私はそんなにトーナメント大好き人間ではありませんが、これはさすがに興奮を隠せません。
さほど期待していなかったスーパーフェザー級トーナメントの出場者が本日発表されました。チャンピオンこそいないものの、このメンツは本当に素晴らしいと思います。
国内の実力者たちが集まった、「フェニックストーナメント」と銘打たれた戦いは、一回戦が今年11月から来年1月の間に実施され、その後準々決勝が2026年4月、準決勝が同年8月、そして決勝が12月と1年をかけて進行していくそうです。
ということは、3人の王者たちはこのトーナメントに不参加という挑戦者から挑戦を受けることになるのですから、トーナメントに参加するボクサーたちも、そうでないスーパーフェザー級ボクサーたちにも歓迎される大会となるのかもしれません。
ということで今回のブログは、発表されたフェニックストーナメントについて。
不参加の王者たち
優勝賞金1,000万円、というのはおそらく魅力的でしょうが、このトーナメント、王者たちは不参加です。日本王者、奈良井翼(RK鎌田)、OPBF王者、波田大和(帝拳)、WBOアジアパシフィック王者、齋藤麗王(帝拳)、いずれも不参加というのは非常に寂しいものではありますが、この1年の長きに渡るトーナメントに参加することで何かしらのチャンスを逃す可能性がある、というのもわかるところ。
この1年のうちに不活動になってしまうのか、それとも王座統一戦や世界ランカー挑戦などのチャンスが舞い込むのかはわかりませんが、いずれにしろ、いつでもチャンスを掴み取る準備をしているのならば、やはりこのトーナメント不参加は容認できることです。
そしてもし王者たちがここに参加して、1回戦から戦うのならば、1年間で4度の防衛戦をこなさなければならず、その負担もかなり大きい。
逆に言えば、トーナメント参加者たちはタイトルを持っていないからこそ、この1年でキャリアを良い方に変えるため、参戦したと言えるのでしょう。もっといえば、私がこういうトーナメントにあまり食指が動かないのは、打算的に考えるとタイトル挑戦が近いであろう上位ランカーの出場率は低く、どうしても下位ランカーが多くなってしまうこと。だからこそ、このトーナメントの出場者を見渡したとき、非常に心が踊るのです。
参加者たち(かっこ内は日本ランキング)
|渡邊海(ライオンズ)14勝(8KO)3敗1分(7)
前WBOアジアパシフィック王者の渡邊は、言わずとしれた実力者です。前戦で齋藤麗王にタイトルを奪われましたが、とにかくとんでもない試合でした。
若くして実績も申し分のない渡邊、優勝候補の一人と言えるでしょう。
|福井貫太(石田)13勝(8KO)7敗1分(9)
日本タイトル経験者、福井貫太。2024年8月に奈良井翼に挑戦し、惜しい星を落とした後、大谷新星との8回戦でも敗北、2連敗を喫してしまいました。その後、今年8月にノーランカーを降して再起、トーナメント出場となります。
このメンバーの中ではどうしてもアンダードッグに数えられてしまいますが、ここで優勝すれば一気に遅れを取り戻すことができますね。
|木村蓮太朗(駿河男児)11勝(7KO)1敗(3)
日本、OPBF、WBOアジアパシフィック、すべてのランキングで上位にランクする木村蓮太朗、タイトル挑戦間近ながらもこのトーナメントに出場です。
ここ数戦は内容も非常に良く、現在4連続KO勝利中。もともとアマキャリアがあり、しっかりとした技術の上に力強さが増してきています。無冠ながらも優勝候補の一角ですね。
|石井龍誠(金子)12勝(9KO)8敗1分(13)
今年4月、渡邊海とWBOアジアパシフィックの王座決定戦を戦った石井もエントリー。その戦いからの復帰戦でこのトーナメント参戦、というのは、期するものもあるでしょう。
前戦の負け方が非常に派手だったこともあり、こちらもおそらくアンダードッグ。
|大谷新星(真正)13勝(9KO)2敗(5)
今年4月に福井貫太を破って日本ランキングに入った大谷は、その後2連勝して現在5位。非常に順調にランキングを上げ来ており、もう日本タイトルも射程圏内、という状態です。こと関西のボクサーたちは関東にまで名前が届きづらいので、このトーナメントで優勝することは大谷自身のブランディングとしてもプラスに働くはずです。
確かな実力を持つ大谷は、今大会のダークホースの一人に数えられるかもしれません。
|亀田京之介(MR)15勝(9KO)5敗2分(Fe7)
JBCルールでは、KO負けした選手は原則として90日間の出場停止となります。10/25(土)にカシメロがちゃんと仕上げてくれば、果たして亀田のトーナメント参加はどうなるのか。そもそも1月末ぐらいに設定されるのか、それとももっと早い時期なのか。そのためのリザーバーなんでしょうかね。
|砂川隆佑(沖縄ワールドリング)4勝(3KO)無敗1分(1)
このトーナメントに参戦する中で無敗のボクサーは2人。1人は松本圭佑で、もう1人はこの砂川です。
プロデビューから3年、わずか5戦ながらもすでにトップコンテンダーの位置に上り詰めた砂川にとっては、この短期間のトーナメントはリスクもありますが大きなキャリアになるでしょう。沖縄というレジデンスの場合、どうしても試合数が少なくなってしまう傾向にありますから、トップコンテンダーとはいえどもこのトーナメント参加は良い方向に進むのかもしれませんね。
ともあれ、他のボクサーにとっては砂川に勝てば日本ランキング1位が約束されるとも言えます。
|それいけ太一(KG大和)12勝(7KO)7敗(2)
湘南山神ジムの時代から、かなり厳しいマッチメイクだったそれいけ太一。KG大和に移籍後もそれは変わらずです。
その中で現在日本ランキング2位という好位置につけていることは非常に素晴らしい事ですが、この中ではアンダードッグに甘んじてしまうか。
|木谷陸(KG大和)9勝(4KO)3敗(6)
今大会最大のダークホースは間違いなくこの木谷陸。メキシコ帰りのこのボクサーは、日本のデビュー戦で龍王(中井龍)を撃破、いきなり日本ランキングを手にしています。
意外な弱点をさらけ出すのか、恵まれた環境で大きく飛躍するのか、いずれにしろこのボクサーは初戦から注目ですね。
|岩崎 一輝(勝輝)2勝(1KO)4敗
6回戦デビューですが負け越し、A級で未勝利の岩崎。このトーナメント参戦への勇気は大いに認めるところです。
ただ、どうしてもこれまでのレジュメを見る限りではやや実力不足は感じるところですね。
ボクシングは何が起こるかわかりませんが、いずれにしろ今大会で最もアンダードッグの立ち位置にいることは間違いありません。あとはただ、上がるだけです。
|松本 圭佑(大橋)12勝(8KO)無敗
前日本フェザー級王者、松本圭佑も参戦。前戦ではウェイトオーバー、救急搬送されて日本フェザー級王座を剥奪された松本は、復帰戦でトーナメント参戦です。
そのサスペンドが1年、つまりは2026年3月にあけるそうで、15名が参加するこのトーナメントはシードで準々決勝(4月)からの参戦だそうです。
大橋会長の手腕に舌を巻くばかりですが、本当にこれで良いのでしょうか。
ともあれ、ホームタウン開催の恩恵、みたいなところなので容認するとして、松本圭佑ももちろん、優勝候補の一人ですね。心配事としては、階級を上げての復帰戦を短いスパンで戦わなければならない事、ではありますが、フェザーのときの松本はライト級ぐらいからだが大きかったので、その心配は不要でしょう。
|英 豪(緑)5勝(2KO)1敗(14)
前戦で初黒星を喫した英豪、こちらも復帰戦でのトーナメント参戦となります。個人的には、このボクサーもまだ実力未知数の部類に入りますが、今年3月にジョー・サンティシマを降した星は光ります。
関東の観客に向けて、初戦でどんなアピールをしてくれるのかに期待です。
|龍 王(角海老宝石)11勝(6KO)3敗1分(8)
我らが「漢」中井龍。ボクサースタイルなのに何故かいつもアツい試合をするこの不可思議なボクサーは、応援に足るボクサーです。
前戦で木谷に敗北(カットによるTKO負け)しているので、優勝候補とはなりませんが、木谷へのリベンジもトーナメントを面白くしてくれることにも大いに期待したい。
|向山 太尊(DANGAN)10勝(6KO)6敗
2022年、当時の日本ランカー清田亨に2RTKO勝利してボクシングファンに衝撃を与えた向山。その後は山あり谷ありのキャリアで、日本タイトルに挑むも原優奈(真正)に初回TKO負け。
前戦はインパクトのある初回TKO勝利、この勢いに乗ってトーナメントでも爪痕を残せるか。
|牛島 龍吾(八王子中屋)5勝(3KO)3敗2分
向山と2度戦い2敗、亀田と東日本新人王戦で戦いドローという牛島。どこかでリベンジチャンスが来そうですが、これまでの勝率が5割、A級未勝利というのは岩崎と並び、一番のアンダードッグと言わざるを得ません。
さらには4年ぶりのリング復帰、失うものが何もないからこその強さを見せてくれるのかもしれません。この4年、何をやってたんでしょうね。
<リザーバー>
|新井 志道(黒崎 KANAO)9勝(4KO)6敗1分
今年11月、地元福岡の興行でメインイベントのリングに立つ新井。リザーバーとしてリングに立つのであれば来年の1月以降でしょうか。
リザーバーだと非常に微妙な立ち位置で、準々決勝以降はいつでも4月、8月、12月にリングに上がれるようにスケジューリングする必要があるのでしょうか。それは大変ですね。
|安村 綺麗(泉北)9勝(3KO)1敗
初めて見たのは2022年の全日本新人王決定戦だったか、非常に巧く、名前のとおり綺麗なボクシングをする安村綺麗。当時はスーパーバンタムでしたが、前戦はスーパーフェザー級で戦っているようですね。
まだ強敵との対戦経験は少ない中で、リザーバーとしてこのトーナメントのリングに立てば格上だらけ、となりますね。
日本ランキングから!
王者を除くと15名いる日本スーパーフェザー級のランカーたち。
そしてその中から、なんと10名ものランカーたちがこのトーナメントに参戦します。
日本ランクに入っていなくても、他のアジアランキングに入っているボクサーもいますから、正真正銘、「A級トップボクサー」たちによるトーナメントです。
唯一気になってしまうのは、1年にわたる長いトーナメントの中で、王者たちの戦う相手が限られてきてしまうこと。上に残れば残るほど、タイトル挑戦は遠のいてしまう、とも言えます。
ともあれ、頻繁に開催されるものではないですから、このフェニックストーナメント優勝という肩書を手に入れるべく手を挙げたボクサーたちの生き様を、ここから1年楽しんでいきましょう。
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