今週もトップランク興行が火曜日と木曜日(日本時間では水曜日と金曜日)に行われました。火曜日には世界挑戦経験者のアレックス・サウセドが登場、木曜日には五輪連続金のロベイシー・ラミレスがプロデビュー戦で負けたアダム・ゴンザレスへのリベンジに臨み、2階級制覇王者のホセ・ペドラサが3階級制覇を目論見、スーパーライト級での第二戦に挑みます。
6/30(日本時間7/1)
スーパーライト級10回戦
アレックス・サウセド(メキシコ)vsソニー・フレドリクソン(アメリカ)
サウセドといえば、無敗でモーリス・フッカーに挑むも敗れた選手。フレドリクソンは地域タイトルから陥落後の復帰戦。
当初4/25に予定されていた一戦のようです。
フレドリクソン、かなりの長身ですがサウセドは安々と自分のパン地の当たる距離まで詰めます。ポンポンと手数の出るサウセドはやはり好ボクサー。フレドリクソンはステップをしながらストレートを突きますが、パワー差はありますね。
サウセドは元トップアマらしく、ただのメキシカンスタイルではなく、コンビネーションで打つ軽いパンチやストレートも美しい。多彩なパンチで1Rからフレドリクソンをぐらつかせ、優位のうちにラウンドを終えます。
2R、サウセドはストレートも良く伸びますね。リーチ差はあるのにそれをものともしません。ストレートでロープに詰め、そこで力強いボディーを放つ。フレドリクソンは為す術なしか。時おり、サウセドの顎が跳ね上げられるシーンも散見しますが、意に介さず、前進を止めるには至りません。
3R、サウセドの圧が強く、下がり気味なフレンドクソン。サウセドの見事な右クロス、左フックがヒット。サウセドは離れた距離ではよく伸びるジャブで闘い、近い距離ではボディーを中心した多彩なブローでフレドリクソンを痛めつけます。
4R、フレドリクソンが少しずつ息を吹き返してきたイメージ。左手を下げたスタイルからジャブ、左フックを使い、アッパーも効果的に使います。後半にはボラードも決めました。しかし攻め込まれる場面も多い、ジャッジの印象はどうか?
5R、序盤、リング中央で均衡を保ちましたが、中盤はサウセドの手数に止まってしまうフレドリクソン。終盤はフレドリクソンが盛り返しますが、サウセドも衰えません。
6R。サウセドの、フレドリクソンの踏み込みに合わせる左フックは秀逸です。そして、フレドリクソンが少しガードをしようものならガードの上から、ガードの隙間をぬって、止まらないラッシュを叩き込むサウセド。
試合序盤に比べ、フレドリクソンのジャブが効果的にヒットしている場面も見られます。しかし、近い距離になってしまうとサウセドの方が巧妙であり、パワーもあります。
互いのパンチが当たる距離での打ち合いになってきたこの試合。
サウセドは打ち合いの中にも確かな技術があります。フレドリクソンはもう倒さないと勝てないのでは?と思いますが、当然玉砕覚悟ではいかない。
最終ラウンド、サウセドの左フックでフレドリクソンがダウン!?と思いきや、スリップ。
サウセドが攻め、フレドリクソンがストレートを放つ、いなすとい展開のまま、試合は終了。
サウセドが3-0の判定で勝利。フルマークでつけたジャッジがいるほど、ラウンドごとは一方的だったかもしれません。
7/2(日本時間7/3)
フェザー級6回戦
ロベイシー・ラミレス(キューバ)vsアダン・ゴンザレス(アメリカ)
ロンドン五輪でフライ級を、リオ五輪でバンタムを制したロベイシー・ラミレス。しかし、プロデビュー戦でダウンを奪われての判定負けを喫しました。まさかまさかの大番狂わせでしたが、その後ラミレスは順当に勝ち上がり、今はキャリアを積む段階。
ここで、汚名返上とばかりにゴンザレスへのリベンジ・マッチが組まれました。ここを落とすとかなり痛い。
1R、余裕はありますが、慎重に見えるラミレス。ニヤニヤしているように見えます。いや、している。前回はダウンポイントを挽回できなかった、というのが敗因で、やはりボクシング自体はラミレスの方が当然巧い。前回ももし4回戦でなければ、後半にラミレスが挽回していたであろう内容でした。
2R、既にゴンザレスの顔は赤くなっています。両者ともに手数はそんなに多くないですが、ラミレスの方がヒットが多い。やはりパンチのまとめ方も巧い。ゴンザレスは多少強引に攻め込むものの、距離で外されて当たらない。
3R、一度敗けているのに格上感が半端ないラミレス。プレッシャーをかけてゴンザレスを下がらせ、相手が打ってくれば距離ではずすかブロッキング後にパンチをまとめます。
4R、やはりボクシングサイエンス(=技術)に差がありありの両者、ゴンザレスはもう反則覚悟で頭から突っ込むとかしないと勝ち目がないと思いますが、全く攻められません。リラックスしながらも警戒を怠らない(無理に攻めてこない)ラミレスにはラッキーパンチも当たりそうにありません。
5R、ようやく強引さが出てきて、体ごと前に出るゴンザレス。しかしラミレスは上手にいなし、逆にプレッシャーをかけてゴンザレスを下がらせます。ここで下がってしまっては2度目のアップセットは夢のまた夢。
6R、ゴンザレスを完全に見きっているラミレス。見た目のダメージも圧倒的な差があります。しかしラミレス、強引にはいかず、特にKOは狙っていないようです。山場はないまま、終了ゴング。まあラミレスの勝利は動かないでしょう。フルマークかも?
判定は3-0でラミレスの圧勝。倒せなかった、というよりも倒さなかった。
ちょっと内容はラミレス強い!という感じではなく、無難な勝利。あんまりワクワクするボクサーではないですね。。。基本的にデビュー以来フェザーで闘っているので、このままフェザー級の世界タイトルをめざすのでしょうか?
プロデビュー当時は井上尚弥との対戦も噂されていました。ウェイト的には余裕がありそうですが。。。
スーパーライト級10回戦
ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)vsミッケル・レスピエール(アメリカ)
スーパーフェザー、ライトを制したホセ・ペドラザ。ジャーボンタ・デービス、ワシル・ロマチェンコにはそれぞれ敗北し、3階級制覇を目指しスーパーライト級へ。しかしスーパーライト級初戦、ホセ・セペダに判定負けを喫しました。
その再起戦、相手はミッケル・レスピエール。レスピエールはモーリス・フッカーの持つタイトルに挑戦した、ナチュラルなスーパーライトです。
ペドラサがスーパーライトでやっていけるのか、試金石になる一戦。非常に楽しみです。
1R、身体の厚みはやはりレスピエールの方があります。しかしペドラサはジャブから組み立て、積極的に手数を出していきます。サイドステップからのショートパンチも巧み、早速技術の高さを見せつけます。
ペドラサは私は好きなタイプのボクサーなのですが、プエルトリカンぽくはないですね。
2R、ペドラサはものすごいラッシュを仕掛けます。レスピエールはブロッキングではなく、ガードで固まってしまって何もできません。しかしスーパーライトではやはりパワーが足りないのか、しのがれてしまいます。
ペドラサはその後もガードの間隙を縫ってアッパーを決めたりとさすが技巧派。
3R、サウスポースタンスのペドラサ。中間距離で相手のパンチをかわし、カウンターを打つスタイルに変更。オーソドックスもサウスポーもどっちも遜色なく巧い。どちらかというとパワーパンチは諦めたのか?遠い距離、中間距離ならサウスポーの方が良さそうですね。
4R、レスピエールはほとんどジャブしか出せません。それもかわされますが。ペドラサはレスピエールのジャブの打ち終わりに左ストレートを伸ばしたり、と待ちのボクシング。
5R、オーソドックスに戻ったペドラサ。ここでレスピエールのボディへの左ストレートでペドラサが突然のダウン!しかしその後も特に攻める気配のないレスピエール。そしてその後、ペドラサは右ストレートから踏み込んでの左フックを見舞い、ダウンを奪い返します!レスピエールと違い、攻める気マンマンのペドラサ。時間はあと30秒。
力強くパンチを叩き込むペドラサですが、仕留めきれず。
6R開始直後、試合が中断。ビデオ判定で、ペドラサのダウンは足がひっかかって転んだだけ、ということでダウンじゃない、ということですかね。
改めて再開、既に後がないレスピエール。休憩時間も多かったためか、両者ともにペースアップ。手数も多くなってきました。しかしペドラサの前の手で前進を阻まれるレスピエール、後半はなかなか手数も出ませんね。
7R、ペドラサは今回の試合はこのままオーソドックスでいくつもりでしょうか。一定の距離を保ち、ストレートを当てます。対するレスピエーレのパン地はことごとく空を切り、ペドラサはやりたい放題。
8R、レスピエールの打ち終わりに次々とパンチをあわせるペドラサ。もうレスピエールが不憫になってきました。攻めれば打ち込まれてしまうレスピエール、なかなか攻め込めずにお見合いの時間が長くなります。
9R、先程のラウンドと違い、前進するレスピエール。このラウンドは、接近戦でパンチを交換する場面も見られます。残り一分のところで、ペドラサのワンツー→ツーワンというコンビネーションがヒット!レスピエールはぐらつきます。その後もしっかりと攻めるペドラサですが、詰めきれずにラウンド終了。レスピエールは右目付近をカット。
10R、最終ラウンドともなるともうなりふり構わず出て来るレスピエール。ペドラサはサークリングし、前進するレスピエールにパンチをあわせるスタイルです。
ここで攻め込んできたレスピエールに、ペドラサの左フックがカウンターとなってヒット!ダウン!
立ち上がったレスピエールをペドラサは攻め立てます。時間はあと2分。
ロープにつまるレスピエール!ここはペドラサ倒してほしい!しかし逆にレスピエールが前進、ペドラサはバックステップという展開に。まあ、ポイントにはかなりの差がついていると思われるので、仕方ないかもしれませんね。
ほぼフルマークの判定で、ペドラサの勝利。
やっぱり巧い。しかしスーパーライト級の世界王者は強者揃い。3階級制覇はかなり険しい道程です。