日本でスーパーライト級の2つの注目ファイト、そしてアメリカでは、 ライト級の2つの世界タイトルマッチが開催。
多くのメジャープロモーションがDAZNに集結したことで、解説テーブルは超豪華。ショーン・ポーター、ティム・ブラッドリー、そしてテレンス・クロフォードが同じテーブルについています。
さて、この興行についてプレビューを書きましたがアップしていなかった、という痛恨のミス、は忘れて、本日はラスベガスで行われたローチvsセペダ、ムラタラvsコンセイサンのダブル世界ライト級タイトルマッチの観戦記。
8/1(日本時間8/2)アメリカ・ラスベガス
IBF世界ライト級タイトルマッチ
レイモンド・ムラタラ(アメリカ)24勝(17KO)無敗
vs
ロブソン・コンセイサン(ブラジル)21勝(10KO)3敗1分
挑戦者、ロブソン・コンセイサンは、ブラジル初のオリンピック・ゴールドメダリスト。プロ転向後は、不運な時、幸運な時を経験しつつもWBC世界スーパーフェザー級王座を獲得し、世界王者に。非常にやりづらい、実力のある王者ですね。
しかしながら、王者ムラタラは、以前から期待されていた、というだけではなく、前戦ではその期待を上回ってアンディ・クルスを撃破。はっきり言って死角無し、コンセイサンの勝利は見えません。
ただ一つ、そろそろ階級アップかと言われているムラタラですから、コンディションが万全でないという可能性はゼロではありません。まあ、あちらのボクサーはコンディションを優先するので、計量をクリアした=万全である、とも考えられますが。
さて、ゴング。
軽やかなステップのムラタラ。先に仕掛けたのはコンセイサンですが、これをステップとパリーで無効化します。ムラタラは非常にバランスに優れたボクサーで、さらにフィジカルが強い。これをおそらくコンセイサンのパワーでは突破できない、というのが、コンセイサンに勝ち目が薄い理由です。
どちらもクリーンヒットはありませんが、余裕がありそうなのはムラタラで、こういう微妙なラウンドはリングジェネラルシップをとっている(ように見える)方に流れるはず。
2R、アグレッシブにいくのはコンセイサン、しかしそこでジャブでカウンターのムラタラ。このジャブカウンターでコンセイサンの顔が跳ねられる事もしばしば、左のボディショットも入り始めています。
3R、アクションが増えます。これは、これまで通りアグレッシブに攻撃していたコンセイサンに対し、ムラタラが本格的にリターンを開始したことに起因しています。
コンセイサンはプレスをかけ、コンセイサンを出させてその後にコンビネーションをリターン、相手の打ち終わりを見切って、得意な戦い方ですね。
こうなると距離で外すというより固いブロッキングで相手の攻撃を受け止める事が必要になりますが、コンセイサンのパワーはもう学習したということなのでしょう。
4R、比較的大きく足を使いはじめたコンセイサン。圧されている、感は否めませんが、ムラタラのリターンを警戒して自らは手数を減らし、逆にムラタラを誘いこんでいるようにも見えます。
5R、ここも引き続き、コンセイサンがムラタラへのリターンを狙います。しかしムラタラのパワーにより下がらさられ、バランスを崩されています。そして当然、そうなればいくつかのクリーンヒットをもらっています。
6R、コンセイサンも勇敢に近い距離で戦います。時折良いタイミングでヒットを生みますが、ちょっとインパクト不足。ムラタラがしっかりとしすぎていてそう見えるだけでしょうか。
7R、このラウンドは下がるコンセイサン。前ラウンドのような戦い方は続けられないようです。そうなると、なかなかポイントを取るのは厳しそうなイメージ。そして、6R目以外はほとんど同じ内容なので、見ている方もきつくなってはきます。
インターバル中、テオフィモ・ロペス。ロペスってボクシング好きですよね。結構どこの会場でも現地観戦しているイメージ。
8R、コンセイサンがガードで耐えて、強いパンチをリターンする戦い方に。こっちの方がムラタラにとってはやや戦いづらそう、もちろんコンセイサンにとっても危険が伴う戦い方でもあります。
9R、あれ?公開採点がされているのでしょうか?あんまり実況を聞いてませんでしたが、3ジャッジとも79-73でムラタラ、みたいなことを言っていました。はて。
公開採点があるなら、コンセイサンは倒さなければ勝てない事は明白で、結局のところ、自らのボクシングを捨ててでも特攻すべき案件。しかしもちろんそうはならず、というかそれをしようとしたとしてもムラタラを倒せるイメージは湧かず、アマでよくあるパンチ当たったアピールもやや鬱陶しく見えます。もはやそういう問題ではありません。
10R、当然、大きく余裕を持てるのはムラタラ。コンセイサンは懸命にパンチを振るっていきますが、ムラタラのステップ、固いブロッキングに効果的なパンチを打ち込む事はできません。
ムラタラは変わらず鋭いジャブ、コンビネーションでプレスをかけていきますが、当然このまま行けば勝てるので、フィニッシュを狙っている感じでもありません。
11R、開始早々、速いコンビネーションで攻め込んだムラタラ。このラウンドは倒しに行くようです。
ムラタラはコンビネーションパンチャー、この素晴らしい上下の打ち分け、回転力を活かしたコンビネーションで、ノックアウトを築いてきました。
しかし、コンセイサンも弱りきっているわけでもなく、もともとディフェンスも良いボクサーではあるので、そう簡単には倒せず。コンセイサンは勝利は不可能でも、サバイブは可能という絶妙なスタンスで、このラウンドもしっかりとリターンをして終了。
ラストラウンド、ここも互いにテンポよくボクシングをしていますが、どちらかというとプレスをかけていくのはムラタラ。もっと何か策がほしいコンセイサンですが、この逆境を跳ね返す術を持ちません。
そのままラウンドが終了、フルラウンドを戦い抜きました。
アクションの多いファイトで、互いにスキルが高く、良い試合。しかしながら、ものすごくエキサイティングなファイトではありませんでした。
判定は、118-110、119-109×2、3-0でレイモンド・ムラタラ。
完勝という内容のムラタラ。想像通りという試合内容だったと思います。
両者ともに、自らの持てる力を出し合い、結果的にはムラタラが上回った、というファイト。奇をてらうこともなく、ある意味ガチンコのファイトだったと思います。
様々なものがハイレベルで融合したムラタラは、とてつもなく崩しづらいボクサー。このボクサーをスキルで圧倒する、というのは非常に難しく、しかし非常にタフでもあるので、総合力で上回るボクサーでしかこのボクサーには勝てなさそうです。
そうなるとスーパーライト級では、やっぱりシャクールか。
ともあれ、今後のムラタラのファイトも楽しみですね。
WBC世界ライト級王座決定戦
レイモント・ローチ(アメリカ)25勝(10KO)1敗3分
vs
ウィリアム・セペダ(メキシコ)33勝(27KO)1敗
さて、メインイベントは我らがウィリアム・セペダが登場。前戦でシャクール・スティーブンソンに初黒星を喫しています。
これまで大苦戦したテビン・ファーマー、シャクールと同様のスキルフルなボクサーといえるローチ、今度こそ苦手克服なるか。
ここは是非とも獲ってほしいところです。
さて、ゴング。
まずはジャブの差し合いでスタート。気のせいかセペダのスタンスがいつもより広い用に感じます。
パンチはものすごく出ますが、ややバランスが悪く感じていたセペダ、今戦はぐっと低く構え、そのプレスはいつも通り。パンチもキレており、調子は良さそうです。
良い距離感でプレスを賭けられているセペダ、まずは上々の立ち上がりではないでしょうか。
2R、セペダの左に対してローチが右をリターン、そしてチェックフックでバランスを崩す。前半、良いボクシングを見せたのはローチで、その後中盤、セペダがローチを押し込んでいく場面をつくります。
目まぐるしく移り変わる主導権争い、後半はまたもローチが右をヒット、しかしセペダも前手でローチの顔を跳ね上げて譲らず。
おそらくもっとガチャガチャした展開を目指したいのはセペダ、ほぼ互角に見える戦いですが、この距離はローチの距離のように見えます。
3R、ローチのタイミングがあってきた感じがありますが、セペダもいよいよ本領を発揮。強いプレス、カウンターを気にせず距離を詰め、撃ちまくります。
強のセペダは本当にバランスが良く、バランスを崩す事があまりありません。
さあこうなるとローチとしてはパンチをリターンするタイミングがほぼなく、セペダのペース。自然と距離も縮まっています。
4R、激しく攻めるセペダ。完全にセペダの試合。ローチはもっと足を使ってエスケープすべきですが、初回、2Rでの中間距離のやりとりがイメージにあるのか、あくまでもある程度留まって対処しようとしています。
ここでのカウンター、は良いですが、やはり距離を詰められると明らかな劣勢。クリンチをもっと上手く使い、分断しなければなりません。
そして、このセペダのペースにローチはついていけるのか。
5R、なんかこの試合もオープンスコアのようですね。ここまでは1人がドロー、2人がセペダ。とはいえ、流れはセペダにあるでしょう。
強いプレスと手数のセペダに、ローチはガードを固めてバックステップ。しかしこれでは足りません。セペダ対策というのは、いうなればクリンチ。これがなければ、この手数は止まる事はありません。
6R、ここも当然グイグイ攻めるセペダ。もうこの流れは止められないでしょう。セペダ応援ファンとしては、もう安心してみていられます。
唯一、ローチの右カウンターのタイミングは良いというのは不安材料ではありますが、これはセペダも気をつけているし、タフなセペダを如何にカウンターとはいえローチが倒せる感じはしません。
7R、ローチはなかなか侠気があるボクサーです。さすが、タンク相手にもクルス相手にも逃げなかったボクサー。このセペダ相手にも、策を弄さず真っ向から向かい合っています。
具体的には、クリンチに逃げず、強打で止めようとし、サイドに回って攻撃する、これは作戦としては良いですが、サイドに回ってもセペダの拳は追いかけてきます。しかし、その意気や良し、ゲームに勝つというよりもファイトに勝つ、を目的としたボクサーに見えます。
8R、しかしながら、このままでは苦しいローチ。明らかに手数で負け、クリーンヒットでも及びません。
9Rも同様、先手を取るのはセペダが多く、どちらかといえば後手に回っているローチ。セペダは自らのペースを崩すことなく、テンポよく回転力のある連打を繰り出しており、特に左ボディショットのヒット率は非常に高く見えます。
ちょっと手数が減っているようにも見えるローチ、やはりセペダのこのペースについていくだけでも厳しいか。
10R、セペダのアタックに対応しきれなくなってきたローチ。このラウンドはロープに押し込まれる場面が多くなっています。続く11R、相変わらずのセペダ、に対してローチがテクニカルな左アッパーカウンターをヒット。比較的低く入ってくるのだから、これをもっと出せていればよかったかも知れませんね。
ラストラウンド、ローチは自身の右カウンターに全てをかけ(たぶん)、前進。当然セペダもその手を緩める事はありません。
このラウンド、ローチは必要以上に下がることはなく、その多くの時間をリング中央で過ごします。これはローチの最後の意地、と言って良いでしょう、後半には左右を振って前進する姿勢も。
最後まで打ち合った両者は、試合終了のゴングを聞きました。
判定は、117-111、117-111、118-110、3-0の判定でウィリアム・セペダ!!
いよいよ、正規王者となった我らがボリュームパンチャー、ウィリアム「カマロン」セペダ!!!
これからライト級に、エキサイティングなタイトルマッチをもたらしてくれる事を期待します。
今後も非常に楽しみです!
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