もうちょっとこう、バラしても良いのではないか。
これは純粋に後楽園ホールで行われる興行の感想です。
10/14(火)に行われたダイヤモンドグローブは日本スーパーフライ級タイトルマッチをメインに据え、アンダーカードには中川健太が登場。しかし翌月、11/11(火)に行われるFODのフェニックスバトルは、メインに池上渉vs岸部久也、アンダーカードには若手ホープと明らかなタイ人アンダードッグのA級戦が2試合、ほかに4回戦が3試合です。キャリアを積むための試合も必要ですし、当然、4回戦の試合が必要なのは当然わかりますし、もちろんタイトル戦がすべてではない、というのも当然なのですが、10/21(火)はなんとクアドラプル(4)タイトルマッチです。
そのうちせめて1つ、11/11に回せば良いのに。
なんてことを思いつつ、今回のブログは10/21(火)の大注目興行、フェニックスバトルのプレビュー。

10/21(火)フェニックスバトル
OPBF東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ
田中空(大橋)4勝(4KO)無敗
vs
坂井祥紀(横浜光)29勝(15KO)15敗3分
前戦で小畑武尊(ダッシュ東保)との王座決定戦を制し、プロ初戴冠を果たした田中空。下馬評は大きく優位だったその戦いでは、小畑のアタックにより被弾もかなり多かったという印象で、今後世界で戦っていくにはそれが不安要素、と見られてもおかしくないパフォーマンスでした。
前戦こそが田中にとってプロで初めてとなる「試される試合」であったわけですが、今回はその試練の難易度が上がる、というイメージ。
坂井は47戦というキャリアを持つベテランで、ブロッキング技術、タフネスを持っているボクサーです。
この坂井を、これまでのように序盤でノックアウト、とはいかないでしょうから、今回求められるのはまずプロとして長いラウンドを戦うスタミナ、そして、老練な相手を攻略するのに、パワーとアグレッシブネスだけではない「攻撃力」が必要になってくると思います。
田中空は、すでに佐々木尽と双璧を為す、日本中量級界の星。
アマでの実績もあるため、国内は早足で駆け抜けたいところですから、ここで立ち止まってはいられません。
もし今後、田中が本気で世界を目指すのならば、この戦いで国内卒業し、あとは海外に出向いて戦うか、もしくは名のしれた強豪を日本に呼ぶかしなければなりません。
田中にとっては国内卒業をかけた試合、しかし坂井も当然踏み台になる気はないでしょう。新鋭vs古豪、よくあるパターンですが、坂井がやすやすと負ける姿は想像ができません。
どのような展開、どのような結果になるのか、非常に楽しみですね。
日本フェザー級タイトルマッチ
阿部麗也(KG大和)27勝(10KO)4敗1分
vs
殿本恭平(勝輝)16勝(8KO)4敗2分
前戦で日本フェザー級王者に返り咲きを果たした、阿部麗也の初防衛戦。前戦、大久戦ではポイント差(2〜4P)以上に完勝した、というイメージで、逆に言えばあのボクシングで2ポイントしか差がつかなかったこと、というのが阿部のボクシングがポイントを取りづらいボクシングなのではないか、と思ってしまいます。
挑戦者の殿本は、前戦で大久とドロー、挑戦者決定戦特別ルールにより挑戦権を得られませんでした。
日本のメジャータイトルとしては2度目の挑戦で、1度目の挑戦は2020年のOPBFフェザー級タイトルマッチ、当時の王者は清水聡(大橋)。ここは7RTKOで夢破れています。
ちなみにこの2人、2014年の全日本新人王決定戦で対戦し、その頃は阿部が判定勝利。なんと11年ぶりとなる再戦、となっています。
新人王の同期が時を経てタイトルショット、かたや世界戦までたどり着き、「やりなおし」の日本タイトルをとったボクサーと、こつこつと積み重ね、いまだ無冠のボクサー。阿部にとってはあまり先を見すぎると足元を掬われかねない、そんなニオイのする戦いです。
これまでの実績を考えると阿部優位は変わりません。ただ、殿本のリベンジへの思い、初タイトルへの思い、それが上回ったとしても驚くことではないのかもしれません。
日本ミニマム級王座決定戦
小林豪己(真正)8勝(5KO)2敗
vs
森且貴(大橋)13勝(3KO)4敗
森且貴はもう4度目のタイトル挑戦。大変恵まれた環境にいる、というのはもちろんわけることですが、ミニマム級とはいえどもここまでチャンスを与えられる、というのはおそらく周りが、特に大橋ジム内でその努力を強く認められているからなのでしょう。
森且貴はそれぞれのタイトルマッチでその意地を見せつけてきたボクサーで、現WBA王者の松本流星(帝拳)と王座決定戦を戦った試合、高田勇仁(ライオンズ)との試合、そのどれも感動するほどのものでした。
チャンピオンになってほしいボクサーの一人でもありますが、今回の対戦相手もまた強豪で、実績としては「森が不利」が否めない戦いです。
小林豪己は前戦、高田との戦いで惜しい星を落としましたが、いまだ世界ランク1桁に入っているボクサー。
総合力が高い、というのはさることながら、カウンターショットが得意というイメージがあるので、インサイドに入ってこようとする森のようなボクサーは小林にとって相性が良いように思えます。
そこを無策で望む大橋陣営ではないと思いますが、森にとってはどこまで対策が可能か、というのが鍵となりそうです。
WBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦
北野武郎(大橋)9勝(4KO)無敗1分
vs
ジョセフ・スマボン(フィリピン)8勝(4KO)1敗
WBOアジアパシフィックのタイトルは、小林豪己に勝利した高田勇仁が持っていましたが、松本流星とのWBA王座決定戦に向けて返上したんでしたっけ。ちょっと覚えがないですが、北野武郎vsジョセフ・スマボンとの間で王座決定戦が組まれました。
大橋ジムは先に述べた森且貴、そしてOPBF王者の石井武志がおり、大橋ジム内でダービーが繰り広げられている状況。いちはやく世界にたどり着くのは誰か、といえば現在世界ランクでも1桁を保持し、OPBFタイトルも持っている石井、となるのですが、北野にはまだ21歳という若さもあります。
スマボンは2024年6月、当時小林豪己が持っていたWBOアジアパシフィックタイトルに挑戦したボクサーで、その時は小林の判定勝利に終わっています。それが唯一の敗戦であり、その後は2連勝、ともにフィリピンで好戦績の相手を破っています。
ちなみに、2024年に石井武志と空位のOPBF王座を争ったジョン・ケビン・ヒメネス(フィリピン)を2RTKOしている星は怖いところですね。(石井vsヒメネスは石井の12R判定勝利)
ちなみにこのヒメネスは今年6月、松本流星に4RKO負けしています。
ともあれ、自身初のアジアメジャータイトル獲得だけでなく、ジム内のミニマム級ダービーでも存在感を示す必要のある北野武郎。
どのようなパフォーマンスを見せてくれるか、興味深い戦いですね。
その他のアンダーカードと視聴方法
ど平日にはトリプルタイトルマッチですら見る時間はないのに、今回はクアドラプルです。さらにアンダーカードではアマ8冠、荒竹一真(大橋)も登場。井上尚弥を鏡に写したようなスタイルで、プロ2戦目に臨みます。
第1試合は冨木隆寛(パンチアウト)vs村上由樹(松本ACE)、こちらは今年6月以来のダイレクトリマッチ。初戦は2R負傷ドローでのダイレクトリマッチですが、ここまで両者ともに勝ち星はなし、冨木が2敗2分、村上が2敗1分、ともに初勝利を目指す戦いです。これもまた、アツいですね。
配信はLemino、配信開始は18:00とのことです。
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