あっという間に10月。時の経つのは早いものですね。
そう感じるのは私が年を取ったせいなのか、それともコロナでどこにも出かけられないからなのか。
さて、10月。10月もビッグマッチ、注目試合が目白押しなわけですが、まず最初のビッグマッチといえばタイソン・フューリー(イギリス)vsデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)。
しかし、フューリーの1勝1分で迎えた第3戦は、果たしてそれほどの注目を集めているのでしょうか。
フューリー、及びフューリー陣営がコロナに罹患し、延期となったこの試合の日程は10/9(日本時間10/10)ですが、一部の報道ではコロナ罹患はブラフで、本当はプロモーションの割にチケットが売れなかったから。。。というのもありました。
さすがにそれで延期、というのは考えられませんが(延期しても売れないものは売れないので)、もしかするとアメリカでもさほど興味を引いていないのかもしれません。
しかし、この試合はESPN+のPPV。アメリカでは79.99$の金額で売られるようです。
我が日本では、本当に有り難いことにWOWOWが生配信、生中継してくれます。
「フューリーvsワイルダー3」、この興行には、もともとアンダーカードにヘビー級ボクサーたちがわんさか登場する、ヘビー級祭りのような興行でした。もともとの日程は現地時間で7/24であり、この日程で戦えば勝者はジョシュアとの統一戦がクローズアップされていたでしょうし、アンダーカードに出場して、インパクトを残したボクサーたちがそれに対して吠え、よりヘビー級が盛り上がったかもしれません。
しかし、そんなプロモーターたちの思惑を無視するかのように、アンソニー・ジョシュア(イギリス)はオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に完敗。
ここがボクシングのおもしろいところですね。
本日のブログでは、この日本時間10/10(日)に迫った、フューリーvsワイルダー3のプレビュー記事です。
↓AJvsウシク後の記事。
WBC世界ヘビー級タイトルマッチ
タイソン・フューリー(イギリス)30勝(21KO)無敗1分
vs
デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)42勝(41KO)1敗1分
↑6月の記者会見のあと、フューリーのコロナ罹患が判明。
と、前段でネガティブなことを書きましたが、個人的には非常に注目しているこの一戦。そのキモは、ワイルダーが前戦の汚名を晴らせるのか、それとも否か。
両者の経歴は思い切り省きますが、ふたりの初戦は2018年12月。ワイルダーの持つWBCタイトルに、フューリーが挑む形でした。
この初戦、フューリーはワイルダーをアウトボックスしたものの、9Rと12Rにダウンを奪われて結果ドロー。ワイルダーもダウンを奪ったものの、それで試合を終わらせることができず、ゾンビのように立ち上がったフューリーに判定まで逃げ切られました。
正直、判定ではフューリー優位かと思いましたが、3者3様の引き分け、それぞれが持ち味を発揮し、痛み分けというおもしろい試合でした。
そしてその1年2ヶ月後、コロナショックの前の2020年2月。
両者は再戦に臨んだのです。
↓試合後に書いた記事
ワイルダーはこの試合、ほとんど持ち味を出せず、フューリーは増量、そしてプレスをかけるという自分のプランどおりに戦い、見事7Rでストップ勝ちを手にしました。
これは非常に残念、ワイルダーに失望したファンも多かったのではないか、と思います。
その後の言い訳もひどかったですね。入場の衣装が重かった(約18kg!)、陣営が悪かった、等々。。。完全に人のせい。
知らんがな。
衣装を選んだのは自分の責任で、あれで脚が動かなくなったという言い訳は愚の骨頂。あと、ワイルダーは目も瞬きを繰り返していましたね。衣装の目の部分に電飾がはいっていたからだと思います。
そして、ワイルダーはこのあと陣営を一新。どうやらストップのタイミング(陣営のタオル投入)が早すぎた、というのが理由だそうなのですが、あの棄権の意思表示は妥当、もしくはもう少し早く止めても良さそうだ、とさえ思います。
。。。なんですが、結局はあのパンチに魅了されている一人のファンとして、素直にここはワイルダーに汚名を返上してもらいたい。
ワイルダーのパンチが、様々な出来事を経て曇っていないことを願います。
フューリー第二戦から1年と半年、このブランクがどう出るか。一発当たれば。。。というボクシングになにかをプラスしなければ、策士・フューリーはおそらく再戦のたびに強さを増していくボクサーです。
ワイルダーのもう一段階の覚醒に期待したいものです。
さて、対するフューリー、こちらは盤石の構えでしょうね。
ワイルダーは様々な言い訳を持ってきているものの、前戦でフューリーのプレスに押されてしまったのも事実。
フューリーは1戦よりもかなり重くして2戦を戦っており、決してフィジカルが強いとはいえないワイルダーをしっかりと下がらせています。(ワイルダーも1戦目よりも重かったにもかかわらず)
下がらせるために自身を重くし、プレスをかけてワイルダーを下がらせ、ワイルダーのパンチの効果をなくした上で自身のパンチを当てる。素晴らしい戦術でした。
それにワイルダーの自業自得の不調も相まって、完璧なTKO勝利。
とはいえ、フューリーにとってプラス要素しかないのか、というとまた違います。
フューリーも精神的に不安定なところがある、というのは事実で、試合によってその出来はまちまち。大注目を集めた1戦目、そして2戦目と違い、今回この第3戦目はおそらく注目度に劣り、その分フューリーのモチベーションも高くないかもしれません。
加えて、一度は締結したAJとのメガマッチ、こちらもAJの敗北により流れてしまい、この先の目標を見失ってしまったかもしれません。
なので、今回、ワイルダーが勝つ、という「番狂わせ」(あえてそう言います)が起こる可能性は大いにあるのではないでしょうか。(これは、俗に言う「希望敵観測」というやつです。)
ワイルダーも、さほど気持ちが強いファイターではない気がしますが、ワイルダーには「一発」というすがれるものがある分、気持ちは折れにくいはずです。
誰が相手でも、自分のパンチさえ当たれば倒せる、おそらくそう思っていますし、我々ファンもそう思っています。
その大きな精神的支柱はきっと崩れない分、フューリーが前戦を経た上で「楽勝」ムードで臨んできてくれれば勝負はわかりません。
ワイルダーは、ここからまだフューリーが精神的に揺さぶりをかけてくる可能性、前戦と同様に入場にものすごい時間をかけてくるかもしれない可能性を考えておくべき。前者は完全に無視し、後者は折込済みで考えるべきです。
そして何より、次のワイルダーのリングコスチュームは軽く、シンプルなものにすべき。
マイク・タイソンのようにタオル一枚羽織った姿で入場してほしい。
アンダーカードはヘビー級揃い!
さて、この79.99$で購入できるPPVファイトのカードは、全4試合のようです。この他にもたくさんの注目試合が、このアンダーカードに組み込まれているのですが、おそらくWOWOWでは放送されません。
アメリカでは、いつもの流れだとESPN+で無料放送されるはず。私はESPNに加入しているのでそちらで見ますが。
↓大変ですが、もし興味があれば。
WOWOWではだいたい3試合の放映が多いと思いますが、今回は4試合かもしれません(3試合かもしれませんが)。
エフェ・アジャグバ(ナイジェリア)15勝(12KO)無敗
vs
フランク・サンチェス(キューバ)18勝(13KO)無敗1NC
サンチェスの持つWBOの地域タイトル、NABOヘビー級タイトルマッチ10回戦として行われる一戦です。
ともに27歳、29歳とまだまだ若い、プロスペクト。両者ともにこれはチャレンジマッチ、ということになりますかね。
アジャグバは前戦、素晴らしいワンツーでアメリカのブライアン・ハワードをノックアウトしたボクサー。何でもない普通のワンツーに見えましたが、これを喰らったハワードは一瞬で気を失い、力なくリングへ落下。レフェリーはすぐに試合を止めました。
Nigerian Heavyweight Boxer, Efe Ajagba increases his unbeaten run to 15-0 (12 KOs) following a devastating KO against Brian Howard in the 3rd round.pic.twitter.com/C9lL5Bo0Ec
— Africa Facts Zone (@AfricaFactsZone) April 11, 2021
基本に忠実なスタイルで、ヘビー級ボクサーながら一発に頼らないボクシングで上がってきています。とはいえパワーは勿論あり、リーチも216cmと非常に体格にも恵まれています。
対してサンチェス、こちらはカネロのチームに所属しているボクサーです。
前戦は負傷判定で勝利(フルマーク)ですが、話題になったのは前々戦、メキシコのジュリアン・フェルナンデスをリング外まで叩き出したノックアウト勝利。「キューバの閃光」の異名は伊達ではありません。
Heavyweight Frank Sanchez knocks Julian Fernandez through the ropes to get the TKO win on the #CaneloSmith undercard on DAZN. pic.twitter.com/xt1alZSGqv
— Ben Baby (@Ben_Baby) December 20, 2020
これは怪物プロスペクト同士の一戦であり、次世代のヘビー級のぶつかりあいです。ナイジェリア、キューバと決してAサイドになれなそうなお国柄ですが、ヘビー級では試合のおもしろさ、豪快さというものが他の階級よりも評価される傾向にあると思います。
このふたりのボクサーのどちらかが、アメリカンドリームを掴むための最後の一歩。進むのか、躓くのか、で大きな違いがありそうです。非常に興味深い次世代ヘビー級の一戦、おそらくこの試合がセミファイナル。
ロバート・ヘレニウス(フィンランド)30勝(19KO)3敗
vs
アダム・コウナッキ(ポーランド)20勝(15KO)1敗
同じくヘビー級、こちらは2020年3月7日以来の再戦。
当時、無敗のプロスペクト、コウナッキがベテラン、ヘレニウスを踏み台にしようと試合でしたが、ここでヘレニウスが意地を見せて4RTKO勝利。
Así fue como Helenius venció a Adam Kownacki, en el 4to round de la cartelera principal de @premierboxing.#PBCenFD #KownackiHelenius pic.twitter.com/0xR8NK23H5
— FOX Deportes (@FOXDeportes) March 8, 2020
ヘレニウスは歴戦の雄ですが、トップに迫れるか、というとそうではないボクサー。コウナッキはここでヘレニウスを乗り越えなければ、トップ戦線に食い込むことは難しいでしょう。
前戦、敗北したとはいえ今回もオッズはコウナッキが優位。ヘレニウスは2戦連続、アップセットを起こせるか。
もしコウナッキが、前戦でヘレニウスに苦手意識を持ってしまっていたら?可能性は大いにあります。
これまた興味深いヘビー級の一戦が、(おそらく)セミセミ。
ジャレッド・アンダーソン(アメリカ)9勝(9KO)無敗
vs
ウラディミール・テレシュキン(ロシア)22勝(12KO)無敗1分
アメリカ期待のプロスペクト、ジャレッド・アンダーソン。弱冠21歳のビッグベイビーは、現在はパーフェクトレコードを継続中。
これまではまだ強豪との対戦経験がありませんでしたが、今回は無敗のロシア人ボクサーが相手、ということで試される試合となるのかもしれません。
と思って、テレシュキン(という読み方なのかはわかりません)の映像を探してみましたが、なるほど、ヘビー級ボクサーっぽい、どちらかというと愚鈍に見えるボクサー。
これまでの対戦相手の戦績を調べてみても、連敗中のボクサーを相手に戦績を稼いでいるようなイメージです。
アンダーソンの方が、強豪と戦っていそう。
ということで、番狂わせの望みは薄いものの、ここはヘビー級。一発で試合がひっくり返ってしまう可能性は大いにあります。
ただ、結局はアンダーソンの痛快KOでこのPPVファイトの幕開けを期待してしまう感じです。
この試合はPPVの初戦、WOWOWで中継されるかはわかりません。
放映してもらいたいものですね。
ということで、とりあえず、フューリーvsワイルダー3の興行、おそらくWOWOWで放映されるであろうPPVファイトのプレビューでした。
この他にも、ESPN+で放映されるアンダーカードには、17勝中16の1RKOを記録しているエドガー・ベルランガ、元世界王者のジュリアン・ウィリアムズやランセス・バルテレミー、リオ五輪金メダリストのロベイシー・ラミレスと、注目ボクサーが目白押し。
このアンダーカードのプレビューもどこかで書きたいと思っていますが。。。
とにかくこの10/9(日本時間10/10)はぶっ込みすぎ、と思うくらい楽しみな試合ばかりです!
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↓10月の放送/配信情報。今月はWOWOWで生放送が2回も!!