現在、ヘビー級の覇権はオレクサンドル・ウシクの元に集約されています。
タイソン・フューリー、アンソニー・ジョシュア、ダニエル・デュボアといったトップボクサーたちを2度ずつ退けたこのウシクこそが、現代ヘビー級の最強ボクサーであることは何の疑いの余地もありません。
しかしながら、もはや最強の地位を完全に証明してしまったウシクは、この「最強を決める螺旋」から降りてしまった感じがあり、次戦はよくわからないキックボクサーとの対戦とのことでこれは全くもって興味を唆られるものではありません。
ウシクは今後、自身のモチベーションとの戦いに入っていくのでしょう。
そしてその反面、「ウシク後」のヘビー級は大変に興味深い。
フューリーの復帰戦は決定しており、AJも復帰に向けての動きをみせ、5月にはダニエル・デュボアvsファビオ・ウォードリーが決定している状況。
そして、モーゼス・イタウマは強豪、ジャーメイン・フランクリンJr.戦です。
そしてこのイタウマの活躍こそが、ヘビー級新時代の到来を告げる狼煙であり、まだわずか21歳のこのボクサーは、「ボクシング界の顔」となる可能性を大いに秘めています。
ということで今回のブログは、イタウマvsフランクリンJr.の観戦記。

3/28(日本時間3/29)イギリス・マンチェスター
モーゼス・イタウマ(イギリス)13勝(11KO)無敗
vs
ジャーメイン・フランクリンJr.(アメリカ)24勝(15KO)2敗
とはいえども、フランクリンというキャリアのあるベテランは、そう簡単に行く相手ではないでしょう。
イタウマは前戦、ディリアン・ホワイトを衝撃的な初回TKOで退けていますが、ホワイトは顎が強い方ではない、ということも確かなこと。しかしフランクリンはこのホワイト、AJにこそ負けていますが、フルラウンドを戦っており、KO負けはただの一度もありません。
イタウマはこのタフなフランクリンをノックアウトし、新時代の旗手としての地位を確立できるか。期待の一戦ですね。
さて初回のゴング。
ややアップライトなスタイルから、若干プレスをかけていくのはイタウマ。スピードとキレがフランクリンと比べて段違い、と言えます。
フランクリンも分厚い体躯からパワーのありそうなワンツー、しかしこのジャブの時点でイタウマは右フックのカウンターをあわせようとしています。
ヘビー級とは思えないほど、非常に展開が早い。これは、イタウマのリズムに、フランクリンが煽られている展開に見えます。
中間距離でパンチを出すだけでイタウマのカウンターが飛んでくるフランクリンは、初回からかなりやりづらい展開。フランクリンとしては何とか後半に持ち込んでから盛り返したいところですが、それにしたってイタウマは非常にハイペースです。
終盤にはイタウマのラッシュを浴びて早くもピンチのフランクリン!これは想像以上に決着が早いかもしれません。
インターバル中は、oasisのwonderwall。これがやっぱり英国興行のテンションの上がるところです。観客が大合唱。
2R、リーチのあるイタウマ、すでにフランクリンの距離を掴んだか、右を落としています。フランクリンの左のあとに右をコネクト、フランクリンが出てこないとなると軽打で煽り、バックステップ、時折強く攻め込みます。
完全なコントロール下にあるフランクリンは、イタウマが強く打ってくるところに合わせる、という選択しかないように思いますが、ちょっとブロッキングで手が出ないことが多いでしょうか。
後半にはイタウマの左をかわそうとダックしたところに左を追撃され、自ら強く攻め込んでジャブをヒットするものの、アッパーでのけぞらされる、という状態で、どんどん打つ手がなくなっています。
このラウンドのインターバルはwhitestripesのseven nation army。GGGの入場曲でおなじみの曲ですね。
3R、ちょっとプレスを強めたイタウマ、決めにかかっているかもしれません。やや単発を狙うようになったイタウマ、これはフランクリンにもチャンスが到来かもしれません。ここで合わせられれば、相当デカい。
ここはいわゆる「タパレス戦法」に出るべきフランクリンは、しっかりとガードを固めてフランクリンを誘い、カウンター狙い。
しかしイタウマのスピード、そのスピードを活かしたフェイントにカウンターのタイミングをあわせることは非常に難しい。
後半、距離が近くなった際にイタウマは右のボディショット、これでフランクリンは後退。ロープ際のフランクリンに、イタウマはジャブフェイントを入れて左のボディのフェイント、そこから右フックを強いスイング!これをまともに食らったフランクリンはダウン!!!
立ち上がったフランクリン、残り時間は14秒!ここはガードを固めてなんとか耐えるフランクリン、一発逆転を狙って強い右を振るもイタウマのバックステップにより当たらず。
4R、さて、会場からは大きな期待が感じられます。
イタウマは左のフェイントから右のフック、これにフランクリンは対応できていません。
フランクリンはダメージもあるでしょうが、それを隠しての立ち回り、まだパワーは感じるため何が起こるかはわかりません。
中盤、イタウマのワンツーボディコンビネーション、これで後退したフランクリンは、これまで以上にガッチリガードを固めてカウンター狙い、必然的にコーナーに詰まっています。
少しずつ、フランクリンのジャブが当たる様になっているように感じるのは、おそらくイタウマが倒そう倒そうと逸っているからでしょう。
しかし後半にはイタウマはバックステップを使い始めるとそれもすぐに当たらなくなり、本当にこのボクサーは21歳か、というほど冷静で、自ら修正する力を持ったボクサーです。
それだけ余裕がある、ということの現れかもしれません、
5R、ジリジリとプレスをかけていくモーゼス・イタウマ。フランクリンをコーナーそばに追い詰め、左フェイントから右フックをヒット。
なんとか巻き返しを図ってがんばるフランクリンですが、中盤、インファイトの距離でイタウマの左アッパー一閃!!!
巨木が崩れ落ちるように倒れたフランクリン、レフェリーは即刻ストップ!!!
モーゼス・イタウマ、5RTKO勝利!!!
とにかく速くて巧くて、パワーまであるモーゼス・イタウマ。
21歳でこの強さ、はっきり言って穴はほとんど見えません。
非常にオーセンティックなスタイル、完成されたスタイルと見えますが、年齢的にもまだまだ伸びしろはあるでしょう。
このボクサーが覇権を握った先には、もしかすると「イタウマの衰え待ち」が発生するのかもしれません。そうなった場合でも、例えばクリチコのときとは違い、主体的に倒しにいけるボクサーであり、英国人という理由できっとヘビー級は盛り上がるはずです。
今後もこのモーゼス・イタウマのキャリア、非常に楽しみですね。
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