信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】井上拓真vs堤聖也!統一戦への序章か、リベンジのアップセットか。一体我々は何を見たい?

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

10日までを上旬、20日までを中旬、それ以降を下旬とすると、もう9月も下旬に入りました。

とすると、もう少しで10月です。

10月、その中旬には、ボクシングファンの誰しもが待ち望む興行が目白押しです。

世界的にはアルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルはメガマッチですし、その前後に行われるタイトルマッチ群も、日本のボクシングファンにとってはビッグマッチと呼べるものだらけです。

10/12〜10/14のビッグウィークエンド、日本国内で行われる試合で個人的に最も楽しみなタイトルマッチというのは、シベナチ・ノンシンガvs矢吹正道と、井上拓真vs堤聖也です。

ノンシンガvs矢吹に関しては矢吹応援一択なわけですが、井上拓真vs堤聖也についてはどちらを応援すれば良いのかの答えは出ていません。どころか、出ないでしょう。

ということで今回のブログは、そんな井上vs堤をプレビュー。

↓ノンシンガvs矢吹のプレビュー

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 


10/13(日)Prime Video Boxing

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

井上拓真(大橋)20勝(5KO)1敗

vs

堤聖也(角海老宝石)11勝(8KO)無敗2分

1995年生まれというゴールデンエイジ、もう何年も前から「95年世代」として注目を集めたボクサーが激突します。

この2日間にわたる興行で、95年世代が出場する世界タイトルマッチはなんと4試合、そして5選手が出場します。

この95年世代をアマ時代から率いてきたのは田中恒成と井上拓真で、彼らは通算して田中の3勝2敗と勝ち越しているものの、高校時代から互角の戦いを繰り広げてきました。

井上拓真は田中恒成を、田中恒成は井上拓真を、二人の兄たちの世代も含めて意識していたことは想像に難くないし、現にそれぞれがそのような発言をしています。

それでは、堤聖也のことは、井上拓真はどれほど意識をしていたのでしょうか。

これは想像の範囲を出ませんが、おそらく眼中になかったのではないでしょうか。

それでも、29歳の年となる彼らが上がる舞台は、立場こそ違えど同じところです。

 

 

 

井上拓真は、「怪物の弟」として高校3年生の時にプロデビュー。

デビュー戦でのちの世界王者、福原辰弥を判定で破り、デビュー5戦目でOPBF東洋太平洋スーパーフライ級タイトルを獲得しています。

デビュー時からすでに完成されたボクシングを展開していた拓真は、このタイトルを2度防衛ののち返上、その後戦ったボクサーもフローイラン・サルダール、久高寛之、益田健太郎といった元王者、挑戦者決定戦ではマーク・ジョン・ヤップととりわけベテランたちを相手にしてもその技術で上回ってきたという印象です。

ペッチ・CPフレッシュマート(当時)を破ってWBC世界バンタム級王座を獲得したのは2018年のこと。世界王座に挑戦する実績は認められますが、無理矢理感のある暫定王座決定戦だったことは否めません。

その後の王座統一戦ではノルディーヌ・ウバーリに初黒星を喫します。

 

 

 

この初黒星のあとがまたものすごく、栗原慶太、和氣慎吾、古橋岳也といったトップどころを次々と撃破。世界ランキングがヒトケタ位の聞いたことのない外国人選手と戦うよりも、何十倍、いや何百倍ものインパクトをボクシングファンに与え続けました。やりすぎなくらいのマッチメイク。

ここまでの21戦、拓真の相手はボクシングファンにとって馴染みのあるボクサーだらけであり、2023年の王座決定戦もリボリオ・ソリス、そして防衛戦ではジェルウィン・アンカハス、石田匠、そして堤聖也。どうかしています。

但し、です。

挑戦者堤聖也もそういった意味でいうと負けておらず、デビューが大学卒業後の2018年というのは高校3年生でデビューした井上と比べて遅いですが、大学で自力を養った堤もまたものすごいキャリアの持ち主です。

デビューから2戦はタイ人、これは致し方ありません。

デビューしたての頃は(すでにアマチュアボクシング界で燦然と輝いていた)「堤駿斗の兄弟か?」くらいに言われていた堤がその名を轟かせたのは、GOD'S LEFTバンタム級トーナメント。

 

 

 

7名が参加したこのトーナメントで、幸か不幸か堤はシードとなり、初戦となった準決勝では対戦予定だった山下賢哉が減量失敗だったかで棄権、戦わずして決勝へ。

決勝の相手は、初戦と準決勝を初回KOで勝ち上がった中嶋一輝でした。

名王者・山中慎介の名を冠したこのトーナメントで、中嶋の強打は非常に魅力的であり、間違いなくこの決勝戦のAサイドは中嶋でした。しかしこの決勝戦で堤は素晴らしい立ち回りを見せ、結果はドロー。マジョリティドローで優勝は中島となりましたが、堤はたった1試合で「曲者」としてその名を轟かせました。

そこから9ヶ月後、ようやく決まった戦いは、元世界王者の比嘉大吾戦。

比嘉はバンタム級のボクサーとして復帰したばかりで、この試合も勿論もともと人気の高かった比嘉がAサイド。

しかし蓋を開けてみればまともドロー、しかしこの戦いも結果的に堤の評価を上げる戦いになったと思います。

中嶋一輝、比嘉大吾と世界を嘱望されるボクサーたちとドローを演じた堤。この時はまだ、日本の下位ランカーでした。これは誰も、やってくれません。全くメリットがありませんから。

さらに世はコロナ禍、堤は長いレイオフ期間を過ごします。

 

 

 

そうして決まった試合も相手の体調不良により流れ、結果的に堤がリングに帰ってきたのは比嘉戦から1年と8ヶ月が経過した頃でした。

ただ、この1年8ヶ月の間に堤を取り巻く環境は何故だか変わっており、下位だった日本ランキングは(1度も戦うことなく)1位に。なのでこの久々のリング登場が、なんと日本タイトルマッチとなりました。

この頃の日本バンタム級は「呪われたバンタム」と呼ばれており、この呪いを解いたものこそが堤聖也というボクサーです。

澤田京介を倒して手に入れた王座を、大嶋剣心、南出仁を相手に連続KO防衛。そして帝拳ホープ、神の左の後継者とまで言われる増田陸に競り勝ち、穴口一輝にも勝利してモンスタートーナメントを優勝。

そして今年の7月に急遽リングに登場したのち、今回の一戦を迎えます。

井上拓真はトップ・ベテランを破ってきたボクサーですが、堤は若く、勢いのある王者候補たちを破ってきたボクサーです。どちらが優れたキャリアなのか、というのは、正直甲乙つけがたい。

 

 

 

スピード・技術vsパワー・ストラテジー

井上拓真は万能型のオールラウンダーであり、兄と同様に何でもできるというイメージです。離れては素晴らしい出入りとポジショニングを持ち、ピンチに陥れば素晴らしいディフェンス技術を発揮します。

中間距離でカウンター、そして近寄ってもボディを交えた素晴らしいコンビネーションを持つ、まさにボクシングの王道をいくボクサー。これは、井上家のボクシングでしょう。

対して堤は、KO率の高さからも窺えるようにパワー型のボクサーファイターであり、キレのあるパンチャーという表現とはちと違うのですが、そのパンチは非常に固いのでしょう。

そこに加わるのは、そのパンチを当てるインテリジェンスと、曲者とも表される戦略です。

ボクシングに必要な能力をレーダーチャートで表すとするならば、その五角形(六角形かも)は拓真の方が大きなものでしょうし、バランスも良いでしょう。

 

 

 

しかし堤は、そのレーダーチャートに表せない部分の強さを持ち、アップセットを起こせるボクサーでもあります。この部分は、堤にはあって井上にない部分、と言えます。

井上拓真vs堤聖也、もし、戦わば。いや、戦うんですけれども。

順当にいけば井上勝利ながらも、堤のアップセットの可能性は十分過ぎるほどあり、はっきり言えば高校時代のアマチュアボクシングでの対戦なんていうものは全くもって当てにならないです。

それはおそらく、堤が長いラウンドであればあるほどその真価を発揮するボクサーであり、たとえ前半にリードされたとしても、その戦いの中で攻略法を見つけられる頭の良さと対応力、そして何よりもハートの強さを持ったボクサーだからです。

 

 

 

一体何を見たいのか

一体、私は何を見たいのでしょうか。

「井上尚弥」という世界一のボクサーの陰に隠れた超技巧派が、ここをクリアしてP4Pファイターである中谷潤人との統一戦に進む姿なのか。

それとも、呪いを打ち破り、リング禍を乗り越え、予想不利の中で絶対王者へ挑み、純粋な能力だけでは劣るもののそれを克服して世界王座を戴冠する姿なのか。

どちらも見たいし、敗者を見なければならないのであれば、この試合は絶対に見たくない試合でもあります。

勝者と敗者が紙一重で決まる、そしてその勝者には大きな道が開け、敗者はその道がいっときは閉ざされる。

非常に残酷で、目を覆いたくなる戦いですが、これこそがボクシングという競技の醍醐味でもあります。

ボクシングファンとして、当然のことながら、この試合を見逃すことはできません。

心の底から、楽しみにしています。

 

 

 

それでも心の底から、どちらにも負けないでほしいと願います。しかしながら、白黒がつかないのは最も忌み嫌うものです。

このような矛盾を抱えつつ、決着がつく10月13日。

この試合を見届けることは日本のボクシングファンの責務。全ての予定をキャンセルして、心してこの試合を見ましょう。

配信予定

この10/13(日)の興行は、井上拓真vs堤聖也をメインとして、寺地拳四朗vsクリストファー・ロサレスによるWBC世界フライ級王座決定戦、WBAフライ級タイトルマッチ、ユーリ阿久井政悟vsタナンチャイ・チャルンパック、WBO世界ライトフライ級王座決定戦、岩田翔吉vsハイロ・ノリエガとクアドラプル・ヘッダーです。

この前日のノンシンガvs矢吹、当日の午前中にあるベテルビエフvsビボル、翌日のアマプラ興行も含めて非常に濃密な週末です。

配信はAmazon Prime Video、お見逃しなく。

 

 

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