6/25(火)、大橋蓮、田中将吾、田中空、といった元トップアマと、坂井優太(いずれも大橋)という井上尚弥の正統後継者がプロデビュー。
そして6/27(木)には志成ジム興行で吉良大弥(志成)、由良謙信(志成)がプロデビューを飾ります。アマチュア人材の流出、などという人もいるのかもしれませんが、アマで実績を残したボクサーがプロボクシング転向というのは非常に健全な流れであり、その中でもアマチュアボクシングを選ぶボクサーがいるというのも良い流れでもあります。
ことオリンピックイヤーには、こういったアマチュアボクシング界の大物のプロデビューというのは多くなって当然のこと。
ということで今週はこれらのボクサーのプロデビュー戦ーといっても見応えのある試合になりそうだったのは田中将吾くらいのもので、それはまた期待に違わない好ファイトだったーを楽しみつつ、週末のファイトに思いを馳せましょう。
ということで今回のブログは、週末の注目ファイトの一つ、テオフィモ・ロペスの登場について。
6/29(日本時間6/30)アメリカ・フロリダ
WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ
テオフィモ・ロペス(アメリカ)20勝(13KO)1敗
vs
スティーブ・クラゲット(カナダ)38勝(26KO)7敗2分
スーパーライト級。
日本ではなかなか手が届かない階級ですが、意外にもこの階級には歴代で3人の日本人ボクサーがタイトルホルダーとして名を連ねています。
藤猛、浜田剛史、平仲明信。
そして平仲の陥落後、30余年に渡り日本人の世界王者は生まれていません。
そんな日本人から遠い階級で、その絡みも未だ難しい中ですが、それでもこの階級は現在17階級(そろそろ18階級というべきか)の中で最も注目に値する階級です。
その王座の一角を担うのがテオフィモ・ロペス、ホンジュラスをルーツにもつラテン気質の気分屋ながらも、センスあふれるカウンターパンチャーです。
「TakeOver」のニックネームを持つ華のあるボクサー、テオフィモ・ロペス。
2019年に中谷正義を退けてIBF世界ライト級の挑戦権を獲得、「時期尚早」と言われながらも当時の王者リチャード・コミー(ガーナ)を右カウンターで仕留め、もっと「時期尚早」と言われながらも当時の絶対王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との統一戦にコマを進めます。
フィジカル、パワー、サイズに勝るロペスは、ひたすら待ちの戦法を試み、これがロマチェンコにビタッとハマってロマチェンコはロペスに対して攻め入ることができず、結果ロペスの判定勝利。
これでライト級3団体統一王者に輝いたロペスは、世界中がコロナに怯える中、この世の春を満喫していました。
しかしその1年後、伏兵ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)にまさかの判定負けを喫してあっさりと王座から陥落、その後はスーパーライト級にあげてペドロ・カンパ(メキシコ)と調整試合を行い、サンドール・マーティン(スペイン)に辛勝。
超微妙なパフォーマンスが続く中でしたが、同級の元4団体統一王者、ジョシュ・テイラー(イギリス)にはこれまでのベストパフォーマンスを見せての勝利でWBO王座を獲得すると、続く初防衛戦ではジャーメイン・オルティス(アメリカ)を相手に眠気を催す試合展開で勝利。
なんかこう書くとロペスの凄さって一体なんなんだ。。。と思ってしまうほど、良いパフォーマンスを見せた数は少ない。
とはいえ、やはりコミー戦の残忍なカウンターショット、ロマチェンコ戦では(ロマチェンコ応援という立場から見た)怖さ、そしてテイラー戦での素晴らしいパフォーマンス。これらは間違いなくロペスの素晴らしい才能を確信させるものであり、リングマガジン王者としての名誉に恥じないものです。
だからこそ、このスティーブ・クラゲットなる世界的には無名のボクサーに苦戦をしてはいけないし、久々のKO勝利を期待したいところ。
このクラゲットというボクサーは、映像を見る限り、ガードを固めて前進するタイプのファイター。ガードは確かに固く、7敗中KO負けは1度とあってブロッキングやウィービングは良いのでしょうが、驚異的なほどのパワーは感じず、35歳という年齢も相まってやはりロペスからすると明らかな格下と言って良いでしょう。
ここで良いパフォーマンスを見せれない、というのがロペスであるとも言えますが、さすがにここはクラゲットが打ってくるところにカウンターを合わせてくれるはず。
結局のところ、テオフィモ・ロペスというボクサーは不思議なボクサーです。
「Takeover」という単語には、引き継ぐとか引き受けるという意味のほか、奪い取る、乗っ取るみたいな意味もあるようです。
ロペスが実力を発揮する時というのはまさに奪い取る時であり、それは例えばコミーからタイトルを奪い取る時であったり、ロマチェンコからその名声を奪い取る時であったり、テイラーからタイトルを奪い取る時です。
今回、スティーブ・クラゲットに勝利してロペスが何を奪い取れるのか?と考えると、それはほとんど無いに等しい。
ロペスにはもっと大きな舞台を用意すべきでしょう。
が、少なくとも、この戦いは圧倒的なKO勝利で終えてほしい。
ロベイシー・ラミレス(キューバ)13勝(8KO)2敗
vs
ブランドン・レオン・ベニテス(メキシコ)21勝(9KO)2敗
この戦いがセミファイナル。なのでしょうか??多分そうでしょう。
五輪2大会連続金メダリスト、ロベイシー・ラミレスは昨年12月にラファエル・エスピノサ(メキシコ)に敗れタイトルを奪われています。
エスピノサはつい先日、セルヒオ・チリノ(メキシコ)を相手に圧倒的なパフォーマンスで初防衛戦をクリア、さらに評価を高めているといえます。
このエスピノサとの再戦を目指すラミレスの復帰戦は、ブランドン・レオンというメキシカンですね。
このブランドン・レオンというボクサーは完全にノーマークで、体の良い噛ませ犬、と思っていましたが、どうやらそうでも無いかもしれません。
まず、21勝2敗と好戦績のメキシカンであり、2つの敗北も当時無敗のボクサー。そのうち一つはあのジェイソン・マロニー(オーストラリア)に大善戦したサウル・サンチェス(メキシコ)です。さらにその後のキャリアで元世界王者シュ・ツァン(中国)に勝利してステップアップ、WBOの下部タイトルを獲得しています。
ラミレス危うし、とは言わないまでも、アップセットを目指している、失うものがないメキシカンというのは怖い存在です。
ラミレスもいわゆる「ポカ負け」をしてしまうボクサーだけに、やや不安はありつつも、テオフィモほどの好不調の波はありません。優れたスキルを持って、このメキシカンをシャットアウトするはずではありますが、復帰戦ということも手伝ってちょっと怖いところですね。
ラミレスの世界戦線復帰に思いを馳せ、この戦いを楽しみましょう。
アンダーカードと配信!!
フロリダ州はマイアミ、南国で行われるトップランク興行。
アメリカではESPNが放送も、日本での放映の情報はありません。
この興行のアンダーカードには、ニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)vsソーナ・アカーレ(アメリカ)のリマッチがセット。二人は2023年8月に戦い、アカーレが空気を読むことなくアリ・ウォルシュに対して判定勝利、互いに1戦はさんでの再戦となります。
アリはここで勝利し初戦での負けを帳消しにしたいのでしょうが、果たして。
そのほかにはエルビス・ロドリゲス(ドミニカ共和国)やエミリアーノ・バルガス(アメリカ)といった人気プロスペクトたちも登場ですね。
バルガスの対戦相手の質はまだまだこれからですが、やはり華のあるプロスペクトたちの戦いは楽しみなものです。
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