いつの間にやらパリオリンピックが終わってしまいました。
東京五輪の時は食い入るようにして見ていましたが、今回のパリ五輪はほとんど見れませんでした。ちなみにボクシング以外は全く見ておりません。。。
ここのところ忙しいということもあり、プロボクシングも一部の試合をピックアップして見るのみであり、なんだかあっという間に時が過ぎていきます。
さて、今回のブログではパリ五輪を振り返りたいと思います。見てないくせに。
パリオリンピック
さて、今回のオリンピックはウズベキスタンと中国が大躍進したオリンピックだった、ということができると思います。
かつてアマ大国といわれたキューバ、これを凌ぐ勢いを見せたのがウズベキスタン、最近の強豪国です。男子競技では7階級中5階級がウズベキスタン人ボクサーが優勝、金メダルを獲得するという大快挙を成し遂げています。
中央アジアはここ20年くらいの間に一気に躍進しましたが、栄華ここに極まれり、という感じでしょうか。
かの国ではアマチュアボクシングのメダリストはヒーロー、プロボクシングよりも盛んだと思われ、また、キューバと違い、亡命せずともプロボクシングへの道程は開けており、今後もボクシングが国として非常に重要なスポーツを担っていく、と予想されます。
そして女子競技では、男子のウズベキスタン同様、中国が大躍進。
6階級中3階級を制覇しており、この国のボクシング熱も非常に上がっていそうです。
プロボクシングでもヘビー級王者が誕生した中国、今後はこの国が東アジアのボクシングを率いていくのかもしれません。
男子はウズベキスタンが5階級制覇
【男子ボクシングの金メダリスト一覧】
男子51kg級
ハサンボーイ・ダスマトフ(ウズベキスタン)
男子57kg級
アブドゥラマリク・ハロコフ(ウズベキスタン)
男子63.5kg級
エリスランディ・アルバレス(キューバ)
男子71kg級
アサドフヤ・ムイディンフジャエフ(ウズベキスタン)
男子80kg級
オレクサンドル・ヒズニャク(ウクライナ)
男子92kg級
ラジズベク・ムロジョノフ(ウズベキスタン)
男子92kg超級
バホディル・ジャロロフ(ウズベキスタン)
ダスマトフは2016年のリオ五輪以来、2度目のオリンピック制覇。現在ミニマム級のトップコンテンダーであり、このパリ五輪が終わった後、世界タイトルマッチの交渉に入る予定です。
このハサンボーイ・ダスマトフこそ重岡兄弟の最大のライバルとなり得る存在でしたが、もはや重岡兄弟の手元に世界タイトルは無く。。。いずれにしろ、このツータイム金メダリストの世界タイトルの戴冠の日は近いはず。このハサンボーイに肉薄(というか勝っていたと思う)した勝負をした日本人ボクサーがいた、ということを我々は忘れていません。
他にもハロコフ、ムイディンフジャエフ、そしてムロジョノフ、ジャロロフ。全てが優勝候補の一角としてこのオリンピックに参加し、期待通りの活躍を見せました。うーん、強い。
ハサンボーイやジャロロフはすでにプロでも名前が売れており、世界タイトルも視野に入っている状態。ジャロロフも圧倒的な強さで東京五輪に続く2大会連続金メダル、今後はプロのヘビー級に波乱を巻き起こしてくれるはずです。
57kg級のハロコフ、92kg級のムロジョノフはすでにプロデビュー済み(ハロコフは1勝無敗、ムロジョノフは4勝無敗)、71kg級のムイディンフジャエフはこれからでしょうか。いずれにしろ、プロもアマもやっていく、というのがウズベキスタンのスタンダードなのかもしれません。
とにかくフィジカルが強く、パワーがあり、さらに技術もあるこの中央アジアのボクサーたちの栄光は、まだまだしばらく続きそうです。日本はウラディミール・シンコーチをはじめ、このウズベクを参考にしているものの、やはりフィジカル面で若干劣る分、難しいですね。
ウズベキスタン以外はキューバとウクライナでそれぞれ金が一つずつ。
キューバのエリスランディ・アルバレス、お馴染みの名前を二つくっつけたみたいな名前ですね。一度聞けば覚えられる名前です。
このアルバレスはまだ24歳、一刻も早く亡命して米国へ渡ってほしいものです。プロになるのを、待っています。
ウクライナのオレクサンドル・ヒズニャクは東京五輪の銀メダリストですね。東京五輪では大逆転RSC負けをしてしまったヒズニャクは、オリンピックを初制覇。
いずれにしても、ウズベキスタンが強い。とにかくやばい。
この世界最大のボクシング大会がアジアにある、と考えると、日本の状況もなかなかにきついものです。
女子ボクシングは中国が台頭
【女子ボクシングの金メダリスト一覧】
女子50kg級
ウー・ユウ(中国)
女子54kg級
チャン・ユアン(中国)
女子57kg級
リン・ユーティン(台湾)
女子60kg級
ケリー・ハリントン(アイルランド)
女子66kg級
イマネ・ケリフ(アルジェリア)
女子75kg級
リ・クィアン(中国)
女子ボクシングは中国がすごい。6階級中3階級を制覇、というだけでなく、他の2階級(60kg級と66kg級)でも決勝進出を果たしており、結果的にメダルを取れなかったのは57kg級のみです。
出るだけでも難しい今回のパリオリンピックで、ここまでの大躍進というのはいかにアジアのレベルが上がっているか、というのが明らかになりましたね。
男子では中央アジア、そして女子では東アジア。これが今後のスタンダードなのかもしれません。アジアの枠、増やしてほしいです。
ともあれ、個人的に応援していた女子57kg級のリン・ユーティン、そして女子66kg級のイマネ・ケリフは無事に金メダルを獲得!
↓応援記事
心を乱される様々なことがあったにも関わらず、オリンピックへの思いはそれを凌駕したのでしょう。これは本当に素晴らしい勝利であると思います。
今一度伝えておくと、この両者は女性であり、さらにIOCの課す出場要件を満たしているボクサーです。XY染色体がどうのこうのという話は、全くエビデンスがないただの噂。その噂の出どころは不正づくめのIBAという団体です。今のところはまだ、信じる必要もないものだと思います。
この二人のボクサーがまだボクシングを続けてくれるのかはわかりませんが、この先続けるとすればこのことはきっとついて回るのでしょう。そうなったら本当に切ないことですが、今はただ、二人の素晴らしい金メダルを思い切り祝福しましょう。
「プロ転向」is Dead
もはやプロ転向、という言葉は無くなりました。日本にはまだ思いっきりあるけれども、少なくとも世界的には。
ウズベキスタンの金メダリストたちのほとんどはプロでの活動もしており、それがすでにメジャーであるかどうかだけです。
これが健全であるかどうかはよくわかりませんし、オリンピックによりその選手のキャリアが停滞してしまう、ということは確かにありそうです。現にダスマトフは世界挑戦を延期もしています。
例えばこれが現役世界王者の参戦だったとするならばおそらく少なくとも半年間以上は防衛戦ができず、王座は剥奪されてしまいそう。
このままいけばそういった例も出てきそうですが、どうなのでしょうか。
今後、「プロ転向」という言葉自体がなくなる。もしかするとプロボクシングでデビューし、「アマ向き」だとして途中からオリンピックを目指すボクサーも出てくるのかもしれません。それが門戸を広げることになるかどうなのかはわかりませんが、このまま行くのであればそういった例もあっても良いかもしれません。
ただ、一番問題なのは今後の話です。
現状、IOCはIBAを認めておらず、今回のパリ五輪の運営からIBAを外しました。そして、2028年のロス五輪までにIBAとは別の団体をボクシングの統括機構として立ち上げなければ、ロス五輪ではボクシングという競技は無くなってしまううそうです。
それだけは何とか避けなければいけません。
ただでさえ人気に翳りのあるスポーツが、オリンピックからなくなってしまうのは競技として大きな打撃を被ることになります。
さっさと別団体を創設する人が現れてほしいものですね。
ということで2028年のロス五輪でもボクシングが採用されることを祈り、次のオリンピックも楽しみにしたいと思います。
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