10/31、ハロウィンに日本のモンスターがラスベガスに姿を現します。
井上尚弥(大橋)vsジェイソン・マロニー(オーストラリア)
もともと4月に予定されていたジョンリエル・カシメロ(フィリピン)戦は流れましたが、次戦の対戦相手はジェイソン・マロニー(オーストラリア)に決まりました。
待望の井上尚弥(大橋)の一戦は、日本のボクシングファンだけでなく、本場アメリカでも歓迎されているようです。
既報ですが、井上尚弥のファイトマネーは100万ドル。WBO王座を持つ、カシメロとの3団体統一戦であればまだしも、最終的に「ただの防衛戦」。更に、このコロナショックで観客を入れる事ができず、ゲート収入が全くなくなった状態、そしてバンタムという軽量級で100万ドルというのは破格のオファー。
トップランクの期待の大きさがわかります。
そして幸運にも、我々にはWOWOWという素晴らしい放送媒体があるので、生中継でこの試合を観戦することができます。
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そして、フジテレビでも当日(日本時間11/1)20:00〜ディレイ放送。井上の前々戦、エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦でも同様のディレイ放送で、平均視聴率は10%以上だったように記憶していますので、フジテレビはディレイ放送でそこまでの視聴率を取れるのであれば御の字だと思います。
そして、我々のようにWOWOWでしっかり生中継を見たボクシングファンたちも、結局は20:00〜のフジテレビにチャンネルを合わせるのでしょう(笑)。
井上尚弥vsジェイソン・マロニーについては、多くの方が予想をしていますが、「マロニー勝利」という方はほとんどいないと思います。
ジェイソン・マロニーのことを、 「総合力が高く、穴の少ないボクサー」であると表現する場合が多いです。
↓マロニーの最新試合
ちなみにこの時はモロニーと書いていますが、現在はマロニーに統一しています。
マロニーの強さ
マロニーは遠い距離でも、近い距離でも闘えますし、インサイドからもアウトサイドからも打てるボクサーです。バエス戦ではフィジカルの強さや上下の打ち分けもお見事でした。
前戦、バエス戦ではマロニーの良い所だけがピックアップされた試合でもありましたので、マロニーの「強さ」を確認するにはもってこいだと思います。(見ていない方は上のブログ記事内、ジェイソン・マロニーvsレオナルド・バエス戦の記事のところのリンクがまだ行きていたので見てみて下さい。)
マロニーは、世が世なら世界王者になれる逸材でしょう。
攻撃面では遠距離、中距離、近距離をこなし、ボディも打てます。身体の外側を打って、内側へつなげるというコンビネーションもスムーズです。
防御面でもアップガードでパンチをもらいにくく、相手パンチの反応も良い。接近戦では上体の動きを使い、中距離、遠距離ではステップでパンチをもらいません。
元々の素質は勿論、彼の人柄やそのボクシングスタイルから、繰り返し、勤勉にトレーニングを積んできた成果が垣間見れます。
しかし、挑む王者は「モンスター」井上尚弥。
マロニーは井上同様に本物志向が強いようで、「井上に勝てる」から挑むというよりも、井上が「バンタムのベスト・オブ・ベスト」だから挑む、という心意気のようです。勿論勝利をたぐりよせられる「何か」がなければ、挑戦する意味もないので、何か算段はあるのでしょう。
純粋に戦力を比較してみると、スピード、パワーにおいては井上の方が大きく上回っていると思います。特にパワーは、マロニーはKO率85%とこの階級で非常に高いですが、映像を見ている感じだとそこまでのパワーは感じません。
対してして井上は、ジャブが他の選手の右ストレートよりも強い、という噂。
コンビネーションを打つ時も、やはり井上の方がパンチのつなぎ、コンビネーションの中で当てたいパンチの力強さで上回っています。
そして、スタミナはどうか、というとここは互角かもしれません。マロニーについても、井上についても、12R闘った経験があり、あとは展開次第でもし消耗戦となった時にはもしかしたら優劣がつくのかもしれません。
ただ、勤勉なこのふたりのボクサーは、しっかりと練習もこなしていると思うので、12R闘う分には問題ないのだと思います。
井上にとってのほんの少しの不安要素は、というと、今回は珍しく「絶対倒す」と公言していることでしょうか。ただ、これで気負ってしまってどうこう、はないと思いますが。
マロニーにとって井上に勝っているところは、もしかしたら体格なのかもしれません。身長は同じくらいですが、マロニーは元々スーパーバンタムでデビューした選手、身体の厚みや幅に利があるように見えます。
しかし、井上もこのコロナショックの自粛期間中、大きくなっている可能性は大いにありますが。
マロニーの考える井上の「隙」とは
マロニーの自信の一つとして、井上がドネア戦で左フックをもらってしまった点、つまりはディフェンスに欠点がある、との見方を示しているようです。
若干集中力の切れた井上に対し、ドネアが上手く左フックを当てました。井上はあの時、左フックが来ると思っていなかった為に、見えていませんでした。その左フックによる眼窩底骨折で、ドネアが二人に見えるという状況の中、確かに被弾はこれまでより多かったです。
加えて、井上は、相手に攻め込む時にややガードが雑になるという傾向が今までもありました。攻め時にガードが雑になり、相手の反撃を喰らう、という点においては、相手に反撃の力が残っていないのを確認したので強引にいったジェイミー・マクドネル戦が代表的なところですね。
しかし、これはともに、ディフェンスに難があるというよりも集中力が切れたこととアクシデント、そしてガードの必要がなかったりしたところでもらったパンチです。ディフェンスに欠点がある、というのとは違うと思います。
ドネア戦では1R、いけると思って余裕を持ってしまった結果が招いたある意味「慢心」であり、マクドネル戦はもらってもいいやぐらいの攻撃偏重でした。
その隙をつく、と公言しているマロニーですが、その隙をついても井上を倒せなかったノニト・ドネアに比し、マロニーの方がパンチがあるとはとても思えません。仮にマロニーがその隙をついてパンチを当てたとしても、井上を倒せるかというとそうは考えられないのです。
ドネア戦で井上の欠点が露呈したというよりも、「スタミナ」と「タフネス」を証明したと言っても良いでしょう。更には、眼窩底骨折という窮地に陥りながらも、パニックにならず、冷静に自らの戦力を分析して判定狙いに切り替える等のクレバーさも証明したこととなりました。
ちなみに、唯一露呈した弱点としては、「クリンチが下手(笑)」(小國以載談)くらいではないでしょうか。マロニーが、井上がクリンチせざるを得ない場面まで持っていけるかどうか。。。
改めて言うと、マロニーは非常にまとまっており、ハイレベルなボクサーです。かつて日本人と戦った外国人ボクサーと並べてみても、かなり強い方の部類に入るボクサーだと思います。
このまとまったボクサーを、井上尚弥がどのように崩していくのか、というのは非常に魅力的です。
初回からガンガン攻めて、パワーで崩していくのか。(序盤KO)
序盤から優位にたち、スキルで圧倒していくのか。(中盤KO)
序盤から圧倒しながらも、タフなモロニーを倒せず、最後は強引に打っていくのか。(終盤KOもしくは判定勝利)
ジェイソン・マロニーはそのインタビュー等を読むと、非常に好感の持てるボクサーです。井上へのリスペクトも忘れず、強者を求めてリングに上がる。
双子の弟、アンドリュー・マロニーが先に一階級下のスーパーフライ級で世界王者になったのならば、「早く自分も」と急いでしまうのが普通の感覚のような気もしますが、「強者と戦いたい」というのは本心なのでしょう。
それでも、やはり井上尚弥には無観客とはいえラスベガスで、モンスターの傷跡を残してほしいと思います。井上尚弥に求められるのは、「勝利」だけでなく「圧勝」。1番の敵は、これまでと違う「環境」。1年のブランクはさして影響がないと考えます。
10/18にはラスベガスへ向かって飛び立つという井上。そこから試合までは「14日間の自己隔離」が待っているそうです。コンディションには気をつけて、是非是非素晴らしいパフォーマンスを見せてもらいたいです。
ちなみにマロニーは既に渡米済みで、トップランクが用意した現地の隔離宿泊施設(一軒家?)で調整中とのことです。
同様に井上にもトレーニングスペース付きの一軒家があてがわれるのであれば、家族総出で行く井上にとってはコンディショニングも問題なさそうですね。
さてさて、あとたった半月。
4月25日からは半年待ちました。昨年の11月7日からは1年待ちました。
あとたった半月、その日にまでに仕事も含めて自身のコンディションを整えて、コロナの鬱憤を井上が吹き飛ばしてくれることを楽しみにしたいと思います!
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↓マロニー戦発表前の記事です。
井上のキャリアを振り返ったブログ(全4回の1記事目)