日本で行われた軽量級ビッグファイト、P4Pの登場が終わりました。
次の世界的ビッグファイトは、9/14(日本時間9/15)に行われるカネロ・アルバレスvsエドガー・ベルランガです。
対戦相手の質として、「ビッグファイト」と呼ぶかどうかは賛否があるでしょう。
しかし、比較的アクティブに活動するカネロの試合は大きなお金を産み、それはビッグファイトと呼んで良いものだと思います。それは、井上尚弥においてもそうで、ドヘニーが健闘したとかという話は置いておいて、井上尚弥vs TJドヘニーは勝負論のある戦いではなかったですが、ともあれこの試合は注目を集めていました。
井上は、年に3度のリング登場です。
トップボクサーとしては非常に多い方。
さて、いつからボクシング会はこんなことになってしまったのか。それはつまり、年に2回、リングに上がるカネロをして「比較的アクティブ」と言い、年に3回リングにあがる井上尚弥をして「素晴らしい」と言う。
ちなみにこんなことを考えてしまうのは、井上尚弥vsドヘニーの少し前、こんなポストを見かけたからです。
Ray Leonard fought seven times in less than two years. Four of those (Benitez,Duran twice and Hearns) were super fights. My have times changed in the sport of boxing. pic.twitter.com/QAzAlYGTZO
— Kevin Cunningham (@KCBoxTrainer) August 28, 2024
1980年〜1981年にかけて、「シュガー」レイ・レナードは7度リングに上がっています。私は1歳か2歳ですが、この時のことはよく覚えています。嘘です。
ともあれ、この時、レナードはめちゃくちゃアクティブですげー、とはなっていないのです。
さらにこの部分の戦績を見ると、デュランと2度、ハーンズとの戦いもあるわけで、さらにその前の1979年にはベニテス戦があり、そのほかも強豪との対戦ばかりです。
ちなみにその頃のトーマス・ハーンズを見ると、なんと2年間で10戦。対戦相手の質としてはレナードほどではないにしろ、ものすごくアクティブです。
↓レナード
↓ハーンズのキャリアは縮小してスクショしないといけませんでした。
2〜3ヶ月に1度戦うのが当たり前だった時代から、すでに半年に1度戦うのが当たり前の時代になっています。ことトップファイターにとってそれは顕著な流れであり、リングマガジンのP4Pランキングを見渡しても、今年3試合も戦えそうというボクサーは井上尚弥と中谷潤人くらいのものです。
悪しきPPVファイト
大きな原因としては、1試合あたりの報酬が跳ね上がったことでしょう。
日本でもファイトマネーだけでなく、スポンサー料を集められる等もあり、相対的に見てボクサーが稼げるお金というのは(当然人によって差異はあれど)上がっているのではないでしょうか。
そしてトップボクサー達を見れば、一番はPPVファイトにより、報酬が激増しました。
そのPPVファイトが極まった原因の一つはフロイド・メイウェザーJrであり、彼の引退と共にPPVは衰退の一途を辿っているのもまた事実。ただ、ボクサーによってはPPVはまだある一定の売り上げを出せることから、以前の慣例に倣って高額のファイトマネーを獲得する術の一つです。
さて、このPPVファイトは、以前に比べて増えています。
そして、視聴者数は減っています。
それでもトップボクサー達のファイトマネーを支払わなければいけないため、当然1件あたりの価格は高くなります。
そしてまた視聴する人が減ります。
完全な悪循環です。
それでもボクサーたちは、PPVファイトに出場すれば大きな報酬を手に入れられる、ということを理由に、当然PPVファイトに出場をしたい。
しかしこの流れは、ボクシング界の未来にとって良くない流れを引き起こします。
さらに起こる問題
現在、アメリカのPPVは1興行あたり100ドル近くになります。日本円にすると15,000円ほどとなり、これは月に1〜2度ボクシング放送を行うESPN +の年間視聴料に該当します。(そういえばなんかまたESPNは値上げするらしい。昔は1ヶ月7ドルくらいだったのに。)
それを例えば2ヶ月に1度、年6回購入したとすれば、600ドル、10万円近くになります。
これを安いと思うか高いと思うかはそれぞれでしょうが、できれば安く済ませたいというのは私も含めて市井の人たちの真理でしょう。私はボクシングしか見ないが、他の趣味もあるならばこのPPV購入は選びに選ばなければなりません。
「少し興味のある試合」を見るために100ドルを支払う人は、多くはないでしょう。
そして今、さらに起こっている問題としては、著作権の侵害という問題です。
PPVを買えない、またはお金を使うほどではない、もしくは単に無料で見られる方が良いという自分勝手な理由により、結局は違法視聴をする人たちが多くなっているようです。
ウシクvsフューリーの時はものすごかった、とニュースにもなっていましたね。
実際、アメリカで行われる試合で、興味はあるけど日本で見る術がない、という場合に、Youtubeに違法アップロードされた試合を見た経験というのは、ボクシングファンは結構あるんじゃないかと思います。これだって立派な著作権侵害です。
(この件については肯定も否定もしません。)
これにより、大きな不平等が生まれてしまうことは、PPV離れをより助長するものだと思います。
ちなみに、トゥルキ・アラルシクがPPVを20ドルに引き下げる案を提案した、とのことですが、果たしてこれは抜本的な対策にはなり得ない、とも思います。
ボクシング界のあしたはどっちだ
今、スポーツ業界というのは多様性がありすぎて、ボクシングは完全に埋もれてしまっています。
日本のボクシング界は黄金期を迎えているとはいえ、少なくともうちの会社では9/4に井上尚弥の「い」の字も出ず。オンラインで無駄話ができないからかもしれませんが。
PPVが毎月あり、限られた人たちが限定的に見る。そして、著作権侵害については一つ一つの違法アップロードを潰し、逮捕者が出るまで追い詰め、法整備をしていく。
もしくは、全てを無料で解放し、トップボクサーになっても稼ぎはさほど変わらない状態で、稼ぎたければたくさん戦え、をファイターに強要する。
ファンとしてはボクシングが無料で、そしてトップボクサーたちが多く見れる後者が理想ですが、過去に回帰するようなムーブメントは起こりようがないのが事実です。
私は細々とボクシングが見れれば良いと思っているし、ボクシングが大きな話題にならなくても痛くも痒くもありません。
4回戦のボクサーたちの待遇改善を、とも特には思いません。
それでも現時点においては、やはり今一度このスポーツの素晴らしさを世間に広めなければならないのではないか、と思います。
来年は素晴らしいファイトがPPVではなく見られるようにし、それを1年ないし2年続けてみる。この数がおそらくこのスポーツの現時点の限界値です。
そこからPPVファイトに戻した時、どれくらいの数が減るのか。半分なのか、それとも1/10なのか、1/100なのか。
これらを計測し、PPVの金額の適正値はいくらなのか、というふうに問題を解決していかなければ、きっと全てがその場しのぎの対応になってしまうのではないでしょうか。
なんの話だったっけ
さて、なんの目的もなくなんとなーく書き始めてしまったので、ボクサーの活動量の話からカネの話にすり替わってしまいました。ごめんなさい。
ただただ、思うがままに書き殴ってしまっただけですが、たまにこういうことをします。ご容赦ください。
もっともっとボクシング界が良くなりますように。と、濁しておきます。お粗末さまでした。
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