堤駿斗vsアンセルモ・モレノ。
この試合が発表があった頃は、胸躍らせたボクシングファンは非常に多いのではないでしょうか。
あの山中慎介と激闘を繰り広げたモレノが、また日本に来る。
2階級上とはいえ、まだまだ世界的強豪と渡り合った経験が少ないプロスペクト、我らが堤駿斗と戦ってくれる、と。
まだまだ若い堤がモレノの老獪なボクシングにうまく付き合わされるのかもしれないし、前戦で覚醒とも呼べるパフォーマンスを披露した堤がモレノを圧倒するのかもしれない。堤の勝ち方次第では大きく夢が広がる、そんな一戦だったはずでした。
しかし既報の通り、堤は1.6kgものウェイトオーバー、再計量も50gほどしか落ちなかった、というのはコンディションを優先させた結果でしょう。もちろん、無理をしてまで落とせだなんて言えません。最も大切なことは、契約通りの体重を作ることではなく、健康です。
ただし、やはりわだかまりがあるのも事実ですし、この試合で堤を100%応援できなくなったことも事実。
ということで今回のブログは、文句を言いつつも結局見てはしまう、堤駿斗vsアンセルモ・モレノの観戦記。
4/17(水)LIFETIME BOXING
堤駿斗(志成)4勝(1KO)無敗
vs
アンセルモ・モレノ(パナマ)43勝(15KO)6敗1分
モレノが山中と戦ったのは、もう8年も前のことらしい。8年てすごいですね。。。未だキャリアを続けている、ということだけですごいこと。
初回が始まると、モレノっぽいスタンス、背筋をピンと伸ばしたスタイルは往年のもの。
あの頃よりも2階級も上、ということで寸胴体型にはなっていますが、キレもそこそこある感じもします。
体躯に勝る堤は、中盤から徐々にプレス。モレノは下がっているというよりもその圧に押されているというイメージ、ただ何かしらのカウンターは狙ってもいるでしょう。
後半、モレノらしいヘッドムーブを見せますが、堤もやはり上手い。
2R、モレノは右リードをすっと伸ばして堤の接近を阻みますが、何せ堤のジャブが鋭くて良い。ちょっとモレノのパンチには力感を感じず、堤は顔面へのジャブと右のアッパーが素晴らしい。この右アッパーはモレノのダックに合わせるように出しているので、練習してきたものなのでしょう。
とにかくサウスポー相手にこんなにジャブを当てられるのが素晴らしい堤、モレノは初回こそキレを感じさせましたが、この頃にはそれもあまり感じず、どちらかというと倒されないように戦っているように見えます。特にその左ストレートはスローで、打ち込んでいるというよりは伸ばしているイメージ。
3R、いきなりの堤の右がモレノの顔を跳ね上げます。モレノはかなり堤の右ボディアッパーを嫌がっているように見え、ボディを両手でガードするレベル。
中盤、堤はモレノがボディを嫌がっているとみてグイグイとプレス。
コーナー側までモレノを追い詰め、追い詰められたモレノが左ボディアッパーを放つとすぐさま右ボディアッパーをリターン!
これを明らかに嫌がったモレノを堤は追いかけ、ダックしたモレノに右アッパー、これがクリーンヒットしなかったので同じパンチを今度は巧打!これでモレノがダウン!
このチャンスにも冷静に攻める堤、鋭い詰めを見せて右ストレートをガツンと当てると、モレノは2度目のダウン。試合が終了しました。
堤駿斗、3RTKO勝利!
なんとも素晴らしいKO勝利でした。堤駿斗。
これがもし、契約体重を守った上でのこの勝ち方であったとするならば、日本のボクシングファンは大きく湧いたことでしょう。
どうした志成ジム
もう干支が一回りするほどの期間、世界の最前線で戦い続けている王者、井岡一翔を筆頭として、元世界王者の比嘉大吾、木村吉光、大湾硫斗、そして堤駿斗とこの時代を担うボクサーたちが集う志成ジム。
さらに、かつて内山高志という名ボクサーのサポートを務めた佐々木修平トレーナー、今もたくさんのボクサーたちが慕う野木丈司トレーナーが脇を固め、ABEMAでの配信というサポートを受け、新興ジムながらも非常に恵まれたジムという印象を受けています。
しかし、ここに挙げた井岡を除くホープたちは、少なくとも1度ずつ、計量失敗という大過を犯しています。
もちろん、さまざまな事情はあるのでしょう。
比嘉のことは前のジムのことであり、ずいぶん前と言っても良いのですが、大湾はつい前戦(2023年10月)のことですし、木村もつい先日の大晦日、そして今回の堤ともはや順番で体重釣果をしていっているような状況。
当然のことながら、ウェイト管理は選手の仕事。
それでも陣営や周りもサポートしなければならず、一体どうやったらこのように毎回のように体重超過者が出てしまうのでしょうか。
これはコンディショニングを根本から見直した方が良いのではないか、と思います。
このことに対して犯人探しをするつもりもないし、必要以上に責める必要もないのですが、これはジムとして原因を突き止め、改善を話し合うべき事柄のように思います。同じ失敗を、同じ「人」ではないにしろ同じジムで何度も起こすことは、信用問題に発展してしまいます。この「ジム」を「会社」に置き換えてみればよくわかる。
というところも含めて、「伸び代」と思えるほどに広い心を持ちたいものですが、なかなか難しいですね。
そういえばボクマガがまた井上尚弥に乗じて特別編集を出します!
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