信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】WBSS決勝ドルティコスvsブリエディス、イギリスのテイラーvsコンソン!

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9月最終週はボクシング三昧!

9/27は朝早くからたくさんの試合が開催されました。

まずはヨーロッパでWBSSクルーザー級決勝、そしてWBAスーパー・IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ。そしてアメリカではチャーロ兄弟の他、バンタム、スーパーバンタムのボクサーたちがしのぎを削りました。

今回のブログでは、ヨーロッパで行われたWBSSクルーザー級決勝、ユニエル・ドルティコスvsマイリス・ブリエディス、そしてジョシュ・テイラーvsアピヌン・コンソンの試合を見ていきたいと思います。

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↓プレビュー

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

9/26(土)ドイツ

IBF世界クルーザー級タイトルマッチ

ユニエル・ドルティコス(キューバ)25戦24勝(22KO)1敗

vs

マイリス・ブリエディス(ラトビア)27戦26勝(19KO)1敗

WBSSクルーザー級セカンドシーズンの決勝戦!延期に延期を重ね、いよいよ開催です。

シーズン1で主だったボクサーがしのぎを削り、クルーザー級というヘビー級よりひとつ軽い階級は、さして注目の集まらない階級でもあります。

しかし、WBSSのシーズン1は非常に盛り上がりました。怪物的な王者が出揃い、ヘビー級のように「大きいものが勝つ」という単純明快なものではなく、パワーだけでなくスピード、テクニックも必要なこの階級は、ボクシングの本質的なものが感じられると言っても過言ではありません。

 

2m越えのボクサーがトップに君臨し、大型化が進むヘビー級とは違い、他の階級同様ボクシングという競技が持つ美しさも兼ね備えた階級であり、更に迫力は満点。見ていて非常におもしろいです。(が、何故か人気はあまりないようです。)

そこで誕生したのが、比類なき王者、オレクサンデル・ウシク(ウクライナ)。このWBSSを通して主要4団体を見事に統一したウシクは、ヘビー級へ進出。

↓少し前の記事ですが、クルーザー級の考察。

boxingcafe.hatenablog.com

絶対王者がいなくなり、戦国時代に突入したクルーザー級のWBSSは、一戦ずつがサバイバルマッチであり、そこを勝ち上がってきた者同士の決勝戦は、まさに次代の覇権を争うマッチメイクとなりました。

まずは現IBF同級王者、キューバから亡命したユニエル・ドルティコス。2009年、アメリカでプロデビュー。キューバから亡命したボクサーの宿命ともいえますが、なかなかチャンスには恵まれなかったようです。2016年、WBAの暫定王座を獲得。(その後正規王者に昇格)

 

2017年、WBSSシーズン1に出場、1回戦を突破しましたが準決勝で当時のIBF王者、ムラト・ガシエフ(ロシア)にTKO負け。

2018年に始まったWBSSシーズン2にも出場、2019年の準決勝でIBFタイトルを獲得。

ドルティコスは、思いっきり振るタイプの強打者。少し振りは大きく、わかりやすいかもしれません。しかし、どんどんフォロースルーの効いたパンチを放っていくので、見ていて気持ちの良い闘い方です。

 

対するブリエディスは、元キックボクサーでボクシングに転向。

こちらもプロデビューは2009年。

2017年にマルコ・フック(ドイツ)とWBC王座の決定戦を闘い、判定勝利で初戴冠。WBSSシーズン1でオレクサンデル・ウシクに敗れましたが、判定までもつれ込んだ技術戦。大いに苦しめたと言っても良いでしょう。ちなみにラトビア初の世界王者だそうです。

 

ステップを踏み、ジャブから攻めるスタンダードなボクシング。時に力み空転する時もありますが、やはり一発の破壊力はものすごいものがあります。丁寧に戦うときもあれば、かなりラフになる時もあるのでドルティコス戦はどうなるか。

準決勝でクリストフ・グロワキ(ポーランド)とWBO王座決定戦。グロワキに後頭部を打たれたブリエディスは肘打ちで反撃。そして、ラウンド終了のゴングに主審が気付かず、その間にグロワキがダウン。。。等々、荒れに荒れた決定戦を制し、WBO王座を戴冠。まあ、どういう展開になってもブリエディスの方が地力が上、という展開ではありました。

WBOは両者の再戦を指示しましたが、ブリエディスはドルティコスとのWBSS決勝戦を選択。これによりWBO王座は剥奪という憂き目にあいました。

WBSSの決勝はよほどのことがない限りはKO決着でしょう。荒れた試合展開にならないことだけを祈りつつ、両者とも技術はしっかりしているので見応えのある試合になりそうです。

 

ドルティコスvsブリエディス

↓フルファイト 

 

初回、ドルティコスがジリジリとプレスをかけ、ブリエディスはサークリングするという展開。ブリエディスは少し下がらされているか。ブリエディスのジャブはまっすぐ伸びますが、ドルティコスを止められるほどではありません。

2R、初回と同様の展開です。ブリエディスはバランスの良いボクサーですね。乱れません。対するドルティコスは、フォロースルーが効いている分、体勢を崩しがちです。それでも尚、ドルティコスの攻勢が上回っています。

3Rも同様の展開、ブリエディスの出すパンチのほとんどはジャブですが、時折フックも交えてきました。終盤にブリエディスの左フックがヒットします。

ドルティコスは上体を柔らかく使い、ブリエディスはドルティコスが攻めてくると距離をとります。双方ともにクリーンヒットは少なめです。

両者ともに攻防分離、押せば引き、引けば押す。両者の距離がほぼ変わらない中での攻防です。

5Rに入るとブリエディスの手数が多くなってきました。ドルティコスは相変わらずジリジリプレスをかけますが、クリーンヒットは奪えず。ワンパターンか?

 

6R、ブリエディスのアッパーがドルティコスのガードの間隙を縫ってヒット!中盤以降、徐々にペースはブリエディスになってきています。

7R、プレスをかけるのはドルティコスですが、要所要所でブリエディスも攻勢に出ます。ドルティコスがジリジリと前に出て、その下がった分だけブリエディスが3連符のジャブで前にでて帳消しに。一進一退といえば聞こえはいいですが、両者ともに決め手に欠く内容です。

8R、両者の距離がいよいよ近くなってきました。ともに危険な距離で打ち合います。互いにヒットが増えますが、終盤、ブリエディスが押されたように見えます。

9R、ブリエディスの手数、ヒットが多めのラウンドです。互いに攻防分離の押したり引いたりは相変わらず。

10R、ブリエディスが攻めるとガードでしのぐようになってきたドルティコス。その分、ブリエディスはコンビネーションを出しやすくなっています。コンビネーションの最後にブリエディスは左ストレートを放ち、顔をのけぞらせるドルティコス。見栄えはブリエディスです。

 

11R、下がりながらも攻めどころを窺うブリエディス。それに対してドルティコスは、プレスをかけるもののさして手が出るわけではなく、逆に押されて下がってしまいます。

ビッグパンチを狙うドルティコス、終盤に入っても丁寧にジャブから入り、アッパーを効果的につかうブリエディス。

最終ラウンドもブリエディスは丁寧に戦います。やはりジャブ、というか左ストレートでドルティコスの顎を跳ね上げ、見栄えが良いですね。

117-112×2、114-114の2-0判定でマイリス・ブリエディスが判定勝利!IBF世界クルーザー級王者となるとともに、モハメド・アリトロフィーを獲得しました!

 

 

互いの強打を警戒し、慎重になりすぎたともいえるこの1戦。KO決着必至とか言っていた自分が恥ずかしくなる位、凡戦に近いものでした。

WBSSシーズン1で敗退した者同士の決勝戦では、階級最強を決める闘いにならないのは当然のことなので、アリトロフィーもあまりありがたみがありませんね。

WBSSの試みとしては非常に素晴らしいものですので、是非とも継続していってもらいたいです。年に2階級くらいでいいと思います。そうすると8年に1度くらいの頻度で開催され、その都度統一王者が生まれる。循環してより良いと思うのですが、いかがでしょうか。

 

9/26(土)イギリス

WBAスーパー・IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ

ジョシュ・テイラー(イギリス)16戦全勝(12KO)

vs

ダオヌア・ルアワイキン(本名・アピヌン・コーンソーン/タイ)16戦全勝(13KO)

WBSSセカンドシーズン、スーパーライト級を制した「タータン・トルネード」、ジョシュ・テイラー。これまでにビクトル・ポストル(ウクライナ)を降して名を上げ、WBSS出場でイバン・バランチェク(ベラルーシ)、レジス・プログレイス(アメリカ)を降して勢いに乗っています。

スコットランド出身のサウスポーは、非常に総合力の高いボクサーです。華麗なヒット&アウェイのボクシングから、インサイドでの打ち合いまで幅広くこなしますが、テイラーの最大の武器はハートの強さのように思います。

 

前戦、レジス・プログレイス戦で見せたハートの強さは本当に感動的なまでのものでした。強打のプログレイス相手に一歩も退かず、自分から試合を作っていったテイラー。私はプログレイスを応援していましたが、プログレイスはテイラーのボクシングにかなり困惑しているようにも見えました。

地元スコットランドの声援を一身に受け、スーパースターへの階段をかけあがるテイラー。この試合をクリアした暁には、WBC・WBO同級王者のホセ・ラミレス(アメリカ)との4団体統一戦が用意される予定です。

この4団体統一戦には、プロモーターの壁がなく(両者ともトップランク所属)、すんなりと決まりそうです。

 

↓ラミレスの前戦、ポストル戦の観戦記

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対するは、アピヌン・コンソン(タイ)。

前回のブログでは、ダオヌア・ルアワイキンというリングネームで書きましたが、今回からアピヌン・コンソン(本名)に統一します。イギリスでもそうだったので。。。

さて、このコンソン、戦績はテイラーと似たようなものですが、闘った相手の質はアジアの域を出ません。アジア圏以外のボクサーと戦うのは、今回が初めてのようですね。

 

コンソンは、IBFの挑戦者決定戦でディフェンスの名手、世界ランカー近藤明広(一力)を右アッパー一撃で屠っている事でもわかるとおり、とてつもない強打の持ち主でもあります。

ただ、ボクシングが上手いか、というとそれほどでもなく、スタミナにも不安を感じます。

順当にいけばテイラーの勝利は間違いないと思いますが、コンソンには一発があります。

テイラーには油断せず、一蹴してもらって、統一戦へ進んでもらいたいですね。

テイラーvsコンソン

↓フルファイト

 

開始早々、ワンツーを打ち込んでいくコンソン。固くならずにリラックスもできていますし、テイラーの動きに反応もできているように見えます。調子は上々のようです。
しかしテイラーの打ち終わりに前に出ようとするものの、一瞬遅く、その機を逃す辺りはまだ距離感をつかめておらず、相手のスピードにしっかりと対応はできていないのでしょう。
そしてある程度の攻防のあと、テイラーがコンソンをロープに詰めたところでコンソンがダウン!意味がわかりませんでしたが、ロープに詰まったところで左ボディを軽く(に見える)浴びてしまったようです。
リプレイでしっかり見ると、詰めてきたテイラーに対し、コンソンは右ストレートを打っています。右を出すタイミングでの左ボディのヒット。偶然ぽいタイミングですが、内山高志も得意としたカウンターボディですね。

相手の意識の外から来るパンチなので、効く。

 

コンソンは悶絶し、立てません。
ジョシュ・テイラー、1RKO勝利

あっけなく終わってしまった、アジアの雄・アピヌン・コンソンの世界初挑戦。近藤を倒したことで期待していましたが、残念な幕切れでした。

実力を発揮できずに敗北した、ということが正しいと思います。そうでなければ近藤明広が浮かばれない。
タイのボクサーは、一度負けるとすぐに引退してムエタイに戻ってしまうボクサーも多いかもしれません。コンソンにはもう少し頑張ってもらいたいですね。
さて、テイラーはというと久しぶりのリングで良い勝ち方ができたと思います。ただ、もう少しリングの感触を確かめたかったかもしれませね。

 

これでもしラミレスとの統一戦に臨むのであれば、苦戦しながらも12Rを闘ったホセ・ラミレス、力の差を見せつけて圧勝、久々のリングで1Rしか闘えなかったジョシュ・テイラーと。
予想を難しくする要素が加わり、今年中?もしくは来年春?4団体の統一戦の障壁は既に何もない状態です。
締結を祈ります。
 
ということで、やや期待はずれにおわってしまったヨーロッパの2興行。ドルティコスvsブリエディスはもっと白熱してほしかったですし、コンソンには勝てないまでももう少し意地を見せてほしかったです。
とはいえ、この後に行われたPBC興行は素晴らしい試合が多かったです。

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