人生には3つの坂があるそうです。
上り坂、下り坂、まさか。
私のここのところの仕事は下り坂で、ボクシング界は上り坂ですが、一つのまさかが起こりました。
当然想定しておくべき問題だったのかもしれませんが、7/20(土)のアマプラ興行、WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチを予定していた田中恒成の対戦相手、ジョナタン・ロドリゲスがなんと2.9kgものウェイトオーバー。試合は中止となりました。
どうやら今週の水曜日にも練習中に痙攣を起こし、計量オーバーしたのちの再計量前にも痙攣を起こしたとか。
もはや戦える体ではなく、これは試合中止もやむなしでしょう。
それにしたって楽しみにしていただけに残念です。
↓この記事通り一番楽しみにしていたのに。。。
そんなまさかを乗り越えて、もはや仕事を中抜けしてU-NEXTへと走ります。
ということで今回のブログは、OPBF東洋太平洋ライト級タイトルマッチ、鈴木雅弘vs宇津木秀の観戦記。
7/19(金)ダイナミックグローブ
OPBF東洋太平洋ライト級タイトルマッチ
鈴木雅弘(角海老宝石)10勝(7KO)1敗1分
vs
宇津木秀(ワタナベ)13勝(11KO)1敗
思えば初戦は宇津木を応援していました。その時、すでに日本スーパーライト級タイトルを獲得しており、評価の高い鈴木に対して、じっくりと待っていた(というか待たされていた)宇津木に少々同情する気持ちもあったかもしれません。
今回は、というと、双方王者となり、煮湯を飲んだ末の再戦ですから、どちらを応援するでもなくフラットに見ます。
おそらく前半に強いのは鈴木で、後半に強いのが宇津木。
鈴木が前半をよく戦い、それをどこまで続けられるのかが勝負の分かれ目、つまりは注目は前半だと思っている戦いです。
どちらの勝ち筋も見えそうなので、これはまた非常に興味深い。
初回、まずは鈴木のジャブでスタート。プレスをかけていくのは鈴木の方で、宇津木はコンビネーションで迎え撃ちます。このコンビネーションが非常にコンパクトで丁寧です。
対して鈴木は非常にワイルドなパンチ。鈴木は今日、あまり頭を振らずにプレスをかけて、力で押し潰そうという雰囲気で、ディフェンスはブロッキング主体。
お互いに当たる距離で強打を繰り出す両者、鈴木の左フックがガツンと入れると宇津木もコンパクトな右ストレートをヒット。
宇津木は右ストレートから左アッパーが良い、しかし後半、鈴木がパワフルなパンチをまとめます!これは確実に最後までいかなさそうな初回!
2R、開始早々に打っていったのは宇津木!しかし鈴木はなおもプレスをかけ続け、強いワンツー。相打ちのタイミングでも構わず打ち合う両者、ジリジリと下がる中で鈴木の右フックがヒット!!!
ちょっと効いたか、というところで宇津木は激しく打ち返し、その後の追撃をストップ!
それでもなお、お互いにパンチの当たる距離から離れず、まるでタフネスくらべをしているかのようなパンチの交換!終盤、宇津木が攻めようかというところで鈴木の左フックがヒット!
これはなんという試合でしょう!
3R、宇津木がボディジャブを使い始めます。その後も右ボディストレートから左ボディ、執拗なボディアタックです。
宇津木はそのほか細かなジャブを使い、鈴木がブロッキング主体のところを突き、鈴木の全身を止めます。
中盤に左フックの相打ち、非常に危険なタイミングでのパンチの交換を行った後、宇津木はまたも左ボディ。
揉み合いからも右アッパーをヒットした宇津木、鈴木は大きなアッパー。
今日の宇津木はスロースターターなところもなく、初回から非常にキビキビと動いており、鈴木は抜け出せませんでしたね。
4R、宇津木がリードを軽く使います。こうなると今日の鈴木はヘッドムーブがなく、ブロッキング。ブロッキングをするとどうしても前進は止まってしまいますね。
お互いに左フックのタイミングが怖い。
宇津木は手数を増やし、コツコツとしたパンチを使い始めています。鈴木は相変わらずパワフルで、前戦はこのパターンで宇津木が内側からパンチをまとめていったような記憶があります。
中盤、宇都木の左フックで鈴木はちょっと効いたように見えます。
後半は打ち合い、宇都木の回転力はえぐい。鈴木のパンチは外側から回っていくので、ハンドスピード単体で見れば鈴木が勝るも、この回転力には敵いません。
5R、途中採点は、ジャッジ3者ともに39-37で宇都木。
宇津木は丁寧なボクシング、とにかくジャブから左のボディ、左フックとリードをガンガン使っていきます。
鈴木がどうしても単発狙いになっていく中、宇津木は非常に丁寧でコンパクトなボクシング。
中盤、若干タイミングをずらした宇都木の右ストレートがクリーンヒット!!!
これでダメージを負った鈴木に宇津木はチャージ、ロープでヘッドムーブを繰り出してエスケープした鈴木!
仕切り直してからも近い距離でのボクシング、その中でも宇津木は鈴木の攻撃をしっかりと距離で外し、後半、リラックスした状態からジャブ→右ボディ→左フックのスリーパンチコンビネーション!!
これでぐらりときた鈴木、襲いかかる宇津木!!
鈴木は懸命に頭を動かしてエスケープ、単発で手を出すも残り時間がほぼなくなったところでレフェリーがストップ!!!!
宇津木秀、5RTKO勝利!!
やはり宇津木は強い。
非常に落ち着いたボクシング、からの倒すボクシングは非常に魅力的です。
OPBF東洋太平洋王者、宇津木秀。
WBOアジアパシフィック王者には保田克也(大橋)、日本王者に三代大訓(横浜光)。
今日敗れてしまいましたが鈴木雅弘も強いボクサーですし、もちろんこの階級のナンバーワンはいまだに吉野修一郎(三迫)だとも思います。
8/16に三代が防衛戦とのことですが、ここでもし統一をするのであれば、是非とも保田vs吉野をやってほしい。そして勝者同士がぶつかり、その勝者が間違いなく日本でナンバーワン。
その道程において、アジア最強トーナメントの覇者が日本のナンバーワンに挑むのであればまた面白い。
ライト級では、国内最強を証明するだけでは世界挑戦に至りません。
今後日本最強となったライト級が、全ボクシングファンの期待を背負って世界へ挑む姿を見たい。その日を楽しみにしたいと思います。
雑感
7/18(木)のフェニックスバトル、7/19(金)のダイナミックグローブ。
どちらも非常に素晴らしいマッチアップであり、またその試合内容も本当に素晴らしかった。
安心したことは、このような素晴らしいラインナップであればちゃんとホールに人が入る、ということですね。昨日も今日も、満員ではなかったのかもしれませんが映像で見る限りはちゃんとお客さんが入っていたし、盛り上がってもいました。
先日行われたミドル級のPrize Fighterは、画像で見る限りとんでもなくガラガラでした。
ボクシングの人気のなさたるや。。。と思いましたが、やはり集まるところには(井上尚弥でなくとも)集まりますね。
興行の数を減らすと選手たちにキャリアがなくなる、ということもあるとは思うので、やっぱりホールよりももっと小さなハコを聖地の代わりとしてあっても良いのではないでしょうか。ホールがボクシングの聖地、という文化は無くなってほしくないですが、やっぱり映像でもガラガラの興行を見るのはちょっと嫌ですからね。
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