世界フライ級、その勢力図に大きな大きな変化があった7/30。
寺地拳四朗の敗北は誰しも予想しなかったこと。確かにリカルド・サンドバルはダビド・ヒメネスと互角の戦いを演じたほどのボクサーだったから、強いことはわかっていましたが、盤石の強さを持つ拳四朗、それも劣勢においても逆転できる強さまで持っている、となると、死角はないようにおもっていました。
それでもボクシングというのはやってみなければわかりません。
リカルド・サンドバルはこのP4Pボクサーを見事に攻略、世界初挑戦で一気に2団体制覇という偉業を成し遂げてしまったのです。
ということで今回のブログは、フライ級の今後について。

寺地拳四朗vsリカルド・サンドバル
WBA・WBC世界フライ級の統一タイトルの防衛戦として、リカルド・サンドバルを迎えた寺地拳四朗。
12月にはリヤドシーズンにも登場、という噂があり、我々ファンもそれをほぼ確定事項と捉えていた節がありますから、これこそは油断と呼ばれるものになりかねない出来事です。拳四朗陣営は当然、油断をしていたなどということはない(少なくとも、そういう認識はなかったはず)ですが、ファン、というか私は思いっきり油断していました。
初回こそ良いスタートを切った拳四朗でしたが、得意のジャブは狙われ、いつもほどの的中率を生み出さず。そして5Rにはダウンを奪取するも、後半以降にはサンドバルがパワーパンチで盛り返す、というような展開。
フルラウンドにわたり、ペースが落ちないというのが拳四朗の持ち味ですが、サンドバルはそれに食らいつく、どころか、拳四朗を上回るペースアップにより、後半、拳四朗からポイントをピックアップしていった、というのが今考えれば起こった出来事です。
↓観戦記
このビッグアップセットに、海外でもアップセット・オブ・ザ・イヤー候補との声もあります。そしてオプションを帝拳プロモーションが握っているだけに、ダイレクトリマッチも可能な状況。あとは拳四朗のモチベーション次第、ということもあるでしょう。
ただ、26歳のサンドバル、33歳の寺地拳四朗では伸びしろが違っており、ダイレクトリマッチをするとして、拳四朗はサンドバルに対して大きく戦い方を変える必要があります。迷いながら戦っていたという拳四朗、もしダイレクトリマッチが叶うとするならば、どちらの戦い方でいくのか。
元WBA王者、ユーリ阿久井
さて、もし拳四朗がオプションを使ってのダイレクトリマッチをしない、という場合、おそらく次にチャンスが巡ってくるのはユーリ阿久井政悟です。前戦で拳四朗に敗れたものの、復帰戦はまだで、それでもランキングは上位をキープ。WBAで4位、WBCで1位となっています。
WBC1位だから、といってユーリ阿久井が指名挑戦権を持つか、というとそうではなく、WBCは暫定王者のガラル・ヤファイ、彼こそが指名挑戦権を持つコンテンダーです。
本来はこの団体内王座統一戦をしなければならない、ということですが、WBC王者がアクティブなときに突如として現れた(スター候補、ヤファイのためと言える)暫定措置であり、さらにヤファイは前戦でフランシスコ・ロドリゲスJr.と戦い、この勇者同士の一戦は絶賛されたわけですが、ロドリゲスにドーピングが発覚、無効試合となっています。
ヤファkの手元にタイトルは残るも、ヤファイと「チワス」ロドリゲスの間には再戦指令が出されており、更にチワスが1年の出場停止ということもあって再戦は来年の6月以降。これをまってWBCの正規王者との団体内統一戦、ということであれば、少なくとも来年秋以降の実施となりそうです。
そう考えると、12月のリヤドでリカルド・サンドバルに拳四朗とのダイレクトリマッチか、ユーリ阿久井が挑む、というのは理にかなっているようにも思います。
拳四朗が出てこないのであれば、是非ともユーリ阿久井にチャンスが巡ってきてほしいものです。
IBF王者とWBO王者
IBF王者、矢吹正道とWBO王者のアンソニー・オラスクアガ。
ともにライトフライ級時代に拳四朗と戦い、矢吹は拳四朗と1勝1敗、オラスクアガは敗れています。だからフライ級とはいえども拳四朗と戦うことはラバーマッチ、再戦となるわけで、拳四朗としては最新の試合で勝利していること、矢吹やオラスクアガとしても拳四朗へのリベンジを求めていなかったことから、決してこれらの試合の機運は高くありませんでした。
しかし彼らにとって、またサンドバルにとって、これらの戦いは非常に魅力的なものに変わりました。
オラスクアガはまずは5度の防衛をしたい、とのことで、オラスクアガの強さは日本のボクシングファンには認められているものの、世界的にはそれほど。
王者としてのキャリアは、王座決定戦で無名のボクサーへの勝利、初防衛戦では元世界王者がバッティングによる戦意喪失のために試合終了。唯一、前戦で元世界王者の京口紘人に勝利、これは評価されるべきものでしたが、決して良いパフォーマンスとは言えず、京口勝利を推す声もあったようです。
いずれにしろ、26歳の彼が真骨頂を発揮するのはここからで、今はただビッグマッチを求めるよりも、確かにコツコツと防衛を積み重ね、キャリアを築いた方が良い時期です。もともと高い実力を持ち、1つの戦いに集中し、良いパフォーマンスを発揮することはできるのでしょうが、まだわずか10戦。もっとキャリアを積んでからのビッグマッチで遅くはないでしょう。
逆にIBF王者、矢吹正道はビッグマッチのしどき。
待たされすぎた矢吹が当時の絶対王者、寺地拳四朗にビッグアップセットをかまし、ダイレクトリマッチで完敗したのが2022年。そこから厳しい再起ロードを歩み、当時の階級最強王者であるシベナチ・ノンシンガを9RTKO、フライ級にあげてアンヘル・アヤラを12RTKOして2階級制覇。
次戦は秋頃ということなので、おそらくそろそろ正式発表がある、という状態。
すでに2階級制覇を達成している矢吹にとって、残りのモチベーションは弟、力石政法との兄弟同時世界王者、というだけなのかもしれません。そのためには、このタイトルを防衛し続け、長く世界王者である必要があります。
その中でもしも次が指名挑戦試合となるならばフェリックス・アルバラード、これは強敵です。この試合がオーダーされた、というニュースは見ていないと思うので、次が選択防衛戦になるのであれば、その次にはやらなければならない相手でしょう。
統一路線に進むのであれば、このアルバラード戦が終わってからということになりそうです。
今充実の矢吹、来年以降のサンドバル戦を期待したいところで、もし矢吹が3つの王座を持つとするならば、オラスクアガ戦も自然と話題となっていくはずです。
2年後、3年後、そして5年後
しかしそれでも、やはり軽量級は重量級に対して選手寿命は短い。
拳四朗が果たして衰えたかそうではないか、井岡一翔がどうか、井上尚弥ですらどうか、と問われれば、多少なりとも反応は過去最高ではない、と考えるのが普通でしょう。それがその頃と比べて弱くなったか、というとまた別の話ではあります。
結局のところ時代は巡り、さすがに10年ものトップボクサーとして活躍できるボクサーはほとんどおらず、世界戦線に入れば2-3年ほどが勝負、というのは感じるところ。長くとどまることももちろん大切ですが、勢いというのも非常に大事です。
その意味で言えば、ここから上がってくるであろう、というのが田中将吾、吉良大弥といったアマエリートで、彼らはまだまだ若いですが、20代の終わりの方にチャンスを掴むというよりももっと早くにその機会はくるでしょう。
そしてその若いボクサーたちの前、現在のトップボクサーたちの次、その間を考えると、飯村樹輝弥、そして桑原拓あたりは少し勝負を急がなければならない部類に入ってくるのかもしれません。
おそらく、30歳になるまでには世界を獲り、ある一定の実績を残していなければ、ビッグマッチに辿り着くことは困難。フライ級は日本人のタレントも豊富なので、今後も楽しませてくれそうですね。
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