Busy Boxing Day。
日本に限って、というところがやや寂しいところですが、12/27は日本のボクシングファンにとって大注目の1日です。
とはいえ、すべてを視聴できる時間はなく、さらにダラダラと流される不要なものを見る気力はないので、当然ディレイで試合だけを視聴です。
ということでまずは名古屋で行われたSAIKOU×LUSH興行の観戦記。

12/27(土)SAIKOU×LUSH
OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ
ケネス・ラバー(フィリピン)16勝(11KO)無敗
vs
アヤティ・サイリケ(中国)12勝(5KO)9敗3分
ここは問題なく勝たなければならないケネス・ラバー。取りこぼしは許されないし、無名で戦績も良いとはいえない相手に対しては強さを見せなければなりません。
さて初回のゴング。
まずサウスポースタンスからジャブ、惜しげもなく左を振っていくラバー。サイリケはグッとガードを固めて耐える時間。当然このままではいけませんが、序盤はかなり警戒しているようです。
追いかけていくラバー、中盤にはコンビネーションも出し始めます。
サイリケはほとんど手を出せず、ディフェンスに徹していますが、早くもかなりのジリ貧。
2R、ようやくサイリケがジャブを出し始めます。しかしそれにラバーがリターン、あまりにもパワーが違います。
ラバーはとりわけ左のボディがよく、サウスポーのサイリケにはレバーに入りますね。
中盤、相手を誘うように足を使い始めたラバーですが、サイリケは前に出るもやはり手は出ず。手を出したらやられる、と感じているのかもしれません。
出てこないサイリケに対してラバーはまたも攻め、良い右フックをあてて感触を確かめると、右フックから左。これでサイリケはダウン。
たぶんもうだめでしょう、ラバーがラッシュするとサイリケは2度目のダウン。言い訳をするかのように右耳あたりをおさえ、立ち上がれずカウントアウト。
一体何をしにきたのか、アヤティ・サイリケ。これはやっぱりミスマッチ、ケネス・ラバーのキャリアはちょっともったいないですね。
IBF世界フライ級タイトルマッチ
矢吹正道(緑)18勝(17KO)4敗
vs
フェリックス・アルバラード(ニカラグア)42勝(35KO)4敗
さて、怖くもあり、楽しくもあるメインイベント。
初回のゴング、リング中央で向かい合う両者。アルバラードがプレス気味に来ますが、そこに矢吹の的確なジャブが阻みます。頭を下げたアルバラードに早々に矢吹の右もヒット。
しかしここで怯むアルバラードではなく、左右のフックで攻め入ります。
矢吹はアルバラードの入り際、右をあわせるという武器を用意してきたようです。ただ、離際にあるバラードのフックは良く伸びてくるので気をつけたいところ。
後半、エンジンがかかってきたアルバラードはグイグイと攻めてきます。矢吹は上手く回れていますが、これを12Rはどちらもきつい戦いになりそうです。
2R、ジャブで入ってきたアルバラードに矢吹の左ボディカウンター!巧い!
的中率の高いジャブに加えてこのカウンター、矢吹の真骨頂です。
その後も頭を動かしながら入ってくるアルバラードに対して矢吹の左右が的確にヒット、見れば見るほどに恐ろしい。アルバラードのフックに対してスリッピングアウェーしている部分については、顔が弾かれているようにも見えてあまり見栄えが良くはないですが、それを加味しても矢吹の的中率は抜群に良い。
ショートの距離でも外から回すような右フック、矢吹のボクシングはここまで完璧です。モチベーションを若干心配していましたが、完全に杞憂でした。
3R、このラウンドは矢吹が足を止めての打ち合い!互いに左右のフックを振り抜きます。これはちょっと巻き込まれているか、矢吹、しかしここでももちろんカウンターをヒットしています。
中盤から後半にかけてはややおとなしくなったアルバラード、若干の休憩を挟んでいるかもしれません。このあたりはさすが歴戦の雄、しかしここを見逃す矢吹ではなく、ミドルレンジで左右をヒットしています。
4R、強引に攻めてくるアルバラード、矢吹は体を寄せて我慢の時間。矢吹は手数が減り、もしくは減らし、カウンター狙いのボクシング。
下がりながらのカウンターが出る矢吹ですが、手数はアルバラードが上。そしてこのアルバラードの前進は非常にしつこく、これは嫌な距離ですね。
5R、中間距離での駆け引き、から接近戦では頭をゴツゴツとぶつけながらもアルバラードの手数が多い。矢吹を体で押し込んでボディを乱打が良い。
中盤、矢吹は上手くジャブを使いますが、アルバラードはアルバラードで激しいペースに見えながらもやや休む時間もつくりつつ、前進。ペース配分として見せ場を作れているのはアルバラードに見えますが、細かなパンチの適格性はやはり矢吹か。
6R、ワセリンを塗りたくったアルバラード、開始後に注意。このラウンドは一転、序盤に矢吹のジャブが冴えます。
アルバラードがインサイドに入ったタイミングで左フックカウンター、アルバラードはこのラウンドやや休憩か、ちょっと前進が弱まっています。
押し込むようなジャブの矢吹、アルバラードは下がります!
スペースが空けば矢吹のジャブがビシバシ決まり、これはいけないと思ったかアルバラードが後半ギアを上げてきます。しかしこれはもう後の祭り、このラウンドは矢吹がうまく立ち回ります。
7R、このラウンドの序盤もアルバラードの突進力はそれほどでもありません。先程のラウンドは休んだのではなく疲れただけなのか、もしくはラウンド後半に一気に捲る作戦なのか。
いずれにしろ、頭をつけてこないアルバラードに対しては矢吹としてはジャブが当たりやすく、足が前に出ずにスペースが空いている状態であれば、カウンターも良い感じに当たります。
矢吹のボディが良いか、アルバラードの体がくの字に曲がり、後半は防戦一方!
8R、このラウンドは矢吹が前に!アルバラードは右ひじをぴったりと体に添わせており、「ボディが効いています」と言わんばかりの構え!アルバラードはかなり我慢強いと思うのですが、前ラウンドの矢吹の飛び込み左ボディをまだ引きずっているようです。
矢吹が右ストレートを捨てパンチとして左ボディ、一瞬動きが止まったように見えるアルバラード。アルバラードのは入り際、完全にこのパンチを狙っています。
明らかに突進力が弱まったアルバラード、矢吹の打ち終わりに前進しますがそこに待っているのが矢吹の左ボディ、これはアルバラードの気持ちになってみるとキツい。
それでもアルバラードは勇敢です。中盤、頭から突っ込んでボディを乱打、気持ちを見せます。
ちょっと回復はしてきたのか、後半にかけては突進力が戻ってきたように感じるアルバラード。そこを迎え撃つ矢吹、大激闘です!
9R、おそらくアルバラードは崖っぷち、ここで勝負をかけます。しかしなかなか足が前にいかない、そこに矢吹は上手く左をコネクト。
アルバラードの顔面に幾度もパンチを叩き込む矢吹ですが、顔面ではアルバラードを止められないかもしれません。頭を低くして入ってくるアルバラードに右アッパー、それでもアルバラードは止まりません。これは恐ろしいですね。
10R、ボディのダメージは回復したのか、アルバラードはボディに注力したディフェンスポジションにはなっていません。
体で押していくスタイルが復活したアルバラードですが、やはり中間距離では矢吹のジャブがヒット。右目が腫れているか、ちょっと見えづらくなっているかもしれません。
11R、ここに来てもジャブを忘れない矢吹は素晴らしく、インサイドに入ってきたアルバラードに左ボディカウンター!
中盤、ボディを意識させての右オーバーハンドをヒットした矢吹、この右の内外、上下の打ち分けもまた素晴らしいですね。
終盤、リング中央で猛攻を仕掛けた矢吹、アルバラードの反撃にも怯むことなくパンチをつなげ、左フックをジャストミート!ぐらりときたアルバラードに追撃、アルバラードがダウン!!!
アルバラードが立ち上がったところでゴング!!
ラストラウンド、矢吹の右オーバーハンドがヒットしてスタート。アルバラードはダメージから回復していないか、近い距離でもちょっと手が出ません。
しかし中盤に入るとアルバラードがまた体で押し込んできており、そこに矢吹はコンビネーションをリターン!足を使ってまわろうとするアルバラード!そこを矢吹はおいかけて右を振り抜きます!ここでアルバラードがこの試合2度目のダウン!!!!
立ち上がるも、レフェリーが10カウントを数え上げました!!!
矢吹正道、12RKO勝利!!
これはとんでもない集中力、パンチ力、そしてカウンタースキル。チャンスを逃さないその嗅覚、褒めるところを数え上げればキリがありません。
これまたものすごいものを見せてもらいました。
終わってみれば、矢吹の顔面はきれいなままで、そのディフェンススキルも証明されています。
寺地拳四朗との第2戦、ファイタースタイルに変貌した拳四朗に圧倒されてしまった、あの経験が今回の経験に活きたのかもしれません。
ビッグマッチが訪れてほしい。アマプラに来てほしい。
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