日本時間11/1、アメリカでは10/31のハロウィンの日。
この日はボクシングファンにとって非常に忙しい一日となりましたね。
私も通常土日は仕事なのですが、この日ばかりは休みをとり、この日に備えました。
今回のブログでは、アメリカ、テキサスで行われたPBC興行の観戦記を書いていきたいと思います。
※こちらの興行は、WOWOWで11/9(月)の定期放送で放送予定です。ご注意下さい。
プレビュー記事はこちら↓
まずは前座試合から!
ディエゴ・マグダレノ(アメリカ)32勝(13KO)3敗
vs
アイザック・クルス・ゴンサレス(メキシコ)19勝(14KO)1敗1分
元世界王者、ジェシー・マグダレノの兄、ディエゴ。100戦以上のアマ戦績を引っさげ、これまで2度世界タイトルに挑むも獲得ならず。もう一つの敗北は現4団体統一王者、テオフィモ・ロペスに喫したものです。
世界王者、もしくは後に世界王者となるロペスにしか負けていない、世界トップクラスの実力を誇ります。
しかし、そのマグダレノが1R0:53でKOされるとは、誰が思ったでしょう。本当にびっくりしました。
ゴングが鳴ると同時に猛攻をかけるアイザック・クルス。全てのパンチを全力で打ち、速攻で試合を決めてしまいました。
固いガードから頭を振って、プレスをかけてコーナーに詰めて全力パンチの連打。最初のダウンは右フック。立ち上がったマグダレノに更に追い打ちをかけ、ラッシュ。
上下への打ち分けも見事です。最後は右アッパーで試合を決めました。
クルスのニックネームは「ピットブル」。
赤穂亮(横浜光)のYoutubeでも有名な、世界最強の闘犬と呼ばれているそうです。
非常に怖さのあるボクサー、ピットブルというニックネームはぴったりに思います。
粗さはあるものの、未だ22歳の若武者。またメキシコから獰猛な、楽しみなボクサーが出てきました。次の試合も楽しみですね。
レジス・プログレイス(アメリカ)24勝(20KO)1敗
vs
ファン・ヘラルデス(アメリカ)16勝(10KO)無敗1分
プログレイスの復帰戦は、無敗のヘラルデスを迎えました。しかし、プログレイスは前日計量でウェイトオーバー。。。その後のツイートでテオフィモ・ロペスを挑発していましたが、スーパーライト級のウェイトを作れないのに何故に挑発??
プログレイスは好きなボクサーなので応援していますが、ウェイトオーバーはいただけない。
様子見から、プログレイスが低いガードからプレスをかけ、「殴りに行く」イメージで距離を詰めていきます。ヘラルデスはなかなかハンドスピード、特にジャブが速い。
2R、プログレイスは防御勘も良いですね。このラウンドは様子見の続き、プログレイスはほとんどジャブ、ディフェンスに徹します。
3R、ヘラルデスは完全に攻めあぐねています。対するプログレイスは余裕を持って、ヘラルデスが攻めるのに合わせてパンチを繰り出します。開始1分ほどでプログレイスの左ストレートがヒット!ダウンを奪います。
立ち上がったヘラルデスでしたが、プログレイスの猛攻に晒され、ダメージを見たレフェリーがこの試合をストップ。
レジス・プログレイスの3RTKO勝利。
計量失敗しなければ両手を挙げて喜べたのですが、ちょっと複雑です。ただ、ウェルターに上げた場合は通用するのか?今回の相手はスーパーライト、ウェルターにあがるのであればテストマッチが必要でしょう。
WBA世界スーパーライト級タイトルマッチ
マリオ・バリオス(アメリカ)25勝(16KO)無敗
vs
ライアン・カール(アメリカ)18勝(12KO)2敗
4団体統一という大きなうねりから取り残された地味な王者、マリオ・バリオス。その存在感を示せるか。
カネロを細くした感じの挑戦者カール、大きく動きます。豊富な運動量ですが、かなり粗いように感じます。
2Rも動きがかなりダイナミックなカールですが、ここまでバリオスはそのカールにかなり手を焼いています。ぐいぐいと構わず前へ出るカール、バリオスはガードやステップでしのぎつつ、相手の出てくるところにパンチを合わせますが、なかなかカールは勢いがあり、手数も多い。
3Rも展開は変わらず。カールは気持ちが強いですね。バリオスはカールのは入り際に右フック気味のストレートを打ちますが、これはカールにヒットしています。しかしカールはそれでも止まらず、前に出て大振りなパンチをバリオスに振るっていきます。
4R、5Rも展開は同じで、双方ともに状況を打開したいところではないでしょうか。しかしよく手がでるカール。そのパンチは決して強いとはいえないものの、この手数に屈してしまうボクサーは多いでしょう。
6R、早々にカールのは入り際に右をあわせたバリオスがダウンを奪います。立ち上がった後、バリオスは攻めますがカールも反撃。ここでカールの眉間のカットがありました。
バリオスが攻める。カールは先程のダウンと流血でかなり流れが悪い。
流血の具合を見て、ドクターが試合を一旦ストップ。再開させましたが、マリオスの猛攻にあいカールがまたダウン、すぐさまレフェリーは試合をストップ。
マリオ・バリオスの6RTKO勝利。
ライアン・カール、なかなか難敵でした。序盤こそその勢いに戸惑ったように見えたバリオスでしたが、慣れと見切りでしっかりカウンターを合わせ、終わらせました。
テイラーやラミレスに比べると、フィジカル面で少々弱いかもしれません。世界王者とはいえ、まだまだ試されていない部分が多いバリオス、これからの戦いに注目ですね。
WBA世界スーパーフェザー級・ライト級タイトルマッチ
ジャーボンタ・デービス(アメリカ)23勝(22KO)無敗
vs
レオ・サンタ・クルス(メキシコ)37勝(19KO)1敗1分
実力を考えると、ジャーボンタ「タンク」デービスの勝利はよほどの事がない限りは動かず、タンクがスーパーフェザー級という体重をつくれるか、というのがまずは焦点でした。
そしてそのスーパーフェザー級で作った体重で、どこまで動けるのか。
もしかするとサンタ・クルスの手数に押し込まれる、それほど既に疲弊していることも考えられるのです。
注目の一戦は、井上vsマロニーのトップランク興行よりも遅く始まったにも関わらず、前座試合がKOに次ぐKO。セミファイナルで追いつき、メインが始まる頃にはほぼ同じ時間になってしまいました。これは本当に残念。
3R、サンタ・クルスのプレスが強くなり、タンクはサークリングしながらカウンターを狙っています。一度近づきさえすれば、サンタ・クルスの嵐のような連打がでますので、近づいてほしくないタンクはボディへのジャブ、強い右ストレートを打ってサークリング。打ったらすぐにその場にいない、という辺りはさすがです。上体の動きも柔らかく、素晴らしい。
4R、今度はタンクもプレスをかけていきます。途中、近い距離で火の出るような打ち合い!手数のサンタ・クルス、一発一発のパワーはタンク!どちらも譲りません。タンクもガードをしっかりと固め、しかもそれがかなり固い。
5R、サンタ・クルスが先手をとり、打ってきた所に返すデービス。打った後はすぐ動き、サンタ・クルスはなかなかパンチを当てられません。この試合は好試合ですね。戦前有利予想だったタンクは、苦戦といってもいいかもしれません。終盤にはサンタ・クルスがラッシュ。
6R、タンクは非常にパワフルなパンチを打ち込みますが、サンタ・クルスは連打で対抗。近い距離での打撃戦!タンクは嫌がるそぶりも見せますが、やはりパワーでまさるタンクが有利。このラウンドの半分ほどでサンタ・クルスがローブローをアピールし、休憩が入ります。これはサンタ・クルスが疲れているのかもしれません。
再開後、距離を詰めてパワーパンチを放つタンクですが、サンタ・クルスも頑張ります。サンタ・クルスはその手数を武器に、逆に今度はタンクをロープまで後退させます!これはすごい打撃戦!タンクはそこからまた押し返し、今度はサンタ・クルスがコーナー付近へ押し込まれます。
それでもワンツーをタンクに打ち込むサンタ・クルス!そしてここでサンタ・クルスの右のミスブローに合わせて、タンクが渾身の左アッパーカットをヒット!完全に意識を失いダウンしたサンタ・クルス!レフェリーはすぐにストップを宣言。
↓KOシーン
Sooo.... KO Of The Year?#DavisSantaCruz pic.twitter.com/I4R0hYciHL
— Premier Boxing Champions (@premierboxing) 2020年11月1日
前評判通りではありましたが、予想以上のサンタ・クルスの勇敢さには感動すら覚えました。
そして、その勇者サンタ・クルスの意識を根こそぎ奪った、「タンク」デービスは予想以上のKO劇を見せてくれました。本当に素晴らしかったです。
今は何よりサンタ・クルスの無事を喜ぶべきなのかもしれません。
これを見る前に、トップランク興行で井上尚弥の素晴らしいKOシーンを見たばかりでしたが、一気にこっちにかっさらわれたような感じさえしています。
注目の試合は(同じ興行でなければ)バラけさせてもらいたいですよね。
その方がじっくり見れます。今はPBCだとかTRだとか言わずに、ボクシング界全体が盛り上がるよう、各プロモーター、TV局、協力し合って貰いたいものです。
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