注目していた試合だけに、結果を知ってから見るのはちょっと辛い。
できればリアルタイムで見たいものですが、以前関東ローカルで見れなかったものを見れるようになった、と思うと喜ばしいものです。贅沢はいけない。
結果を知っていたとしても、楽しみなものは楽しみで、今度は「どちらが勝ったか」よりも「どのようなボクシングを展開したのか」に興味が湧きます。
こうして観戦記を自分の文字で残すことで自分の備忘録にもなりますし、初見で書くこの観戦記は、2度目の視聴ではまた違った感想になるので個人的にはおもしろいものです。
相変わらず激アツなフェニックスバトル、今回はフジテレビで録画放送、FOD/TVerで録画配信という内容。10月も11月も、超がつくほどの注目試合を届けてくれるフェニックスバトル、今回は武居由樹vs竹田梓をメインに据えた興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
9/9(木)フェニックスバトル
54.5kg契約6回戦
武居由樹(大橋)1勝(1KO)無敗
vs
竹田梓(高崎)5勝(5KO)無敗
元K-1王者、武居のプロ2戦目。プロデビュー戦では、やはりさすが元キックの王者、リング慣れしているところと、勝負所での詰めのすばらしさを見せて初回TKO勝利。
パンチの強さやあの詰め作業、「相手を打ち倒す」ことについては、同じく6回戦でデビューするアマキャリアのあるボクサーよりも、なじみやすいかもしれません。
大橋ジムのYoutubeチャンネルや、ボクシングイベント「Legend」で、そのボクシングを見せてきてくれた武居の実力は、もう疑っていません。
あとはK-1時代、「壊しのベビーフェイス」と呼ばれていたらしい(ググりました)ですが、ボクサー、武居のニックネームはまだでしょうか。大橋会長なら何か良いニックネームをつけそうなものですが。
しかし、今回の竹田は、パーフェクトレコードの持ち主。
5勝全KOという強打の持ち主は、新人王トーナメントでの棄権(ケガによる)から約2年ぶりのリングとなるものの、当然武居にとっても脅威。
武居は打たせずに打つ、という事が命題となってきますし、竹田は久々のリングであり、試合勘を早々に取り戻せるか。
ゴング。
まずは前の手で距離を測る両者。慎重な立ち上がりです。武居が様子見とばかりに右ジャブを遠くまで伸ばします。踏み込んで距離が近くなった武居に対して、竹田は右ストレートから左フックと力強いコンビネーションを打ち込みます。
リズムをとって、かなり幅広なスタンスから武居が速いコンビネーション、竹田はがっちりとガードを固め、ブロック主体。ブロックしてから打ち返そうという作戦かもしれませんが、武居はかなり速いです。
観客席が静か、とはいえ、両者のパンチの音がかなり響き渡っていますね。ともにガードしているものの、ともすればすぐ終わってしまいそうな感じもします。
武居の鋭い右ジャブに対し、おそらくバックステップからの攻撃を試みようとしている竹田ですが、そのモーションなく飛んでくる速い右ジャブへの反応はやや遅く、パーリングがやっと。もらわない距離でディフェンスを試しているものの、一発目を躱すなりして攻撃に結び付けようと試している、というところが見え見えか。
と思った残り10秒ほどのところで、武居のジャブで竹田はガードで対応。そして武居はジャブだけでなくそのままボディへのツー、顔面への右フックと高速コンビネーションをつなげ、その右フックが見事テンプルにヒット、竹田はダウン!!!
立ち上がるも、ふらりとよろけた竹田をレフェリーが救い、武居が1RTKOで勝利。
またもまたも、1RTKO勝利。
そこまでの展開は、強打者を相手に非常にヒリヒリしたものでしたが、本当に素晴らしいボクシングでした。
やや後ろ荷重、かなり幅広のスタンスで構える武居は、前の足をかなり遠く(前方方向)に構え、まずは距離を支配。竹田からすると距離が遠く感じたでしょうね。なかなか自分から手が出せませんでした。
そうすると武居は自由にボクシングが出来、すぐに発射できるように構えられた左拳、脇が開いてはいますがそれが左拳をいつでも発射できる準備がされている、という状態だと思います。
最後のコンビネーションも素晴らしかった。内側から鋭く突き刺すジャブを見せておいて、ボディへのストレートはやや前手側に重心を移動しながら打ち、そのポジションからの返しの右フックは自然と外側からのパンチとなります。
あの身体つき、そして元キックボクサーだと考えるとフィジカルの強さも相当なものだと思いますが、それに頼らず、素晴らしいボクシングの距離感と、上下に打ち分ける素晴らしいコンビネーションを見せましたね。
初戦も含めて、勝負どころを逃さない見事な嗅覚、そして攻撃力を持っており、さながら狼のようです。
対して竹田、やはりこのボクサーにも強さを感じます。武居の距離感、スピードに対応できませんでしたが、久しぶりの試合、地方ジムということでなかなか強豪とのスパーリングが積めなかったであろうという事は想像できます。
武居が踏み込んだところでの一瞬のコンタクト、あの場面で当たれば勝負はどちらに転ぶかわかりませんでした。
とはいえ、この一戦を制したのは武居。
これで武居はA級に昇格、8回戦以上を戦えるようになりました。
ここからの道は、より険しくなります。
もし、次戦でランカーと戦えれば日本ランキングを取得でき、王者さえ受けてくれれば王座への挑戦権を得る、ということになります。
来年中に初タイトルを、という大橋会長が言っているので、おそらくバックアップは手厚く、プロ4戦目の地域タイトル戴冠も十分に狙えます。こうなってくると、また非常に楽しみですね。誰が武居を止めるのか、と。
とはいえ、これまで1RTKOで駆け上がってきた武居にとっては、まだテストが必要なことも事実。今後、大橋会長はどのようなキャリアを武居に用意するのでしょうか。
これまで2戦、54.5kgというキャッチウェイトで戦っていますが、この体重はバンタム級リミット(53.52kg)とスーパーバンタム級リミット(55.34kg)のちょうど中間くらい。
バンタム級リミットまであと1kg、と考えるとバンタム級で戦っていく方向性か。
バンタム級は、11/12(金)に日本王座決定戦が再セットされています。
↓澤田vs定常の日本王座決定戦は負傷ドロー。
バンタム級にしろ、スーパーバンタム級にしろ、日本人の体格にハマる階級であり、激戦区。武居由樹というボクサーが、どのようなセンセーションを巻き起こしてくれるのか、楽しみに見ていきたいと思います。
さて、今回のフジボクシング、残りの時間はセミファイナルがダイジェストで流れたのと、先日行われた駿河男児興行、木村蓮太朗vs齋藤暘二が流れます。
↓PPVを買って視聴したときの観戦記。
なるほど、フジテレビはこの木村連太朗を推しているので、テレしずLIVEで見ていない人にもこの素晴らしい一戦が届いてよかった。
結果的に「のちの世界王者」と期待されるボクサーふたりが共演したことになるこのフジボクシング。1ヶ月くらいはFOD/TVerで視聴出来ると思います。
是非是非みなさん、御覧ください。