寺地拳四朗vsユーリ阿久井政悟が素晴らしいFOTY候補の試合となり、大きく盛り上がるフライ級。欧米では比較的注目の低い階級ではあるものの、この日本での盛り上がりを受けて比較的海外ニュースに取り上げられる頻度も多くなっているような気もしています。
まあ、そんなこんなで良いマッチアップは良い試合にとって必要不可欠で、「実力差がありそうなマッチアップで好試合」となった場合と「良い試合になりそうな予感があっての好試合」であれば後者の方が好ましい。前者の場合、Aサイドで戦ったボクサーの不調や不甲斐なさが話題になることもあるからです。
ともあれ、今回のブログは好試合となりそうないくつかの未来のマッチアップをピックアップ。
WBC世界フライ級暫定王者、ガラル・ヤファイ
世界中の注目には、このボクサーを呼ばなければなりません。
WBC世界フライ級暫定王者、ガラル・ヤファイ。
言うまでもなく東京五輪の金メダリスト、なので来日はすでに東京五輪のときに果たしています。
兄、カリド・ヤファイは元WBA世界スーパーフライ級王者で、日本人とは村中優、石田匠と戦っており、その二人に勝利しています。まだ現役を続けているのでしょうか、2020年にローマン・ゴンサレスに敗れたあと2022年に再起戦を戦い辛勝、2023年に初回KO負けを喫して2敗目を喫しているようです。試合間隔も空きすぎだし、最新試合が1年半前の初回KO負けというのはリングに戻っても良いパフォーマンスはできそうにありませんね。
話が逸れてしまいましたが、今回は弟、ガラル・ヤファイのことです。
ヤファイは前戦でフライ級のビッグネーム、サニー「Showtime」エドワーズを撃破。この日のサニーは全く動けていなかったし、途中でノーマスしてしまったのでヤファイの真価はわかりませんが、いずれにしろこのヤファイが難敵であることは間違いありません。
9勝(7KO)無敗のヤファイの次戦の相手は、2度の来日経験のあるフランスシスコ・ロドリゲスJr.です。
「チワワ」のニックネームを持つロドリゲスは39勝(27KO)6敗1分の戦績で、敗戦の6つのうちKO負けは大昔、ローマン・ゴンサレスに喫した1敗のみ。この戦いは6Rで行われたもので、もう10年以上前の話です。
ここ最近では井岡一翔に善戦、そして中谷潤人ともフルラウンドを戦っています。
タフでアグレッシブ、アクションの多い好ファイターであるフランシスコ・ロドリゲスJr.、この戦いはヤファイを測るに非常に重要な一戦となりそうです。
この非常に興味深い戦いは、3/25に入札とのこと。そうなるとこの戦いの日付は6月頃でしょうか。それまでにWBA・WBC統一王者の拳四朗が転級を表明すれば、この戦いは正規王座のタイトルマッチとなりますし、拳四朗が階級を上げるタイミングで正規王者になることを考えれば正規王座の決定戦と言っても偽りのない戦い。
拳四朗vsヤファイなんていうのも見たいですが。
WBO世界スーパーフライ級王者プメレレ・カフ
さて、敵地日本で王者田中恒成からWBOタイトルを奪ったプメレレ・カフ。
このスーパーフライ級王者は、当初、初防衛戦でローマン・ゴンサレスを迎えるとのニュースがありました。
かつてのP4Pキングはどんどんブランクの期間が長くなっており、2024年7月に再起戦を戦っていますがその前は2022年12月3日(エストラーダとの3戦目)です。
そして今回も結局リングに上がらない、となるともう半引退状態といっても差し支えはないでしょう。
ロマゴンが離脱のニュースを受け、両手を挙げてその挑戦者に立候補したのは、アンドリュー・モロニーです。
カフの初防衛戦は5月下旬、南アフリカという予定であり、これにモロニーが立候補したというニュース。
期間的にはそろそろタイムリミットが近づいている段階で、南アフリカというカフの地元、ということそ考えると、そこに赴く事ができるコンテンダーはそう多くはありません。敵地上等の気概を持つロード・ウォリアー、モロニー・ブラザーズがここで立候補したことは、ある種当然のことなのかもしれません。
こういう時、おそれを知らず敵地に赴くことができるボクサーが奇跡を起こせると信じたい。カフvsモロニー、ここでモロニーにタイトルを獲得してもらえば、またモロニーを(今度はアンドリューを)日本で見られる日が来るかもしれません。
マグサヨvsエルナンデス
これは大変に興味深い戦いです。
WBCは、この度元WBC世界フェザー級王者マーク・マグサヨと、オシャーキー・フォスターをあと一歩まで追い詰めたエドゥアルド「ロッキー」エルナンデスの間で挑戦者決定戦をオーダー。
これは非常に面白い戦いで、ハイ・アクション・ファイトとなる見込みですね。
27勝(18KO)2敗のマグサヨはゲイリー・ラッセルJr.からWBCタイトルを奪うも、レイ・バルガス、ブランドン・フィゲロアに連敗。このあと再起して3連勝を手にしています。
37勝(32KO)2敗のエドゥアルド「ロッキー」エルナンデスもオシャーキー・フォスターに逆転KO負けを喫した後、3連勝と復調しています。ロッキー・エルナンデスはフォスターに敗れましたが評価を上げたという試合になっており、もしかするとこの試合はこれまでスーパーフェザー級で長く戦ってきたエルナンデスが優位となる試合となるのかもしれません。
こちらは交渉に入っており、期限は4/6です。それまでに決まらなければ入札になるとのこと。
勝者はオシャーキー・フォスターへの挑戦権を手に入れることができますから、この挑戦者決定戦から非常に楽しみな試合ですね。
ジャロン・エニスvsエイマンタス・スタニオニス
これはどう考えてもヤバい一戦。すでに4/12という日程も決まっているファイト、ウェルター級のWBA・IBFの王座統一戦です。
互いに無敗、「全勝」といかないのは両者に「1NC」という戦績があるわけですが、ともかく2人は圧倒的な力をもってウェルター級を統べている王者です。
グイグイと攻めてくるフィジカルファイター、エイマンタス・スタニオニス。リトアニアという出身国も(出身のボクサーは少ないにも関わらず)強そうだし、ここ2戦は無敗のボクサーを相手に完勝、まあ何せ皆このフィジカルにやられています。
ジャロン「ブーツ」エニスは未来のP4P候補であり、33勝29KOという高いKO率を誇るパンチャーです。ここ最近の対戦相手はその実力に比して見劣りする相手となってしまっているということは事実ですが、こればかりはマッチメイクの妙というやつで致し方ありません。
クロフォードのようにライバル不在とならなければ良いが、と思っていましたが、何のことはない、ちゃんと王者が名乗りを上げてくれました。
ジャロン・エニスvsエイマンタス・スタニオニス、この響きだけでも十分すぎるほど素晴らしい戦いは、果たして日本からは佐々木尽という稀代のボクサーがこのウェルター級に挑戦しようとしているのだから、その注目もひとしおです。
6月に佐々木尽がタイトルショットを戦えるのならば、WBC王者のマリオ・バリオスかWBO王者のブライアン・ノーマンJr.か。いずれにしろ、ウェルター級が統一路線となるのならば、今後も非常に楽しみですね。
クリスチャン・ムビリvsディエゴ・パチェコ?
これは本来、少なくとも世界王座の統一戦で行われるべきマッチアップであり、最低でも世界タイトルのかかる試合で行われるべき試合だと思います。
しかし、この二人がトップコンテンダーに位置するスーパーミドル級という階級は、カネロ・アルバレスが君臨し、そのお鉢はコンテンダーたちの意向は全く無視されて回ってきません。そのほとんどすべては、カネロが決めることだからです。
唯一IBFだけはランキングに準じて王座決定戦を行いましたが、それがウィリアム・スカルvsウラディミール・シシュキンというこれまた微妙なファイトであり、非常に高い評価を受けるこの二人には順番が回ってこないまま、ずっとトップコンテンダーで飼い殺し状態。
この戦いはまだ眉唾ではありますが、ステータスが交渉中、と報じられています。
おそらくこの試合がこのタイミングで決まることはないのでしょうが、この階級には元王者のカレブ・プラントもいるし、ハイメ・ムンギアやエドガー・ベルランガといったカネロに負けはしたものの頑張ったボクサーたちもいます。
ムンギアにアップセット勝利したブルーノ・スラーチェも一応いますが、ここにあまり食指は動きません。そして何よりもオスレイ・イグレシアスまでいます。
ムビリは現在リングマガジンランキングで#1、パチェコが#2、そしてイグレシアスが#3。このあたりのボクサーたちが相互にぶつかるタイミングというのはカネロが去った後なのか、それとも居座り続けるカネロに業を煮やした頃なのか。
大注目のスーパーミドル級ファイトも目が離せませんね。
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