3/13(土)、タイで行われたWBC世界スーパーフライ級挑戦者決定戦。
その決定戦に勝利すれば、日本時間3/14(日)に行われる、ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)vsローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の勝者への挑戦権が得られる格好となります。
この激アツ階級の一つであるスーパーフライ級は、現在トップ戦線で素晴らしいボクサーが渋滞を起こしかけています。
エストラーダ、ロマゴンの他にもWBO王者の井岡一翔(Ambition)、IBF王者のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)、今回登場するシーサケットの他、カルロス・クアドラス(メキシコ)も前戦となるエストラーダ戦では存在感を示しました。
エストラーダvsロマゴン戦を皮切りに、統一戦が進めば良いな、という階級ではありますが、ある種最も恐ろしいのはこのシーサケット・ソールンビサイ。
類まれなるタフネスとフィジカルを持ち、49勝中42KOという軽量級において破格のKO率を誇るパンチャーは、誰もが恐れるファイター。
今回のブログでは、タイのリングに登場したシーサケット・ソールンビサイが、元世界王者であるクワンタイ・シスモーゼン(タイ)を相手に戦った、WBC世界スーパーフライ級挑戦者決定戦の観戦記です。
↓プレビュー記事
シーサケット・ソールンビサイ(タイ)55戦49勝(42KO)5敗1分
vs
クワンタイ・シスモーゼン(タイ)60戦52勝(28KO)7敗1分
王座陥落後、パッとしない印象のシーサケット。WBCの指名挑戦権をかけたこの一戦は、勝利だけでなく勝ち方も問われます。
対してクワンタイも元王者ながら、最近は負けが込み、今回のこの一戦ではアンダードッグの域を出ません。
気になるのは、シーサケットの仕上がりのみ。翌日に行われるファン・フランシス・エストラーダvsローマン・ゴンサレスの勝者に挑む事が規定路線と言えますが、その域まで調子が上がっているのでしょうか。
シーサケットは、エストラーダとは1勝1敗、ロマゴンには2勝。スーパーフライ級最強の一角を担うボクサーであることは疑いありません。老雄、クワンタイを見事仕留められるでしょうか。
初回、サウスポーでスタートするシーサケット。エストラーダとの2戦目では、オーソドックススタイルで戦い、それは失敗と言っても良いようなスタイルでしたので、サウスポーに戻っている事は良かった。
1分が立った頃からすぐに近い距離での打ち合い。スタートはやや緩慢に見える動きでしたが、パンチを繰り出すたびにキレをましていくシーサケット。
サウスポースタンスのシーサケットのコンビネーションはスムーズながら、被弾もやや多い印象。それでもヒット数やプレッシャーはシーサケット。
左ストレートから右アッパー、左ストレートというコンビネーションは非常に良いですね、シーサケット。特にこの右アッパーは、クワンタイのガードの隙間を縫って何度となくヒット。
2Rには更にエンジンのかかってきたシーサケット、手数が多く、プレスが強い。クワンタイは打ち返す時間帯すら作れず、既に試合はワンサイド。
3R、シーサケットが快調に飛ばします。ワンツーやボディ、左右のアッパーとフック、打ち分けも非常にうまく、何よりもタフでハートの強いシーサケット、クワンタイのパンチを被弾しても一切無反応。これは相手にとって非常に怖い。このあたりがロマゴンにとって相性最悪なところです。
後半、ロープにつまったクワンタイに、執拗に左アッパーを繰り出し、ダウンを奪います。
再開後もロープを背になんとか凌ぐクワンタイ。
4R開始、かと思いきやここでクワンタイが棄権?開始ゴングに応じず、シーサケットの3R終了TKO勝利となりました。
圧倒して当然の相手ではありましたが、しっかりと圧勝したシーサケット。
シーサケットのパワー、フィジカル、タフネスは全くの健在であり、ロマゴンにとっては怖い事この上ない存在ではあります。ただ、動きはやや重そうであり、攻撃時の迫力はロマゴン戦やエストラーダ1戦目と比べると控えめ。
これがモチベーションの差なのか、それともシーサケットの加齢による衰えなのかは不明です。
とはいえ、まだまだ怖い存在であるシーサケットは、次戦で、明日行われるエストラーダvsロマゴンの勝者に挑戦する事になると思われますが、それこそが本当のスーパーフライ級最強決定戦なのかもしれません。
そこに井岡、アンカハスは食い込んでいってもらいたいとは思いますが。
今日はまだまだ完璧には程遠いシーサケットでしたが、またタイトルが絡んだ時に期待どおりのパフォーマンスを披露してもらいたいものです。
さて、この試合がメインだと思いますが、メイン後にももう一試合。アジアの興行では結構こういう事がありますね。シーサケットの前にあったWBCアジア・スーパーフライ級タイトルマッチは見ていませんが、折角なのでシーサケット戦後の試合は見てみました。
WBCアジア・スーパーバンタム級タイトルマッチ
チャイノイ・ウォラウット(タイ)13戦12勝(12KO)1分
vs
プンルアン・ソーシンユー(タイ)63戦54勝(36KO)9敗
無敗のライジング・スター、「ロックマン」チャイノイ。対してプンルアンは赤穂亮(横浜光)を2Rでノックアウトしたこともある、元世界王者。
弱冠23歳という若きプロスペクト、チャイノイのアンダードッグとして元王者プンルアンが呼ばれたイメージですね。これは物悲しい。
スーパーバンタム級ということで、日本人が絡む階級でもあるので、このチャイノイというボクサーをチェックです。
チャイノイはまずハンドスピードが速い。しかし、意外とついていけているプンルアン。63戦のキャリアは伊達ではありません。プンルアンもよくがんばります。
プンルアンのジャブはなかなか良いですが、そのジャブの打ち終わりに右ストレートを当てられ、ボディで削られます。
チャイノイはスピードのあるコンビネーションで何度もプンルアンをのけぞらせますが、プンルアンの気持ちは萎える事なく、前進を繰り返します。
このチャイノイ、12勝中全KOというボクサーですが、その戦績ほどのパワーは感じません。キレはありますが。
体全体のパワーとしても、プンルアンに押されてよろめく場面もあり、フィジカルも強いとは言えないでしょう。ステップは軽やかであり、スピード、キレにはすぐれているのでその部分が怖いところではありますが、日本のトップ・スーパーバンタム、岩佐亮佑や勅使河原弘晶といったボクサーほどではありません。
77-73、78-72×2というユナニマスデシジョンでチャイノイが勝利。
戦績ほどの怖さは感じられなかったチャイノイ。しかし、このボクサーはタイのボクサーの中では非常にテクニックに秀でたボクサーにも見えますね。23歳とまだ若く、色々と吸収の途中なのでしょう。
タイといえば、ムエタイから転向することが主流であり、このチャイノイのプロフィールは知りませんが、ステップの踏み方やジャブ、ストレート系のパンチを見るとしっかりと国際式のボクサーの雰囲気を醸しています。
一応、アジアのタイトルを持っているので、もしかすると日本人と絡むかもしれないので、要チェックです。
ということで、明日に控えるスーパーフライ級最強決定戦、ファン・フランシス・エストラーダvsローマン・ゴンサレスの前座の雰囲気のシーサケットvsクワンタイの一戦の観戦記でした。
明日の本番に向けて、私自身も良いウォーミングアップになりました笑
明日が楽しみです!