大注目のPrime Video Boxing 15が終わり、日本ボクシング界の次のビッグマッチは5/2に行われる東京ドーム興行、「THE DAY」です。
この「THE DAY」に向けて、というところでも非常に重要となったPrime Video Boxingの興行は、多くの波乱がありつつもメインイベントでは那須川天心がファン・フランシスコ・エストラーダを降して復活。
前戦、井上拓真戦と何が違ったのか、ということについては、違いは見つからない、大きく進歩した、と様々な意見があるのだと思います。
このブログがアップされるのは、少々日が経ってからだと思いますが、ブログの執筆時は4/12(日)、Prime Video Boxingの翌日です。
ということで今回のブログは、記憶も新しいまま、那須川天心は「どう変わったのか」について。

エストラーダ戦の感想
↓観戦記
改めて、那須川天心というボクサーが素晴らしいボクサーだと感じたエストラーダ戦。
すでにわかっていることですが、とにかくスピードがあり、その緩急、そして距離感もお見事だった、という他ありません。
当然、全盛期のエストラーダではなかった、とはいうものの、初回からほとんどの場面で距離を支配した那須川天心は、エストラーダ相手に「完勝」と言って良い内容だと思います。そして、現在のエストラーダに対して、だとしても、これほどまでの勝ち方ができるボクサーが現在のバンタム級にいったい何人いるのか、と問われれば、片手で数え上げられるほどもいないでしょう。
つまりは、間違いなく那須川天心というボクサーはバンタム級のトップである、ということが今戦を見ての私の感想です。
「1敗」の教訓〜スキルセット〜
もともと、高い次元で色々とまとまっていた那須川天心。
では、井上拓真戦と、このエストラーダ戦で何が向上したのか。
様々な違いはあれど、これは相手あってのものですから、相手によってはまた評価が変わることなのかもしれません。
それでも、間違いなく井上拓真戦で学び、今戦で変えてきたこと、というのはあると思います。
ジャブのスピードやワンツーのタイミング、左のカウンター、そして素晴らしいボディショット。このあたりが天心のストロングポイント、というふうに言えそうですが、今回の試合で見えた、(前回と異なると感じた)スキルというものに関しては、やはり一つ、そのペース配分ということが挙げられるのだと思います。
拓真戦では、初回からそこそこ飛ばし、おそらく後半にかけては「上手くいかない」という思いと、「疲労」から単調になってしまった、ということが挙げられると思います。
しかし今回の天心は、序盤、あまり出ては来ないエストラーダの行動にあわせ、少しずつ上回るようなボクシングを展開。4R終了後の途中採点では、おそらく思ったような結果ではなかった(もうちょっと天心がポイントを取れていて然るべきだった)ようにも思いますが、いずれにしろ、前半からすでにペースを掌握出来ているように見えました。
そして、前回拓真に盛り返されたラウンドについて、今回はしっかりとポイントをピックアップしており、「力を使うべきラウンド」に、適切に力を振り分けられていた用に思います。
いくべきところはいく、退くべきところは退く、自分からプレスをかける、下がりながらカウンターを狙う、そのすべてを自らの意のままにできていたように感じました。
打たれて終わり、ではなく、打ち返さなければならいところでしっかりとリターンをする、これはあたっても当たらなくても重要なことです。自らフェイントをかけて先手をとり、自分の攻撃ターンで終わる。このあと、相手のパンチが当たらないところまで離れる、ということが、那須川天心の強さを最も発揮するであろう戦い方であり、これが今回非常に良く出来ていたように見えます。
この試合、おそらく天心は「困った」と思うようなことはほとんどなかったのではないでしょうか。それはペース配分が成功したことにより、自らのペースで戦えている事で感じられる余裕というものであり、この部分がまだ幼かった、とか考えれば、やはり拓真戦からのスキル成長というのは、この部分につきるのではないかと思います。
「1敗」の教訓〜最も成長したと感じるもの〜
そして何よりも、今回成長したと感じることは、やはりそのマインドの部分です。
これまでの那須川天心は、やはりどこか自己顕示欲というものがあり、良いカウンターを当てて相手がぐらつく、会場が沸いた時にそのアピールを忘れませんでした。
しかしそのアピール動作というのは、自らを良い気持ちにさせる反面、相手に一瞬の休息時間を与え、そのことは相手に冷静さを取り戻させるきっかけにもなります。
アマチュアボクシングでは時として必要になることですが、相手にダメージを与える事を目的としているプロボクシングのリングで、はっきり言ってそれは必要ではありません。(必要ではない、と言っているだけで、それが悪いと言っているわけではありません。)
今回の天心にはそれがなく、非常にテクニカルにアッパーカットをヒットしようとも、左ボディを効かせようとも、それを撒き餌として左ストレートを顔面にヒットしようとも、いたって冷静であり、「その次」の行動に集中することができていました。
「ボクサーにはない動き」が那須川天心の武器だ、とも語られますが、それは「那須川天心がボクサーである」ことを前提としたものであり、もしかすると天心はこの試合でようやく真の意味での「ボクサー」になったのかもしれません。
だとすれば、那須川天心の「ボクサーにはない動き」が本当の武器になってくるのは、今後なのかもしれません。
ボクシングに必要なのは、コツコツと同じ動きを繰り返す忍耐と、規律。そこに派手さは「必要」ではなく、派手さや魅せるためのボクシングは「ボクシング」に少々の味付けをするアクセントでしかありません。
すでに他の格闘技で実績のあった那須川天心は、ボクシングにきても「魅せなければならない」という呪縛を抱えていたのではないか、と思います。それがパフォーマンスとして顕現し、それは天心らしさという意味に捉えられていましたが、いつの間にか「雑味」となってしまっていた、というような感覚。
これまで、スピードやタイミング、ディフェンススキルといった、目に見えるものすべてで高い能力を見せてきた天心は、今戦、というか、井上拓真戦での敗北を経て、もっとえいばその後の思考、トレーニング、助言により、その雑味がなくなり、純粋なボクサーとしての那須川天心が誕生したのではないか、と思う次第です。
NEXT
さて、天心にとってもちろんここはゴールではありません。
この次、どころか、天心のゴール、目指す場所はもっともっと先でしょう。
↓天心vsエストラーダの前に書いた記事
那須川天心がエストラーダ戦をクリアすることは、「キャリアの壁」をクリアすることだと思っていました。
そしてもちろん、それは一つの成果であるとは思いつつ、那須川天心がこのエストラーダ戦をクリアしたことは、「強さを追い求めていた自分自信」を取り戻した、ということも同義だと思います。
余計な雑味を排し、次へ。
次は井上拓真か、それとも井岡一翔か。
井上拓真戦であれば、Prime Video Boxingですぐに決まるでしょう。
井岡一翔戦であれば、現在井岡とLeminoの契約がどうか、というところでモメる可能性があるのかもしれません。王者井岡、ということであれば、Lemino側も簡単には渡さない可能性があります。
そしてそこで勝った天心に与えられるのは、統一戦か、複数階級制覇か。
那須川天心、そしてそれを取り巻くバンタム級のストーリー。
天心がエストラーダに快勝することで、このバンタム級はこれまた超絶おもしろくなってしまいましたね。
とりあえず5/2、そして今年いっぱいはこの階級から間違いなく目が離せません。
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