信太のボクシングカフェ

信太のボクシングカフェ

ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上拓真が見るバンタムの新たな景色と、坪井智也のゆく道。敗者、那須川天心と中野幹士の未来は。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

11/24、Prime Video Boxingが終了。

坪井智也のパフォーマンスに驚愕し、中野幹士の敗戦にショックを受け、そして井上拓真の王座返り咲きに感動した1日。

そこから1日がたった11/25、今回のブログは一夜明け感想戦です。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 


増田陸

個人的には「勝ちを拾った」感じがある増田陸。もちろん、バッティングによるカットがなく、フルラウンド戦っていて増田が負けるとは思えません。ダメージも明らかにカルデロンの方がありましたし、もう少し続けば増田のストップ勝利も大いにあり得たと思います。

ただ、この試合の展開としてアクシデンタル・ヘッドバットにより負傷判定の可能性が出てきたがために、カルデロンは手数を増やして来たのだと思います。

本来であれば増田もそうあるべきでしたが、増田はそこでギアチェンジができなかったのでしょう。

どうしてもカウンター狙い、打っても1発2発という自分のボクシングを崩さず、どのような状況下においても自分のボクシングを貫き続けることができることは、強みの一つ。この戦い方がハマれば無類の強さを発揮しますし、日本刀のような切れ味と評される左一発で試合を終わらせてしまうこともしばしば。

ハマらなかった時がどうなのか、というのがおそらく今回で、綺麗ではないボクシングながらもがむしゃらに出てくる、強打をもらいながらも打ち返してくる、こういう相手に対してどのように相対するのか、は大きな課題です。

これは、唯一の敗戦である堤戦でも言えた事で、自身の強打で止まらない相手に対してどのように対処するのか、は練っていかなければならないところですね。

 

 

 

但し、今回生き残った事は非常に大きな事。課題が見つかったことについても、好意的に捉えるべきでしょう。

勝利したとなればランキングが下がる事はないでしょうから、必然的に標的はIBF王者、これは12月にホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)vsランディ・ギーケ(南アフリカ)の間で争われます。王座決定戦に出場するボクサーを除けば、増田陸はIBFランキングで2番目。1つ上には、ケネス・ラバー(フィリピン)がいますね。もしすぐに順番が回ってこなくても、面白そうなマッチアップはいくらでもありますね。

坪井智也

わずか3戦目で元王者、カルロス・クアドラスを圧倒して撃破した坪井智也。37歳のクアドラスはこれで引退、坪井はクアドラスに引導を渡した、という結果になりました。

Mr.ホンダは自身のプロモートする選手同士を戦わせようとしない、これはよく言われる事ですが、この坪井vsクアドラスは帝拳プロモーションに所属する選手同士の試合でもありました。

クアドラスのキャリアは終わりに近づいていた、それを陣営が認識していたとするならば、この試合は坪井智也というボクサーにバトンを渡す、そんな儀式になるべくしてなったのかもしれません。

 

 

 

いずれにしろ、クアドラスはその長いキャリアの中で6敗、ストップ負けは今回を含めてわずかに2回です。WBCのトップコンテンダーだったクアドラスに会心の勝利を得たことで、坪井はかなり良い位置にランクされるはずです。というか、WBCは1位で良いはずです。

ともあれ、この階級はジェシー・ロドリゲスが3団体を保持。そしてロドリゲスはこの階級での4団体制覇を目標として掲げ、その戦いのあと、バンタム級への転級が既定路線です。

ボクシングファンの期待どおりにいけば、12/27、寺地拳四朗がウィリバルド・ガルシアに勝利し、IBF世界スーパーフライ級王者となり、この拳四朗とバムが5月に4団体王座統一戦を行うという流れになるはずです。ちなみにバムはリングマガジンのPFPランキングで4位にステップアップ。たとえ相手が拳四朗であろうとも、今のバムを止めるのは難しいでしょう。ウィリバルド・ガルシアならばなおさらです。

さて、この4団体統一王座に坪井が挑む事ができるか、もしくは、空位になった王座のいずれかにチャレンジするか、というのが坪井の選択肢。これは坪井の選択肢、というよりも状況によるところが大きく、なので4戦目で世界挑戦を目指すとちょっとブランクが空きすぎてしまうかもしれませんね。

ちなみにウルトラC、というかあり得る形は、5月の東京ドーム興行、坪井智也が「WBC世界スーパーフライ級暫定王座決定戦」に出場するというもの。これで坪井がWBC1位になれば、バムとの指名戦をオーダーされ、それでもバムが王座統一戦を優先する、という流れになった末、暫定王座が設置されるという流れになる、ということです。ありそうじゃないですか?

 

 

 

中野幹士

この興行で唯一残念だったのは、中野幹士が敗れてしまったことです。

戦前、ライース・アリームには負けない、負けるはずがないという完全な思い違いをしていました。

アリームは、やはり「サム・グッドマンに負けた」という事実が我々の目を曇らせてしまっていたのでしょう、グッドマン戦と比べてもよく動き、中野の強打をしっかりと警戒し、対策を練ってきていました。

中野は良いプレスをかけていましたが、左右に素早く動くアリームは的を絞らせることなく中野の強打を空転させ、少ないながらも時折勢いよく攻め入る事で優勢という印象をジャッジに擦り付けていきました。

これはライース・アリームの戦略面での勝利、と言えると思います。

これは増田陸にも、中野にも言える事ですが、しっかりとパンチに腰を据えて打つことで素晴らしいノックアウトを演出していますが、その分、返しが少なく、連打が出にくいという欠点も浮き彫りになってきていると思います。

 

 

 

私は指導する際、パンチが当たらないなら当たるまで出せば良い、という暴論をたまに使うのですが、良いところを当てようとしすぎて手数が減る、という現象が帝拳ボクサー全体に起きている気がします。そしてそれは、那須川天心へも伝染していると思われます。

結局怖いのは、当てても止まらないボクサーで、ボクシングはスポーツでディフェンス、貰わないことは非常に大事ですが、原点は「相手を打ち倒す」競技であり、パンチをもらって止まってしまうと怖さはありません。

序盤、中野のプレスはアリームにしっかりかかっていました。しかし中野が「ここまでしか出てこない」と悟ったアリームは、そのプレスに慣れ、反撃を試みる機会を徐々に増やしていったのだと思います。

そしてそこをひっくり返す経験が中野にはなかった、ということなのでしょう。

フェザー級の壁は非常に高い。これは阿部麗也の世界挑戦の時にも思ったことですが、是非とも井上尚弥以外にこの階級のボクサーにも頂点にたどり着いてほしい。その最も近い場所にいるのは、今も中野幹士だと思っています。

やはりこの階級では「国内最強」「アジア最強」では物足りません。是非とも海外での強敵とのファイトを、もっともっと期待したい。

 

 

 

井上拓真と那須川天心

過去最高の準備をして、過去最高の仕上がりで、過去最高の注目度で過去最高のパフォーマンスを発揮した井上拓真。

様子見の初回、2Rは那須川天心にポイントが流れていましたが、3Rにプレスを強めてからは圧巻、自らの土俵に引きずり込んで完勝、まさに井上拓真のボクシングの粋を見た、という感想です。

那須川天心は初黒星、しかし前向きな彼のこの初黒星はそんなに心配することではないでしょう。ややナルシシズムを感じる那須川天心は、この初黒星という状況においてまた物語をつくり、そしてそれを苦難として乗り越え、きっと新たな強さを引っ提げてリングに戻ってきてくれるはずです。

そして井上拓真に誓ったリベンジ、しっかりと段階を踏んで数年後にまた見てみたい戦いです。次戦が待望の武居由樹戦でもマッチメイク的には問題はないですが、おそらく両者ともに復帰戦を挟んで以降のことでしょう。いずれにしろ、敗北からの復帰戦でやる可能性は低いような気がします。なにせどっちかが2連敗になってしまいますからね。

さて、井上拓真はWBCの世界王者に返り咲き。気になるのは今後のことです。

WBCのトップコンテンダーだった那須川天心と2位の井上拓真が王座決定戦で戦い、現在の3位はファン・フランシス・エストラーダです。

 

 

 

このエストラーダが指名挑戦者として、WBCがオーダーを出すか、というと微妙なところ。エストラーダは日本に来て戦いたい、とは思わないでしょうし、指名戦とはいえどもエストラーダはカネがかかりすぎます。

結局、WBCとしても御しにくいエストラーダではなく、その次の4位に控えるアンドリュー・ケインに指名戦をオーダーするのではないでしょうか。(ランキングを操作して)

このケインは14勝(12KO)1敗という戦績を持つ強豪で、過去にイオヌト・バルタに負けていますが、チャーリー・エドワーズに勝利しています。世界挑戦の権利としては十分な実績でしょう。こちらもイギリス人なので、日本に来てくれるかどうかは不明。

そしてこのケインの次、5位に先月からランクインしたのが井岡一翔。井上拓真vs井岡一翔、この可能性が出てきただけでも大喜びです。

思えば日本人との厳しい戦いを幾度も幾度もクリアしてきた井上拓真。ここで那須川天心を降し、井岡一翔を退けるようなことがあれば、もはや過去最大の「日本人キラー」です。

次の初防衛戦が堤聖也へのリベンジマッチ、となる可能性もありますし、もし、12月にドネアが堤に勝利すればドネアの線はかなりの高確率で浮上してくる事でしょう。

武居に勝利したクリスチャン・メディナも、天心のスパーリングパートナーとして幾度も来日、武居に勝利してタイトル獲得したこともあり、日本には呼ばれれば来てくれるボクサー。仮に5月、東京ドームのアンダーカードでWBO王座との防衛戦が組まれても何も驚く事はありません。

 

 

 

井上拓真の次戦の話は、おそらく年明け以降に本格始動。日本ボクシング界としては、まずは12月の興行が無事に終わり、各選手がしっかりと勝利することが5月の東京ドーム決戦への下準備となります。

まずは井上拓真のスタンバイが決定、その後はどうなるか。まずは素晴らしい戦いを見せてくれた井上拓真、そして那須川天心に大拍手、まずはゆっくり休んでもらって次戦の発表を楽しみに待ちましょう。

 



 

 

 

【宣伝】

日本で手に入りにくいボクシング用品のセレクトショップやってます。

ぜひ覗いてみてください。

<NEW ITEM COMING>FLYのニューグローブ、入荷しました!

 boxingcafe.base.shop

 

 

プライバシーポリシー お問い合わせ