11月もあっという間に「中旬」という時期に来ました。
とにかく忙しくてもう年末までほとんど休みがありません。
あと時間もないので若干の手抜き記事ですが、いくつかのニュースをピックアップです。
2人のPFPファイター登場興行の「既視感」
ジャロン「ブーツ」エニスとジェシー「バム」ロドリゲス。
バムがブーツを履いた。ブーツにバムが入っている。
どのように表現するかは今後にかかっているのでしょうが、11/8(日本時間11/9)に行われた興行ではバムが主役だった、ということは言うまでもありません。
もとより「興味深いマッチアップ」とは呼べなかったジャロン・エニスvsカレン・チュカジャンの再戦(断じてこれはブーツのせいではなく、悪手を作ったとすればIBFの問題)というものに、バムを参加させたことはエディ・ハーンの危機察知能力、またそれに対応する力を示すものでもあると思います。
バムの素晴らしいノックアウト勝利によってこの興行は話題となったことでしょう。
さて、このブーツとバムの共演というのは、かつてGGGとチョコラティートの共演に似ています。
最強と戦うことができなかったゲンナディ・ゴロフキン、評価を得つつも対戦相手が現れなかったローマン・ゴンサレス、2人のP4Pファイターは同じ興行に何度も共演し、その実はなんと5度もの共演を果たしています。
GGGはカザフスタン人であったことから、チョコラティートは軽い階級であったことから、それぞれの理由でライト層まで行き渡るほどメジャーとは言えない2人のボクサーでしたが、コアなファンからの信頼は厚い。その2人を掛け合わせて話題にしたのはトム・ローフラーのやり口で、それは確かに成功していたようにも思います。
そんなわけで今後はGGG役をエニスが、そしてチョコラティーと役をバムがこなすことで、マッチルーム・ボクシングは米国での興行を成功させられるのでしょう。
しかし時代はその時よりも過酷です。
米国のボクシング史上は縮小し、サウジアラビアに顕著に奪われています。
米国の興行復活が、もしかすると英国人のエディ・ハーンの手腕にかかるかもしれない、というのは皮肉なものですが、世界は「豪華興行」もしくは誰も知らないような「小中規模興行」に分かれていくのかもしれません。今やアメリカであっても、一つの世界タイトルマッチだけで興行を成功させようとするのは、なかなか難しいことなのかもしれませんね。
毒を失ったサソリ
11/30(日本時間12/1)、ミゲル「アラクラン(=サソリ)」ベルチェルトがリングに戻ってきます。
2021年、オスカル・バルデスに敗れ、2022年にジェレミア・ナカティラに敗れたベルチェルト。バルデス戦も今思えばおかしかったですが、ナカティラ戦は驚くほど鈍重で、打たれ脆く、かつてスーパーフェザー級最強か、と思われた面影はほとんどありませんでした。
あれはショックだった。。。
そのナカティラ戦から17ヶ月の時を経て、なんとミゲル・ベルチェルトが復帰戦を戦うという報。対戦相手は16勝(8KO)9敗1分という27歳のアルゼンチン人のサウスポー、マウロ・ハサン。ダルトン・スミスやリアム・ウィルソンと戦い敗れているというボクサーで、戦績も鑑みて強豪とは言えないボクサーであることは間違いありません。
しかし、今のベルチェルトならどうでしょうか。
一体ベルチェルトが何のために復帰するのかは分かりませんが、ここから世界のベルトを巻くとなるとかなり難しい話。お金のため、という可能性はありますが、今のベルチェルトの商品価値というとこれもまた難しい。ナカティラもバルデスもベルチェルトに勝利した後敗北を経験しており、現在は「トップボクサー」と呼びづらい傾向にあります。
どうか事故なくこの試合が終わってもらいたいし、ベルチェルトにはもうグローブを吊るしてもらいたい、とさえ思います。
The 10 scarist fighters in boxing today
ほんの少し前のBoxing Sceneの記事。これはハロウィンの日に投稿された記事で、The 10 scarist fighters in boxing today(今、最も恐ろしい10人のファイター)という名目で紹介されています。
クレジットは英国のエリオット・ウォーセル氏、「Boxing News」の主任ライターですね。
これはランキングとなっているのでしょうか、まず「1」とナンバリングされているボクサーに、井上尚弥の名前が出てきています。ここに出てきているボクサーたちの試合は確かに恐ろしく、だからこそ絶対的に見る価値があります。
あくまでも英国人から見た視点、というのもまた興味深いものですので、ぜひご一読を。
1) 井上尚弥、28-0(25)
ボクシング界の最高の驚愕技である井上は、相手を安心させ、安心させた後、突然、相手を飛び上がらせたり、魂を奪ったりする。言い換えれば、彼の恐怖はどこからともなく襲い掛かってくる傾向があり、相手に忍び寄ってくるのだ。スーパーバンタム級のこの日本のスターは小柄で、道を渡らざるを得ないほど大きくも、見た目も怖くない。しかし、彼の領域、つまりリングの真ん中で彼に遭遇すると、ボクサーの頭の中は逃げることしか頭にないことがよくあることにすぐに気づくだろう。
2) アルトゥール・ベテルビエフ、21-0(20)
井上が見えないところから恐怖を与えるのに対し、ロシアのアルトゥール・ベテルビエフには、微妙なところや意外なところはまったくない。それどころか、この陰気なライトヘビー級のファイターは、見た目から予想される通りの戦い方をしており、ただの視線でも3発のパンチのコンビネーションでも同じように驚かせることができる。井上同様、彼も本格的なパンチャーで、プロ21勝のうち20勝は予定時間内に終わっており、相手を早く終わらせる可能性が高いことを知っている人物の、狙いを定めて破壊する精神を持ち合わせている。
3) オレクサンドル・ウシク、22-0(14)
ベテルビエフが千里眼の男だとすれば、ウシクは似たような冷たさの視線を向ける男だが、その目にはわずかに輝きがある。ベテルビエフよりも笑顔が多く、前歯の隙間が見えることもしばしば。また、冗談を言ったり、面白いことを言ったり、単にあまり真剣に考えない傾向がある。一方、リング上でウシクが対戦相手にとって恐ろしい存在となっているのは、ありとあらゆるスタイルを解明する能力があるからだ。ウシクは相手を驚かせたり、逃げ出させたりはしないが、オレクサンドル・ウシクほど相手を閉じ込める能力に長けたファイターはほとんどいない。
4) テレンス・クロフォード、41-0 (31)
長年、控えめで内気で、ほとんど忘れられがちな人物とみなされてきたクロフォードだが、2023年にエロール・スペンスを破って以来、自信と威勢の良さを身につけ、それがさらに彼を恐れさせるだけになった。今や、彼の目には暗さが宿り、彼が発するあらゆる脅しには重みがある。今や彼は、自分はリングを共にするどの男よりも強く、より有能だと心から信じている。今や彼が話すとき、あるいは対戦相手の敗北を予言するとき、耳を傾け、彼の言葉をそのまま信じずにはいられない。
5) ジャイ・オペタイア、26-0 (20)
オペタイアは、パッとしない階級(クルーザー級)で戦っているにもかかわらず、最近注目のファイターとして頭角を現しました。見ていて楽しい彼は、常に相手にダメージを与えて試合終了前に終わらせようとします。この精神のおかげで、彼はマイリス・ブリーディスから奪ったIBFクルーザー級のベルトを2年以上保持することができ、また、特にボクサーが真面目な人を好むファンに愛される理由でもあります。
6) デビッド・ベナビデス、29-0 (24)
サウル・「カネロ」・アルバレスがデビッド・ベナビデスを恐れていると言うのは簡単だ。そして、それだけで彼がこのようなリストに載っている理由になる。しかし、ベナビデスはカネロと金儲けできる可能性のある相手以上の存在であり、実際、一部の人々がメキシコで最も有名なファイターを倒すために好んで使う棒以上の存在だ。実際、カネロ以外では、ベナビデスはスーパーミドル級、そして最近ではライトヘビー級の両方で多くの好成績を収めている。彼は体格が大きく、力強く、ファンのほとんどが好む、そしてほとんどのビッグネームファイターが他の誰かに見せたいと思うようなフィニッシュの才能を持っている。
7) ジェシー・ロドリゲス、20-0 (13)
井上尚弥と同じように、ジェシー・ロドリゲスも体格は小さいが、才能と恐怖心は大きい。実を言うと、彼はそれほど優れている。体格とパワーで有利な、もっと大きな相手でも、バム・ロドリゲスのようにバランスがよく、落ち着きのある選手とリングを共にすることに躊躇するだろう。彼はその点でも意地悪だ。
8) ダニエル・デュボア、22-2 (21)
確かに、9月にアンソニー・ジョシュアをノックアウトする前のデュボアをこのようなリストに入れるのは無理があっただろうが、このイギリスのヘビー級ファイターが今日恐ろしいファイターである理由は、ジョシュアを右手で氷漬けにする前の彼が恐ろしいファイターであった理由と同じだと言うのも同じくらい真実だ。要するに、彼を恐ろしいものにしているのは、記者会見、インタビュー、そして試合に対するデュボアの超然としたアプローチの性質だ。彼は冷たく、感情がなく、おそらく初期の頃には欠けていた自信を持って犠牲者を尾行する傾向がある。今、彼が犠牲者を尾行するとき、彼はホラー映画のマスクマンのような確信を持ってそうする。
9) バフラム・ムルタザリエフ、23-0 (17)
このリストに最近加わったムルタザリエフは、数週間前まではほとんど知られておらず、恐れられることもほとんどなかった。しかし、このロシア人がオーランドでティム・ツシウをノックアウトすると、突然すべてが変わった。突然、人々は彼と彼の拳で与えるダメージに気付くようになった。突然、これまで多くのファイターが彼を避けたり、退くよう求めたりした理由が今では簡単にわかる。実際、彼が第3ラウンドでツシウをダウンさせた左フックは、今年リングで放たれたパンチの中で最も恐ろしいものの一つだったと言っても過言ではない。
10) マーティン・バコレ、21-1 (16)
確かに予想外だったが、不当なことではなかった。バコレがこのリストに登場したのは、彼の最近の調子と、多くの人が彼に勝つだろうと予想していた相手を倒してきた方法の両方によるところが大きい。完全にリラックスしたバコレは、ボクシングのリングで常に快適さと楽しみしか感じていないようだが、他の全員、特に彼と一緒にリングを共有する任務を負っている人は、不安と恐怖しか感じていない。ラウンドごとに、コンゴのヘビー級選手が相手を圧倒し、ドスンとパンチを繰り出し、すべてを自分のペースで進めるのがわかるだろう。そして、最高のブギーマンのように、バコレはリングをどんどん狭く感じさせ、ついには相手には逃げる場所も隠れる場所もなくなる。その時点で相手は試合が終わり、時間切れだと分かる。その時点で、バコレが微笑み、唇をなめるのを見ることができるだろう。
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