本来、9/10(日本時間9/11)に行われる予定だった女子ボクシング興行。
興行を目前に控えた9/8、英国の象徴であるエリザベス2世女王陛下がご逝去されました。
そのため、このボクシング興行も延期となり、約1ヶ月超の延期を経て、ラインナップに変更がなく10/15に開催されることになりました。
10/7(日本時間10/8)に行われる予定だったクリス・ユーバンクJr.vsコナー・ベンの一戦はベンに薬物陽性反応が出て延期。ボクシング人気の高いUKですが、この流れは業界的には非常に向かい風でしょうね。
さて、今回のプレビュー記事は10/15に行われる女子ボクシング興行のプレビュー記事ですが、今回は再掲という形になります。前回悲惨なほどのPV数を叩き出した(笑)興行ですが、きっと面白い興行になるはずですので是非予習をしてみてください。
↓英国ボクシング界のGreate Of All Timeについてまとめた記事
8月、日本ではQueen'sCrestという、女子ボクシングの2つの世界タイトル戦を含む5つのタイトル戦を含んだ興行がボクシングの聖地・後楽園ホールで開催され、人気を博しました。
この興行は、女子ボクサーのみが登場した興行で、山中竜也の妹である山中菫(ともに真正)の初戴冠、そしてウェイトオーバーした相手を完璧にアウトボックスした晝田瑞希(三迫)の初戴冠、岩川美花(姫路木下)、黒木優子(YuKOフィットネス)の返り咲きと多くのドラマを生み、話題となった興行となりました。
そして、今週末、世界ではよりスケールアップした女子ボクシング興行が行われます。
近年、飛躍的に向上している女子ボクシングのテクニック。1R2分という短い時間だからこそ、KO決着こそ少ないものの、展開は非常に早い。
今回のイギリス興行では、2つの世界統一戦が実現、その他にも五輪メダリスト、オリンピアンが揃い踏みです。
英国Boxxerというプロモーションがトップランクとともに仕掛けるこの興行は、同様の形態で続いていくならば、女子ボクシング界の未来を切り開くものかもしれません。
ということで今回は、イギリスはロンドン、O2アリーナで開催されるBoxxer興行のプレビュー記事。
10/15(日本時間10/16)イギリス・ロンドン
世界女子ミドル級4団体統一タイトルマッチ
クラレッサ・シールズ(アメリカ)12勝(2KO)無敗
vs
サバンナ・マーシャル(イギリス)12勝(10KO)無敗
2012年のロンドン五輪、2016年のリオ五輪を連覇したクラレッサ・シールズは、2016年に鳴り物入りでプロデビュー。
その期待に違わず、プロわずか4戦目でWBC世界女子スーパーミドル級タイトルを獲得しています。(この時、IBF女子同級王座も決定戦とかけられ、いきなり2冠王者に)
このタイトルを初防衛後、WBC、IBFのミドル級王座を獲得、初防衛とともにWBC王座も獲得します。
デビュー9戦目、2019年4月にWBO王座も獲得、ミドル級の4団体統一王者となったシールズは、翌戦、WBOとWBCのスーパーウェルター級王座も獲得します。その後にはスーパーウェルター級のWBA、IBF王座も獲得してスーパーウェルター級でも4団体統一王者となり、本来であればあり得ない「2階級同時・4団体制覇」を成し遂げています。(しかもその後、総合格闘技にも挑戦。)
統一後、、ミドル級王座はWBO王座を返上し(それをサバンナ・マーシャルが獲得)、スーパーウェルター級王座はすべて返上したシールズの現在の冠は世界女子ミドル級3冠統一王者。
そのキャリアで掛けられたタイトルは、随分乱暴にも思いますが、当然強さは本物で、これまで苦戦というものすら味わっていない絶対王者。
たった12戦で3階級制覇、そのうち2階級で4団体統一を成し遂げる、などということは正気の沙汰ではありませんね。
そんな絶対王者に挑むのが英国期待のサバンナ・マーシャルです。
これまで、シールズの牙城を崩せるボクサーはいませんでしたし、崩せそうなボクサーもいませんでした。ほぼ門前払いのように敗北していった、12人のボクサーたち。
しかし、このサバンナ・マーシャルこそが打倒シールズの最右翼。2020年10月にWBO世界女子ミドル級王座を獲得し、現在までに3度の防衛を記録しています。しかも現在8連続ノックアウト勝利中。
アマ時代、シールズの実績には遠く及ばないものの、シールズ撃破の経験のあるマーシャル。
ちなみにシールズのアマ戦績は77勝(19KO・RSC)1敗という驚異的なものですが、この1敗こそがこのサバンナ・マーシャルによってつけられたもの。
まあ何せこのKO率。この通りに非常にパワーのあるノックアウトパンチャーで、182cmという長身から打ち下ろす右ストレートは破壊力抜群で、女子ボクシングならもしっかりと倒し切る力があるのが持ち味です。
アマ経験のあるマーシャルは、当然技術もありますが、技術においてはシールズの方が1枚上手でしょう。
しかしアマよりもグローブが薄くなり、ヘッドギアもなくなったプロのリング、このことはマーシャルにやや優位に働くという見方も強いはずです。そして、イギリス開催というマーシャルにとってはホームでの試合。
海外のプレビュー記事を読むと、「判定でシールズ、KOでマーシャル」と至極当然のような予想が目につきます。
両者を詳しく見ているわけではありませんが、絶対王者、クラレッサ・シールズを攻略できるのは、もしかしたらこのサバンナ・マーシャルが最後かもしれません。
ただ、戦歴、対戦相手の質としては随分とシールズが上回る事は言うまでもありません。プロキャリアだけでなく、アマキャリアにおいてもそうでしょう。
オッズが非常に拮抗しているのは、マーシャルへの期待の現れ、ということだと思いますが、とにかくこの50-50の頂上決戦は興味深い。
世界女子スーパーフェザー級3団体統一統一戦
ミカエラ・メイヤー(アメリカ)17勝(5KO)無敗
vs
アリシア・バウムガードナー(アメリカ)12勝(7KO)1敗
IBF、WBOの世界女子王座を保持するミカエラ・メイヤーと、WBC王者のアリシア・バウムガードナーが激突します。実質女子スーパーフェザー級の頂上決戦と言える一戦ですね。
アマ時代から米国大会において数々の成績を残してきた元アマエリート、ミカエラ・メイヤー。世界選手権で銅メダルを獲得、リオ五輪ではオリンピック出場を果たしています。
2017年、トップランクと契約してプロデビューしたメイヤーは、2020年10月、WBO世界女子スーパーフェザー級タイトルを獲得。この一戦は、井上尚弥vsジェイソン・マロニーのアンダーカードとして行われました。
2021年6月の初防衛戦も井上尚弥vsマイケル・ダスマリナスのアンダーカードに登場、なので我々はこのボクサーをよく見ているはずですね。同年11月、IBF王座を吸収して2冠王者となり、2冠の初防衛戦をクリアしてこの統一戦に臨みます。
対戦相手のWBC王者、アリシア・バウムガードナーは、アマではメイヤーほどの実績はないものの、The Bombという愛称を持つ強打者です。
メイヤーと同じく2017年のプロデビュー、同年に行われた4戦目までは、キャリアの浅い相手ながらもプロデビュー以来4連続初回KO勝利を記録しています。デビュー7戦目でスプリット判定で初黒星を喫していますが、その後は連戦して連勝、2021年にWBC王者テリ・ハーパー(イギリス)に挑み、敵地で戴冠。
この試合はおそらくバウムガードナーのベストバウト、初回から優勢に試合を進め、4R、ハーパーが出てくるところに右カウンターを振り切ります。
ここで体が硬直してしまったのを即座にレフェリーが救い出したことが話題となりましたね。
↓動画を見つけました!
AND THE NEW! 🇺🇸👑
— DAZN Boxing (@DAZNBoxing) November 14, 2021
Alycia Baumgardner stunned Terri Harper, to become WBC and IBO Super-Featherweight champion.#HarperBaumgardner pic.twitter.com/KzSzv1MKq3
このタイトルの初防衛戦は2022年4月、体重超過した挑戦者に対してフルマークの判定勝利。
アメリカ人同士が、イギリスで戦う、という3団体王座統一戦とはなっていますが、このように「女子ボクシング」というカテゴリーで注目試合をまとめるのが狙いだったのかもしれませんね。
オッズは当然ながら実績に勝るメイヤーが優位、とはでているものの、そこまでの差はないようです。
アンダーカード
その他のアンダーカードにも、女子ボクシング界の注目ホープたちが次々と登場する、世界版Queen's Crest。
東京五輪、女子ミドル級の金メダリストであるローレン・プライス(イギリス)をはじめ、東京五輪、女子フェザー級銅メダリストのカリス・アーティングストール(イギリス)も登場。このアーティングストールは、東京五輪の準決勝で入江聖奈をスプリットまで追い詰めたボクサーですね。アーティングストールは非常にハートの強い、ファイタータイプのボクサーでしたが、プロではどのような戦いを見せてくれるのか。
そしてキャロライン・デュボア(イギリス)というボクサーも登場、あのダニエル・デュボア(イギリス)の妹です。これまでユース・オリンピックで優勝等の経験を持つ元アマチュアエリートです。
イギリスだけではなく、アメリカからも東京五輪に出場したオリンピアンが参戦、フライ級で出場したジニー・フックス(アメリカ)が登場します。
と、いうように、女子ボクシングの「これから」を集めたようなラインナップ、これは注目興行ですね!
↓ミドル級金メダリスト、ローレン・プライスの決勝戦
↓入江聖奈vsアーティングストール!
【放送・配信】
この興行は、英国ではSky Sportsが生中継、米国ではESPNが生中継です。
そして、日本では、、、FITE.TVでの配信があります!
放送カードはおそらく興行のすべて、全10試合(!!)。
金額は1,600円のPPVなので、超お得です笑。
上記のアンダーカード出場の注目女子ボクサーも、全て見れますね。
放送日時は日本時間10/16(日)AM3:30〜となっています。
↓FITE.TVのPPVリストはこちらから
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