2019年12月に、マーロン・タパレス(フィリピン)をアメリカでノックアウトし、IBF暫定王者となった岩佐亮佑(セレス)。
次戦では、当時のIBF王者ダニエル・ローマン(アメリカ)との団体内統一戦が予定されるはずでしたが、そのローマンはムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に破れ無冠に。
ということは、岩佐としては、WBAスーパー・IBF王座を保持するアフマダリエフとの統一戦が既定路線ではありましたが、結局2020年にはその決定の報は流れませんでした。
しかし2021年になり、1/13時点では正式決定ではないものの、この一戦がウズベキスタンで開催されるとの報せが届きました。
IBF世界スーパーバンタム級王者 岩佐亮佑 オフィシャルサイト より
今回のブログでは、今年動き出すスーパーバンタム級の世界王者界隈について書いていきます。
ムロジョン・アフマダリエフvs岩佐亮佑
日程は、3/13(日本時間3/14)。
敵地、ウズベキスタンの首都、タシュケント。岩佐は、敵地に乗り込んで、IBFの正規王座と、WBAスーパーの王座を獲ってくる事はできるのでしょうか。
岩佐はイギリス、アメリカ等、海外での対戦経験はなかなか豊富。これまでは、思ったような結果が出ない事もありましたが、前戦のタパレス戦で大きく払拭されたと言っても良いでしょう。
一度目に世界王者となった時から取り組んできたというフィジカルトレーニングの効果なのか、非常に自信を持って闘っていた姿が印象的で、ハートの強さを感じさせる闘い方でした。かつて、山中慎介(当時帝拳)に苦渋を味わされ、リー・ハスキンス(イギリス)に完全な敗北をつきつけられた岩佐は、小國以載(角海老宝石)を何度も倒してIBF王座を獲得。
しかし、防衛戦では思ったような動きができておらず、地力では勝っていたと思われるTJドヘニー(アイルランド)にタイトルを奪われてしまいました。(そのドヘニーは、ダニエル・ローマンとの統一戦に破れ無冠に。)
そこから何かが吹っ切れた岩佐は、アメリカで2連戦、そして2連勝。見事IBF暫定王座を獲得しました。
昨年の記事です。昨年は全く勝負の年にはなりませんでしたね笑
そのアメリカの2連戦の前までは、もしかすると岩佐のピークは山中戦だったかもしれない、と思う方も多かったのではないでしょうか。私はそうでした。
岩佐が、もしも早熟の天才だったとするならば、あの山中戦の負けは本当に痛かった。しかし、ドヘニー敗戦後の岩佐は、アメリカでセサール・フアレス(メキシコ)に競り勝ち、前述のタパレス戦は完璧なノックアウト戴冠。
ここは期待せずにおれませんが、相手はあのダニエル・ローマンに僅差ながら打ち勝ったアフマダリエフ。
リオオリンピックで銅メダルを獲得した元トップアマ、ムロジョン・アフマダリエフ。
元トップアマらしくテクニックはさることながら、硬質なパンチを持ち、非常にアグレッシブなダニエル・ローマン相手に先手を取り、パワーも十分に感じたアフマダリエフ。
やや振りが大きい部分もありましたが、あの時のボクシングは対ダニエル・ローマン用のボクシングであり、対岩佐にどのようなボクシングを用意してくるのかはわかりません。
それほどボクシングの幅は広く、多用するスウィング気味のパンチに穴がないわけではないものの、非常に強敵です。
加えて、開催地がウズベキスタンというのも岩佐にとっては非常に不利な条件。
おそらく、ポイントはアフマダリエフに流れてしまうでしょう。
アフマダリエフが出てきてくれれば、まだ岩佐にとってはやりやすい展開になるような気がしますが、アマキャリア豊富なアフマダリエフが、戦略を間違えるとも考えづらい。
岩佐にとっては非常に厳しい闘いとなるとは思いますが、タパレス戦で「覚醒」ともいえるほど別のボクサーになったような気がする岩佐、このコロナ禍でさらなるレベルアップをしていることを期待しています。
この一戦は、岩佐にとって非常に不利な条件が多く、ハイリスク。しかし勝利すれば、IBF王座に加えWBAスーパーの2冠王者となり、評価の高いアフマダリエフを降す事でその名が世界に轟くことになるハイリターンの一戦でもあります。
岩佐亮佑、漢を示す時です!がんばってもらいたい。(と、その前に正式発表を待望しておきましょう!)
そして、その他にも王座も統一の流れが。
WBAレギュラー王者とWBC王者の統一戦?
↓過去記事です。
WBAレギュラー王者、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)がWBC王者、ルイス・ネリ(メキシコ)との対戦を合意した、との報道が出たのは昨年の12月の事でした。
WBAは、レギュラー王者の他団体との統一戦は認めていないはずです。ただ、そこは天下のWBAなので、その約束は反故にすることもお金のためなら厭いません。
こちらもあくまでも正式発表はまだですが、なんだか締結しそうな感じがします。
今後、まだまだ不確定要素はあるものの、決まるとすれば今年の春頃かと思います。
そして統一戦ではありませんが、WBO王者も次戦が決まっています。
WBO王者はアンジェロ・レオ。
WBO世界スーパーバンタム級王者、アンジェロ・レオ(アメリカ)は、前戦でトラメイン・ウィリアムス(アメリカ)を破り初戴冠しました。
本来であればこのタイトルは、ステファン・フルトン(アメリカ)との間で決定戦が行われる予定でした。しかし、フルトンがコロナで陽性となり、急遽レオの相手がウィリアムスに変更されたという経緯がありました。
そのため、初防衛戦でフルトンの挑戦を受けなければなりません。
このアンジェロ・レオvsステファン・フルトンは、1/23(日本時間1/24)に行われる事が決定しています。
この一戦は、好戦的なレオ、ボックスするフルトンと好対照な両者の対戦となり、かなり興味深い一戦です。両者にとって試されるともいえる無敗対決!楽しみですね。
そして、この同日にセットされているのが、WBA世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦。
1階級に3人の王者の擁立を目指す(?)WBAの得意の謎の暫定王座戦で、ライース・アリーム(アメリカ)vsビクター・パシラス(アメリカ)という無敗対決の一戦です。
スーパーバンタム級の日本人ボクサーは?
このブログでは何度も何度も触れていますが、スーパーバンタム級で世界に最も近いボクサーは勅使河原弘晶(三迫)。世界初戴冠を果たしていない日本人ボクサーの中では、最も世界に近いとも言えます。
勅使河原は、IBFで3位、WBCで4位と上位につけており、世界挑戦目前です。しかし世界王者界隈が統一戦に動いている現在においては、待つほかありません。
最もスムーズに世界挑戦ができそうなのは、ランキングや指名挑戦権に厳格なIBFの挑戦者決定戦をしてそれに勝利、その後IBF王者であるアフマダリエフか岩佐に挑戦、というのが最短の道でしょう。
今年中に可能な道はそれしかない、ともいえます。
そしてWBC、IBF、WBOのランキングで下位につける赤穂亮(横浜光)は、WBOアジア・パシフィック王者、ジュンリエル・ラモナル(フィリピン)に挑戦希望とのことから、順当にいけばWBO王座を狙う事になるでしょう。
他には小國以載(角海老宝石)、和氣慎吾(FLARE山上)。
小國は2019年5月の試合から遠ざかっており、今後はまだまだ不透明ながらWBAのランキングで上位に入っていますので、ともすればすぐに世界戦が決まる可能性もあります。
和氣はラモナルに番狂わせでのKO負けを喫してから、2020年8月に復帰。今年中のどこかで自分よりも上のランクのボクサーと戦えれば上出来。ただ、それには海外選手でなければならないでしょう。(日本人ボクサーはおそらく対戦したがらないと思われます。)
今年は、いや今年こそはこの階級では勅使河原弘晶の戴冠に期待をしていますが、世界タイトル戦線に(スケジュール的に)食い込める可能性は如何ほどか。
まずはアフマダリエフvs岩佐の正式決定を待ちたいと思います。