新年度に入りましたね。
何かと忙しいですね。(だいたいいつも)
今日のブログはいくつかのニュースとボクシングはこれから、本当のワールドワイドスポーツになってくのではないか、というコラムめいたものです。
2026年のスーパーファイト
先の先、そのまた先の更に先の予定まで決まっている、というのは非常に窮屈に思えますが、これすなわち敗北の可能性がほとんどゼロである、ということに等しい。
井上尚弥はJBCの年間最優秀選手賞を受賞のあと、後方に座っていた技能賞受賞者の中谷潤人に呼びかけ、東京ドーム決戦を予告。
5/4にラスベガスでラモン・カルデナスと戦う井上は、9月にムロジョン・アフマダリエフ戦が内定しており、12月にはニック・ボール戦が噂されています。9月のアフマダリエフ戦はすでに対戦合意にいたり、12月のボール戦も「噂」というレベルはとうに超えているでしょう。
2026年の春。
スーパーバンタム級の4つのタイトルを保持したままフェザー級を制した井上尚弥が東京ドームに再臨。
そしてその相手は、3階級を制覇した中谷潤人。これは日本ボクシング史上最大のビッグマッチであると同時に、先にだってあるかわからない非常に重要なファイトです。
おそらく、東京ドームの日程はすでに抑えられているのでしょう。
中谷潤人の至上命題は、2025年中の王座統一、そしてスーパーバンタム級でのテストマッチ。その事を考えると中谷の方が難しい宿題を持っているようにも思います。
6月と噂される次戦でIBF王者、西田凌佑と戦えるのかは指名戦もあってかなり微妙、たしかすでにIBFは西田とホセ・サラス・レイジェスの指名戦をオーダーしていたはずです。6月に西田vsレイジェスをやらなければならないならば、中谷の統一戦は早くて9月、今年中にできれば良いという計算になります。
中谷にとってベストな流れは、次戦、6月で西田と王座統一戦、勝てば王座を返上してスーパーバンタム級のテストマッチへ臨む、というものでしょう。そうすれば空いた王座を那須川天心が狙える、という格好にもなりますから、帝拳プロモーションはここを狙っているはず。
そうでなければ11月、中谷vs西田の王座統一戦の脇で、WBC暫定王座決定戦なるものを組み込み、そこに那須川が登場という手もあるか。いずれにしろ、中谷の返上により正規王者となれるはずです。
一番良い形で激突してほしい井上vs中谷。勝負は来年ですが、すでに始まっています。これは一挙手一投足を楽しんでいくべきでしょう。
スティーブン・フルトンvsオシャーキー・フォスター?
ブルース「シュシュ」キャリントンがエンリケ・ビバスをノックアウトで破り、WBC世界フェザー級の挑戦権を獲得。そのシュシュが名指しした王者は、スティーブン・フルトンとニック・ボールです。
トップランク所属のブルース・キャリントンは、早々に王者に挑戦できる位置にきましたが、それでもなお強敵を相手に綿密なキャリアを積み、前戦でもエンリケ・ビバスにはじめてのノックアウト負けを味わわせるという充実ぶり。今こそ世界挑戦のタイミングとしてはベストと言えるでしょう。
しかしそのWBC王者フルトンは、なんと1階級上げてのスーパーフェザー級挑戦を画策しているとのこと。狙う王者はWBC世界スーパーフェザー級王者のオシャーキー・フォスターで、この二人の戦いは塩試合になる可能性が大いにありますが、興味深い戦いです。
ちなみに、ある噂では「フルトンのレイ・バルガスと戦わなければならない」とも言われているそうです。一応「休養王者」という王者の一人である、WBCに優遇サれまくっている私の嫌いなこのボクサーは、2023年にスーパーフェザー級に進出してオシャーキー・フォスターに敗れ、フェザー級に戻っての復帰戦でニック・ボールに敗れています。(本当はドローですが、完全に負けです。)
そこからはや1年、最後の勝利は2022年7月のマーク・マグサヨ戦ですから、もう3年近くも勝ち星がないにも関わらずまだ王者。不思議なものですね。
もうそのまま引退してしまえば良いと思いますが、いずれにしろ、フルトンがフォスターと戦うのならば、このレイ・バルガスとブルース・キャリントンとの間で王座決定戦が組まれる見通しとのこと。
これを「暫定王座決定戦」とせずに「正規王座決定戦」とすることがトップランク側がWBCと交渉していることだそうです。政治の世界ですね。
ちなみに、フルトンがスーパーフェザー級挑戦でフォスターに敗れた場合、フェザー級の休養王者になるのでは、という懸念事項もあるそうです。もう、なんのこっちゃですね。
本当のワールドワイドへ
Amazon Primeで放映されている、ボクシングナビ・プレミアムラウンジvol.9を観ました。これは良い番組だなと思います。Youtubeのようにゴチャゴチャした感じはなく、やっぱり香川照之は素晴らしいし、福田直樹氏が出ているのも良いですね。
さて、このvol.9のエピソード2では杉浦大介氏が登場し、アメリカのボクシング界は今寂しい状況にあると語っていました。
私がボクシングを見始めた頃、間違いなくボクシングの中心はアメリカにありました。きらびやかなラスベガスのリングで、「HBO」という表記の意味もわからず見ていたあのボクシングは、海の向こう、別世界のものでした。
しかしその後、イギリスでボクシングが大復活し、今現在、軽量級においては日本が覇権を握り、アメリカのボクサーが「本場」で「最先端」であるとは言い切れないのもまた事実。
いつかはアメリカに覇権を取り戻してもらいたいものだと願うばかりですが、それはもう難しいのかもしれません。
当然、未だアメリカがボクシングにとって重要な場所であることは事実ですが、現状、アメリカの大手ケーブルテレビジョンは次々とボクシングから撤退。残すはESPNのみとなっていますが、このESPNもトップランクとの契約を解消します。(が、アラルシクとダナ・ホワイトのTKOリーグを放映するという噂はある)
代わってAmazon Prime やDAZN、そしてProboxといった配信サービスが台頭してきていますが、これらのプラットフォームは「最近までボクシングがほとんど放送されていなかった新たな地域」へ大きく食指を伸ばしています。
特にオーストラリアは近年、それが顕著であり、ティム・チューというスターを抱え、ジャイ・オペタイアという世界的にも評価の高いボクサーの台頭がそれを勢いづけています。これまでオーストラリアのボクサーといえばラグビーやオーストラリアン・フットボールの片手間でボクシングをする、というパターンが多かったですが、重量級にも本格派のボクサーたちが出てきたという印象です。そしていくつかのビッグイベントを見る限り、観客は熱狂し、素晴らしいイベント担っているとも感じます。
そしてこれからその動きが起こりそうなのが中央アジアです。
ゲンナディ・ゴロフキンという稀代の名王者を輩出したカザフスタン、そのお隣のウズベキスタンといった中央アジアの国々は、ここ最近、アマチュアボクシングでの大躍進が目覚ましい。そしてそれにプラスして、GGGに続けとばかりにムロジョン・アフマダリエフ、ジャニベック・アリムハヌリといった中央アジアのボクサーたちがプロの世界王者となり、そして何よりも今は五輪2連覇、バホディル・ジャロロフが控えています。
これまで長くアマチュアボクシングが称賛されてきたこの国々でも、きっとプロボクシングがより称賛をうける土壌になってくるのではないか、と思います。アマチュアボクサーたちは国から報奨金を受け取るのでしょうが、プロボクサーになれば自分でも稼げるのですから、その成功に続く次世代のボクサーたちも多いはず。プロボクサーでも五輪に出れるようになった今、両立するボクサーたちも出てくるでしょうし、これらの国のボクサーはそれが出来そうで怖いものです。
ということで今、ボクシングは本当の意味でワールドワイドなスポーツになってきているのだと思います。
現在、最もワールドワイドなスポーツといえば(たぶん)サッカーです。野球ではないし、バスケでもないし、バレーでもないし、インディアカでもセパタクローでもカバディでもないです。
きっとそれに次ぐスポーツになり得るのではないか、というのがボクシング。ボールだけがあればサッカーができるように、グローブがあれば、いや、何か拳を保護するものがあればボクシングはできるのです。
これからももっともっと、いろんな国でボクシングが行われれば良いですね。
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