ちょっと忙しくて、見るのが遅くなってしまった観戦記。
日本時間7/24(日)は、世界タイトル戦やビッグマッチとはいえないものの、非常に興味深いマッチアップ、ジョエト・ゴンサレスvsアイザック・ドグボエのWBOインターナショナル戦。
果たしてどれくらいの拘束力があるかはわからないWBCの指名挑戦者決定戦としてもセットされたこの一戦は、大激闘、大接戦が予想される50-50ファイトと言えます。
ということで今回は、ジョエトvsドグボエ、ESPNで配信されたトップランク興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
7/23(日本時間7/24)
セミファイナル
ガブリエル・フローレスJr(アメリカ)21勝(7KO)1敗
vs
ジョバンニ・カブレラ(アメリカ)20勝(7KO)無敗
ESPNのメインカード、中継が始まって早々に開始されたセミファイナル。
22歳のフローレス、28歳のカブレラのプロスペクト対決。
注目のゴング。
初回開始のゴング、早々にサウスポー、カブレラがワンツー。この左ストレートがヒット、そこまで力強く振ったパンチではなかったものの、フローレスはなんとこの左で尻もちをつくダウン!!
こうなるとグイグイ出るカブレラ!フローレスはダメージがあるのか?防戦一方で、ロープからロープへエスケープ、クリンチ!
そして1分頃、カブレラの押し込むような左ストレートを喰らってフローレスは早くも2度目のダウン!
カブレラもその攻めは粗く、仕留めきれずにこのラウンドを終了しましたが、フローレスはかなり苦しい立ち上がり。ただ、終盤には随分回復しているようにも見えました。
2R、カブレラは非常にオープンなファイティングポーズで、かといってディフェンススキルも高いとは言えません。技術に勝るフローレスがここから巻き返す事は可能であるとも言えます。
フローレスはカブレラの強打、特に左ストレートを警戒しつつ、打ち終わりを狙います。しかしカブレラも初回の打ち疲れからか、やや手数が減っています。
3R、少し肩に力が入っているように見えるフローレス。カブレラの体ごと打ち込んでいく左を結構もらっています。
対してフローレスの右ストレートもいくつか入りますが、カブレラはびくともせず。これは打たれ強いのでしょう。
ノーガードで挑発するカブレラは非常にリラックスして戦い、カブレラは固い。ここまでは明らかにカブレラのラウンドが続き、フローレスはかなり苦しい展開です。
4Rフローレスの攻撃に対しては距離をとって対応するカブレラ。フローレスも一回で攻撃が終わってしまうため、これでは届きません。
カブレラの攻撃に対してフローレスはカウンターを狙うも、的中率は非常に悪い。
5R、非常に積極的に出ていくカブレラ。逆ワンツーが非常によく、この最初の左に対応出来ていないフローレスはサウスポーが苦手なのか、カブレラが非常に独特なのか。(その感じもします。)
後半、フローレスも頑張って攻めていきますが、終盤に右の相打ちでフローレスは通算3度目のダウン。ダメージのない、バランスを崩してのダウンでしたが、立ち上がったフローレスにカブレラは詰めより、左でフローレスの顎を跳ね上げます。
6R、開始早々にカブレラはチャージ。ここでも逆ワンツーに全く対応できないフローレス。そして後半にかけてフローレスが攻勢をとっていく、という展開が続いています。ただ、フローレスの的中率は相変わらず悪い。
しかし7R、いくしかないフローレスはコンビネーションで攻め立て、中盤には左フックをヒットさせるなど逆転の兆しも見せます。
8Rも前ラウンドに続きジリジリをプレスをかけていくフローレス。カブレラはジリジリと下がりつつ、距離で外してジャブ、ストレートを打ってクリンチ。焦りの見えるフローレスはパンチも大振り、コンビネーションも続きません。
ここまでのパンチスタッツは、フローレスが47/261、カブレラが143/469と圧倒的にカブレラ。ダウンも3度奪われている事から、フローレスは倒すしかありません。
9R、変わらず攻めるフローレス、しかし足を使ったディフェンスと、相打ちを狙う戦い方を選択するカブレラを詰めきれません。
ラストラウンド。インターバル中のフローレスは左目にかなりのダメージが見えます。
開始直後はカブレラが攻め込み、最後だからとアグレッシブ、パンチのつなぎも良い。足取りも明らかに巧い、とはいえないカブレラですが、中盤はフローレスを右フックでまわし、その後ラッシュを仕掛ける等ここでも終始優勢。
意地を見せられなかったカブレラは、巧そうな雰囲気を携えるも、最後までパンチが当たらず終了。
判定は、98-89×3のユナニマス・デシジョンでカブレラ。
上手くは見えませんが、距離感は非常に良い。ディフェンススキルも素晴らしいとは言えないものの、下がりながら、長いリーチと距離感を活かしてジャブを当てられるのは利点と言えるでしょう。BoxRecを改めて見るとリーチ180cmとあるので、初回の左なんかはフローレスの予想以上に伸びてきたのでしょう。
ともかく、このプロスペクト対決に勝利したのは(おそらくトップランクの思惑とは違い)ジョバンニ・カブレラ。改めてボクシングとはどんなに身体能力が高く、技術的に優れていてもやってみないとわかりませんね。
WBC世界フェザー級挑戦者決定戦
ジョエト・ゴンサレス(アメリカ)25勝(15KO)2敗
vs
アイザック・ドグボエ(イギリス)23勝(15KO)2敗
大激闘、大接戦が予想されるジョエトvsドグボエ。
リングコールはガーナですが、現在の国籍はたぶんイギリスというドグボエ。確かメキシコ系アメリカ人、好試合だらけのジョエト・ゴンサレス。
ゴンサレスの持つWBOインターナショナルのタイトルと、WBC世界フェザー級の挑戦者決定戦とのことです。
素晴らしい試合が期待される一戦、ゴング。
初回、互いに慎重な立ち上がり。リング中央で上体でリズムをとりながら相手ので方を伺い、フェイント合戦です。
先にプレスをかけ始めたのはドグボエで、中盤以降にコンビネーションで攻め込む場面を作ります。
2R、フェザー級のドグボエは、相手のパワーに押されてやや下がりながらの戦いが目立ちますが、今戦は非常に積極的に仕掛けます。ジャブで思い切って踏み込み、右左のボディを叩く等、つなぎの速いコンビネーションを多用。
ゴンサレスも体格の利を活かして力づくで攻め込み、ドグボエを下がらせてロープに詰めてラッシュを仕掛けます。
これを固いガードでしのぐドグボエはパワーパンチを打ち返し、譲りません。
3R、中間距離から鋭い踏み込み→コンビネーションのドグボエに対し、ゴンサレスは距離を詰めて踏み込むスペースをなくすことで対応。リーチと体格に勝るゴンサレスが距離を詰めたがり、リーチに劣り低身長のドグボエがある程度の距離を空けたがる。予想通りの展開ながら、不思議な展開です。
ドグボエのパンチは非常にパワフルで、見栄えがしますね。
4R、開始30秒ほどのところでゴンサレスの右フックがカウンターとなってヒット、これでダメージを負ったドグボエは後退!チャンスのゴンサレスですが、下がりながらの戦いでもドグボエは巧く、そのブロッキングも固い。
ドグボエは多彩なアングルからパンチを打ち返し、打撃戦でこのピンチを脱出します。
5R、やはり少し距離が空いているとドグボエが鋭く素早い踏み込みからのコンビネーション、これにゴンサレスはガードを固めて対応するものの、速すぎて途中で反撃はできません。
ということで距離をキープしたいドグボエと、頭から突っ込んでも距離を潰したいゴンサレス。ラウンド中盤以降はドグボエも大きく足を使うようになっていますが、これはまわっているのであって下がらされているわけではない、と思いたい。
6R、序盤と違って少し雑になってくるドグボエ。いつも中盤は良くないイメージのドグボエに対し、ゴンサレスはこのラウンド後半にチャージ。やや陰りの見えるドグボエのコンビネーションの打ち終わりにしっかりとパンチを打っていきます。
7R、前半はややドグボエ、しかし流れ的にはゴンサレスが巻き返してきそうな感じがしますが。。。
このラウンド、序盤は足を使ったドグボエですが、中盤以降は下がらず。リング中央での打撃戦が展開されます。こういうラウンドはスイングラウンドになりやすい。
8R、このラウンドもパンチの交換。ドグボエはもう鋭い踏み込みを見せて先手をとる事はあまりありませんが、ゴンサレスの打ち終わりに非常に的確なパンチをしっかりと打ち込みます。
これもまた互角のラウンドではないでしょうか。。。
9R、互いになにか突破口を探しています。ただ、お互いに大きく崩れる事はなく、安定の打撃戦。ラウンド中盤以降は頭をつけての打ち合いとなり、ゴンサレスはもちろん、ドグボエも一歩も退きません。
ラストラウンド、開始直後にパンチスタッツが出ます。ゴンサレスが173/484、ドグボエは161/673。ヒット数はほぼ差がありませんが、より手数を多く出しているのはドグボエ。
このラウンドもドグボエの方が手数が多い、ですかね。近い距離でもバン、バンと手数を出すゴンサレスに対し、ドグボエはバババンとつなぎよくコンビネーションを出していきます。
最後の最後まで両者諦めず、期待通りの好ファイトとなった今戦は、打撃戦のうちに終了ゴング。もう2R、チャンピオンシップラウンドがあればどうなっていたのでしょうか。
ラストラウンドのゴングを聞くと、両者手を挙げて勝利をアピール。
ジャッジ2者は96-94でドグボエを支持、そしてもう1者は96-94でゴンサレス。
2-1のスプリット判定で、勝者はアイザック・ドグボエ!!
ドグボエ、お見事でした!素晴らしいファイトを制したアイザック・ドグボエ。クロスファイトを制したドグボエは、これでフェザー級転級後4連勝!
スーパーバンタム級でもかなり小さい部類だったドグボエは、フェザーに上がってからも次々と強敵を退け、そのパワーこそ目減りしたもののゲームメイクが非常にうまくなった印象です。
もともと持っていた身体能力を活かす序盤、中盤は足を使って休みつつも時折力強いコンビネーションを出し、最終的にはしっかりと打ち合う。
このボクシングで、ここのところの接戦もしっかりとものにしてきています。
WBC王者、レイ・バルガス(メキシコ)戦はとんでもない身長差ファイトになりますね。バルガスは身長179cm、ドグボエは163cm。しかもバルガスは安全運転型であり、ドグボエにとっては相性的にも良くないのではないか、と思います。
個人的には、このバルガス戦に進むよりも、ロンドン五輪の再戦、清水聡(大橋)戦をやってもらいたいな、と思います。
ともあれ、アイザック・ドグボエは見事な勝利。混沌としているフェザー級タイトル戦線に殴り込みを決定しました!
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