「メリーランド州ってどこやねん」っていうみなさま。
ペンシルバニア州の南側に位置する、比較的小さな州ですね。ニューヨーク近辺、という感じなので、プエルトリカンもニカラグア人も暮らしてはいないでしょう。
そこでプエルトリコの至宝とロマゴンの後継者がぶつかる今回の一戦。
おそらく、この試合の注目度は現地においても低いことが予想され、下手すれば注目度としてはプエルトリコ、ニカラグアに次いで日本なのではないか、とすら思えるようなマッチアップ。
その脇を固めるのがゲイリー・アントワン・ラッセルということなので、大多数のアメリカ人はこっちがメインな気がします。
不憫でならないエマニュエル・ロドリゲスを全力で応援しつつ、今回のブログはロドリゲスvsロペスの観戦記。
8/12(日本時間8/13)アメリカ・メリーランド州
ゲイリー・アントワン・ラッセル(アメリカ)16勝(16KO)無敗
vs
ケント・クルス(アメリカ)16勝(10KO)無敗3分
さて、やっぱりハコは小さそうな感じ。観客としてはどこからでもすごく見やすいかもしれませんね。
初回のゴング、開始から30秒程度でいきなり試合が止まります。何かと思えば、アントワンがピアスを取り忘れていたようです。これは超危険。。。というか、このタイミングでよく気づきましたね、レフェリー。
さて、仕切り直し。
クルスはサウスポーのアントワンに対して右ストレートから入ります。ともにハイガードですが入るときに頭が低く、ちょっとバッティングの危険性もありそうです。
中盤、アントワンが頭から攻め入り、下がるクルス。ここでボディを含めたラッセルの連打により、クルスはダウン。
立ち上がったクルスに襲いかかるラッセル、やはりこのボクサーは攻撃力が秀でています。
途中、クルスのパンチをもらってもいますが、後半にラッセルの左ボディがまっすぐ入り、クルスはダウン、このまま立てず。
おそらくストマックに完璧に入ったのでしょう。
ラッセル家の最終兵器はパーフェクトレコードを継続。
IBF世界バンタム級王座決定戦
エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)21勝(13KO)2敗
vs
メルビン・ロペス(ニカラグア)29勝(19KO)1敗
そしてそして、最後のバンタム級王座決定戦。天才カウンターパンチャーの元世界王者が迎えるのは、かつてのPFPキングを倣った「ネクストロマゴン」、メルビン・ロペス。
初回、まずは中間距離での様子見です。ロドリゲスが若干のプレス、思いの外攻撃的に行きますね。ここでロペスはロドリゲスの打ち終わりに攻め入る、というスタイルですね。
インサイドに入るタイミングを伺っているのでしょう、序盤はロドリゲスを脅かします。が、後半にはちょっと慣れられたような雰囲気。
2R、やはりプレスをかけるロドリゲス。ノーモーションの右ストレートがよく当たっています。ロペスは自分からいかず、打ち終わりを狙うスタイルを貫きますが、すでに見切られているように見えます。
中盤、ロドリゲスがコンビネーションで踏み込み、優勢。これはロペス、この戦い方では厳しいですね。泥臭く、前に出なければチャンスがないのではないでしょうか。
3R、プレスからワンツー、ツー。ロドリゲスのストレートの距離で戦ってしまっているロペス、もう1歩近づきたい。
ロドリゲスはプレスをかけて良い距離感を貫き、右を次々とヒット。どんどん差が開きますね。
ちょっとロドリゲスの右目が腫れているようです。いつの間にやら、ロペスの左が入っていたのでしょうか。
4R、ロペスがギアチェンジ、小刻みに動いてこまめにジャブを突きます。これによりロドリゲスもちょっと攻めづらくなった感じか、前ラウンドほどロドリゲスは自由にやれません。
ロペスはロープを背負いつつの戦いながらも、徐々に自分から攻めることができつつありますね。ここから大逆襲がなるのでしょうか。
5R、今度はロドリゲスの右がバシバシと決まります。展開自体は変わりませんが、ボクシングをさせるとロドリゲスが1枚上手ですね。唯一の不安は、やはり右目が青く腫れていることと、この回に起こったバッティング。
6R、やっぱりまたジャブが減っているロペス。ロドリゲスのプレスにロープからロープへエスケープしての戦いとなってしまっています。
後半、ロペスのなんでもないジャブをもらったロドリゲス、やっぱりちょっと見えにくくなっているのではないでしょうか。ただ、ロペスの勝ち筋はここから全部ポイントをとっていくしかありません。
7R、ロペスの右目の腫れはちょっとエグいですね。これ、折れているかもしれません。
このラウンドも展開は変わらず、ロドリゲスの右が決まっています。ロペスは為すすべなし、なのか、何もやろうとしていないのか。
8R、メルビン・ロペスというボクサーは、非常にスムーズなコンビネーションパンチャーだと思っていましたが、今日はとにかく攻めることができていません。
本当にどうしちゃったのか、と思うほどのロペスをよそに、ロドリゲスはマイペースでポイントをピックアップしていきます。
9R、ロドリゲスは安定感抜群のボクシング、打って引いて打つ、というボクシングを繰り返すイージーなファイト。無理に攻める必要はないロドリゲスは着実に長い右ストレートをヒット、ロペスは結果的には何もできていません。
スリリングでもエキサイティングでもないラウンドが進み、アメリカで外国人同士がこういう試合をしていては、会場だとしても居眠りする人も出てきそうなものです。
10R、まあ、当然のことながら場内からブーイング。ロドリゲスは右目が腫れており、慎重にならざるを得ないということはあるかもしれません。ロペスについてはこのままでは勝てないので、なぜ、行かないのか。
11Rも変わらず。これは映像で見せて「これは何ラウンドでしょう」クイズをしても絶対わからないほど同じ展開です。ちょっとロペスは集中力を欠いてきたのか、不用意にロドリゲスの右をもらう場面も出てきます。
ラストラウンド、ここでもいけないロペス。こういうディフェンシブな戦いをするボクサーを倒すというのはまた至難の業ですね。やはり好勝負というのは相手があってこそのものですね。メルビン・ロペスはこのリングにふさわしくなかった、といえるかもしれません。
このまま行くかと思われた後半、ロドリゲスは近寄って左ボディを巧打!これでロペスはダウン!!ロペスはもう戦うハートもなさそうですが、何とか立ち上がります。
残り時間は30秒、ここでストップ勝利か判定勝利かは随分違います。ロドリゲスは勿論いきます!すると力なくダウンするロペス。もう完全に戦う気はありませんが、とりあえず立つ。
残り時間が少ないところでロドリゲスがまた行き、ロペスはまたダウン。もうレフェリーはストップ勝利という栄光をロドリゲスに与えるべきでしたが、なぜだかロペスが立ち上がるのを待ちます。
残念ながら勝負は判定へ。判定は、120-105×3、エマニュエル・ロドリゲス。
これはロドリゲスの12RTKO勝利で良かったはず。もう完全に、メルビン・ロペスに戦う意志はなかった。
ともあれ、無事にIBF世界バンタム級のベルトを取り戻したエマニュエル・ロドリゲス。
次戦は、指名挑戦者西田凌佑(六島)との戦いとなるのでしょうか。今戦のファイトマネーを考えると、3150FIGHTに十分に呼べてしまうのでしょう。
ということは、日本でエマニュエル・ロドリゲスが見れるチャンス。多分、大阪。
これは非常に楽しみですね!
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