先日、バンタム級の展望記事を書き、アップしました。
しかしこのアップされた日の翌日、正確には数時間後にWBCのランキングが発表、バンタム級では井上拓真が2位に浮上し、那須川vs井上拓真なるか、と話題になっています。
↓バンタム級についての記事
なぜここにきて井上拓真がランクアップしたのか、ということについては、那須川vs井上拓真の画策、というのがおそらく根底にあるのでしょう。
WBCでは8月度のランキングで、なんと新たに7人ものボクサーをランキング1位になったそうです。この7名が全員、先月試合をしたかというとそうではありません。
ということで今回のブログは、WBCの8月度ランキングを見てみましょう。
フライ級では寺地拳四朗が1位に!
ミニマム級のランキングは変動なし、ライトフライ級は前王者、パンヤ・プラダブスリ(タイ)を破ったカルロス・カニサレス(ベネズエラ)が王者となり、繰り上がる形でエリック・バディージョ(メキシコ)がトップコンテンダーに。パンヤは4位に後退していますね。これは順当なことだと思います。
フライ級では寺地拳四朗(BMB)を破って統一王者となったリカルド・サンドバル(アメリカ)が新王者に、そして暫定王者だったフランシスコ・ロドリゲスJr.(メキシコ)は薬物陽性反応によりガラル・ヤファイ(イギリス)との戦いがノーコンテストとなり、ヤファイが暫定王者に復帰しています。
ここで1位が寺地拳四朗、2位がロドリゲス。1位だったユーリ阿久井は3位に後退しています。
元王者が敗れた場合、かなり接戦であったとしてももう少しランキングを下げておかないと、結局ランキング上位でのみ回されてしまいます。これではダイレクトリマッチが既定路線で、そのことをWBCは許容している、としか思えません。
とはいっても、ユーリ阿久井も前戦で拳四朗の敗北して1位に残っていたのですが。
理由が理由だけに、ロドリゲスの2位はいただけませんね。
スーパーフライ級も動きなし。王者のジェシー「バム」ロドリゲス(アメリカ)はプメレレ・カフ(南アフリカ)を破って統一王者に輝いており、次は11月、WBA王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)との一戦。WBCのコンテンダーとしては待たされることになるので、もし1位のカルロス・クアドラス(メキシコ)がゴネればおそらくWBC暫定王座決定戦が組まれるのでしょう。
バンタム級は那須川天心vs井上拓真で決定戦なるか?
そして前述のとおり、バンタム級は王者中谷潤人(M.T)、1位に那須川天心(帝拳)、2位に井上拓真(大橋)。これまで2位だったファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)が3位に後退、以下、アンドリュー・ケイン(イギリス)が4位と続いています。
井上拓真のランクアップについては全く納得性がないので、もうこれは天心vs拓真のため、ということになるでしょう。エストラーダに王座決定戦のオファーがあったが、彼が日本に行くのを断った、という水面下の動きもあるのかもしれません。いずれにしろ、この水面下の動きがあったり、日本ボクシング界の思惑が反映されてのこの順位であれば、那須川天心vs井上拓真での王座決定戦、というのが濃厚だと思います。
那須川は世界王者になれるボクサーだと思いますし、ボクシング界としてはなってもらわなければ困ります。初挑戦が井上拓真で良いのか、というのはどうなんでしょうね。そんなにも、自信があるのでしょうか。個人的には、「強いボクサー同士の試合が見たい」反面、勝負どころと勝負どころでないところを区切ってやってほしいと思っているので、この二人は王座決定戦でやる必要性はないように感じますね。
スーパーバンタム級もほぼ変わらず、の中で、ルイス・ネリ(メキシコ)、ラモン・カルデナス(アメリカ)が1つずつ順位を挙げています。もともと3位だった中嶋一輝(大橋)が5位に後退した影響で、これは意味不明ですが、現時点でのことなので、大勢に影響はないでしょう。
フェザー級は正規王者にスティーブン・フルトン(アメリカ)、暫定王者にブルース・キャリントン(アメリカ)、そして(いつまで)休養(しとんねん)王者にレイ・バルガス(メキシコ)。フルトンはスーパーフェザー級挑戦を控えており、キャリントンはランキング下位のボクサーを王座決定戦で破っての暫定王座戴冠、そしてレイ・バルガスはレイ・バルガスなので、改めて考えてみればもはや王者は不在のようなものです。
この後はキャリントンが正規王者を引き継ぐか、フルトンがスーパーフェザー級挑戦に失敗してフルトンvsキャリントンが行われるのか、というところでしょうか。1位はナサニエル・コリンズ(イギリス)が順当にアップしています。
スーパーフェザー級はマーク・マグサヨ(フィリピン)がトップコンテンダーに。これは先月まで1位にいたエドゥアルド「ロッキー」エルナンデス(メキシコ)が突如ランク外、となったことによるものです。しばらく以前、ロッキーvsマグサヨという挑戦者決定戦がオーダーされていましたが、これをエルナンデスが負傷により離脱。エルナンデスはその後、医学的理由により出場不可(復帰にしばらくかかる)とのことで、ランキングから除外されたようです。これ、完全に除外というのは非常に珍しいことですね。心配です。
これによりマグサヨは王者オシャーキー・フォスター(アメリカ)への挑戦権を手に入れています。
ツッコミどころだらけの中量級!
さて、ライト級には全く変化がありませんが、スーパーライト級ではサブリエル・マティアス(プエルトリコ)が新王者となっています。そして前王者となったアルベルト・プエジョ(ドミニカ共和国)が2位にランクイン。
1位は相変わらずダルトン・スミス(イギリス)で、スミスが指名挑戦者としてマティアスに挑戦予定ですね。
しかし、暫定王者にはイサック・クルス(メキシコ)。マティアスが新王者となった1週間後に暫定王座決定戦に勝利して王者となったクルス、本来であれば指名挑戦権を持つのは暫定王者の方でしょう。正規王者と暫定王者がほぼ同時に決まる、という謎ムーブ、これこそがWBCの真骨頂ですね。
そしてウェルター級ではマニー・パッキャオ(フィリピン)が1位にランクイン。そもそも先月に王者マリオ・バリオス(アメリカ)に挑戦する前はランク外だったようですね。それは世界タイトル戦と認めても良いのか。形だけでもそこで入れておくべきだったのではないか、と思います。まあ、ともあれ引き分けだったからランキング1位でも良いのでは、というのはまだわかりますが、果たしてパッキャオは今後も戦い続けるのでしょうか。
スーパーウェルター級は、ウェルター級からの転級を表明したジャロン・エニス(アメリカ)が1位にランクイン。まあ、これは良いのですが、現在のこの階級は正規王者にセバスチャン・フンドラ(アメリカ)、暫定王者にバージル・オルティスJr.(アメリカ)と2人体制。
しかもエニスが挑むのはおそらくフンドラではなく、バージル・オルティスJr.でしょう。フンドラは未だ鎖国政策のPBC、そしてオルティスはGBP、エニスはマッチルーム。とすれば、DAZNをプラットフォームとするGBPとマッチルームの方が試合が組みやすいというのは確かです。まあ、その前に本当はこちらはフンドラvsオルティスをやるべきなんでしょうけれども。
スーパーミドルはちょっとアツい
ミドル級も特に動きはありませんが、スーパーミドル級はちょっとアツい。正規王者にカネロ・アルバレス(メキシコ)がいますが、独自路線なのでいないようなものです。
ということでこの階級に暫定王者、クリスチャン・ムビリ(フランス)が誕生したことは、この階級の活性化につながると信じています。
そして1位はエドガー・ベルランガ(アメリカ)に素晴らしいKO勝利をしたハムザ・シーラズ(イギリス)。ムビリvsシーラズはなかなかアツい。
2位は薬物陽性反応が出たハイメ・ムンギア(メキシコ)。フライ級のロドリゲスもそうですが、WBCは独自で「クリーン・プログラム」なんていうイベント打ってますが、PEDをもっと厳しくすることで失った信頼を勝ち得てもらいたいですね。
その上の階級はライトヘビー級、クルーザー級、ヘビー級は特に変化ないですね。もちろん、ブリッジャー級も。
ブリッジャー級って正規王者の他に暫定王者もいたんですね。これは驚きです。
最近のトピックについて
全く持って別件ですが、今月2日のダイナミックグローブで、浦川大将、そして神足茂利、このダイナミックグローブに出場した2人のボクサーが逝去。日本ライト級挑戦者決定戦、そしてOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチという冠のついたマッチアップで起こった悲劇は、出場した両ボクサーともに技術的に不足していることもないし、その1時間に満たない試合の中でレフェリーや陣営に責を負わせることもできないもの。原因としては水抜きでの減量や対応の遅さ、そういったものを指摘するものもありますが、結局のところはわかりません。
未だ戦い続けている重岡銀次朗も含め、ここ最近のリング禍というのはファンとしても非常に堪える出来事ではありますが、結局のところ私はこの問題に言及する筆を持っていません。
ただただ御冥福をお祈りし、そして重岡については戻ってきてくれることを切に願います。
人が亡くなってもこの競技を見続ける、やり続けるというのはどこか不合理ではありますが、安全性の確保、競技の存続はできる人、知見のある人に任せ、無責任ながらもいちファンとしてこの競技を見守り続けたいと思います。
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