めっきりと涼しくなりました。
もう10月です。
ここから一気に冬に向かっていき、寒くなるのも早いでしょうから、過ごしやすい秋というのは大切にしないといけません。あ、私は花粉症は一切ないからそう思うだけなのかもしれませんね。
人によって感じることは様々ですが、今、最も「群雄割拠」というべき階級はフェザー級、だと感じています。チャンピオンとコンテンダーにほとんど差がなく、王者同士を比べても抜きん出ているボクサーがいないと感じる階級。
来年なのか再来年なのか、モンスター襲来を控えるこの階級で、つい先日はビッグプロスペクト、ブルース「シュシュ」カリントンがスライマン・セガワに辛勝、そして次の週末にはニック・ボールがスーパーバンタム級で腕を鳴らしたロニー・リオスを相手に迎えての防衛戦です。ということで今回のブログは、このボールvsリオスのプレビュー。
10/5(日本時間10/6)イギリス・リバプール
WBA世界フェザー級タイトルマッチ
ニック・ボール(イギリス)20勝(11KO)無敗1分
vs
ロニー・リオス(アメリカ)34勝(17KO)4敗
「レッキング・ボール」と呼ばれるWBA王者、ニック・ボール。つい1年前まではさほどメジャーなラインに乗っていない英国人ボクサーでしたが、彼を取り巻く環境は2023年11月のアイザック・ドグボエ(イギリス)との挑戦者決定戦から大きく変化します。
身長157cmとフェザー級としては明らかに小さいボールは、2017年にプロデビューしています。20歳になった頃ですね。
アマチュアでは国際大会に出場した経験はなさそうで、2020年までは負け越しのアンダードッグとの対戦でキャリアを築いています。
2022年、アイザック・ロウ(イギリス)と対戦しWBCシルバー王座を獲得、その後はこのタイトルを防衛してWBCのランキングをきっちりと挙げていきます。この辺りで比較的強豪との対戦を経験しており、この3度の防衛戦で3連続KO勝利と頭角を表しています。
そして迎えた元王者、アイザック・ドグボエ戦です。
↓観戦記
この試合もイギリス国内の試合ではありましたが、英国内の放送であるTNTスポーツの他、Skyスポーツ(※アメリカでESPNが中継してくれる)でも放送があったため、アメリカ大陸でも多くの人の目に触れた試合でした。
ノンストップアクション、素晴らしいスタミナとパワー、フィジカル、そして強靭なハートに痺れたファンも多かったでしょう。まるで、軽量級のピットブルです。
低身長という明らかなディスアドバンテージを逆手に取り、このファイトスタイルはおそらく非常にやりづらい。いつも自分より大きな相手と戦ってきたドグボエとしては、そのやりづらさもひとしおだったでしょうね。
ここで多くのファンを獲得したであろうレッキング・ボールは、王者レイ・バルガス(メキシコ)へと挑戦。これは今年の3月の話で、サウジアラビアのリヤドシーズンの興行でした。
↓観戦記
この興行で最も注目に値する試合は、ボールが2度のダウンを奪うもドロー。ボールは世界で十分戦える実力を証明するとともに、これまで以上に高身長のボクサー相手にも同様に「レッキング」スタイルを貫けることも証明しています。
そして2度目の世界挑戦はそこから3ヶ月もしないうちに訪れます。
バルガス戦でのファイトが評価されたためでしょう、6月、WBA王者のレイモンド・フォード(アメリカ)へのアタックが早々に決まります。これも、リヤドシーズンです。
↓観戦記
ここもまた、ドローでもおかしくないのでは?というファイトでしたが、今回は僅差でニック・ボールに凱歌。紙一重の接戦を一つはドロー、一つは僅差の判定勝利で乗り切ったボールが新王者となりましたが、やはりこの階級のトップファイターには差がない、ということがわかります。
そして今回、この王座の初防衛戦でロニー・リオスを迎えます。
ロニー・リオスはすでに34歳となるベテランで、これまで2度のタイトルショットも世界タイトルには届かなかったボクサーです。
ただ、2度も世界タイトルマッチのチャンスを得ている実力者、ともいえますね。
元々はこのリオス、スティーブン・フルトンの復帰戦の相手として米国リングに上がる予定でした。しかし、この戦いがメインイベントの関係で延期になったことに加え、その間に3度目のタイトルショットの話が来たためにもちろんこっちに乗り換え、フルトンはカルロス・カストロと戦うことになり大苦戦、という流れです。
さて、リオスはもちろん強敵なので、フルトンvsリオスというのもフルトン復帰戦としてはなかなか強敵を選んだな、という印象でした。
過去、レイ・バルガスに挑戦したリオスは判定負け、これは2017年と随分前のことです。その翌年、アザト・ホバニシャン(アルメニア)にTKO負け。2022年にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に挑戦して12RTKO負けを喫しています。
そこから22ヶ月のレイオフ期間を経てフェザー級で復帰、ニコラス・ポランコ(ドミニカ共和国)を5RKOで破って復帰を果たしています。
このポランコは最近非常によく名前を聞くボクサーで、その役割というのはトップボクサーとの調整試合の相手です。リオスの前にはアンジェロ・レオ(アメリカ)、ロブソン・コンセイサン(ブラジル)、アルバート・ベル(アメリカ)、ハイメ・アルボレダ(パナマ)といった期待のボクサーたちの対戦相手を、様々な階級で務めていましたね。
スーパーフェザー級やライト級での戦いで倒されなかったこのポランコを倒し切った、ということは評価できるのかもしれません。まあ、試合を見ていないのでなんとも言えませんが。
ともあれ、フェザー級でのリオスの戦い方をまだ見ていませんが、基本的には非常にアグレッシブなファイタータイプ、タフさもフィジカルもありますが、基本的には前で戦うのでここまでの4敗中3KO負けとKOされるリスクはついてきます。
なのでこのボールvsリオスというのは、間違いなくアクションが非常に多く、エキサイティングな試合になること間違いのない試合です。ボールは1発のパワーパンチで倒すタイプのパンチャーではなく、ボリュームパンチャーの部類なので、リオスがそれに12ラウンズ耐えられるかどうか。もしくは、リオスのパンチもボールに当たるでしょうから、ボールとしても想像以上にリオスのパワーがあった時にどうするか、というのが見どころでしょうか。
大方の予想はボールのKO勝利、もしくはリオスに耐え切られての判定勝利、というところでしょうが、会場はボールのふるさとリバプール、ここは倒し切りたいところです。ただ、ここを倒し切ったとしても、フェザー級で飛び抜けて評価を得るか、というとそうではない、という戦いですね。
この戦いの意味
おそらく、ニック・ボール陣営からするとこのロニー・リオスというボクサーは、「ネームバリューがあり、ボールが負ける可能性が低い」というボクサーだと思います。ボールが負ける可能性が大きいボクサーというのは、例えばフォードやバルガスといった外で戦うタイプのボクサーであり、前に出てくるファイタータイプのボクサーは噛み合う分、ボールが敗北する可能性は非常に低い、と見ているのではないでしょうか。
この戦いは、サウジアラビアで2つの世界タイトルマッチを戦ったボールにとっては、明らかな凱旋試合であり、明らかなお披露目試合です。ここは絶対に負けられない戦い。
ただし、この凱旋試合というものは悪魔が潜んでいる場合も多く、力みすぎ、良いところを見せようとしすぎ、またちょうど良い相手を選んだがために油断につながり良いパフォーマンスが出ない、これはボクサーの性格によって様々な結果をもたらします。
ボールは凱旋試合で良いパフォーマンスを見せられるのか、そこに注目したいと思います。
アンダーカードと配信情報
アンダーカードは、ジャック・ラファーティ(イギリス)vsヘンリー・ターナー(イギリス)というスーパーライト級の無敗対決。BBBofC、コモンウェルス、WBCインターナショナルと3つの地域タイトルがかかった一戦ですので、この国内対決を制したボクサーが世界戦線に上がってくる、という対決かもしれませんね。
その他には地域タイトルのかかったバンタム級戦、アンドリュー・ケイン(イギリス)vsラサロ・カサレス(コロンビア)という対戦もあります。試合数はその他非常にたくさんあるので、なかなかの長時間興行っぽいですが、その多くはAサイドとBサイドがはっきりと分かれた試合であり、あまり興味をそそる試合はなさそうです。
なお、こちらの興行はイギリスではTNTスポーツが放送予定。ボールはクイーンズベリープロモーションの所属であり、このクイーンズベリープロモーションはTNTスポーツ(旧BTスポーツ)がプラットフォームだからです。ちなみにロニー・リオスはProBoxプロモーションなので、ProBoxTVでも放映してもらいたいですがそうはいかないようですね。規模が違いますから。。。
とはいえ、このTNTスポーツは英国外で見れないと思うので、今後は全世界に発信できるプラットフォームと組まないと訴求力が弱くなります。これは日本ではABEMAやU-NEXTにも言えることで、例えば日本のAmazon Prime Boxingは米国ではESPN、英国ではSkySportsで流れるように、少なくとも英米あたりでは流れるようにしないといけませんね。
【10/5追記】
ニック・ボールvsロニー・リオス、U-NEXTが配信してくれるようです。
10/6(日)AM2:45〜から!
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