夏が真っ盛り。
暑い日々が続きますが、それ以上にアツいのがボクシング。
東京オリンピックには日本代表として6名の選手が出場、そのうち3名がメダル獲得という大快挙。しかもその戦いのすべてがインターネットやテレビを通して視聴できました。
今週末の国内プロボクシングでも、このコロナ禍の中で育ったインターネット配信で興行を見る事ができますし、ひと昔まえと違ってボクシングを見る事に事欠かないということは非常に素晴らしい事ですね。
色々と見れるようになってくると、正直時間が足りない、というのも本音で、まだまだ見れていない試合がいっぱいあります。結果を知ってしまっている今となっては、今後見る機会はないのかもしれません。
と、色々と思うことは置いておいて、今夏に控える8月のXデー、日本時間の8/15(日)。楽しみな興行が揃いに揃っているこの日のプレビュー記事、今回は2回目です。
8/15の興行まとめ
最大の注目はやはりカシメロvsリゴンドー
8/15プレビュー、2回目の記事は、バージル・オルティスJr.vsエギディウス・カバラウスカス!これも超楽しみです。
8/14(日本時間8/15)
WBOインターナショナルウェルター級タイトルマッチ
バージル・オルティスJr.(アメリカ)17勝(17KO)無敗
vs
エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)22勝(17KO)1敗
この試合の見所は、と言われれば、「まずは力比べだ」とばかりにパンチをガードの上からでも打ち込み、それに耐えて、「今度は俺の番だ」とばかりにパンチを叩き込む。そんな展開が、最初から最後まで見られるかもしれない、ということだと思います。
ストロングスタイルとストロングスタイルの正面衝突、互いに似た距離を得意としていることもあり、噛み合う事は必定。そしてともに倒せるパンチを持っている事から、KO決着も必至。
レベルの高い拳闘を見れるのは、8/15、日本ではお盆の只中です。
デビュー以来17戦全勝全KOというパーフェクトレコードを持つ、アメリカのウェルター級プロスペクト、バージル・オルティスJr。
その戦績が示す通りのボクサーで、抜きん出たパンチングパワー、そのパワーパンチを連打できる優れたフィジカルを持ち、そしてなによりも絶えず攻め続けるという強いハートを持った、拳闘ロマン溢れるボクサーです。
反面、攻撃偏重でディフェンス面には穴があり、ガードはしっかりしていてボディワークも悪くないものの、攻撃の方に気が行ってしまって被弾も多い。
だからこそ、エキサイティングで、見ているものの心を奪い取っていくようなボクシングです。
このオルティスは前戦、スーパーライト級の元王者、モーリス・フッカー(アメリカ)を撃破、さらなるテストマッチに臨みます。
とにかくガンガン出ていくボクシングで、その試合にはおよそハズレがありません。アウトボクサーよりのテクニカルなカウンターパンチャーであるモーリス・フッカーを相手にしても、プレスをかけつづけてボディを打ち、フッカーの足をとめて最終的には7RTKO勝利。
オルティスvsフッカーの観戦記
今はまだ無理でも、ここに磨きをかけていけば、PFPキングの一角であるテレンス・クロフォード(アメリカ)に対抗できるボクサーとなり得るボクサーだと個人的には考えます。
これほどまでのハードヒッターには、どんなに下馬評が不利でも試合をひっくり返せる、ロマンがあります。
そして今回、このオルティスの対戦相手は、なんとあのカバラウスカス。
これはオルティスにとって、テストマッチを飛び越えて、チャレンジマッチと言っても良いと思います。
リトアニア出身のエギディウス・カバラウスカスは、アマチュアで多くのタイトルを獲得、北京五輪、ロンドン五輪に出場経験のある元オリンピアン。
ここ最近の東京オリンピックを見ていると、やはり出場するだけでもとんでもないボクサーだとわかりますね。
ロンドン後の2013年に判定勝利でプロデビュー、その後11連続KO勝利を記録するなど、そのハードヒッターぶりには目をみはるものがあります。
世界戦の前哨戦として行われた、レイ・ロビンソン(アメリカ)戦でドロー、全勝レコードガストップ。そこまでも、世界に名だたる強豪との対戦はなく、その実力には疑問符もついていたと思います。
しかも、そのロビンソン戦後に挑んだ王者は、テレンス・クロフォード(アメリカ)。
確かオッズはクロフォードの圧倒的優位、これは当たり前。
しかし、ここでカバラウスカスは意地を見せました。
なんと、あのクロフォードから前半ペースを奪い、3Rにはクロフォードはグローブをリングにタッチするほど膝を折っています。これは明らかなダウン、だと思うのですが、当時のレフェリーはスリップ裁定。これがダウンであっても結果は変わらないのでしょうが、ここでクロフォード相手に優勢という時間を過ごすことができたカバラウスカスは、この試合で敗北したものの評価が大きく上がりました。(結果はクロフォードの9RTKO勝利)
そして前戦では、ミカエル・ゼウスキー(カナダ)を相手に8RTKOで再起。
非常に強いパワージャブでペースを引き寄せられるジャバーであり、左右の強烈なフックをもっているフッカーでもあります。
闘い方としてはやや慎重、相手の出方にあわせて戦うパターンが多いと思いますが、チャンスとみるや一気呵成に攻め立てる獰猛さを持ち合わせています。
全体的には冷静でありつつも、怖さのあるボクサー。身体の強さ、タフネスも保持しており、スタミナももちろんあります。ただ、やはりディフェンス面には穴があり、被弾も多い。
逆に、オルティスがまだ証明できていないものは、タフネスと、スタミナ。この打撃戦必至の試合展開の中に、そのタフネス、スタミナは必須のファクターのように思います。
このオルティス、カバラウスカスを比較してみると、おそらくパンチングパワー、手数、アグレッシブネスでも、ディフェンス技術でもオルティスのほうがやや上回っているのではないか、と思います。
しかし、このオルティス-カバラウスカスにおいて、おそらく距離がしっかりと噛み合う打撃戦となった上で、もし、勝負が後半までもつれ込んだならばどうなるか分かりません。
もしくは序盤で、カバラウスカスの渾身の一撃を、オルティスが被弾したならば、その後の展開がどうなるのか。
予想としてはオルティス優位、とならざるを得ないものの、カバラウスカスは簡単に勝てる相手ではない、そしてオルティスにはまだまだ未知の部分がある、ということを考えると、非常におもしろい一戦です。
さて、逆にこのオルティスが、カバラウスカスを上手く攻め立て、苦戦することなく圧倒的に、そして9R以内に、このカバラウスカスを倒してしまう、という展開だって考えられます。
そうすると、どうなりますか?
一気に、打倒テレンス・クロフォードの最右翼に躍り出る事ができると思うのです。
そこまで行ってくれれば、きっとエロール・スペンスJrよりも期待してしまいます。
そして個人的には、そのような展開を期待しています。
バージル・オルティスJrの真価が問われる一戦というのは、モーリス・フッカー戦だと思っていました。しかし、前戦ではまだ、オルティスの真価はわかりません。
この試合こそがオルティスの引き出しを全て開く事になるのか、それともこのカバラウスカスを持ってしてもまだ、測れないのか。できれば後者であってほしい、そして目指すはテレンス・クロフォード一択。
ボクシングに対して非常に純粋で、何かと好感の持てるバージル・オルティス、期待をもって見守りたいと思います。
この大注目試合は、DAZNで生配信!とにかく絶対に噛み合い、打撃戦となるであろうこの一戦は、勿論KO決着が必至。ともすれば年間最高試合の候補となるかもしれないこの一戦は、必見です。
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