「ウェルター級」というだけで華があります。
とりわけやはり4Kingsの時代、レナード、ハグラー、ハーンズ、デュランが彩った時代の後もデ・ラ・ホーヤやメイウェザー、名だたるボクサーたちがこの階級を戦ってきました。
そして、テレンス・クロフォード。今は、ジャロン・エニス。
そこから1階級重いスーパーウェルター級(ジュニアミドル級)も「ジュニア」階級としては古く、1962年の設置とのこと。やはり欧米、特にアメリカ人がウェルター級近辺に集合していたことが原因なのでしょうね。
ともあれ、このスーパーウェルター級も激戦区です。
今回、リングマガジンの記事でこのスーパーウェルター級での成功事例、そして階級の壁に阻まれた失敗事例が載っていたので、そのことについて書きたいと思います。ちなみに書かれているのは、元ウェルター級王者がスーパーウェルター級に挑んだ時の成功例と失敗例、というものです。
成功例
ウェルター級からスーパーウェルター級へ階級アップした成功事例は、山ほどあります。では、これは簡単なことかというと勿論そんなことはありません。
ただ、ウェルター級を制してスーパーウェルター級に行く、となると、ウェルター級で素晴らしい実績が必要であるし、人気階級であるウェルター級を制したボクサーはやはり名ボクサーが多いから、成功率も比較的高いと言えるのでしょう。
ウィルフレド・ベニテス、シュガー・レイ・レナード、トーマス・ハーンズ、そしてロベルト・デュラン。
黄金の中量級と呼ばれる時代を彩ったボクサーたちは軒並みこの階級を制覇しているし、遅れてドナルド・カリー、サイモン・ブラウンもウェルター級からスーパーウェルター級を制しています。
90年代に移ってからも、パーネル・ウィテカー、フェリックス・トリニダード、オスカー・デ・ラ・ホーヤといったこれまた名のあるボクサーたちがこの階級で鎬を削っています。この辺りは、私も非常に好きな時代です。
スーパーフェザー級出身のデ・ラ・ホーヤがこの階級まできたというのは本当に驚きで、(もう一ついくけど)そのライバルのシェーン・モズリーだって素晴らしい。
そしてこの階級にあまり馴染みはないかもしれませんが、フロイド・メイウェザーJrもここを制しているし、勿論マニー・パッキャオだってこの階級を制した一人です。
パッキャオといえば最近日本でRIZINのリングに上がったんですね。恥ずかしながらその話は知っていましたが日程まではチェックしてなかったので、終わってから知ったんですが、そのパフォーマンスは散々なものだったらしい。こうして晩節を汚すのはやめてもらいたいものです。
ともあれ、ウェルター級からスーパーウェルター級への階級アップの成功例というのはメイボクサーの証である、とも言えるでしょう。
失敗例
ミルトン・マクローリー、メルドリック・テイラー、モーリス・ブロッカー、アーロン・デイビス。
この名前の羅列をすれば、明らかに成功例として挙げたボクサーたちに劣ります。
アイク・クォーティー、こちらも好きなボクサーではありますが、やはりそのパフォーマンスにはムラがあると言えるでしょう。
カルロス・バルドミール、カーミット・シントロン、そしてアントニオ・マルガリート。こうして失敗例と言われるボクサーたちにも、勿論名選手はいるものの、例えばクォーティーやマルガリートが実績的に歴史に名を残すボクサーか、というとちと違うような気もするのです。
成功例に見る
この記事によると、ウェルター級のチャンピオンがスーパーウェルター級に階級をアップしてチャレンジした例は26人、そしてその18人もが成功している、とのこと。
成功率は驚異の69.2%、これは複数階級制覇において驚異的とも言える成功率ではないでしょうか。
そして上にピックアップした成功例を見る限りは、その多くは歴史に名を残すというレベルの、つまりは殿堂入りするであろうレベルのボクサーたちに他なりません。
では、テレンス・クロフォードはどうなのか。
間違いなく、歴史に名を残す、すでに殿堂入りは確実のボクサーでしょう。
ただし、イズライル・マドリモフがそうではない、というのも言い切れません。ボクシングは何が起こるかわかりません。
マドリモフはP4Pの次点に控えるドミトリー・ビボルのチームメイトであり、カネロ戦の前にスパーリングパートナーを務めていました。トレーニング環境としては、一流のそれです。
当然、マドリモフはクロフォードに勝つつもりであり、これが人生最大のチャンスと語っています。クロフォードに勝てば、再戦です。それが一番稼げる試合でしょうから。
アンダードッグだと理解しているイズライル「ザ・ドリーム」マドリモフ、人生をかけて臨む一戦、これは怖さがありますね。
楽しみましょう。
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