さて、ゴールデンウィーク興行の初日です。
なんだかんだと忙しく、結局確認するのが夜になってしまいました。
いつも通り、放映順で、試合だけを見ていきましょう。まずはニューヨーク、タイムズスクエアで開催されたFATAL FURY興行です。

5/2(日本時間5/3)アメリカ・ニューヨーク
堤麗斗(志成)デビュー
vs
レベール・ウィッティントン(アメリカ)1勝(1KO)2敗1分
まずは日本のプロスペクト、堤のプロデビュー戦です。サウスポースタンスからグイグイとプレス。ウィッティントンも良いジャブを持っていますね。
パワーは明らかに堤、ウィッティントンも良いボクサーですが負けることはなさそう。
堤のセコンドにはイスマエル・サラス、志成ジムはまとめてサラスが面倒見てる感じでしょうか。
ジャパニーズ・プロスペクト堤はミズノのリングシューズにウィニングのグローブ、攻撃的なボクシングを見せています。この階級でパワー負けしないのは素晴らしい。フェザー級6回戦と書いていましたが、スーパーフェザーでアナウンスされていたような。まあ、どちらでも良いですが。
2Rに左のオーバーハンドでウィッティントンを大きくぐらつかせた堤ですが、亀のように固まったウィッティントンに効果的なパンチを見舞えずにゴング。
勝負の3R、堤は軽いジャブから強いパンチを繰り出してウィッティントンを攻め立てるも、ウィッティントンはタフで、カウンターも上手く、倒せず。
その後も随所に良いショットを与えつつも決定的な場面を作ることはできていません。4Rにも左のショートフック、左のアッパーをヒットするも、ウィッティントンも力強く反撃。
5Rはちょっと落ち着いた雰囲気か、相変わらず堤は攻めていますが、ウィッティントンはガードでしのぎつつのカウンター。ここは倒しきってほしいですが、展開が変わらない限り難しいか。
ラストラウンドも攻める堤、左右のフックはウィッティントンの身体を泳がせ、ガードの間隙を縫ってヒットするアッパーカットは見事なものですが、それ以上のものは見せられず。
判定は、59-55✕2、58-56で堤。
デビュー戦としては素晴らしい舞台ですから、やっぱりでかいインパクトを残してほしかったですね。というのは、ちょっと贅沢でしょうか。
WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ
テオフィモ・ロペス(アメリカ)21勝(13KO)1敗
vs
アーノルド・バルボサJr.(アメリカ)32勝(11KO)無敗
次はテオフィモ・ロペスvsアーノルド・バルボサJr.。バルボサはスタンダードなスキルを高いレベルで保持しているボクサーなので、ロペスの出来次第でアップセットは起こり得ます。
初回、フェイントからのジャブの差し合い、ここで今日のロペスは非常にキレていることがわかります。互いにカウンターを狙っている風な両者、中間距離で非常にヒリヒリした攻防が繰り広げられます。ところで本当に今日のロペスは良いですね。
2R、今日のロペスの良いところは、カウンターが単発で終わらず、コンビネーションが出るところ。相手を強敵として認めた時のテオフィモ・ロペスです。非常に攻めづらそうなバルボサはロペスに先に動かれ、ふとした時の攻防でもロペスが一瞬速い、というイメージ。
3R、かなり余裕が出てきたように見えるロペス。バルボサのパンチは見えているのでしょう。そうすると余計な動きも出てくるロペスですが、これをやることで相手を呑み込むことができていきます。
4R、ほぼノーガードで上体の動きを大きくし、カウンターのロペス。明らかなビッグパンチ狙いですが、バルボサの攻撃はほとんど見切られているか。
バルボサはジャブが良く、時折良いリターンを放ちますが、それ以上のことはなかなかできない状態。
5R、スタンダードすぎて隙が少ないバルボサに対し、ロペスも決してやりやすくはないのでしょう。ロープに一瞬腰掛けてみたりサウスポーにスイッチしてみたりと色々なことを試しながらやっているロペス、最後はアリシャッフル。
6R、テオフィモ・ロペスはやっぱり才能の塊です。バルボサをして、ほとんど何もできていません。
と思った中盤、バルボサの右カウンターがヒット!これはかなり危険なタイミングでしたが、ロペスはポーカーフェイス、ケロリとしています。ただ、ちょっと調子に乗りすぎたかもしれません。
主導権は未だロペスですが、バルボサにとってはここを起点として盛り返したいところ。
7R、バルボサのジャブを鼻先でかわし、その後ワンツーで攻め入るロペス。前ラウンドのカウンター以降、やや警戒心を強めたか、遊びは少々少なくなっています。
良い集中力をキープしているテオフィモ・ロペス、バルボサはなかなか攻められません。
8R、生来センス抜群のカウンターパンチャーであるロペス、バルボサが強く出てこない場合はノックアウトシーンは訪れそうにありません。バルボサも前には出るもほとんどジャブのみで、このままではここから逆転は厳しいのではないでしょうか。またちょっと遊びはじめたロペス、ただ、これは仕方のないことかもしれません。
9R、いかなければいけないのはバルボサですが、ロペスのコンビネーションがヒット。10Rにバルボサがプレスをかける場面がでてきますが、やはり待ってしまいます。パンチの当たる距離での交錯も、ロペスの方が回転力があり、どこで勝負しても勝てない雰囲気が出てしまっています。
11R、いよいよ出てくるバルボサですが、そのパンチは空を切り続けます。ラストラウンドもガードを固めて前進のバルボサ、しかしスムーズにパンチが出るのはロペスの方です。
後半に入るとロペスが攻め入る場面が増えていき、そこでバルボサはカウンターを狙うもそれは単発で終わり、大きなダメージを与えるに至らず。そして規定の12ラウンズが終了、判定を聞く前にバク宙のロペス。
判定は、116-112✕2、118-110、3-0でテオフィモ・ロペス。
光るショットはありつつも、足りなかったバルボサ。総合力だけでなくなにか武器が欲しいですね。
テオフィモ・ロペスはやはり相手が強ければ良いパフォーマンスを発揮してくれます。このボクサーこそ、ビッグマッチだけでやっていってほしいものです。
デビン・ヘイニー(アメリカ)31勝(15KO)無敗
vs
ホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)29勝(18KO)2敗
エキサイティングな試合とは言えなかったロペスvsバルボサ、続くのはこちらもエキサイティングな試合にはなりそうにないヘイニーvsラミレスです。
ヘイニーがPEDガルシアに何度も倒された影響があるのかどうか。ゴング。
初回、ジリジリとプレスをかけるのはラミレス。ヘイニーはサークリング、パンチは出ません。ほとんどの時間をただただリングを周るだけに費やしたデビン・ヘイニー、まずは1年ぶりのリングで感触を確かめたのでしょうか。それとも。
2R、よく動くヘイニー、近づかれるとすぐさまクリンチ。ジャブで攻め入り、これはシャープです。後半にはようやくコンビネーションを使い始めます。ラミレスはというと、左右に動くヘイニーについていくだけで攻めることは殆どできていません。これはまたつまらない試合になりそうです。
3R、ラミレスが身体を振って強いプレス。良いコンビネーションを見せますが、近づけばヘイニーのクリンチに阻まれます。ヘイニーは動き回ってジャブ、タイムズスクエアの観客は立ちっぱなしでこの試合を見るのはキツくないか。
4R、展開は変わらず、ラミレスがプレス、ジャブ以外のコンビネーションを出せばヘイニーはクリンチ。それ以外はヘイニーは鋭いジャブとカウンター、あとは足を使ってぐるぐる。
5Rも同様、静まり返る観客と、実況も特に言う事がないのでだまります。一瞬ミュートにしてるかと思った。
残念なことに、ヘイニーのジャブは随所でヒットしており、ヘイニーのカウンターショットも有効なものがあるので、ラミレスに攻勢点を与えることはできなそうです。
6R、単発気味のラミレスはヘイニーにパンチを届かせることができません。しかし、このラウンド終盤、クリンチされようともパンチを繰り出す気概を見せています。それで良い。
7R、ポイントの取り方を知っているヘイニー、ほとんどの時間を逃げ回りながらも、時折コンビネーション。8Rも同様で、ラミレスはパンチを出しながら前に行くべきです。そうでなければ、このボクサーを捕まえることはできないでしょう。
一点だけ可能性があるとすれば、稀代の打たれ弱さを持つヘイニーに一発でも当たれば、というのが希望でしょうが、そこまで甘くありません。
9Rも何事も起こらず、もはや実況も談笑しています。10Rも何も起こることはなく、11Rも、果てはラストラウンドに入ってもそのまま。久々に見て損をした試合でした。
あのエネルギッシュなホセ・カルロス・ラミレスですらここまでパンチを出せないとは、やはりヘイニー恐るべしですね。しかしこれで勝ってしまうのでしょうから、ボクシングというのはなんとつまらないスポーツか。
いないとは思いますが、もしボクシングを初めて見る人がいるならば、これはさすがにどう考えても魅力的には映らないでしょうね。ともあれ、眠ることなくこの12ラウンズを見た自分を褒めたい。
気になるパンチスタッツは、ヘイニーが70/224、ラミレスが40/279。ヘイニーはラウンド平均18.6発。これはさすがにひどい。
119-109✕2、118-110、3-0でデビン・ヘイニー。
ヘイニーと戦うことで評価を下げるボクサーがあとを経ちません。誰かこのボクサーを止めてほしい。
WBA世界ウェルター級王座決定戦
ライアン・ガルシア(アメリカ)24勝(20KO)1敗
vs
ロランド・ロメロ(アメリカ)16勝(13KO)2敗
そしてこの興行で最も興味のない試合ですが、さすがにここはKOで締めなければ興行自体が締まりません。
初回、リング中央でどっしり構えるガルシア、ロメロはガルシアのフェイントに過剰反応を示します。ただ、意外とこれはいつものことです。
2R、ガルシアが攻め込んだところでロメロがダブルの左フック!!これでなんとガルシアがダウン!!この展開はまさかが起こるのか!これは俄然興味が湧いてきます!
猛然と攻め入ろうとするロメロですが、いかんせんバランスが悪い。ガルシアの強いジャブをもらったロメロは、優勢にも関わらず自らクリンチ、謎です。
完全な後ろ荷重から届かないジャブを突いて右オーバーハンドのロメロ、意外とこれが当たります。さあがんばれロメロ。勇気を持って攻めるんだ!
終盤、ガルシアの左フックがかすったか、バランスを崩したように見えたロメロ。やはりこのボクサーも打たれて強くはありません。
3R、ダウンを奪ったことで手応えを感じているのか、ロメロは今日左フックが多い。この左にガルシアの左フックを合わせられないことを願うのみです。
相変わらずイマイチなジャブを打つロメロですが、ガルシアも強引にはいきません。右ガードをしっかりと掲げ、長い距離でのボクシング。これは先程のダウンのダメージがあるのか、意外とロメロにパワーを感じているのか。
4R、左ジャブの差し合い、距離、スピード、パワー、そしてタイミング、全てにおいてガルシアが上回っているように見えます。ただ、そう単純な話ではないらしく、ガルシアはここで勝負をしませんね。
このラウンドは両者ともにジャブに終始。
5R、ロメロの中途半端なジャブにコンビネーションをリターンするガルシア。その後も長い左フックをコネクト。
ガルシアが随分余裕をもって来ているように見えます。落ち着かれては勝ち目がないロメロ、もうさっさと勝負にいくべきではないでしょうか。と、人ごとだからこそ思います。
6R、お互いにボディジャブの差し合いみたいな展開になっていますが、この場合、前手を下げたスタイルのロメロの調子が良いように見えます。ただ、自ら攻めて距離を詰めたところでクリンチというのはいただけませんね。作戦なのでしょうか。
7R、ガルシアが攻めてこない分、ロメロにとっては好都合かもしれません。スピード差があり、ガルシアがそのスピードで攻めてくればおそらくついていけないであろうロメロですが、マイペースで戦えているように見えます。ただ、ガルシアのジャブの方が良いのは相変わらずか。
8R、この両者慎重な展開に会場からはブーイング。ヘイニーvsラミレスでもブーイングなかったのに。ともかくビッグパンチをあてようとジャブの探り合いが続く両者、互いに突破口がない、というよりも、この状況をどうにかしようという気概に欠けています。
9R、ロメロのボディジャブがよくあたっています。ガルシアがパワーで攻めてこない分、ロメロは随分やりやすくなってきたか。10R、11Rと続くも展開が変わらず。
ラストラウンド、ガルシアが攻めないのは、序盤のダウンが残っているからなのか、まったく勝つ気が感じられません。速いジャブを出すぐらいで、得意の左フックは全く鳴りを潜めています。
ロメロはロメロで危険を察知しているようで、勝てる場所、つまりはボディジャブを当てることに終始。リスクを背負って倒そうという気概はないですし、とにかくボディジャブが当たるのだから当てていこうというもの。しかも上にジャブを打ってボディジャブを返すという単純明快なもので、しかもこれに対応できないガルシアはどうかしています。
こちらもパンチスタッツはガルシアがわずか207発のパンチ、ロメロが267発。2試合続けてこれはひどい。タイムズスクエアの興行は大失敗に終わった、と言えるのではないでしょうか。これはマジで金返せ案件です。
判定は、115-112✕2、118-109、3-0の判定でロランド「ロリー」ロメロ。
どっちも負けで良いのですが、ボディジャブを当てていたのはロメロ。まさかロメロが勝つとは思いませんでした。ライアン・ガルシアはRIZINでも何でも行ってくれという感じですね。
さて、ロリー・ロメロはともかく、この勝利により評価を、というよりも、「市場価値」を高めたと言えます。これで自信をつけ、かつての勢いを取り戻すことができるか。
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