先週はマッチルームの興行再開、そしてPBCの興行再開と世界中で興行再開が相次ぎました。
今回はその中から、シーサケットvsアムナットのノンタイトル戦、そしてPBC興行のWBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチの観戦記を書いていきたいと思います。
↓PBC興行の今後の予定
まずは8/1、元王者同士の注目対決。マッチルームのWPボクシングというタイでの興行で、Youtubeで配信。ありがたいですね。
不思議なんですが、メインのシーサケットvsアムナットがいきなり始まりました。
シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)53戦47勝(41KO)5敗1分
vs
アムナット・ルエンロン(タイ)23戦20勝(6KO)3敗
↓フルカードのフルファイト。最初がシーサケットvsアムナットです。
120ポンド契約の1戦。階級でいうとスーパーバンタム級です。
前スーパーフライ級世界王者であるシーサケット、アムナットは元フライ級世界王者。サバイバルマッチというにはシーサケットに分がありすぎるきらいがありますが、シーサケットの今後に焦点のあるマッチメイク。
かなり絞れていない感じのアムナット、シーサケットも腹回りに余裕のある感じです。
今回はサウスポースタイルのシーサケット。前回のエストラーダ戦は終始オーソドックススタイルで闘っていましたが、何だったんでしょうか。
1Rは様子見のラウンド。それでも攻め込まなければボクシングにならないシーサケットは、左ストレートを打ちながら前に出ます。
シーサケットの入り際にアムナットが右ストレートや右アッパー、左フック等、パンチをあわせていきます。シーサケットは空振りも多いです。
3R、頭を下げて入ってくるシーサケットに対し、アムナットも頭を下げてカウンターで対応しようとしたところ、バッティング。オーソドックスとサウスポーでよくあるバッティングですね。シーサケットは左目眉下をカット。ドクターチェックが入ります。再開後、強めにチャージするシーサケット。しかし逆に攻め込まれる場面も見受けられます。
4R、更にプレスを強めるシーサケット。空振りを恐れず、力いっぱいパンチを振るうのもシーサケットの良い所の一つ。バッティングでカットした箇所は目に血が入って見づらそうです。
5R、展開は変わらず、圧力で潰しにかかるシーサケットに対し、アムナットはガードからステップワークで外し、カウンターを狙います。攻められたアムナット、後半少し手がでなかったのが気になります。
アムナットはタイミングに優れたボクサーですね。シーサケットの入り際に打って止め、反撃に出ようとするシーサケットの前には既にいない。下がりながらなのであまり強いパンチは打てないでしょうが。。
シーサケットはやはりパワーに秀でており、ガードの上から、ガードの隙間へとパンチを打ち込みます。疲れなのか、効いているのか、7Rには防戦の時間が多くなるアムナット。
8R、アムナットの足が動かなくなってきたからか、打撃戦の距離。アムナットは意外に接近戦でもパンチを当てる技術は上手いですが、やはりパワーレスか。足にあまり力も入らないのかもしれません。
シーサケットの攻撃の時間が多く、アムナットは最後まで立っていられるか、が焦点となってきました。
最終ラウンド、シーサケットは全く衰える事無く前に出て、ガードで防ぎ、いなすアムナット。しかしやはりシーサケットのパワーに押され気味。クリンチワーク、反則をとられかねないプッシング等、アムナットはやはりある意味試合巧者。
判定は3-0でシーサケット。後半、明確にポイントを奪取したシーサケットの勝ちでいいと思いますが、ジャッジの1人は99-91。2〜3Rはアムナットに与えるべきラウンドがあったように思いますが。。。
アムナットはもっとロートル感満載で出てくるかと思いましたが、アムナットらしい闘い方でしたね。シーサケットとしては苦手なタイプだったと思います。
↓シーサケットはいったい誰を標的にするのか。
そして同日の8/1(日本時間では8/2)、アメリカではエマニュエル・ナバレッテが返上したタイトルを争い、王座決定戦が組まれていました。
本来であればスティーブン・フルトンとアンジェロ・レオの決定戦でしたが、フルトンがコロナで陽性に。アンダーカードで出場予定だった6位、トライメン・ウィリアムスに白羽の矢が立ちました。流れなくてよかったですね。このあたりは事前の策が功を奏したということでしょう。
アンジェロ・レオ(アメリカ)19戦全勝(9KO)
vs
トラメイン・ウィリアムス(アメリカ)19戦全勝(6KO)
↓フルカードのハイライト。WOWOWでも放映予定。
両者ともにアマ経験が豊富。レオの方はマーク・ジョン・ヤップを完封、セサール・フアレスにストップ勝ちとプロでも文句なしの実績を挙げてきています。メイウェザープロモーション所属。ウィリアムスの方は私はノーチェックでした。
オーソドックススタイルのレオ、サウスポースタンスのウィリアムス。
ガードを高く掲げたファイティングポーズのレオ。レオのジャブは非常によく伸びますね。方やウィリアムスは前の手(右手)を低く構えたL字ガードスタイルで、下がりながらカウンターを打つスタイル。
序盤はレオが手数を出して攻め、それをウィリアムスが迎え撃つスタイルです。頭を振りながらタイミングを外し、よく伸びるジャブを放つレオですが、ウィリアムスはディフェンスが良い。なかなか当たりません。その上、逆にカウンターをもらう展開。3Rまではウィリアムスの方がクリーンヒットが多く、主導権を握りかけたようにも見えました。
しかし4R、おおよその展開は変わりませんがウィリアムスは離れた距離ではほとんどジャブしか出しません。ここにきてレオのジャブが結構ヒットし始めます。接近してもしつこくフックを放っていくレオ。
5R、ウィリアムスはディフェンシブ過ぎるようにも見えます。レオのパンチもクリーンヒットは少ないですが、ウィリアムスは逃げすぎでは?と思います。
インターバル中にもリング、ロープをしっかり消毒しています。この時期の興行は本当に大変ですね。。。
レオが距離を詰めたところでボディを乱打。ウィリアムスはクリンチに行こうとしますがレオに阻まれます。レオは本当に手数が出ます。クリンチで休もうとするウィリアムスに付き合わず、ウィリアムスの倍の手数で打ち返します。
7R、とにかくレオの手数はすごいです。近づいてボディへの乱打、ウィリアムスの手数はかなり少ない。ボディが効いているのか、スタミナの問題か、序盤にあったスピーディーな足の動きはなくなってしまったウィリアムス。レオの戦いやすい展開になってきました。
距離をとられても、レフェリーに引き離されても、すぐに距離を詰めてショート連打を放つレオ。無尽蔵のスタミナと、強いハートを持った素晴らしい(私好みの)ボクサーですね。
9R、気力を振り絞ったのか若干回復してきたのか、足運びを思い出したウィリアムス。しかし中盤からはやはりロープ近くに詰められる場面も多くなってきます。
最後の3R。
肉体的にも精神的にも最もキツイというラウンドですが、アンジェロ・レオの気力、体力、そして手数は全く衰える事を知りません。これは脅威ですね。。。
序盤の数ラウンドはウィリアムスにポイントが流れたと思いますが、中盤以降は確実にレオがラウンドをものにしました。
結果は3-0でアンジェロ・レオが判定勝ち。(思ったよりもウィリアムスにポイントは流れていませんでした。)
ナバレッテの後継王者は、ナバレッテに負けず劣らずの攻撃的王者となりました。ナバレッテと比べると距離が短く、ダイナミックさには欠けますが、その分攻撃方法は緻密かもしれません。
これからスーパーバンタムの日本人ボクサーにとっても標的の一人となるアンジェロ・レオ。ボディからのコンビネーションは見事で、手数がとにかくものすごい。ただこの調子でKO率は5割以下、となりましたのでパンチはあまりないかもしれません。この乱打に巻き込まれず、遠い距離もしくは中間距離で闘う事ができれば王座奪取のチャンスもあるでしょう。
今後はスティーブン・フルトンと闘う事が規定路線ともいえるレオ。新たな顔ぶれとなった標的に対し、充実の日本スーパーバンタム級ボクサーたちがどう挑んでいくのかも楽しみです。
↓スーパーバンタム級についてのブログ記事です。