いよいよ始まるゴールデンウィーク。
今年は中3日が平日となかなかに大型連休が取りづらい日程になっていますね。
しかし、この連休中はボクシング、ボクシング、そしてボクシング。どこにも出かけずにお金を使える笑という、ボクシングファンにとっては嬉しくも悲しい日程です。
ということで今回のブログは、GW興行第一弾、ライアン・ガルシアvsロリー・ロメロをメインに据えた、FAFTAL FURY興行のプレビューです。

5/2(日本時間5/3)アメリカ・ニューヨーク
WBA世界ウェルター級王座決定戦
ライアン・ガルシア(アメリカ)24勝(20KO)1敗
vs
ロランド・ロメロ(アメリカ)16勝(13KO)2敗
もともとはウェルター級12回戦と定められていたこの戦いは、無用なWBA世界ウェルター級「レギュラー」王座決定戦にランクアップ。
もともとエイマンタス・スタニオニスがレギュラー王者でしたが、ジャロン・エニスが王座を統一、このことでエニスはWBAのスーパー王者に昇格しています。で、空位となったレギュラー王座を巡って、この戦いが王座決定戦となるようです。
ちなみにスーパー王者となったエニスは、現在指名挑戦権を持つシャフラム・ギヤソフとの指名戦をクリアしたのち、このガルシアvsロメロの勝者と戦わなければならないようです。この戦いは普通に考えればガルシアが勝つでしょうから、エニスとしてもガルシアと戦うことは過去最高の報酬を受け取れるのでしょうから悪くない。その決定までの間、エニスのキャリアが停滞しないことを祈るのみですね。
さて、翻ってガルシアvsロメロ。
かつて大きな未来を予感させた「キング・ライ」ガルシアは、もはやドーピング&ウェイトオーバーのイメージが拭えません。デビン・ヘイニーを何度も何度もマットに打ち付けたという事実は、ヘイニーの打たれ脆さとガルシアのパワー(と体重超過)を考慮すると、有り得そうなことだったがゆえにその失望たるやとんでもないものです。
そこにかけて日本のお笑い格闘技団体、RIZINのオファー受けて断るというメンヘラムーブ、もはや擁護のしようがありません。
そして対するはロランド・ロメロ。言動は置いておいたとして、そうはいっても真面目にボクシングをしていることを願います。ただ、イズマエル・バロッソ戦で疑惑のTKO勝利(この文字列は非常に珍しい)、イサック・クルス戦ではスーパーライト級でも明らかなパワー負け、ともかく彼も世界のトップボクサーとは言い難い、残念なボクサーです。
そんな二人が果たしてウェルター級の世界タイトルを争う立場にあるのか、というのはいちファン目線からはなかなか難しい判断です。
正直、ロメロが勝つのは難しいでしょう。ロメロはもともとディフェンスが良いタイプのボクサーではなく、さらに打たれて強くありません。
しかしPEDボクサーに好き勝手やられるのも非常に嫌なので、ロメロに頑張ってもらいたい。ロメロが勝つ術は、ガルシアがメンタルヘルスについて問題を抱えている場合のみに思えますが、如何に。
デビン・ヘイニー(アメリカ)31勝(15KO)無敗
vs
ホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)29勝(18KO)2敗
そんなライアン・ガルシアに痛めつけられ、大きな大きなブランクをつくったデビン・ヘイニー。実に1年と半月ぶりのリング復帰となるデビン・ヘイニーは、あの戦いで「壊れているのか」それとも「壊れていないのか」。
そんな意味においては、かなり安定的なパフォーマンスを発揮してきているホセ・カルロス・ラミレスは十分にそれを計れる相手だと思います。これはなかなかどうして、良いマッチメイクだと思います。
ヘイニーもラミレスもこれまでスーパーライト級を主戦場としてきているボクサーですが、今回はウェルター級戦。
だからこの戦いはウェルター級戦とはいっても階級のことはほとんど関係ないと思われます。
なので結局はこの戦いは、デビン・ヘイニーの現在を計測する戦いです。
これまでのパフォーマンス、戦歴を見る限りでは、ホセ・ラミレスの刃はヘイニーに届かないでしょう。ラミレスはフィジカルパワーこそあれど、やはりパンチングパワーはトップどころを相手にするとややもの足りず、最後までしっかりと動けることは評価できます。
ラミレスが勝利するには、打たれ脆さのあるヘイニーに対してどこかで一発当てるか、それとも前半から旺盛な手数でヘイニーを削って削って後半に勝負をかけられるか、が焦点となりそうです。
ラミレスにはウェルター級は難しい階級のような気がしますが、ヘイニーは戦法次第で十分に戦えるはずです。しかしそれ以前に、ライアン・ガルシア戦の影響がどうか。これは試合そのものもあるでしょうし、おそらくヘイニーにとってもガルシア戦は過去最高報酬だったはずで、そこで満ち足りたりしていないか、というところが気になるところですね。
WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ
テオフィモ・ロペス(アメリカ)21勝(13KO)1敗
vs
アーノルド・バルボサJr.(アメリカ)32勝(11KO)無敗
トリプルヘッダーの3試合のうちこの試合が唯一、ボクシングの試合として「この日、この時間、どちらが強いのか」を競う戦いだと思います。
なんだかんだ大人気の陽キャ、テオフィモ「テイクオーバー」ロペス、ホンジュラスにルーツを持つニューヨーカーは、ある種の凱旋試合で超強的との戦いに臨みます。
元がカウンターパンチャーで、一瞬のカウンターで印象的なKOシーンを生み出してきたロペスですが、ここ最近のパフォーマンスはさほど良くはありません。
ただ、どちらかというと強敵相手、ビッグマッチに対して良いパフォーマンスを発揮することは多く、これはいわゆる「波がある」という状態なのですが、相手がしっかりと勝ち上がってきて評価の高いアーノルド・バルボサJr、史上初となる「タイムズ・スクエア」での大興行ともなれば気合が入り、もしかすると過去最高のパフォーマンスを魅せられる舞台ではないか、と思います。
挑戦者はアーノルド・バルボサJr.。前戦でジャック・カテラルを退けてカテラルが積み上げてきたもの全てをテイクオーバーしたバルボサですが、それ以前からホセ・ラミレスに勝利したり、スリサニ・ンドンゲニ、ホセ・ペドラサらを退けてきています。
不遇の時間も過ごした元プロスペクト、バルボサは、時間がかかりましたがようやく舞台に上がれたボクサーだけに、この試合に上がる意気込みはかなりのものがあるでしょう。
ビッグマッチがゆえに、モチベーションが高いであろうテオフィモ・ロペス。
そして待ちに待った世界タイトルショットで当然モチベーションは最高潮のアーノルド・バルボサJr.。
これだけでも、素晴らしい戦いが見れるのではないでしょうか。
モチベーションが同等とすれば、あとは相性が物を言うのもボクシング。
どちらかというとセンスでボクシングをしている風のロペス、そして身体能力ではなくインテリジェンスでボクシングをしている風のバルボサ。
おそらくバルボサ陣営としては徹底してロペスを研究しているでしょうし、ロペスは感覚的にボクシングをしている分、比較的読みやすいのではないか、と思います。
なのでロペスにとっては非常に強敵、難敵、もしくは天敵となり得るのがこのアーノルド・バルボサJr.です。ロペスのセンス、ひらめきはバルボサのインテリジェンス、事前準備を上回ることができるのか。バルボサのペースで試合が進む場合、ド派手な試合にならないでしょうし、そこでどこかでロペスが爆発することができるかが焦点です。いずれにしろ、ロペスも比較的慎重なボクサーですから、バチバチの殴り合いにはならないでしょうが、ヒリヒリした試合にはなりそうですね。
レベール・ウィッティントン(アメリカ)1勝(1KO)2敗1分
vs
堤麗斗(志成)デビュー
そして、この試合はさすがにPPVには載ってこないとは思うのですが、無料配信とかはあるのではないでしょうか。日本期待の堤麗斗のプロデビュー戦は、まさかのニューヨーク、タイムズスクエア。
これは大快挙、プロデビュー時からトゥルキ・アラルシクのサポートを受けられるボクサーは日本人ではもちろん初、世界でもさほど多くない事例です。
アマ時代から超攻撃的サウスポーだった堤麗斗、ほとんどのファンが感じることでしょうが、おそらく兄・麗斗よりもプロ向きです。
一方で、兄と同様、調整についてはやや不安が残る麗斗。まずプロデビューはスーパーフェザー級ということであまり心配はないのでしょうが、世界で話題になるボクサーになる、そんな片鱗を見せてもらいたいプロデビュー戦がいよいよです。
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