10月は12日〜14日にかけて鬼のようなボクシングウィークエンドがあります。
そこに輪をかけて、11月もどんどんビッグマッチ、注目試合が発表されてきました。
ということで今回のブログは、残り3ヶ月と少しとなった2024年のこれからのファイトをまとめていきましょう。
10月(全て現地時間)
10/5:イギリス
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
ニック・ボールvsロニー・リオス
「肉球」ことニック・ボールの防衛戦が決定。相手はMJへの挑戦経験のあるロニー・リオスです。リオスは当初、8月に行われる予定だったスティーブン・フルトンの復帰戦の相手としてピックアップされていましたが、このタイトル挑戦が決まったことで辞退したという経緯なのでしょう。
10/9:アメリカ
ニコラス・ウォータースvsジョセフ・ディアス
ProBoxTVで放映される興行は、これまた「こうきたか!」と思えるサバイバル戦です。ProBox TVは最近非常に頑張っているイメージで、他のプラットフォームのように札束ビンタのPPVファイトはできない代わりに、なかなかいぶし銀のサバイバル・マッチメイクを提供してくれています。
10/12:サウジアラビア
世界ライトヘビー級王座統一戦
アルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボル
10月のこの週末、日本でもビッグイベントが目白押しなわけですが、結局のところ世界中の話題を掻っ攫うのはこのファイトでしょう。
無敗で、それぞれがここまで階級で飛び抜けたパフォーマンスをキープしており、AサイドもBサイドも全くなく、さらにはファイトスタイルも異なる。
およそ決まりそうになかったマッチメイクを実現したのは時代の寵児、トゥルキ・アラルシクであり、もはやこのファイトを実現した、ということだけで「リヤド・シーズン」という資源的に限りのありそうなイベントがボクシング界に参入してくれた意味はある、ともいえます。
IBF世界クルーザー級タイトルマッチ
ジャイ・オペタイアvsジャック、マーシー
WBC女子世界フェザー級タイトルマッチ
スカイ・ニコルソンvsレーベン・チャンプマン
そのベテルビエフvsビボルの脇を固めるタイトルマッチ。ベテルビエフvsビボルほどの勝負論のある試合ではないかもしれませんが、こちらはイベントを豪華なものにするために必要なものです。他にもクリス・ユーバンクJr.vsカミル・シェルメタ、ファビオ・ウォードリーvsフレイジャー・クラーク2、奔放なボクシングで人気のベン・ウィテカーの登場もあります。
10/12:日本(愛知)
IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ
シベナチ・ノンシンガvs矢吹正道
がんばれ矢吹。名勝負の予感がしますが、圧倒的に倒してもらって構いません。
10/13:日本(東京)
WBA世界バンタム級タイトルマッチ
井上拓真vs堤聖也
こちらも好勝負となる予感がしますね。井上拓真の優位予想というのは揺るがないですが、堤は何かを起こせるボクサーです。井上がもし「中谷戦」などと先を見ているようであれば、かなり危ないかもしれません。
WBC世界フライ級王座決定戦
寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレス
拳四朗がフライ級でどのようなパフォーマンスを見せるのか。ロサレスはかつて比嘉大吾を倒したボクサーであり、先日の敗北でキャリアを閉じてしまう比嘉としては、(当時の状態がどうであれ)唯一のKO負けということになります。
階級変更の初戦でタイトル戦、というのはなかなか不安も大きいですが、拳四朗の2階級制覇に期待しましょう。
WBA世界フライ級タイトルマッチ
ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック
ユーリ阿久井が着々と防衛戦を組んでもらえるのは本当にありがたいことです。帝拳プロモーションの力は非常に大きいと言えますね。
タナンチャイは前戦で畑中健人を破り、WBOアジアパシフィックのタイトルを奪取した強いボクサー。発表当時はWBA15位でしたが、現在は7位にランクアップ。
畑中がこれに勝利していればユーリ阿久井vs畑中があり得たと思うとちょっと残念ですが、ユーリ阿久井には格の違いを見せて勝利してもらい、統一戦に繋げて欲しいですね。
WBO世界ライトフライ級王座決定戦
岩田翔吉vsハイロ・ノリエガ
満を持しての世界再挑戦となるのでしょう、岩田翔吉。2022年、ジョナサン・ゴンサレスへの世界初挑戦、初黒星から4連続KO勝利でこの王座決定戦を迎えます。
ノリエガは思いっきり判定タイプのボクサーなので、スタイルこそ違えどゴンサレスを攻略できれば事足りるボクサーのように思います。
10/14:日本(東京)
WBC世界バンタム級タイトルマッチ
中谷潤人vsペッチ・ソー・チットパッタナ
中谷が3ヶ月弱というスケジュールで防衛戦に登場です。もはや昭和・平成初期のボクサーレベルのアクティブさ。
ペッチは76勝(53KO)1敗という凄まじい戦績をもつボクサーですが、その内容はスカスカ。間違いなく中谷が前戦で戦ったアストロラビオの方が怖いでしょう。
中谷は勝ち方が問われる戦いですが、これが済めば井上拓真との王座統一戦となるのでしょうか。できれば中谷vs井上拓というのは4団体統一戦で見たいような気もしますが、状況的にそれは叶わなそうですね。
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
田中恒成vsプメレレ・カフ
この2日間にわたる興行の中で、最もよくわからないのがこのプメレレ・カフ。まだ映像を見ていないのでなんとも言えませんが、いずれにしろ7月の初防衛戦が対戦相手の体重超過で流れてしまった田中恒成、ここはアピールをしなければならない試合です。
王座決定戦は「絶対に勝たなければならない試合」だったために、やや慎重にならざるを得なかったのでしょうから、ここは爆発させて欲しいですね。
WBO世界フライ級タイトルマッチ
アンソニー・オラスクアガvsジョナサン・ゴンサレス
これはかなりの注目ファイトです。このアマプラ興行の2daysの中では、井上拓真vs堤聖也に続いて興味深い戦い。
オラスクアガは比較的激闘型のファイタータイプであり、全くの真逆であるジョナサン・ゴンサレスは低身長のアウトボクサー、岩田翔吉もいなされてしまいました。
井上vs堤と異なる点は、日本のボクシングファンにとっては応援するボクサーが明確であるところです。なんだかんだ散々迷惑をかけられてきたように感じるゴンサレスへの恨みつらみもあるわけですから、がんばれオラスクアガでいきましょう。
10/19:アメリカ
IBF世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
バフラム・ムルタザリエフvsティム・チュー
ビッグ・ウィークエンドの翌週は、「無料」(というかPPVではない)ファイトの大注目興行です。
メインはムルタザリエフvsチュー、このファイトは北米Amazon Prime初、nonPPV興行として行われます。
フンドラに敗北するも、それはアクシデント込みのものであり、未だ王者という評価を受けるチューが、前戦でジャック・クルカイを11RKOに沈めたムルタザリエフに挑みます。
これはまた、非常に素晴らしいマッチアップ。楽しみです。
10/19:イギリス
アダム・アジムvsオハラ・デイビス
世界王者を嘱望された才能の持ち主、オハラ・デイビス。前戦でイズマエル・バロッソにまさかの初回TKO負けを喫した復帰戦となる今戦、無敗のプロスペクトであるアダム・アジムを迎えます。
過去デイビスが負けている相手といえばジョシュ・テイラー、ジャック・カテラルくらいのものですが、前戦の負けは酷かったのかもしれません。デイビスはいよいよ「プロスペクトの踏み台」となってしまう可能性がありますね。
さて、アダム「アサシン」アダムにとっては大きなステップアップファイト、ここに勝ってアジムが世界戦線に台頭してくるのか、デイビスが力を取り戻すのか。今後平岡アンディとも絡む可能性のあるスーパーライト級、非常に興味深い一戦です。
10/26:イギリス
ジャック・カテラルvsレジス・プログレイス
何度か言っていますが、カテラルのボクシングは好きではありません。ファイトスタイルが好きでない、というのは個人的には珍しいことですが、彼はちょっと反則ギリギリが過ぎるファイトスタイル。頭込みでパンチを出してくるスタイルです。
プログレイスは前戦でデビン・ヘイニーに判定負けを喫し、10ヶ月ぶりの再起戦。ここはどうにかプログレイスに勝って欲しいですが、イギリスという敵地、カテラルの勢いを考えるとプログレイスにとって厳しい戦いかもしれません。本当に誰かカテラルを成敗してほしい。
11/2:アメリカ
WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
ロブソン・コンセイサンvsオシャーキー・フォスター2
4度目の世界挑戦で世界タイトルを掴んだ元ゴールドメダリスト、ロブソン・コンセイサン。
物議を醸す判定でオスカル・バルデスに敗れ、次に挑戦した王者(シャクール)は体重超過を犯し、3度目の挑戦となったエマヌエル・ナバレッテ戦はドロー。
なんとも運のないコンセイサンの戴冠は本来喜ぶべきものかもしれませんが、このフォスターとの第一戦は大いに物議を醸す判定となりました。
ダイレクトリマッチですが、初戦はお互いが無理せず自分のボクシングを貫いた結果、非常につまらない試合でした。
再戦は、どうか。
11/8:アメリカ
キーショーン・デービスvsグスタボ・レモス
私の記憶が確かならば(ちなみに私、eF-1Gという適性検査で「記憶力」が1しかなかった。相当低い。)、「ビジネスマン」キーショーン・デービスは初のメインイベントです。
相手はグスタボ・レモス、前戦でリチャードソン・ヒッチンズと戦い、初黒星を喫しているのですが、無敗のプロスペクトを相手にかなり良い試合をしました。
ここのところグッと対戦相手の質が上がっているキーショーン、2025年は世界戦もありそうですね。ここに勝てればですが。
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
ブライアン・ノーマンJr.vsデリック・クエバス
弱冠23歳、前戦で世界初戴冠を果たしたブライアン・ノーマンJr。一時期はジャロン・エニスとの王座統一戦の交渉がありましたが、ノーマンJrが報酬に不満を言い破談、プエルトリコのデリック・クエバスを相手に防衛戦に臨みます。
これがセミファイナル。
11/15:アメリカ
ジェイク・ポールvsマイク・タイソン
世界女子スーパーライト級タイトルマッチ
ケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノ2
一応触れておきましょう。マイク・タイソンの19年ぶりの公式戦となるようです。
ともあれ、セミファイナルにはケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノ2、これは初戦が素晴らしい戦いであり、再戦も素晴らしいものになると約束された戦いです。
↓初戦の観戦記
女子ボクシング史上最大の戦いは、最高の戦いとなりました。
再戦は残念ながらネットフリックスでの配信です。このためにネットフリックスに入るかどうか、これはなかなか難しい判断。
11/16:サウジアラビア
WBA・WBO世界クルーザー級王座統一戦
クリス・ビラム-スミスvsヒルベルト・ラミレス
IBF王者、ジャイ・オペタイアのサウジアラビア登場から1ヶ月後、WBA・WBOの王座統一戦。同じく、サウジアラビアのリヤドシーズンです。
おそらく勝者はvsオペタイアが用意されることとなり、ここにWBC世界クルーザー級王者(9/28に王者ノエル・ミカエリアンはライアン・ロジッキを相手に防衛戦)を加えることは比較的容易であると考えられるから、オレクサンドル・ウシク以来の4団体統一王者が誕生するかもしれません。
すでにトーナメントは始まっているのかも。
ウィリアム・セペダvsテビン・ファーマー
この日のリヤドシーズン、メインイベントは日本人にとってなかなか興味を持ちづらいクルーザー級の王座統一戦ですが、アンダーカードには魅力がたっぷりです。
まずは待たされ続けるトップコンテンダー、ウィリアム・セペダがファーマー戦。セペダの圧倒的な手数に対してファーマーはなす術なし、のようにも思いますが、セペダがここに勝利してシャクール戦に進んでくれることを心から願います。
ホセ・カルロス・ラミレスvsアーノルド・バルボサJr
そしてこれがいちばんの注目ファイト、元王者のラミレスvs無敗のバルボサJrです。
これもまたスーパーライト級の戦いであり、このようなマッチアップを経なければ世界に挑戦することができない、ということであれば、ものすごい階級ですね。
しかもこれはラミレスにとって超危険な試合でもあります。バルボサにアウトボックスされ兼ねません。一体どちらが勝つのか。
WBO世界ミニマム級タイトルマッチ
オスカー・コラーゾvsエドウィン・エルナンデス
エドウィン・エルナンデスというボクサーはフライ級やライトフライ級で戦ってもいるボクサーで、このボクサーがミニマム級で戦えるのならコラーゾにとっても危険性のある戦いでしょう。
アメリカ大陸のミニマム級ボクサーは希少性が高いので、是非ともコラーゾには頑張ってもらいたいですね。
11/30:イギリス
サニー・エドワーズvsガラル・ヤファイ
これは素晴らしいノンタイトルファイト。
とにかくエドワーズはノンタイトル戦でも全く手を抜かないところが素晴らしい。戦い方は全くエキサイティングとは程遠いですが、その対戦車選びというものはエキサイティング以外の何者でもありません。
ヤファイとしても、「世界タイトル戦前に元王者とやる」はよくある話ですが、相手がサニーとは超がつくほどの強気です。
勝者は日本人(オラスクアガ含む)とも絡む可能性が大いにあり、大注目の一戦であるだけでなく、非常に楽しみな試合ですね。
12月にも期待
12月は、21日にオレクサンドル・ウシクvsタイソン・フューリー2。この戦いはウシクがIBF王座を剥奪されたことで4団体統一タイトルマッチでは無くなってしまいましたが、いずれにしろヘビー級として最上位の戦いであることは疑いようがなく、それはIBF王者がアンソニー・ジョシュアになってもダニエル・デュボアになっても変わることはありません。
そして24日には井上尚弥が(おそらく)サム・グッドマンを迎えての防衛戦、このカードだけではドヘニー戦同様に弱いので、アンダーも充実する可能性がありますね。
ただまあ、どうなんでしょうか。9月の戦いで大橋トッププロたちは軒並み出場してしまったから、世界戦というと厳しいか。ここに世界王者としては西田凌佑がプロモーターの垣根を超えて登場するとか、世界に近いという意味において挑戦者として高田勇仁とか出てくると面白い。セミファイナルは中嶋一輝vs辰吉寿以輝で充分なのか?
さらに大晦日にはフェルナンド「プーマ」マルティネスvs井岡一翔2。井岡にとってはラストファイトともなり得る試合ですが、再戦に強い井岡の底力を信じたい。
今年もあと少し。まだ暑いからそんな気もしてませんが、ともかく残りの2024年を楽しみましょう。
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