6/23(日)静岡でLUSH BOMU、そして大阪でダイナミックグローブ。
お昼過ぎに始まったLUSH BOMUはいつも通り時間が非常に長く、それはそれで良いのかもしれませんが16:30に開始されたダイナミックグローブがLUSH BOMUを追い抜き、早々に興行を終えておりました。。。
ダイナミックグローブはダイナミックグローブで、力量差のあるマッチメイクで進行が早く、こういうのは致し方のないことですが、とにかく差が激しいですね。
もともとマッチメイクって大変でしょうし、ボクサーも減って今はさらに大変な時期、ともあれ外国人を呼ぶならやはり骨のあるボクサーを呼んで欲しいのはファン心理。まあ色々思うところはありつつも、翌週の予定に目を向けていきましょう。
ということで6月最後の週末、幾つもある注目ファイトの中から、今回は「マッチメイクに疑問を感じる」戦いをセレクト。そのマッチアップとはレイモント・ローチvsフィアガル・マクローリー、今回のブログはこの戦いについてのプレビュー記事。
6/28(日本時間6/29)アメリカ・ワシントンDC
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
レイモント・ローチ(アメリカ)24勝(9KO)1敗1分
vs
フィアガル・マクローリー(アイルランド)16勝(8KO)無敗
28歳のスーパーフェザー級、というのは完全に油がのっている頃でしょう、王者のローチ。2019年、伊藤雅雪からWBO世界スーパーフェザー級王座を奪ったジャメル・ヘリング(アメリカ)への挑戦が世界初挑戦で、この戦いで判定負けを喫して初黒星。
この敗戦の後、元王者のレネ・アルバラード(ニカラグア)、好戦績のアンヘル・ロドリゲス(ベネズエラ)を降すなどして再浮上したローチは、前戦でエクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)に僅差のスプリット判定で勝利、王座を戴冠しています。
このガルシア戦というのは両者ともに非常にこう着状態、お見合いが多く、互いの良さを発揮できない試合でした。これぞまさに凡戦というにふさわしい試合。
その中でも、終盤2ラウンズを取り切ったローチが判定勝利しているので、この辺りはベルト獲得に向けた執念とかそういうものだったのかもしれません。いつの時代も、挑戦者は実力が3割増です。
このレイモント・ローチ、気になるのはKO率の低さです。
このボクサーは非常にディフェンシブだとか、ヘイニー風だとかシャクール風だとかではなく、KO率に反して非常に攻撃的で、自らプレスをかけることを好むし、コンビネーションもよく出るタイプのボクサーです。
攻める中でカウンターを取ることもあり、文字にするとものすごいKO率を誇っていそうなボクサーですね。
そのスタイルでKO率37.5%、それもスーパーフェザー級という階級を考えれば、ある種驚異的です。このボクサーは純粋にパワーレスなのか、意外と倒せるタイミングではないのか、不思議なところですね。
この王者の初防衛戦は、選択防衛戦です。
対戦相手のフィアガル・マクローリーはアイルランド人ボクサーであり、全勝のボクサーではあるものの、現在のところのランキングとしてはWBA12位という下位ランカーであり、他3つの団体のランキングに名前はありません。
映像を見た限りではあまりスピードを感じられないサウスポーで、距離もそんなに長いとは言えませんね。フック系のパンチが得意そうなスタイルですが、荒々しさを持っておらず、どちらかというとやりづらさはなさそうなイメージ。
前戦はボディショットでカルロス・カールソンを相手に3RTKOという良い勝ち方をしていますが、それが初の10回戦であり、その前はなんと6回戦しか戦っていません。
なのでこのマクローリー、これまでの最長ラウンドが6ラウンド。それがいきなり12Rファイトに挑むということになっています。
前戦のカールソン戦で勝ち取ったのがWBAインターコンチネンタルのタイトルなので世界ランクに入ったのでしょうが、これは明らかに挑戦資格に疑問符が浮かびますね。
果たして世界挑戦資格とは
資格があるかないか、で言えば当然、マクローリーは資格を持っています。何せ世界ランキング15位以内に入っています。一応、前戦でWBAの下部タイトルであるインターコンチネンタルのタイトルを取っていることは、この世界ランキング入りに対する理由ともなるもので間違いはありません。
そうでなくとも、突然世界ランキングに入るということは稀にありますね。
しかも、そのことは比較的日本人が世界タイトルを持っている時、挑む時に多いような気がするのは、果たして気のせいなのでしょうか。(他国の場合そこまで見ていないのだ、ということを信じたい。)
初防衛戦は慎重に相手選びをしたい。この気持ちは十分にわかります。
そしてローチにとっては生まれ育った場所での凱旋試合、ここは快勝して故郷に錦を飾りたいところでしょう。
なので、今回ローチを批判しているわけではありません。
が、さすがに最長ラウンド6Rしか戦っていないボクサーの世界戦というのはどうなのでしょうか。
そうはいっても、マッチメイクというのは様々な事情があるというのも理解はできるしするべきでもあるし、ちょっとした遊びがあったって良い、とも思います。
この「誰もが期待していない」へなちょこマッチアップでも、楽しむ方法はあるはずです。つまりは、完全に安牌として選ばれたフィアガル・マクローリーの奮戦です。
弱小プロモーターの憂鬱
レイモント・ローチは、前戦、Showtimeデビューを果たしました。といっても、この日、Showtime最後のボクシング放映の日であり、ここに勝利したからといってローチがその後PBCに拾ってもらえたか、というと全くそうではありません。
PBCに拾ってもらえたならば、アフロ・アメリカンというアイデンティティを持つローチは、もしかすると北米アマプラ興行への道を歩めたかもしれませんね。
ただ、ガルシアを相手に非常につまらない試合をしてしまったことで、その道は見ることすらできない霧の中。
ローチのプロモーションを手がけるのはNoXcuseプロモーションというプロモーション会社であり、この会社の代表はレイモント・ローチ・シニア、つまりは実父です。
今回の試合でこのローチ・シニアを助けたのがギャリー・ジョナス、プロボックスプロモーションであり、今回の興行はジョナスとローチシニアの共同プロモーションが開催する興行です。
なので、この興行はProboxTVで放映されるわけですね。
大手プロモーションに目をつけられないローチだからこそ、ProboxTVが入れたのだ、という見方ができます。このNoXcuseプロモーションはおそらくローチジュニアやその親族のボクサーたちをプロモートするために作ったプロモーション会社でしょうから、小さなプロモーション会社のはず。力はないでしょう。
では、強敵とのキャリアがなく、たまたま入った世界ランクに目をつけられ、大きな大きなチャンスをもらえたフィアガル・マクローリーはどのようなバックアップを受けているのか。
2015年にプロデビューして16戦、というのは多くない。このアイルランド人のボクサーは、住居をアメリカ合衆国ニューヨーク州との記載があり、2022年から米国で戦っていますね。
そしてBoxRecのマネージャー/エージェントの欄には、「フィアガル・マクローリー」の記載。つまりはセルフプロモートというか個人事業主というか、フリーなわけです。
誰にも頼ることなく、この世界タイトルマッチを掴み取ったのはタイミング的な幸運か、努力の結晶か。いずれにしろ、この戦いで勝利するかよほど良い戦いを見せなければ、このマクローリーにボクサーとしての未来はないかもしれません。
ニックネームは「Fearless」(=恐れ知らず)とあります。生まれ故郷から遠く離れた異国の地、何の後ろ盾もないままにこの世界タイトルマッチ挑戦に漕ぎつけたフィアガル・マクローリー。何度も言いますがこれまでの最長ラウンドは6ラウンドであり、まだ無敗で、31歳ながらもすでにラストチャンス感が漂います。
王者のホームタウンで奇跡を起こせれば、ロッキー・バルボア以上の奇跡となりはしないか。
もしかしたら、一夜にして人生が変わるのかもしれません。
失うものは何もない、そんな戦いを見せてくれたら嬉しいですね。
配信はProbox TV!!
さあさあ、ありがたいことにこのローチvsマクローリーは日本でも合法的に、しかも無料で視聴が可能です。
それを可能にしてくれるのがProboxTVという配信会社であり、日本でも普通にアプリはダウンロードできるし、何だったらYoutubeでも流してくれている上、Youtubeでもアプリでもアーカイブが見れるという、慈善事業かとみまごう配信プラットフォームです。
アプリの方も昔はサブスクで月に500円くらい取られたような気がしますが、今はその表記もぱっと見なかったような。いずれにしろ、Youtubeでは無料で見られると思います。
こちらはアメリカでは金曜日夜の興行なので、日本では6/29(土)の配信です。
時間はおそらく朝9:00くらいからの配信だと思いますが、一体何試合配信なのかはよくわかりませんでした。
おそらくメインはいつも通り、日本時間のお昼過ぎくらいでしょう。
そんなわけで、貴重な日本時間土曜日の海外興行、せっかくなのでお楽しみください。
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