さて、次の週末はリヤドシーズンです。
日本時間では8/17(日)AM1:45の開始、メインイベントはAM6:20くらいの予定。
この日はリヤドシーズンらしいマッチアップですが、DAZNペイパービューファイトというとちょっと違和感がありますね。
ただ、日本のファンにとっては堤駿斗(志成)が登場すること、井上尚弥の対戦相手候補として注目されているニック・ボール(イギリス)があのサム・グッドマン(オーストラリア)と対戦する、となれば興味が湧くでしょう。
世界的に見ればこの興行は、ヘビー級のネクストスターのための興行です。
ということで今回のブログは、8/16(日本時間8/17)に行われるリヤドシーズンのプレビュー記事。
8/16(日本時間8/17)サウジアラビア・リヤド
モーゼス・イタウマ(イギリス)12勝(10KO)無敗
vs
ディリアン・ホワイト(イギリス)31勝(21KO)3敗
モーゼス・イタウマはヘビー級の未来。アメリカンプロスペクト、ジャレッド・アンダーソンが世界タイトルに辿り着く前に敗北を喫してしまい、もうアメリカにはリチャード・トーレスJr.しかいないという状態。
しかしイギリスは、というとタレントがまだまだ豊富であり、幾度もビッグマッチを経験しているダニエル・デュボア(イギリス)は27歳で、このモーゼス・イタウマはまだ20歳という若さです。
12勝中10KOという高いKO率を誇るイタウマは、もう4度目のリヤド登場と期待されているボクサーで、今回もオッズとしては優位です。
判定までもつれ込んだのは3戦目、4戦目の6回戦を戦った時で、それ以降は当然KO勝利、しかも1Rか2Rで試合を終わらせています。
これまでの10KOの内訳は初回KOが7度、2RKOが3度というもので、2023年の1月にデビュー以来、わずか2年半の間でこの戦績。
アマ時代はIBAのユース世界選手権で優勝、この土台をもってしてスピード、コンビネーション、そして当然のようにパワーがあり、ほかのヘビー級ボクサーたちがこのスピードにまずついていけない、というのが序盤のKOを生み出している理由かと思います。
スロバキアで生まれたイタウマ、そのボクシングは英国仕込み。ナチュラルなヘビー級のボクサーたちでさえ、近年、パワー頼りから脱却して久しいですが、このイタウマはその集大成のようにも思えるボクサーです。
そんな大きな期待を受けるモーゼス・イタウマの相手はディリアン・ホワイトです。これは正直、個人的な見解を言えば時期尚早、もっとキャリアを積ませてからの方が良いのではないか、と心配になるほどのマッチメイク。
ディリアン・ホワイトはプロの中のプロ。もちろんアマ経験はあるわけですが、その闘志、戦い方、ハートの強さやタフネス、スタミナ、どれをとってもアップセットを起こせる可能性を持っているボクサーです。
3つの敗北は2015年のアンソニー・ジョシュア戦、2020年のアレクサンダー・ポヴェトキン戦(ダイレクトリマッチでリベンジ)、2022年のタイソン・フューリー戦。
ジョシュアはホワイト戦をクリアしてその次、IBFタイトルを初戴冠しているし、フューリーはワイルダーとの3戦目のあと、ということを考えると、彼らの全盛期と戦った経験を持っています。
フューリーに負けた後の復帰戦では当時無敗のジャーメイン・フランクリンJr.(アメリカ)二判定勝利、その後は2連続ストップ勝利を挙げています。このキャリアは凄まじく、ホワイトのプレッシャーはイタウマが経験したことのないものでしょうから、イタウマとしてもかなり危険を伴うのではないか、と思っています。
ハートの強いホワイトは、まだまだ未知の部分の多いイタウマを削り、疲弊させての後半勝負を狙ってくるはずです。後半にいけばいくほど、プロとしての経験の差は出てくるでしょうから、特に危険な前半をしのぎ、なるべく早くにプレッシャーをかけて消耗戦に持ち込めるか、は勝負の鍵。そして彼のニックネーム「ボディ・スナッチャー」よろしく如何に左ボディショットを叩き込めるか、そして得意の左フックを当てられるか、というのがホワイトのやることで、作戦としては非常にシンプルで良いと思います。
一方でイタウマは、さすがにこれまでの試合と同様に早期KOはないと思うので、モーゼス・イタウマのポテンシャルがいかほどか、を大きく試される試合になるのではないかと思います。
ペース配分、強いプレッシャーにさらされた時の振る舞い、そしてそのプレッシャーにさらされたときの12Rの戦い方。これをもし、難なくこなすようであれば、イタウマはもはや世界王者の器たり得るでしょう。
当然、ホワイトの37歳の年齢は、ホワイトにとってディスアドバンテージとなり得るものの、そこには経験値も乗ってきています。
モーゼス・イタウマが本物であることはこれまでのパフォーマンスでほぼ確定的ですが、それ以上の怪物であるかどうか。この試合を通じて、イタウマに下される判定や如何に。
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
ニック「レッキング」ボール(イギリス)22勝(13KO)無敗1分
vs
サム・グッドマン(オーストラリア)20勝(8KO)無敗
現時点で、イギリス唯一の世界王者であるニック・ボール。
ビートルズの出身地である港町、リバプールで生まれ育った彼も、そのエキサイティングなファイトスタイルからトゥルキ・アラルシクのお気に入りのボクサーの一人であり、リヤドシーズンには3度目の登場です。
2023年にアイザック・ドグボエ(イギリス)を撃破してWBCの挑戦権を獲得したボールは、2024年3月のリヤドシーズンでレイ・バルガス(メキシコ)に挑戦。2度のダウンを奪い、勝利を得たかに思いましたが、判定はドローでした。
しかしその戦いは認められ、復帰戦でWBA世界フェザー級王座二挑戦、レイモンド・フォード(アメリカ)を破って念願のタイトル奪取を果たすと、ロニー・リオス(アメリカ)、TJドヘニー(アイルランド)を地元リバプールに呼んでストップ勝利、防衛記録を伸ばしています。
絶え間なく前に出続けるファイトスタイルで、無尽蔵のスタミナ、そしてフィジカルの強さを活かしたボクシング。157cmというフェザー級では飛び抜けて小さな体躯をよく活かしていますね。
対してサム・グッドマン、もうすでに日本でもその名をよく知られたボクサーです。
このことはもう過去のことなので今更掘り返す必要もありませんが、とにかくサム・グッドマンは長くスーパーバンタム級の指名挑戦権を持っていましたが、今回フェザー級での世界初挑戦を迎えることになりました。
当然、このことに同情の余地はありません。
2023年6月、ライース・アリーム(アメリカ)を撃破したのが最大の勝利でしょうか。この試合はおそらくアリーム優位だったはずですが、無敗のアメリカンプロスペクトを相手によく立ち回り、終わってみれば完勝だったと思います。
その後も無敗をキープし続けたグッドマン、挑戦者決定戦での勝利から2年以上の月日を経て、世界挑戦のチャンスを掴んでいます。
スキルフルなグッドマンは、良いジャブと良いステップワーク、そしてカウンターを持っており、レンジコントロールが上手い。
まさに穴のないボクサーの代表格であり、総合力が高いというのは彼の特徴と言えるでしょう。
1つの能力に飛び抜けたニック・ボールとは真逆、といってよく、この試合は向かってくるボールをグッドマンがさばけるか、もしくは巻き込まれるか、というのが勝敗を分けるポイントです。
オーストラリアのボクサーたちは日本のボクサーと同じく気持ちが強い、というイメージですから、グッドマンは忍耐強く戦えるでしょう。できれば、ボールをイライラさせたいところですから、クリンチワークも大事になってきそうです。
ボールはまず一気に圧力で飲み込む戦法をとり、そこからどのように変化させていくのか、が勝負。さすがに一気に試合を決めてしまう、ということは可能性としてあまりないでしょうから、ボールにとってもリングIQや頭のスタミナが要求される試合です。
今後のフェザー級戦線を占う意味でも、非常に注目の一戦ですね。たとえ井上尚弥がボールと戦わずとも、日本のフェザー級もタレント揃い、この試合は楽しみです。
アンダーカードと配信情報
その他にもレイモンド・フォードvsエイブラハム・ノバ、フィリップ・フルゴビッチvsデビッド・アデレイヤ、そして堤駿斗が登場します。
アンダーカードのプレビュー記事はまた別で書きますが、冒頭にも書いたとおり、DAZNのPPVで放映されます。
ちょっと試合数が多いですが、これは見逃せませんね。
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