2021年も後わずか。
あっという間の一年でしたが、振り返ってみれば今年も素晴らしい試合がたくさんありました。
そして年末になると1年を振り返る期間で、誰と誰の試合がファイト・オブ・ザ・イヤーだとかなんとかという記事がこれから賑わうことになりますね。
大晦日に注目興行を控える、日本のボクシングファンにとっては、まだ2021年は終わっていないものの、世界規模で考えるとビッグマッチ自体は終わり。
今回のブログでは、ちょっと早いですが、2021年を振り返っての私的MVPボクサー、信太的ファイター・オブ・ザ・イヤー(あくまでも個人的見解です)を考えて見たいと思います。
基準は、誰と戦い、どのような内容だったか、です。私の記憶に残っているかどうか、というのが一番の重要項目(笑)なので、大切なのはその時受けた衝撃。好き嫌いがめちゃくちゃ入ります。あと紹介する順番はランキングではありません。
インパクトを残したヘビー級
衝撃的な試合、衝撃的な勝利を飾った、活躍したボクサーというとやっぱり外せないのはタイソン・フューリー(イギリス)とオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)のヘビー級のふたり。
フューリーは劇的なノックアウトでデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)をノックアウト、そしてウシクはアンソニー・ジョシュア(イギリス)を破って一気に3冠を戴冠。
2021年、たった一戦で大きなインパクトを残した二人のヘビー級、どちらがより私にとって衝撃的だったか、というとやっぱりウシク。
ジョシュアに勝てるとすればあの勝ち方だろう、というボクシングそのもので、完璧な作戦遂行能力と、ヘビー級の中でもパワーヒッター、そしてテクニックも伴っているはずのジョシュアを寄せ付けずに完勝、という事実は、後々まで語られて良い出来事だったと思います。
↓ウシクの大殊勲!
↓試合自体のインパクトはやっぱりこっち
ライト級は同時期に全王者が登場
ライバル同士が同時期に登場し、パフォーマンスを披露する、というところで言うと、ライト級のライバル対決も外せません。
つい最近のことなので、非常に記憶に残っているのはテオフィモ・ロペス(アメリカ)、デビン・ヘイニー(アメリカ)、ジャーボンタ・デービス(アメリカ)、そしてワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が2週間ほどのうちに次々と登場したライト級の2ウィーク。
ロペスがジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)にダウン応酬の大激戦の末敗れてしまった一戦は、アップセット・オブ・ザ・イヤー候補となるかもしれません。
ヘイニーはホルヘ・リナレス(ベネズエラ・帝拳)、ジョセフ・ディアス(アメリカ)という元世界王者ふたりを退けるという素晴らしいキャリアを築いています。
そしてタンク・デービスはスーパーライト級でマリオ・バリオス(アメリカ)を撃破、そしてイサック・クルス(メキシコ)戦では巧さも発揮しましたね。
ロマチェンコも中谷正義(帝拳)、リチャード・コミー(ガーナ)を寄せ付けず、圧倒的な力をもってそれを制圧。やはりこの階級最強はロマチェンコか、を決定づけたような試合内容でした。
このライト級のライバル対決の中で、2021年、最も熾烈なマッチアップを勝ち抜いたのは、デビン・ヘイニーかな、と思います。何せリナレスをほぼ完封(効かされてはいましたが)、ディアスにも順当に勝利。
決して好きではないのですが、リナレスをああいう形で破った事は評価しなければいけません。リナレスが好きだから笑
しかし、個人的にはこの階級最強は、無冠のロマチェンコだと思っています。
↓ロマチェンコvsコミー
↓めちゃくちゃ悔しい分、インパクトもでかい。
たった1戦でインパクト大!
さて、ここに挙げたライト級のボクサーたちは2021年、2戦を経験していますが、ヘビー級のふたりと一緒に、たった1戦で大きなインパクトを残したボクサーといえば、ヨルデニス・ウガス(キューバ)と、矢吹正道(緑)、そして先にも挙げたジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)。
個人的には、この3人は、アップセット・オブ・ザ・イヤーの候補となってもおかしくありませんね。
パッキャオvsウガスというマッチアップは、パッキャオの出来次第でウガスのアップセットも起こりうるとは思っていました。しかし、あのパッキャオに勝ったという事実はでかい。
同じように、寺地拳四朗(BMB)vs矢吹正道というのも、アップセットの芽はありました。拳四朗が直前にコロナに罹患したことが、その芽となると思っていましたが、蓋を開けてみれば矢吹の「ハート」こそがアップセットの芽となった、という印象です。再戦も非常に楽しみです。
カンボソスについては本当に驚きましたね。戦前、ロペスが「ラテンのノリ」で余裕をぶちかまして自滅するかもしれない、と思っていましたが、果たして試合はまさにそんな感じ。ロペスも諸々抱えていたようなので、一概には言えませんが、あの日のカンボソスは素晴らしかった。しかし、一番狙われる王者であることは疑いありません。
ウガス、矢吹、カンボソス、この3人を比べた時の個人的インパクトは、やっぱりウガス。これはアップセットを起こした、というインパクトではなく、やはりパッキャオのファイナルマッチの相手として、最大限の戦いをしたことに由来します。しかもこれは、エロール・スペンスJr(アメリカ)の代役で決まった試合であり、この一戦で大きく名前を売ったウガスのアメリカン・ドリームにも期待を寄せて。
↓パッキャオvsウガス!パッキャオはこの後引退を表明。戻ってくるかもしれませんが。
↓物議を醸した初戦、再戦は来年春!
そして、たった一戦で大きなインパクトを残したボクサーといえば、ジョシュ・テイラー(イギリス)もその1人。
2団体制覇王者同士の4団体統一戦、という至上最高の舞台で、その期待に違わぬ素晴らしい試合を見せた二人のボクサー、ジョシュ・テイラーとホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)。
この二人は、4団体統一戦に至る道程でも数々の難敵を降しており、このテイラーvsラミレスという一戦はスーパーライト級において本当の本当に最強を決める戦いだった、ということもこの試合が興味深いものとなった要因。
しかもその試合内容もファイト・オブ・ザ・イヤー候補となるような素晴らしい一戦、しかも敗者となったラミレスも評価を落とさないような素晴らしい試合でした。
↓すんなり決まったライバル対決!
世界王者でないのに残したインパクト
ここで紹介するのは、未だ世界王者になっていないにも関わらず、非常に大きなインパクトを残したボクサー。それは、私の大好きなウェルター級のプロスペクト、ジャロン・エニス(アメリカ)とバージル・オルティスJr(アメリカ)のふたり。
その他にもウェルター級のプロスペクトは、それぞれにインパクトを残しているものの、この二人は群を抜いたパフォーマンスを披露しています。
まず、ジャロン・エニスは元世界王者のセルゲイ・リピネッツを6Rでノックアウト、その後トーマス・デュロルメ(プエルトリコ)をなんと初回KO。リピネッツはスーパーライト級から上がってきたボクサーですが、ここまでKO負けの経験はなし。そのリピネッツを圧倒したことと、デュロルメを初回で倒したことは驚きの連続でしたね。この質の相手に対して、圧倒的なノックアウトは本当に素晴らしい。
そしてそのライバルであるバージル・オルティスJrは、こちらも元スーパーライト級の王者モーリス・フッカー(アメリカ)、クロフォードに善戦したエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)をしっかりと倒しきっています。
やや被弾も目立ち、エニスと比べて一方的な内容で圧勝という感じではありませんでしたが、殴られたらその倍殴り返す、というハートの強さを感じられた試合。
こちらもまたとんでもない強さを見せつけてくれましたね。
パフォーマンスは、といえばやはりエニスの方が一枚上手。対戦相手の質としては本当に申し分ない2021年を経て、これからこのふたりのプロスペクトがどのような形で王者に挑むのか、非常に楽しみです。
↓そんな素晴らしいボクサーも、王者になれるかどうかわからないのがウェルター級。
軽量級では?
軽量級では、やはりノニト・ドネア(フィリピン)!そして、今年ふたつのタイトルを統一したステファン・フルトン(アメリカ)。
ドネアはもう偉業ですね。無敗のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)を4Rで倒して獲得したタイトルを、暫定王者でこちらも無敗のレイマート・ガバリョ(フィリピン)を4Rでノックアウト。
しかもその倒し方が非常に恐ろしいものでした。
39歳にして「2019年の井上戦よりも更に強くなっている」というありえない事が、真実に思えるほど圧巻のパフォーマンスを披露しています。
そしてステファン・フルトンは、アンジェロ・レオ(アメリカ)、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)というふたりのファイターを撃破、それも自身の得意な足を使ってのアウトボックスではなく、接近戦での攻防を選択した上での勝利。
フィゲロア戦はかなり際どい判定ではあったものの、結果的には勝利。この1年で2つのタイトルを獲得、というのは非常に意義のあることですね。
とはいえ、やはり軽量級での一番のインパクトを残したのは、ノニト・ドネアで間違いありません。
↓バンタム級が盛り上がるのもドネアのおかげ。
で、結局信太的MVPは
本当はミゲル・ベルチェルト(メキシコ)を衝撃的なノックアウトで破ったオスカル・バルデス(メキシコ)の名前を出したかった。ベルチェルトが好きだから。しかし、ロブソン・コンセイサン(ブラジル)戦ではハーブティー事件、疑惑の判定とイマイチ。
シャクール・スティーブンソン(アメリカ)も「カール・フランプトンを倒した」ジャメル・ヘリング(アメリカ)戦では素晴らしいパフォーマンスを発揮、一皮剥けたところを見せてくれました。ただ、その前のジェレミア・ナカティラ(ナミビア)戦は安全運転に徹し、圧勝ではあったものの「もっとできただろ」感があります。この二人のボクサーは、今回のリストに載らない(書いてしまったけど)「次点」くらいでしょうか。
↓バルデスは過去最高のパフォーマンスだったと思います。
↓シャクール、強し。
ということで、結局こうなってしまった。何も考えずに書き始めるとろくな事がありません。結局、(一部の人には残念ながら)2021年の信太的ファイター・オブ・ザ・イヤーはこのボクサー!
サウル「カネロ」アルバレス!!
アブニ・イルディリム戦は置いておいて、ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)、カレブ・プラント(アメリカ)を撃破して、スーパーミドル級の4団体を統一。
これほどのスターであるにも関わらず、年に3試合をこなし、その3試合のうちで2つの王座を吸収、それもほとんどノーダメージで終えています。
サンダース戦にしろ、プラント戦にしろ、序盤は「おやっ?」と思わせる展開ながら、終わってみれば圧勝と言って良いストップ勝ち。結局カネロはスロースターター気味であり、序盤は相手を見る事が多く、おそらくリングIQも高く、対応力も非常に高い。
今のカネロに死角は見当たりません。
それはリングの上でもそうですし、リングの外(マッチメイクの政治力)も含めて。
ということで、今年最も活躍したボクサーはカネロ・アルバレス。私は次点にはノニト・ドネアを選びたいと思います。その次はジョシュ・テイラーまたはオレクサンドル・ウシク、そんなところでしょうか。
ぱっぱっと思いつくままに挙げてみましたので、おいおい、あのひと忘れてるよ、というご意見がありましたらコメントにてお願いします。異論、反論は認めます。(批判はやめてください笑)基準は超曖昧、好き嫌いでどんどん語って下さい。