでしょう。
それでも、常に日本人の近くにある感じのこのミニマム級タイトルは、非常に馴染み深い。
タイに乗り込んでは跳ね返されたのは、ここ10年でも何度あったことか。
統一戦、ではないけれども、ノックアウトの次戦は元WBC王者のワンヘン。ワンヘンはパンヤにタイトルを奪われてしまい、再戦でも敗北、ここでようやくのライバル対決となります。
ノックアウトvsパンヤというのはあり得ない、のでしょうね。パンヤもリングネームには「CPフレッシュマート」とついており、ノックアウトとスポンサーが一緒。日本で言うと同門、みたいなものかな、と思います。ちなみにパンヤ・プラダブスリの次戦は8月、小浦翼(E&Jカシアス)との事で、正式発表はまだですが、タイでの世界戦なのでよほどのことがない限りは決まるのでしょう。小浦としてはこのチャンスを逃すわけにはいきません。
しかしここで新風。IBF王者となったばかりのバラダレスが、少し前にWBAレギュラー王者となったロサに挑戦状、そしてこれがまとまる方向だとのこと。
やっぱりアジア圏内の王者だけだと統一戦は進みません。タイトルがアメリカ大陸に出てこそ、統一戦が進みます。
統一戦が進めば、必然的にこれまでよりは注目度も増していく階級。ファイトマネーも安価で、最も組みやすい、ということは、谷口にとっても大きなチャンス。このミニマム級の統一戦こそ、日本での開催の芽があるのではないでしょうか。
より、統一戦を加速させるには、タイからタイトルを奪い取らなければいけません。小浦、そして重岡兄弟の出番だと思います。
ということで、軽量級の統一機運は?
4団体統一がかねてから進行しており、それをタイミング的に見事にかっさらっていったデビン・ヘイニー。しかし、誰もが認める王者はやはりワシル・ロマチェンコです。多分。
ライト級は統一されるも、本当の意味でUndisputedチャンプは誕生していない、そんな不思議な階級です。
バンタム級はまもなく、と思いたいところですが、果たしてどうなるか。日本でやるなら見に行くでしょうし、イギリスなら、、、見に行きたい笑。
他に可能性があるとすればスーパーフェザー級で、シャクール・スティーブンソンという世界的注目選手がおり、その選手が統一を望んでいる、となれば動きは活性化しそうな気がします。
スーパーバンタム級もスターボクサーというよりも流れで統一戦の機運が高まっていましたが、様々な理由で結局できなさそうな気もします。これは、井上尚弥の転級を待たなければいけないかもしれませんね。
スーパーフライ級あたりは進めば一気に進みそうな気がします。軽量級の良いところは、中量級〜重量級と違ってファイトマネーが比較的安価なことから、ビッグマッチが組みやすい。必然、統一戦も組みやすい、となるはずです。
その他の階級においては、誰かが中心となって推し進めなければいけません。フライ級も2団体こそ統一されるものの、その先は進まなそう。
ということで、今回の記事は、前回からの続きでした。
ただの個人的意見なので、異論反論は大いに認めます!
いやぁ、疲れました笑。
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