信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

イサック「ピットブル」クルスに夢を見る。全弾フルスイングの浪漫は、何処まで駆け上がるのか。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

ファビオ・ウォードリーvsフレイジャー・クラークも、アルセン・グラミリアンvsスルド・ラミレスも、ウガンダの五輪ファイターが登場した刈谷興行も、実は見れていません。

それでもなおいくつもの(数えるのが面倒)世界タイトルマッチを見たこの週末はとにかく疲れたし、年度はじめで体制も変更となる仕事は疲れたし。

半分以上とも言える週末の試合を見ていないくせに言えば、個人的な週末のMVPはイサック「ピットブル」クルスだった、と言えます。(もちろん異論は認めます。)

ということで今回のブログは、この無表情でホットなファイトを展開するメキシカン、イサック・クルスを紐解いていきましょう。

 

 

 

ピットブル

「ピットブル」というのは世界一危険な犬種、とも呼ばれています。筋骨隆々としていて、日本ではそのような報告はないと思いますが、アメリカやヨーロッパでは人が噛み殺される事故だってあります。まあ、そんな事故が起こるのは人間の怠慢であり、お犬さまに何の罪もないのですが。

このピットブルのニックネーム通り、イサック・クルスは筋骨隆々としていて獰猛で、ボクサーというよりもファイターです。

ファンの心を射止めるのは、その全弾フルスイングとも言えるファイトスタイルで、この現代ボクシングと大きくかけ離れたスタイルは、なんだかんだ世界タイトルには届かないだろう、と推察されたものです。

このクルスにとって最も相性が悪い、と思われるのがカウンターであり、一発でもカウンターを奪われたならひとたまりもない。

 

 

 

と思っていたのですが、とてつもない角度からカウンターを放つことができ、かつ素晴らしいパンチングパワーを有するジャーボンタ・デービス(アメリカ)を大いに苦しめているし、前戦ではカウンターパンチャーとも言えるロランド・ロメロから「一蹴した」とも言える8RTKO勝利を収めています。

コンビネーションの全盛時代、パワーよりもスピード重視、ディフェンス技術の発達、現代ボクシングに反旗を翻したようなフルパワーのこのクルスのボクシングは、夢とロマンが溢れています。

3代目

前戦でリングインした際に紹介されてもいましたが、このクルスは祖父の代からボクシングが続く家系。

この祖父というのがメモ・クルス(メキシコ)というボクサーで、BoxRecでは5勝(3KO)5敗。はっきり言って戦績が残っていないだけで、多分もっと戦っているでしょう。

その戦歴を見てみると、ピピノ・クエバス(メキシコ)、アルフレド・エスカレラ(プエルトリコ)といったのちの世界王者たちにも勝利しているようなボクサーで、見ようによってはとんでもない血を受け継いでいると言えます。

イサック・クルス自体は7歳の頃からボクシングを始め(別の記事では、5歳と書いていましたけど)、アマチュアボクシングの大会にも数多く出場していたそうです。

 

 

 

プロ転向は2015年、9年も前の話なので16歳ですね。メキシコは確か16歳からプロになれたと思うので、アマチュアには何の未練もなく、もともとプロを目指していたのであろうことが推察されます。

クルスの生まれはメキシコシティ、マグダレナ・コントレラスという地区で、この地区はギャングが活動しているような劣悪な環境下であり、有名なラ・ユニオン・テピトというギャング(麻薬取引と頭蓋骨収集をやってるらしい。。。)も活動しているようです。

クルスが幼少期からボクシングができる環境にあった、というのは本当に喜ぶべきことであり、そうでなければどうなっていたのかは分かりません。

今もまだメキシコシティで暮らしているというイサック・クルス、どこぞの漫画のようにリングの中は安全、と思っているのかもしれませんね。

プロキャリア

クルスのプロキャリアは2015年にスタート、この時はまだ誰もこの獰猛なファイターを知りませんでした。

初回KOでスタートしたキャリアは、6戦目で初黒星。2016年2月なので、デビュー1年足らずでの出来事です。

 

 

 

この時点では5勝(3KO)1敗という戦績でしたが、ここから6連続KO勝利。その後一つの引き分けを挟み、2021年のジャーボンタ・デービス戦までは負けなしで進むことになります。

メキシコを飛び出し、アメリカのリングに立ったのは2019年のことで、この試合はジャモール・チャーロ(アメリカ)vsデニス・ホーガン(アイルランド)のアンダーカード、マーロン・タパレス(フィリピン)vs岩佐亮佑(当時セレス)が行われたShowtime興行でのUSデビューだったようです。

このUSデビューで判定勝利を飾ったあとは、トーマス・マティセ(アメリカ)を判定で破って名を上げ、さらにディエゴ・マグダレノ(アメリカ)を初回KO、ここで大きく飛躍しました。

その後も当時無敗のホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)を撃破、そして元王者フランシスコ・バルガス(メキシコ)の再起ロードを潰し、しっかりとアメリカでの知名度を上げてのジャーボンタ・デービス戦への抜擢。

 

 

 

ただ、この頃のタンクはスーパーライト級でアステカの戦士、マリオ・バリオス(アメリカ)をとてつもないノックアウトで破ったばかりであり、オッズはタンクが-1200、クルスが+680ととてつもない開きがありました。(参考までに、タンクvsバリオスの時はタンクが-400、バリオスが+275)※いずれも最も開きのあるオッズです。

大方の予想に反し、この試合で大善戦を見せたイサック・クルス。

ジャーボンタ・デービスはこれまで13度に渡り12Rの世界戦を戦っていますが、判定のコールを聞いたのはこのクルス戦のみで、ポイント差も2-3ポイント差でかなり競ってもいました。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

この試合を経て、さらに一段階評価を上げたクルスは、ユリオルキス・ガンボア(キューバ)を誰よりも早いラウンドで片付け、エドゥアルド・ラミレス(メキシコ)もたった2Rで撃破。

続くジョバンニ・カブレラ(アメリカ)との戦いは大苦戦のスプリット判定勝利。この試合はスペンスvsクロフォードというメガマッチのアンダーカードでしたね。

ここまでライト級でしっかりと戦い、挑戦を待っていたクルスがスーパーライト級の王座に挑戦する、というニュースはちょっとびっくりでしたが、待ちに待って決まったタイトルマッチはWBA世界スーパーライト級のタイトルマッチでした。

王者、ロランド・ロメロ(アメリカ)は前戦で非常に情けない試合を演じており、その前はジャーボンタ・デービスに痛烈なノックアウト負け、ここでクルスに勝利することで存在感を示しておきたかったのでしょう。

 

 

 

ミニ・タイソンの春

ライト級でも小柄なイサック・クルス。身長は163cmと井上尚弥よりもやや低い。

普通に考えれば、スーパーライト級へ行くのは時期尚早、ライト級取ってからでも良いんじゃないか、とか思ってしまいます。

しかしそこはさすがMPプロモーション、マニー・パッキャオという怪物の前例があるからこそ、彼らに取って階級という概念は意味をなさないのでしょうね。

とにかくロメロを追いかけまわし、強打を打ち込み続けたクルス。その恐ろしさは攻撃力にあるわけですが、なかなかどうしてブロッキングも固く、ヘッドムーブも良い。今回クルスを調べると、「ミニ・タイソン」、「リル・タイソン」という言葉が出てきましたが、まさにそんな言葉が似合うボクサーです。

 

 

 

「狙い目」とも言える王者ながらも、北米Amazon Prime PBC、初のPPVファイトという注目の場でしっかりと強さをエキサイティングさを見せてくれたイサック・クルス、今後の活躍にももちろん期待なのです。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

イサック・クルスが目指すもの

このスーパーライト級という階級は、現在魔窟。

ライト級から上がってきたメジャーなボクサーたちと共に、まだ底の見えない怪物たちが跋扈しています。

 

 

 

クルスのトレーナーであるイサック・クルス・シニア、つまりはメモ・クルスの息子がポスト・ファイとのインタビューで出した名前は、サブリエル・マティアス、デビン・ヘイニー、そしてジャーボンタ・デービスとの再戦。

そのほかにもテオフィモ・ロペスやライアン・ガルシアといったボクサーだっています。

そして彼らの誰からも、このイサック・クルスは逃げないでしょう。

今年なのか来年なのか、どこかでまた興味深い激突がありそうなスーパーライト級。新たなタレント、イサック・クルスの向かう先は、何処に。

↓スーパーライト級について

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

あ。。。イズマエル・バロッソがWBAの暫定王者でしたね。ここは戦っておかないといけない気がしますね。

今回の参考記事①

今回の参考記事②

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