本日(6/8)はアメリカ、ニューヨークで世界ミニマム級戦。
ニューヨーク、という場所はプエルトリカンが多く住む場所であり、プエルトリコ人の繋がりが非常に強い。
プエルトリコがルーツのアメリカ人、オスカー・コラーゾというボクサーは、現在プエルトリコを拠点に戦っている(ややこしい)そうです。
アメリカ国籍として非常に珍しい、と言えるオスカー・コラーゾは、非常に運動神経がよく、能力が高いボクサーで、他のスポーツもできるがやはり体格の問題で大成せず、ボクシングを選んだというボクサー。これは日本でも言えることですが、「体格」のみに恵まれないアスリートたちにとって、この階級性スポーツというのはスターダムにのしあがれる一つの希望です。
ちなみに「オスカー」という名前はデ・ラ・ホーヤからきているわけですから、なるべくしてボクサーとなった、とも言えますね。
さてさて、ということで今回のブログは、オスカー・コラーゾvsジェラルド・サパタ、WBO世界ミニマム級タイトルマッチの観戦記。
6/7(日本時間6/8)アメリカ
WBO世界ミニマム級タイトルマッチ
オスカー・コラーゾ(アメリカ)9勝(7KO)1無敗
vs
ジェラルド・サパタ(ニカラグア)14勝(5KO)1敗1分
サウスポー同士が邂逅する初回。頭を振ってプレスをかけていくのはコラーゾ、先に左を使ったのももちろんコラーゾです。サパタは右リードを中心にサークリングしながらの対応、下がり過ぎないところは良いところ。慎重に戦うサパタに対し、コラーゾもなかなかヒットを奪えない、という展開か。
2R、どっしりとした構えからパワフルなパンチを繰り出すのはコラーゾ。フィジカルに勝るのは明らかにコラーゾであり、サパタは近い距離では押されて下がらせられます。
ミニマム級、といえばスピーディな展開が魅力なわけですが、この二人のミニマムは力を込めての単発で勝負しています。
後半、コラーゾがポジションを変えたところでサパタの振り回した右がヒット!あわやダウンかと思うほど体勢を崩されたコラーゾ!!!
大チャンスにサパタは歩いて攻め入り、右も左もなくとにかくパワーパンチを振り回してコラーゾに迫ります!!
この大ピンチに足を使ってなんとかエスケープしたコラーゾ!サパタはチャンスを活かしきれなかったものの、ポイントは確実に取ったでしょう。
3R、コラーゾのダメージはどうか。サパタがプレスをかけると下がる場面もあり、ダメージはまだありそうです。ただ、力強いジャブは出せているし左カウンターもヒットするコラーゾ、後半にはしっかりあるべき形、それはつまりコラーゾがプレスをかけて攻めるという展開に戻しています。
4R、サパタもパンチを効かせたという経験を経て強いパンチを狙っています。とにかく力強いパンチを振り回すサパタですが、コラーゾはポジションを変えつつ、ミニマム級らしいコンビネーションも出てきてうまく戦っています。サパタの全力の一発をもらいさえしなければ、このまま試合は進んでいきそうです。
5R、コラーゾはヒットアンドアウェイの展開、非常に優れたボクシング技術を披露。サパタは右フック、左オーバーハンドととにかく力の入るパンチを多用しています。
ここで勝るのはコラーゾのコンビネーションであり、後半には右フックカウンターもヒット。
6Rも上手さを発揮するコラーゾ。いきなりの左ストレート、サパタのジャブをかわしてのアッパー(!)など盤石のボクシングです。これはストップ勝利も大いにあり得る展開です。
7Rも展開は変わらず。サパタもタフで、パンチをもらってはいますが動きが落ちることはありません。サパタは同じ戦いではジリ貧、ここからどのように勝利を手繰り寄せるか。
8Rはサパタがプレスを強めたように見えます。それでも詰めようとしたところにコラーゾに先に動かれ、コンビネーションを打たれてしまうのでそこにサパタの入る余地なし。
ここまでのパワーパンチスタッツはコラーゾ92/231、サパタ33/128と絶望的な数字。
かなり余裕が出てきたコラーゾはこのラウンド中盤以降、サパタをロープに詰める場面が目立っています。
9R。おそらく2R以外は全てコラーゾについていると思われ、サパタは倒さなければ勝てない状況ではないか。
そこにきてもサパタの秘策めいたものは見えず、ちょっと無策。
10R、あの序盤があったからか、ここにきてもしっかりと集中力をキープしているコラーゾ。まだまだサパタの強振に対しては警戒しており、バックステップを織り交ぜつつプレスをかけてのコンビネーション。
やはりこのボクサーは才能が豊かであり、ミニマム級最強の一角です。
11R、判定を諦め、とにかくディフェンシブに戦って倒されないようにしながら一発を狙う、この戦い方をするボクサーを倒し切るというのは非常に難しいことです。
サパタのガードは固く、さほど手を出してこないためコラーゾは攻めたい放題ながらも攻めっぱなしとはいきません。
その中でもコラーゾはリズムを変えるなどしており、器用さも伺えますね。
ラストラウンド、もはやガムシャラに売っていくしかないサパタですが、コラーゾの速いサイドステップについていけません。思えば2Rのあれはポジションを変えたコラーゾにたまたま当たったいわゆるラッキーパンチだったのでしょうか。
ここまでのトータルパンチスタッツはコラーゾ213/705、サパタ59/402、ヒット数については4倍近く、パンチを出した数でも倍近い開きがあります。
結局このラウンドもオスカー・コラーゾが先に動いてパンチを繰り出し、サパタが反撃に出る頃にはその場にいない、そんな戦い方でサパタにチャンスなし。フルラウンドが終了です。
判定は119-109×2、117-110でコラーゾ。完勝でしたね。
機を見るに敏、というとまた違う表現ですが、とにかくサパタが動こうとしたところに先に動き、ずっと自分のターンという戦いを展開したオスカー・コラーゾ。
ほとんど何もできなかったサパタは、36分のうち支配できたのは合計2〜3分くらいのものではないか、というイメージですね。
このアメリカのミニマム級は統一戦を望む。日本で見られる日が来るのかもしれませんが、手っ取り早く呼べるのはメルビン・ジェルサェムかもしれませんね。ジェルサェムにリベンジの気持ちがあれば、ですが。
ともあれ、このオスカー・コラーゾというボクサーは非常に稀有なボクサーです。
彼の活躍により、ミニマム級が注目される可能性があるのではないでしょうか。今後の戦いにも大いに期待したいものです。
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