信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

井上尚弥vsジェイソン・マロニー。モンスター相手にマロニーはどう闘うか。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

本日は10/30。いよいよ現地時間の明日、日本のモンスターが聖地ラスベガスに登場します。

※この記事の最後に観戦記を追加してあります。

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Photos: Naoya Inoue, Jason Moloney - Face-Off at Final Presser - Boxing News

 

今週に入り、井上vsマロニー以外のプレビュー記事以外も書いてはみたものの、やはり我々にとって一番の注目は井上尚弥のラスベガス登場、というか強敵であるマロニーを、どのように倒すのか、であると思います。

今週末〜来週にかけてのプレビュー記事はこちら。

boxingcafe.hatenablog.com

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マロニーの力量はかつてエマニュエル・ロドリゲスに僅差判定負けを喫した時よりも明らかに上がり、バンタム級において世界トップクラスの実力であることは間違いありません。

マロニーの最新試合であるレオナルド・バエス戦では、アウトボクシング、インファイトそれぞれに強さを見出すことができ、接近戦では外、内、上下を打ち分ける素晴らしいボクシングを披露しました。

↓マロニーvsバエスの観戦記

boxingcafe.hatenablog.com   基本に忠実なボクシングであり、プロらしくエキサイティングな試合運びをするマロニー、これまで世界王者となっていないのが不思議なほどです。そしてそのインタビューを見ると、誇り高く紳士的なボクサーであり(どうしてもカシメロと比べてしまうからか?)、日本のボクシングファンにも好感を持たれる、相手が井上でなければ応援したくなるボクサーではないでしょうか。

今回のブログでは、私の個人的見解ではありますが、マロニーの勝ち筋はどこにあるのか、そして私がどこに注目して見るか、をお伝えしたいと思います。

 

 

「エマニュエル・ロドリゲス」と井上、マロニー

皆さんもご存知の通り、ジェイソン・マロニーは素晴らしいボクサーです。 

それでも井上絶対優位が動かないのは、井上がバンタム級に上げてから重ねてきた圧倒的なKO劇、そしてマロニーが僅差とはいえ敗北した、エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に2RTKO勝利を挙げているということがあると思います。

エマニュエル・ロドリゲスは、そこまでで井上が闘った過去最高のボクサーだったと思います。

初回、ロドリゲスはいきなり井上のジャブにカウンターを合わせようとしたり、非凡なところを早々に見せつけてくれました。

現地での採点は井上でしたが、井上は意図したとしても下がる場面もあり、初回をロドリゲスにつけた人がいてもおかしくはなかったと思います。

しかし、ロドリゲスはそこから勢いづき、近い距離で戦ってしまったのが運の尽き。井上の左フックをカウンターとしてまともに浴び、その一発から最後までは醜態を晒すだけの格好となってしまいました。

 

マロニーの戦い方:パターン①

では、マロニーはどうするのでしょうか。

井上は接近戦も上手く、序盤にあの強いパンチを貰いたくはないはずです。

最初は距離をとり、相手を測ろうとするかもしれません。

井上は、というと、過去のインタビューで「最初の1分ほどで相手を見切る」というようなことを言っていたと思います。井上も、最初の最初は相手を見ることから始めます。

しかし、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)や村田諒太(帝拳)の「見る」と違い、井上の「見る」は、手を出しながらその反応を見て、相手にガードの打たせて相手のパンチ力を「見る」です。

その「見る」段階で、カウンターを合わせようとしたロドリゲスに対して、「只者ではない」と感じたのは見ている人もそうだったと思いますが、井上自身も感じたのではないでしょうか。

逆にいうと、「見る」状態のパンチであれば、強く踏み込んでない分カウンターを合わされた時のリスクも少ない。

なので、初回、マロニーが距離をとった、もしくは攻め込んでこない場合においては、まずは井上がどう動くか、そしてその動きに対してマロニーがどう反応するか、というのは一つ、見所です。

 

マロニーの戦い方:パターン②

次に、マロニーが最初から距離を詰めてくる展開もあり得ます。

マロニーも接近戦には自信を持っています。距離が近くなり過ぎれば、井上のパンチも殺せると考えるかもしれません。

マロニーは接近したところでも左右に動くことができ、ロドリゲスと異なり頭の位置を常に変えながらインファイトができるので、そこに活路を見出すかもしれません。

ただ、井上はパンチを打つ側でない方の手を上手く使って、スペースを作り、パンチを打ち込むこともできるので、これはあまり得策とはいえません。接近戦でも井上とマロニーでは差があるような気がしています。1番はパンチそのものの強さ、次にコンビネーションの強弱の付け方の上手さです。

ドネア戦でも見せた右アッパーから左ボディのコンビネーション、あれも接近戦でのパンチでした。基本的なコンビネーション(コンビネーションとは、そもそも最後のパンチをしっかりと当てるために、数発のお膳立てをして、強力な一撃を叩き込む為のものです。)の当て方のお手本を持っている選手なので、やはり井上のパンチは危険です。

この場合、井上のパンチに慣れる前にマロニーは被弾してしまい、早い段階でノックアウトシーンが訪れる気がします。

中盤以降のマロニーの戦い方

マロニーは序盤、どこに勝機を見つけるのか。私はアウトボックスが正しい選択のように思います。

仮にマロニーがアウトボックスを選択し、打ち合いを極力避け、逃げに徹した場合。

逃げに徹した選手を捕まえるのは容易ではありません。同じくアメリカで行われた、アントニオ・ニエベス戦がそうでした。

追いかけながら打つパンチは、どうしても雑になり、そうでなくとも井上は踏み込んでジャブ打つ際、ガードが空く時もあります。それでもスピード、パワーがありすぎて誰もその隙をつけないというのが現状ではありますが。

もしマロニーが、逃げまくる、と見せかけてカウンターを狙う、というような戦法を取ればもしかすると危険なパンチをもらう可能性も捨てきれません。

 

そんな役者のようなことができるかどうか、は置いておいて、ボクサーとしての矜恃を持つと見られる、勇敢なファイターマロニーは、おそらくそんな戦法は取らないでしょう。

モロニーの目的が「12R立っている」事であれば、ずっとアウトボックスをして逃げ回る、その可能性もあります。しかし、マロニーのこれまでのインタビューを読むと、あくまでも「アップセットを起こす」ことを掲げているので、それもなさそうです。

アウトボックスしながら中盤くらいまでを過ごし(可能であれば 1pでも2pでもポイントを取り)、なるべく井上を疲れさせ、そして井上に焦りや疲れが見えてくればインファイトに切り替える、そんな闘い方に活路を見出せるのかもしれません。

 

井上の弱点とマロニーの中盤

以前の記事でも、ドネア戦で井上が見せた弱点として、「クリンチ」ということを挙げました。実際、練習はしていると思うのですが、実戦での経験がなく、上手いとはいえないでしょう。そうすると、あくまでも頭をぶつけるほどの距離で戦いながら、押したり引いたりしながら井上が嫌がることをどんどんやっていく、ここにしか可能性を見いだせないような気がします。

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井上は接近戦でのコンビネーションも速く、正確です。これが回転力がなかったり、コンビネーションが打てなかったりすれば、手数を多く出すことで相手の動きを封じることも可能ですが、それすらできない。なので、できるとするとクリンチ。からの離れぎわのパンチ。

マロニーがそのテクニックを持っているかは不明ですが、ある程度ダーティなテクニックも使い、井上に良い位置でパンチを出させないということが鍵になってくると思います。

その中で井上の消耗と焦りを誘い、自分のペースに持っていってポイントアウト。これがマロニーの勝筋のように思うのです。

 

それを最初からやるのは(距離が近くなるので)危険であり、マロニーとしても井上のパンチがどれ程なのか、そしてパンチの軌道はどうか、等々、確認すべきことはたくさんあります。それをしなければ、死角から右でも左でも見えないパンチを叩きつけられると一髪で終わってしまう可能性だってあります。なので、接近するのは中盤以降、もしくはマロニーが井上のパンチに耐えられる事を実感してからになると思います。

マロニーはボクシングスキルの他に、ハートの強さや勇気といったボクサーに不可欠なものも併せ持っていると言えます。逆にいうと、もし、この勇敢なファイターの心をへし折ることができれば、モンスターは本当のモンスターです。

井上最大の敵は

いつもと違う環境、セコンドの人数も制限され、観客もいない。実際これらのことは、多少の影響もあるでしょうが大した問題には思えません。

 

井上のメンタルの強さは有名で、多少環境が変わっても力を発揮する意味においてはあまり心配はいらないでしょう。

ただ、ドネア戦のような、本人のワクワク感、楽しいと感じる感覚、そういった雰囲気的なもので違いは出てくるかもしれません。ドネア戦、11Rが終わった時、客席をぐるっと見渡して観客を盛り上げる姿、あれは本当に楽しそうでした。

しかしそのプラスαがないだけで、井上自身はこれまでにも無観客に近い試合はいくらでも経験してきているはずです。

彼はアマチュアボクシングでも活躍しており、アマの試合はほとんど無観客のようなものです。日本国内でのアマの試合に比べれば、今回のバブルは照明も演出もしっかりしていて、雰囲気的にはかなり良いと思います。

一点だけ、もし不安を述べるとすればやはり井上への期待の大きさ、でしょう。

日本のボクシングファン、そしてモンスターの初上陸を待ちわびたアメリカのボクシングファン。日本の一般層にまでリーチしている井上の偉業は、おそらく彼の知人を通じて本人にも知らずにプレッシャーになっているはずなのです。

倒そうと力んで雑になってしまう、これは過去にもありました。前述したアメリカデビュー戦、アントニオ・ニエベス戦です。

 

あの日は倒さなければならない、インパクトを残さなければならない、という想いからか、かなり粗かったように思います。マロニー戦でそうなると、隙をつかれる可能性もなくはありません。

あの頃から更にキャリアを積み、父ともなりおそらく心身ともに成熟してきた井上ですが、実際このマロニー戦でつまづくことは許されません。求められているものは勝利、ではなく、圧倒的KOで勝つこと。それにより、今後の商品価値をより高めていくことを求められています。

大々的なプロモーションも、100万ドルというファイトマネーも、今回の試合のため、ではなく、今後のための先行投資。そして興行主であるトップランクの、そして我々の期待通り、いや期待以上のパフォーマンスを見せてくれることを願っています。

とまあ、色々書いてみましたがボクシングはゴングが鳴ってみないと何が起こるかわかりません。しかし、井上尚弥にとってはKOは至上命題。高い期待ですが、それを完遂してくれることを楽しみにしています。

井上尚弥vsジェイソン・マロニー、観戦記はこちらから!

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