信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

ミニマム級を考える。ワンヘン、ノックアウトの牙城を崩せるボクサーは?

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1986年に創設されたミニマム級。当時はストロー級と呼ばれ、ライトフライ級の下にできた最も軽い階級です。

WBCの初代王者が、井岡弘樹(グリーンツダ)ということからも分かるように、日本人にとっては非常に馴染み深い階級である反面、ボクシングの本場、アメリカでは最も馴染みの浅い階級でしょう。

ミニマム級に属するボクサーは、タイやフィリピン、そして日本などの東洋アジアのボクサーが多く、体格的に似たところもある中南米のボクサーの名前も目にします。

このミニマム級において、その名を最も轟かせたのは間違いなくリカルド・ロペス(メキシコ)。日本で大橋秀行(ヨネクラ)から獲得したタイトルを22度防衛という偉業を成し遂げ、その後ライトフライ級も制して2階級制覇、無敗のまま引退しました。

 

日本でも、先に挙げた井岡、大橋の他にもたくさんのボクサーが世界王者に輝いています。しかし最近では、井岡一翔、八重樫東、田中恒成、京口紘人のように、複数階級制覇の足がかり的な階級にもなってきているような気がします。

体格に恵まれず、他のスポーツでは活かせないその運動能力が、階級制の競技だからこそ開花する、そんな役割がミニマム級にはあると思います。

今回は、そんな小さな世界王者たちをピックアップしていきたいと思います。

2巨頭を中心とした世界王者

WBA王者

ノックアウト・CPフレッシュマート(タイ) 21戦全勝(7KO)

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 タイの全勝王者の一角、既に暫定王座獲得から数えると12度(正規王座のみでは8度)の防衛を記録しています。ちなみに暫定王座を獲得したのが2014年10月で、その後正規王座となりました。「ノックアウト」のリングネームには名前負けでパンチ力はあまり感じません。

しかし、試合運び、ディフェンスは巧みで、攻撃は回転力のある連打が持ち味。最新試合では、挑戦者田中教仁をその連打に巻き込み、見事判定勝利をあげています。

なかなかタイから出ることが少ないので、本場アメリカのファンは知らないでしょう。

しかし、数々の日本人、アジア圏、中南米の挑戦者を退けている、高い高い壁となっています。

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WBC王者

ワンヘン・ミナヨーティン(タイ) 54戦全勝(18KO)

タイの小さな巨人、ワンヘン。世界タイトルを獲得して久しい(2014年11月に獲得)ですが、階級のことと、タイ国内から出ずに防衛戦をこなしていることで、なかなか地味な存在ではありました。

しかし、ここに来てメイウェザーの連勝記録を超えたこと、GBPと契約していよいよタイ国外での防衛戦を画策するなど、話題に上ってきています。既に防衛回数は12回、年齢も34歳となったワンヘン。そろそろ年齢も枷になってきそうな矢先に飛び込んできた「引退」のニュース。その引退はすぐさま(即日)撤回されましたが、モチベーションも心配なところです。

ただ実際、衰えはあまり感じないボクサーでもあります。マイペースな闘い方だからでしょうか。

ミニマム級でやるとしても、リカルド・ロペスの持つ防衛記録に挑むには歳をとりすぎていると思いますので、やはり統一戦?ノックアウト・CP・フレッシュマートの同国人対決などはタイでは盛り上がりそうですが、あまり需要がないのでしょうか?

又は、ライトフライ級での2階級制覇挑戦?いずれにしろ、今年はその挙動がこれまでになく注目されています。

IBF王者

ペドロ・タデュラン(フィリピン) 17戦14勝(11KO)2敗1分

 

ミニマム級王者の中で最もKO率が高いのはこのタデュラン。拳四朗のスパーリングパートナーとして来日経験もあります。

デビューは2015年、2016年には初黒星。2018年にワンヘンの持つWBCタイトルに挑戦しましたが、失敗。2019年、無敗のサムエル・サルヴァとのフィリピン人対決を経て、初戴冠。初回にダウンを喫するも、それを跳ね返しての逆転TKO勝利(サルヴァが棄権)でした。

初防衛戦は敵地メキシコへ乗り込んだものの、4R負傷判定ドローでの防衛。まだ決定戦、ドロー防衛と、王者としての証明は果たしていないタデュラン。他の王者たちと比べると、まだまだワンランク落ちる印象があります。素朴そうな青年(勝手なイメージ)なので、是非とも頑張ってほしいですね。

WBO王者

ウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)17戦16勝(6KO)1敗

デビューは2016年。その語コツコツと戦績を積み上げ、2018年にWBAのランテンアメリカタイトルに挑戦して、判定敗けで初黒星。その後はNABO北米タイトルを獲得、ビック・サルダールに挑んで判定勝ちで戴冠。

2019年に一度、2020年に一度の防衛を遂げています。

タイのボクサーと比べて、体のしなやかさ、運動能力の高さが伺えます。しかし若干線の細さも感じるので、打たれて脆い部分もあるのかもしれません。

技巧派、メンデスはタイの2巨頭に次ぐ実力の持ち主、と思われます。しかしこのメンデス、23歳と若く、まだこれからボクサーです。いつか世代交代の時がくる?

 

日本のお家芸とも言えるミニマム級

日本人として、多くの世界王者を排出してきたこの階級。今もこの階級には、タレントが溢れています。

そのボクサーたちは切磋琢磨し、世界への階段を駆け上がっている最中。

途中、立ち止まったものも、後退してしまったものもいます。

ミニマム級の、それもタイの2巨頭はダテではありません。その牙城を崩せるか、日本のミニマム級ボクサーたち。

重岡銀次朗(ワタナベ)5戦全勝(4KO)

プロでたった5戦、未だ20歳ながら、既に周りから認められている大器、重岡銀次朗。2018年にB級でプロデビュー、2019年にはWBOアジア・パシフィックのタイトルを獲得、年末に一度防衛しています。

京口紘人、谷口将隆等、軽量級が充実しているワタナベジムを選んでプロデビューしたことは正解だったかもしれませんね。ハイレベルな練習相手にも、事欠かなそう。

小浦翼(E&Jカシアス)16戦15勝(10KO)1敗

前OPBF東洋太平洋王者。2014年にプロデビューし、2017年にOPBF東洋太平洋王座を獲得。国内、東洋に敵なしと見られましたが、2019年の3月に伏兵リト・ダンテ(フィリピン)に不覚をとり、タイトルを手放しました。

本人に焦りはなかったと言いますが、小西伶弥、谷口将隆と防衛戦で退けた選手が次々と世界挑戦にこぎつける中、心中はどうだったのでしょうか。

いずれにしろ、この防衛戦での敗北は世界戦線からの一歩後退を意味し、非常に痛いものでした。既に再起しており、今後の巻き返しに期待です。

 

谷口将隆(ワタナベ)15戦12勝(7KO)3敗

元WBOアジア・パシフィック王者。その王座獲得後、当時のWBO世界王者、ビック・サルダールに挑戦しますが、失敗。これまでも日本、東洋太平洋の王座獲得に僅差の判定で失敗しており、あと一歩踏み込む、接戦をモノにする勇気が必要な気がしますが、個人的にはどう化けるのかが非常に楽しみな選手。盟友、京口紘人によれば、世界王者になる実力は確実にあるということなので、これからに期待です。

日本王座挑戦者決定戦を勝ち抜きましたが、日本王座が空位のため、リト・ダンテとの変則チャンピオンカーニバル(日本・OPBF2冠のタイトルマッチ)に挑みます。

重岡優大(ワタナベ)2戦全勝(1KO)

重岡銀次朗の兄で、前戦でリト・ダンテをノンタイトル戦ながら下しております。まだまだ未知数ですが、弟・銀次朗と2人でミニマム級の王座を独占できるかもしれない逸材。

他にも前戦でノックアウト・CPフレッシュマートへ挑戦した田中教仁(三迫)は、挑戦こそ実りませんでしたが現役を諦めていない様子。先日の日本王座挑戦者決定戦で谷口に敗けた石澤開(M.T)もまだ若く、ミニマム級にあるまじき強打(6勝6KO1敗)をひっさげ、捲土重来を期しています。

ワンヘン、ノックアウトの牙城を崩せるチャレンジャーは現れるのか。個人的には、センス、スピードに秀でた日本人ボクサーが、体躯が強く、手を出し続けるタイの王者を攻略し、その長期政権を終わらせた末に戴冠するという絵を期待しています。

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