2021年もあと少し。
皆さんにとってはどんな1年でしたか?
私も含めて多くの方にとっては、2020年同様、コロナに振り回された1年だったと思います。
ボクシングファンにとって非常に残念だったのは、2021年12月に来日予定だったゲンナディ・ゴロフキンとジェルウィン・アンカハスが来れなくなってしまったこと、というのが一番最近の話題ですね。
その他にも、個人的には国民体育大会の本戦及びブロック予選が中止になってしまったこと。
その日に向けて仕上げている途中の出来事だったので、これは本当にショックでした。
ともあれ、きっと悪い事ばかりではなかったはずで、悪い事が起こればそれと反対に良い事もあった、と考えた方が良いですね。
今回のブログでは、そんな2021年のボクシング界を振り返ってみたいと思います。
↓既に振り返りまくっていますが。。。
4団体統一戦が3つも!
2021年を振り返って、他の年と大きく違った事は4団体統一戦が3戦も行われた事でしょう。
まずは現地時間5/22に行われた、ホセ・ラミレスvsジョシュ・テイラーの世界スーパーライト級4団体統一戦。
そして、同じく7/17に行われた、ジャーメル・チャーロvsブライアン・カスターノの世界スーパーウェルター級4団体統一戦。
最後に11/6に行われた、サウル・アルバレスvsケイレブ・プラントの世界スーパーミドル級4団体統一戦。
この3つに共通して言える事は、どれも素晴らしい試合で、まさに4団体統一戦にふさわしい内容だった、ということです。
ラミレスvsテイラーは、2団体統一王者同士の一戦で、前評判通りの激闘。ラミレスのハートの強さも光りましたが、テイラーのスキルはその上をいきましたね。
チャーロvsカスターノは、カスターノが前評判を覆し善戦。カスターノ勝利を推す声も多いドローで決着はつかず、再戦が既定路線です。
そしてカネロvsプラントについては、最強王者カネロに対してプラントも見せ場をつくり、思った以上の好試合となりました。
この4団体統一の流れは止まりません。
2022年には、バンタム級やスーパーバンタム級あたりが4団体統一戦を開催できそうですね。
「真の王者」を目指す気風は、WBSSが開催された頃から世界中を駆け巡っています。こうなってくると、チャレンジャーはなかなか世界王者に挑戦することができず、世界王者誕生が本当にレアケースになってしまいますが、ボクシングファンにとっては「最強」を決める戦いは盛り上がり、素晴らしい事ですね。
国内では好マッチメイクが!
「コロナ禍でなければ実現しなかったであろうマッチアップ」というのが多くなった印象であり、上り調子のホープを強豪にぶつける、敗北を厭わない、チャレンジマッチ、こんな言葉がぴったりのマッチアップが多くなりましたね。
ホープ同士、といえば佐々木尽vs湯場海樹は試合前から大いに盛り上がった上、試合内容も衝撃的なものでしたし、中垣龍汰朗vs花田歩夢は稀に見る好試合となりました。
この辺りはユース王座戦ということもありましたが、いずれにしても両ボクサー、両陣営とも強気で素晴らしい。
伊藤雅雪vs細川バレンタインをはじめとして、ベテラン同士のサバイバルマッチ然り、田中恒成vs石田匠のような日本人世界ランカー同士の一戦然り。
国内ボクシング興行を盛り上げてくれたこれらの試合は、「コロナのおかげ」なんてことは口が裂けても言いたくありませんが、海外選手を呼べなくなった事の一つの恩恵とも言えるかもしれません。
そして、このことへにボクサーやプロモーター、ジム側が慣れる事で、今後も勝負のときこそ同国人対決を避けない、という流れが出来上がるかもしれませんね。
海外にも、出た!
井上尚弥は昨年に続きアメリカで防衛戦を行い、そして京口紘人もやや不完全燃焼の試合ではありましたが、アメリカで見事防衛。
その後も中谷潤人が圧倒的な力強さをアメリカでの初防衛戦で見せると、MSGで尾川堅一が世界王座を戴冠。
その他にも、敗れはしたものの中谷正義、勅使河原弘晶はアメリカで強豪と戦い、井上岳志はオーストラリアへ乗り込む等、次々と日本人ボクサーたちが海外へ活躍の場を求めていたことも非常に印象深い出来事です。
国内トップともなると、なかなか国内では対戦相手が見つからず、海外で戦うしかなかった、といえばそれまでなんですが、このように次々と前例を作ってくれるのは、戦う本人たちにとってもありがたい事なのではないでしょうか。
今後も海外進出は増えていくでしょうから、これはまた楽しみが広がりますね。
アマチュアボクシングの超大躍進!
今年、大きく躍進したオリンピック・ボクシング。私はアマチュアボクシングという呼称に慣れすぎていて、その呼称により別にアマがプロより下、とか思ったことも考えたこともなかった(別競技として認識していた)んですが、そう捉える方もいるようで驚きです。
AIBAもIBAと名称を変えたそうなので、「アマチュア」という呼称自体がなくなるんですかね。それはそれで寂しいですし、日本国内の階級とオリンピック実施階級とが違う(これはまたオリンピックによって変わってしまう)こともあり、なんだかオリンピックボクシングとい呼称にはまだ馴染めません。
まあ、そんな事は置いておいて、日本人ボクサーとしてはまず2021年4月に行われた世界ユース選手権。この大会で、堤麗斗が兄、駿斗に続いての金メダルを獲得。
この大会では、日本選手団のスタッフの中にコロナ陽性反応が出て、男女あわせて9名の代表のうち5名が不戦敗となってしまいました。これがなければ、より素晴らしい結果を残せたはず。
そして8月の東京オリンピックでは、入江聖奈が金メダルを獲得、並木月海、田中亮明が銅メダルを獲得。ロンドンオリンピックでの村田諒太の金メダル、清水聡の銅メダルを超えて3つのメダルを獲得、入江はその後TVにも引っ張りだこで大活躍、嬉しい限りですね。
しかもそれだけで終わらなかったのが2021年が大躍進と言われる所以。
オリンピックと並ぶ、いや場合によってはそれ以上の称号となりうる世界選手権で、なんと日本人ボクサーが2人も優勝。
私のイメージでは、オリンピック優勝=金メダリストであり、世界選手権優勝=世界王者、です。オリンピックは各地域予選もあり、いかに強豪といえども一度負けてしまえば出場すら叶わないこともあります。ただ、世界選手権は国内の選考会を勝ち抜けば出れるため、出場選手数も多く世界選手権のトーナメントの方がより過酷、とも言えます。ただ、チャンスは2年に1度の世界選手権に比べ、オリンピックは4年に1度と少なくなりますね。
どっちが上、どっちが下ということもなく、ともに偉業。
特にこの世界選手権は、これまで優勝者が出ていなかったので、坪井智也、岡澤セオンの偉業は光ります。
新しい放送網
東京オリンピックや世界選手権、そして全日本選手権までもがYoutubeで見れる時代。私が現役の頃は、全日本選手権は決勝のみ、NHKが1時間番組で後日録画放送で、アマチュアボクシングのテレビ放送といえばそれしかありませんでした。それだと、地方のアマチュアボクサーたちの技術は育ちませんよね。
強豪高校→強豪大学というルートを辿れない地方のボクサーたちが、こういった世界のトップレベル、日本のトップレベルの試合を見る事で学ぶ事は多いと思います。
これからは、指導者の言う事を素直に聞く、というだけでなく、自ら情報を取り、分析し、悩んで迷って考えて動けるボクサーがきっと強くなっていく時代になっていくでしょう。
さて、上述したような「Youtube」というものが、近年、多くの試合を配信してくれるようになりました。これは、2020年に始まっていましたし、京口紘人は防衛戦を自身のYoutubeチャンネルで配信する、ということを企画していました。
それは京口のコロナ罹患により叶う事はありませんでしたが、その後、たとえ地方ジムでも、テレビとのつながりがないジムでも、自分たちでYoutubeチャンネルを開設し、ライブ配信を行ってくれたところもありましたね。
そして、2021年は日本における「PPV元年」といっても差し支えありません。
これまでも、試合ごとに課金するPPV形式はありましたが、今回、井上尚弥vsアラン・ディパエンがPPVとなったことで、大きな論争を巻き起こした事は記憶に新しいですね。
地上波で流れれば、それだけボクシングを志す人たちが増える可能性は大きくなるのも事実。
ただ、テレビマネーではまかないきれないイベント費用を捻出するためには、PPVというシステムが必要になってくるのでしょう。
「海外はPPVだ」みたいな言われ方もされていますが、海外でも注目試合はPPVとなりますが、今回のような井上vsディパエンクラスの試合であれば、PPVには乗らなそうな気がします。あと、井上の試合が海外で見れなかった、というのはかなり大きなマイナスだと思います。
物理的な鎖国のみならず、映像も鎖国するようであれば、井上尚弥はもう日本で戦わない方が良いのではないか、とすら思いますね。ここは本当に何とかしてほしい。ESPNに売れば良いだけだと思いますけど。
2022年はどうなる
オミクロン株の情報が流れる前、イベントについては人数の上限を撤廃、そのことについては現在もまだ変わりなし、だと思います。
コロナ禍の後楽園ホールは、隣の席が空いており、快適は快適でしたがやっぱり盛り上がりには欠けます。私自身は大声を出して選手を応援するタイプではありませんので、私の観戦スタイルは変わらないものの、応援、ちょっとイラつく野次も含めてボクシング興行。
あの雰囲気が早く戻ってきてもらいたいですね。
オミクロン株も市中感染が確認され、じわじわと増えてきている状況。
ただ、相変わらず重症化リスクは少ないとのことなので、それがしっかりと立証されて、現在の鎖国が一刻も早く終ることも望みます。
やはり我々ボクシングファンの最も切なる願いとしては、ゲンナディ・ゴロフキンの来日。3〜4月との噂が出ていますが、結局のところは日本政府の対応次第。
せめてビジネス目的での入国を認めてくれればなんとかなりそうなものですが、日本政府の対応によって、残り少ないであろうゴロフキンの競技人生を削ってしまったことには本当に本当に申し訳ない気持ちです。
同じく4月には井上尚弥の統一戦も予定されています。井岡も大晦日に勝てば、早ければ夏頃、アンカハス戦となるかもしれません。(アンカハスは2月に防衛戦という噂)
ともあれ、この鎖国状態が続くようであれば、世界戦やそれに準ずる試合を生観戦できる可能性はゼロに近い。コロナはなくならないでしょうから、必要以上に恐れる事なく、共存していきたいものですね。
続くコロナ禍のボクシング興行。未だきっと試合自体が組みにくいボクサーも多いと思います。来年もまだ、耐える年。いつか大きく花咲くその日まで、2022年もボクサーを、そしてボクシング全体を応援していきたいと思います。